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液晶ペンタブレットを使った(Androidモードで) - Jan 20, 2014

液晶ペンタブレット買ったという話の続きで、運用編その1です。

お正月の間は、少しでも液晶ペンタブに慣れようと思って練習していました。Cintiq Companion Hybridは単独でAndroid端末としても使えるのが特長の製品で、お正月の間はこれだけ持って出かけていたので、自動的に練習はAndroidモード上で行うことになりました。単独では使えないCintiq 13HDだと、こうはいかなかったですね。

なのでこのエントリではAndroidモードの話をお送りします。とは言いつつ、液晶ペンタブ一般に適用できそうな話も入っていますので、Cintiq 13HDの導入を検討されている方の参考にもなるかもしれません。

Androidモードで使えるお絵描きソフト

まずプリインストールのお絵描きツール(Creative Canvas)を触ってみたのですが、初期バージョン固有の問題なのか、消しゴム周りの挙動が怪しくて(ペンをひっくり返しても挙動が変わってくれないとか)「うえっ」てなってしまいました。で、速攻でLayerPaint HDを購入してしまいました(800円)。タブレット関係の業界(?)ではよくお名前を見かける方(自分でも絵を描かれる方)の作のようなので、安心して使えるんじゃないかなあと期待しての購入でした。

LayerPaint HDは、一本指でのタッチ操作を描画のための操作として受け付けるかどうかをON/OFFできます。Cintiq Companion Hybridで使う時はペンを使うことが前提になるので、シングルタッチでの描画は行わないようにして使いました。

ジェスチャとしては、ピンチインで縮小、ピンチアウトで拡大、二本指ドラッグでキャンバスをパンスクロール、といった操作が使えました。他にもあるかもしれませんが、とりあえずこれだけ使えたらまあ絵は描けます。

描く前に意識したこと

前のエントリに書きましたが、拡大しすぎるせいでいろんな問題が起こっているのではないかと考えていたので、練習ではなるべくズームしないで描くようにしてみました

ちなみに、実際今までどのくらいズームして描いていたかというと、こんな感じです。 (今までの作業環境の様子) 右のメイン画面がEIZOの17インチで、左は15インチのサブ画面。手前にあるのがIntuos 4で、読み取り面のサイズがA4くらいのモデルです。主観的には、メイン画面とタブレットの大きさが1対1で対応してるくらいの感覚で使えるようにということで、大きめのIntuosを買って使っている次第です。

写真ではメイン画面にComicStudio 4を置いて「#!シス管系女子 Season2」の日経Linux 2014年2月号掲載分の1ページ目の画像を出していています。データは600dpiで作成していて、これはインジケータ上のズーム率で66%くらいの状態です。実際のペン入れやトーン処理の作業では、全体確認のための12%くらいから、細部描き込みのための100%くらいまでを行ったり来たりしていますが、ペン入れ時はだいたいこの66%表示かそれよりちょっと小さいくらいで、1コマの中の絵でも全体像が見えてないことが多いです。本誌をお持ちの方は、実際の印刷された物と見比べてみると、これがどれだけ異常な作業状況であるか実感していただけるのではないでしょうか。

今回の液晶ペンタブ購入の動機は、そういうやり方から脱却したいというのが一番の狙いだったので、敢えて、常に全体像が見える程度のズーム率で原寸大で作業することを心がけました。そのため本体の置き方の縦横も絵の構図に依存する事になり、以下の絵も縦長の物は本体縦置き、横長の物は横置きで描いたということになります。

実際に描いた物

1枚目。 (Creative Canvasで描いた下描き) これはCreative Canvasで描きましたが、先述の通り挙動が怪しかったので、「これじゃ無理だ……」と思って早々に見切りをつけてしまい、下描きで終わらせてしまいました。

2枚目。ここから先は下描き後、別レイヤでペン入れしています。

この時はペン先を、現在選択しているツールで描画される線の太さで画面上にポインタとして表示する設定(Layer Paint HDの初期設定)にしていました。が、普通のペンタブレットの時のようにポインタを目で追ってしまって、描いててなんだか疲れる感じがありました。

そこで、設定を変えてポインタを表示しないようにして、3枚目と4枚目を描いてみました。

ポインタを消したところ、目で追う感じがなくなってわりとスイスイ筆が進むようになった気がしました。

液晶ペンタブ導入前は、「紙に直接ペンで描くのに比べると、ガラス1枚挟んだ向こうに線が描画されことになるので違和感があるんじゃないか?」と心配していました。が、しばらく使っていると物理的なペン先を延長した先に透明なペン先があるような感覚になってきました。人によるという部分もありそうですが、この辺は慣れでどうとでもなりそうです。

そして5枚目、今度は横長の構図でもうちょっと動きのある感じを描いてみました。

以前だと、部分部分を拡大してのペン入れだったのでダイナミックなポーズを描くのは辛かった(部分を拡大して描いていると、全体の流れよりもパーツ単位での整合性の方を意識してしまって、後で全体を眺めるとどっか違和感がある仕上がりになってしまう、という事が僕は多かった)のですが、全体を見ながらでもそこそこ描き込める環境だと、そういう辛さがありませんでした

ズームしないで使う前提だと、画面を狭いと感じた

ただ、この状態で細かい書き込みを増やそうと思うと画面の狭さが気になりました

13インチの画面は中サイズのスケッチブック程度の大きさはありますが、短辺だけ見るとA4よりも狭いです。特に、横置きだとAndroidの固定のツールバー(戻る、ホーム、タスクスイッチャーの3つが出てるアレ)がその狭い画面の下の方を無駄に占領するので、余計に狭さが強調されます。現行モデルはAndroid 4.1 4.2ですが、Android 4.4だとフルスクリーン表示でこれらのツールバーも隠れるようになるはずなので、アップデートに期待したい所です。

また、液晶の解像度が高いとはいっても、やはり現実の紙の上に描くのに比べると解像度は圧倒的に低いので、全体が見えるズーム率の状態で微妙な線の強弱やはみ出しやズレを完璧に把握するのは難しいと感じました。僕の場合はですが、細かい書き込みのためにはやはり、その状態から2倍程度までズームインして作業する必要がありました。(キャンバスのサイズは、それを想定してあらかじめ画面のピクセル数の2〜3倍くらいにしていました。)

20インチ以上の大きなモデルのCintiqだと、こういう狭さを感じることはないのでしょうか。

描く時の姿勢

あと、描いた時の状況ですが、これらはすべてソファーや床などに座って膝の上に本体を置いて抱え込んで、目と画面を近付けて背を丸めて描く感じで描きました。本体を斜めに立てかけるためのスタンドは使っていません。実は僕はこれこそが一番やりたかった事だったのです。

というのも、ヨドバシの店頭やコミケ会場のWacomのブースでは実機はスタンドに立てた状態で試し描きできるようになってるんですが、僕はそのスタイルで描くのは苦手というか腕が疲れるというかとにかく不慣れなのです。先に書いたような抱え込みスタイルこそが、まあ腰とかには多分良くないとは思いますが、僕にとっては一番落ち着いて絵を描ける状態なのでした。(ということを、今回改めて意識しました。普通のペンタブレットの時は画面が正面にあり、しかも拡大しまくっているので 、顔を画面に近付けない方がむしろいいくらいなのです。)

そういえば以下はコミケ会場での試し描きですが、慣れない姿勢で描いたせいかなんだか微妙な感じになってしまいました。

健康のためを考えるならいい姿勢で描くスタイルにした方が望ましいのでしょうけれども、そうするためには作業環境をお絵描きに特化させる必要がありそうで、僕は残念ながら絵を描くこと専業ではないため、そうすることができずにいます。

試し描きには一番多く描くことになる物を描く

ところで、試し描きって何を描けばよいのでしょうか。デモ用の実機を前にして、僕ははたと手が止まってしまいました。思い返してみると僕は絵に限らず「試しに何かやってみる」というのが非常に苦手なのでした。

それで今まではどうしていたかというと、「谷町先輩」のような「描き上がった絵が少々下手であっても、それを『味』として好意的に見てもらえる余地があるために、自分が傷付かないで済む」「描いている所を横から見られても、ああこいつ萌え豚なのか軽蔑だわー、みたいに思われなくて済むので恥ずかしくない」キャラクターだったり、あるいはやはり同様の理由で、強いデフォルメタッチの絵(シス管系女子で言うと、セリフのコマに描いてあるような簡略化された顔)だったりを描いていました。

本気のみんとちゃんだったり本気のふぉくす子だったりという、自分はこれがカワイイと思うのだ!という思いが前面に出ているキャラクターを描くのは、全く知らない他人に横から見られたら気恥ずかしかったし、そういうキャラクターというのは仕上がりが下手だとストレートな「下手」以外の感想を持たれ得ず、歪みやミスを「味」として好意的に評価してもらい難いわけで、それで下手糞だったらもう目も当てられない、そんな思いがあって、及び腰になっていた気がします。

でも、そんなことで本当にこの道具が使い物になるのかなんて分かるわけがない。試せているうちに入らない。しかも、お正月の時点ではもうお金払ってブツを手にしている状態で、後がありません。これで導入に失敗したら、後に残るのは単なるデジタルせんせい、しかも本家はダイビングの時にでも水中での意思疎通に使えるだろうにこっちは風呂場ですら使えない、なんてことになってしまう。それではまずい。

それで今回、コミケ会場でのデモ機やお正月の試し描き(2枚目以降)では、なるべく本気で、特に実際に本編中で描きそうな表情やポーズを描くようにしてみました。それによってようやく、会場では買う踏ん切りが付いて、お正月には本番で使っても支障がなさそうだという確信を得られました。当たり前といえば当たり前ですが、導入の動機として「これを描きたい・描かなければならない」という事がはっきりしているのであれば、恥ずかしかろうが何だろうが、一番よく描くことになるであろう物を描くようにしないと意味がないんですよね。という事を改めて感じたのでした。

(しかし、僕がその確信を得られるまでにはお正月の丸一日に近い時間を使って1人で本機を抱え込んで試し描きをする必要があったということを考えると、他にもお客さんがいて順番待ちしているような状況での試用だけではその確信は得られなかっただろうなあとも思うわけで、やはり、ヨドバシのようにいつでも行けて(店員さんからのプレッシャーはさておき)順番待ちを気にせず長時間試せる場所はあった方がいいなあ、Cintiq CompanionとCintiq Companion Hybridは特に店頭売りがないので残念だなあ、ということも改めて思う次第です。)

ツール側での回転よりも本体をぐるぐる回した方が早い

ツールによってはキャンバスを任意の確度で回転させられますが、13インチのこのサイズだと、ツールの機能でやるよりも本体を物理的に回転させた方が早かったです。Androidモード時は(電池で動かしている時であれば)ケーブルもありませんし。ただ、Androidデフォルトだと本体の向きによってUIの配置が切り替わってしまうので、Androidモードでこの使い方をする時は自動回転は無効にしておいた方がいいです。

ちなみにLayerPaint HDにはキャンバス回転機能が無かったと記憶しておりますが、そういうわけで僕が試し描きに使った限りの範囲では支障はありませんでした。

発熱はどうか

そういえば液晶ペンタブというと熱の問題がよく取り沙汰されるようです。というのも、据え置き型の普通のCintiqは大きな液晶ディスプレイを内蔵しているという構造上、使っていると本体が非常に熱くなると聞いたことがあります。最新モデルではどうなっているのかは分かりませんが、なんでも、長時間使っているとヤケドしかねないとかなんとか。

僕の場合は、Androidモードで上記の絵を1枚描くのに1時間くらい多分かかっていたと思いますが、その間は発熱は全く気になりませんでした。カバー代わりに付属のディスプレイスタンドを裏面に取り付けた上で膝の上に置いていたからというのもあるかもしれません。感覚的には、Nexus 7やスマホを長時間使っている時と大差ない感じだったと思います。(Cintiq Companionの方は普通のWindows 8搭載タブレットPC扱いとのことなので、この辺の事情はもしかしたらちょっと違ってるかもしれません。)

この点が気になる人は、やはり、長時間電源が点きっぱなしのデモ機を実際に触って確かめてみるのがいいと思います。

漫画下描きアプリについて

Cintiq Companion Hybridの売りの1つはプリインストールの漫画下描きアプリで、これは、下描き状態まで作成した漫画作品をPCのCLIP STUDIO PAINTにエクスポートできるという物です。

が、残念ながら僕はまだCLIP STUDIO PAINTに移行できておらずComicStudio 4を使い続けているため、このアプリの出番は当面はなさそうな雰囲気です。CLIP STUDIO PAINTの方でもしComicStudio形式に出力できるのであれば出番がありそうですが、可能なのかどうかは試せておりません。会場でCintiq Companion Hybrid買った時におまけでCLIP STUDIO PAINTの製品版パッケージを付けてくれたので、試そうと思えばすぐに試せるんですけど、億劫で……

文字入力とか

Android端末ということで文字入力の話も。

普通のスマホやNexus 7だとソフトウェアキーボードはフリック入力が好みというかローマ字入力のソフトウェアキーボードは入力しにくくて辛いため、Nexus 7にBluetooth接続でハードウェアキーボードを組み合わせて使うほどの事をしている僕なのですが、13インチともなると逆にフリック入力の方が辛くてローマ字入力の方がやりやすい気がしました(縦型、横型どちらの状態も試しましたが、縦型の状態でも余裕でローマ字入力できました)。フリック入力は狭い範囲を指でちょいちょい触って初めて速度が上がる入力方式だと思うのですが、このサイズで使うと指をあっちこっち動かさないといけなくて逆に非効率だと感じました。

ただ、やはりクリック感のないソフトウェアキーボードだと誤入力が普段以上に増えてしまって、スピードを上げたい時にはハードウェアキーボードがやっぱり欲しくなるなあとも思いました。画面だけでの文字入力は、ハードウェアキーボードに慣れた旧世代の人間には辛いです。

まとめ

外出先とかベッドの上とかに持っていく→イラストの下描き→帰る→PCで続き という使い方程度であれば十分使えるなあ、という印象を受けました。

漫画については、自分がCLIP STUDIO PAINTを使っていないため評価できませんでした。

ただ、CLIP STUDIO PAINTを使っていたとしても、シス管系女子の場合はこれで下描きまでやるのは辛そうです。シス管系女子は解説するコマンド操作の内容であったりコマごとのセリフ割りであったりをテキストできっちり検討してからComicStudioでの作業に入っているのですが、この作業の進め方だとお絵描きツールとテキストエディタとを頻繁に行ったり来たりする必要があります。Androidでやる場合はその都度タスク切り替えが必要になってしまうので、面倒さがPC上での作業の比ではなさそうです。

もえじら組の方だと、そこまでキッチリ流れを決めている訳ではなく描きながら考えている部分も多いので、漫画の下描きに使っても問題ない気がします(外でエロマンガの下描きって社会的にどないやねんというのはさておき)。

以上、色々偉そうに品評していますが、もっと画力のある人やもっと根性のある人、もっと絵を描く事自体が大好きでたまらないという人だと、また違った感想を持たれるだろうと思います。これはあくまで、そんなに画力が高くない「絵も描けるという程度のエンジニア」であるところの僕が月イチで漫画を描いていて時間がかかりすぎて仕方がないので少しでも効率を上げたいと思って金にあかせて良い道具を揃えてみた、という話なので、色々割り引いて読んだ方がいい気はします。

実際、LayerPaintのTwitterアカウントで紹介されている作例を見ると、下描きとか落書きとかのレベルでないちゃんとした作品を描かれている方もたくさんいます(作例はCintiq Companion Hybridだけでなく他のAndroid端末での物も多いようです)。また、Cintiq Companion Hybridと他のAndroidタブレットを比較してのこんな発言もありました。

本機でどこまでのことができるのかは、使う人の熱意次第と言えそうです。

Androidモードの話だけでまただいぶ長くなってしまったので、PCに接続しての感想等はさらに次のエントリに分けたいと思います。

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