Jul 24, 2009

設定を簡単に変更できるようにすること、を必ずしも重視しませんよという話

掲示板で書いた事を改めてここにもまとめてみる。

  • ツリー型タブの設定ダイアログを「ツール」メニューなどから簡単に呼び出せるようにして欲しい。
  • 閉じているサブツリー内の子タブがフォーカスされた時に、ツリーを展開するのではなく、現在見えている親のタブにフォーカスする、という風なオプションが欲しい。

この2つの要望にはどちらも応えるつもりはない、というよりも、安直に応えてはいけない種類の要望だと思ってる。

あらかじめ言っておくと、過去の「タブブラウザ拡張」ではこのどちらも応えていた。いや、要望に応えたと言うよりは多分、自分から進んでそうしてしまっていた。でも今の自分の考えでは、そうするべきではなかったと考えている。なので、もうしない。

そもそもを言えば、こういう要望が出てきてしまっているということが「失敗」の何よりの証拠だと僕は考えている。「何故、そういう要望が出るのか?」「どうしてそうして欲しいと思うのか?」そこを考えないといけないと思う。

  • 設定ダイアログを簡単に開けるようにしたいのは何故?
    • →設定を頻繁に変えたいから。
    • →設定を頻繁に変えないと使い物にならないから。
    • →だったら、設定を頻繁に変えなくても十分に使いやすいと感じられるように、自動判別の部分や初期設定をよく考えた方が、ユーザはハッピーになれるんじゃないの?
  • 閉じているサブツリー内の子タブにフォーカスが移った時に、そのタブが含まれているツリーを自動展開するのではなく、閉じられていない親タブに代わりにフォーカスして欲しい、と思うのは何故?
    • →本当は閉じられたツリーの中のタブではなく、親のタブの方にフォーカスして欲しかったから。
    • →というか、そのタブ(閉じられたツリーの中のタブ)がフォーカスされるなんて思いもしてなかったから、そうなってビックリした。
    • →使っていて自然と頭の中に思い浮かべるようになった「こう動くはずだ」という予想が裏切られてしまった。
    • →そのように想像させる挙動を他の部分がしているのなら、その想像に合った挙動をするように統一するべきなんじゃないの? 無駄に選択の余地を増やすんじゃなくて、「自然と思った通りに動いてくれる」状態を目指すべきなんじゃないの?

前者の要望は、色んなアドオンがそういう項目を「ツール」メニューにどんどん加えていったらメニューが一杯になってしまう!ということを見過ごしている。絶対に、多分別の人が「ツールメニューの中の項目は使わないので、非表示にするオプションを加えて欲しい」って言ってくるだろう。そしたらまたそれに応えるの?

後者の要望は、タブの一覧のリストやサムネイル一覧などからそのタブを選んだという風な、「本当にそのタブにフォーカスしたかった場合」にはどうすればいいのか?ということを考慮に入れずに安直に対応すると、泥沼に嵌ってしまう。不用意にそのオプションをいじってしまった人が「フォーカスしたいタブにフォーカスしてくれない!」と(自分がそう設定したからだと言う事にも気づかず)「バグ報告」してくるだろうし、それにまた安直に応えて「じゃあ、そういうケースだけは特別に、閉じられたツリーの中のタブにもフォーカスできるようにしよう」なんて後手後手の対応を続けていたら、どこまでいってもきりがない。

そういう安直な対応を繰り返した果てにあるのが、かつてのタブブラウザ拡張であり、今のTab Mix Plusであると、僕は考えてる。「多機能で凄い、良い物だ」と人は言うけれども、今の僕にはこれらは「考えることを放棄し続けた結果、肥大化の一途を辿った末路だ」という風に見えてる。既にツリー型タブもそうなりつつあると僕は思ってるので、今後は「設定項目を減らしていく」方向にシフトしたいくらいだ。

アプリケーションを作る立場の人は、要望として口に出された言葉の裏にある本当のニーズを読み取る努力をしておかないと、最終的には自分で自分の首を絞めることになると思う。「その方が格好よさそう」とか「その方が賢そう」とかのあまり意味のない自己満足なこだわりだろ、という風に切り捨てないで、自分自身の身を守るための現実的な対策のひとつとして、実践してほしいなと思う。

そしてその結果、それをエンドユーザとして使う立場に僕がなった時に、またハッピーになれるわけだ。

つまり「情けは人のためならず」とか「自業自得」とかそういう話。

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