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たまに18歳未満の人や心臓の弱い人にはお勧めできない情報が含まれることもあるかもしれない、甘くなくて酸っぱくてしょっぱいチラシの裏。RSSによる簡単な更新情報を利用したりすると、ハッピーになるかも知れませんしそうでないかも知れません。

萌えるふぉくす子さんだば子本制作プロジェクトの動向はもえじら組ブログで。

宣伝。日経LinuxにてLinuxの基礎?を紹介する漫画「シス管系女子」を連載させていただいています。 以下の特設サイトにて、単行本まんがでわかるLinux シス管系女子の試し読みが可能! シス管系女子って何!? - 「シス管系女子」特設サイト

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Fox Splitterを更新した - Apr 23, 2012

バージョン0.6系(旧版)2.x系(現行バージョン)の両方とも更新した。

バージョン0.6系の方は、前に書いた2.x系への自動アップデート機能の追加だけで、他は何もいじってない。AMOからインストールした人が2.x系に自動アップデートされないという問題への対処のためだけに作ったバージョンなので、AMOにしかアップロードしてない。基本的にこっちはもう終了したバージョンということでよろしく。

2.x系の方は、最近になってUbuntu上でヘビーに常用し始めるようになって色々気付いた問題を修正したのと、僕の使い方で「ああこういう機能欲しいやばい(ないとめんどい)」と思った機能を追加した。

修正の方で特に大きいのは、「グループ化されたウィンドウの1つを移動した後に他のウィンドウをそれに併せて移動する」という部分の改善だと思う。

GNOME2のワークスペース切り替えの時はそこまで酷いことになってなかったんだけど、Ubuntu 11.10にアップデートして3×3のワークスペースを使うようにし始めた(これ多分GNOME3の機能ですよね?)ところ、全く使い物にならないレベルでグループの配置が壊れるようになってしまった。GNOMEのワークスペース切り替えは、少なくともFirefoxの中から見た時には、各ウィンドウの座標を固定してビューポートの方だけを移動させるんじゃなくて、ビューポートの座標の方を固定して全部のウィンドウの座標をぐりぐり動かしているように検知されている。なので、ワークスペース切り替えの時に全部のウィンドウのscreenX/screenYの値が変わってしまう。それで、それぞれのウィンドウがてんでバラバラに「グループの中のウィンドウが1個動かされたから他のウィンドウも再配置しよう」という事を始めてしまってシッチャカメッチャカになっていた。

「グループ化されたウィンドウ全部が相対座標を保ったまま一度に移動されたので、再配置の必要なし」とかの判断をちゃんとするようにすればよかったんだけど、僕の頭で思いつくやり方だとどーにもうまくいかんかったので、諦めて安全確実だけどちょっと重い方法でウィンドウの移動→グループ全体の再配置を行うようにした。普通にウィンドウをドラッグで移動した時とかのレスポンスは悪くなったんじゃないかと思うけど、背に腹は代えられない。

新機能は、「グループ化されたウィンドウの1つでPanoramaを使った時に、グループ全体の大きさまでそのウィンドウを一時的に広げる」という機能が元々あったのを、Panoramaの時以外にも使えるようにした(ついでに、詰めが甘かった所を色々直した)という物。何でこういう物が欲しかったかというと、

  1. 僕は今Ubuntuのワークスペースの1つをFox Splitterで3分割したFirefoxのウィンドウ専用に割り当てている。
  2. 分割後のそれぞれのウィンドウには、別々のプロジェクトのRedmineのチケット一覧を表示している。
  3. それぞれのプロジェクトでチケットを追加する時は、その分割されたウィンドウの中でやっている。
  4. Redmineはある程度の大きさのウィンドウで表示される前提でレイアウトが組まれているので、狭いウィンドウの中では非常に使いにくい。
  5. なので、チケットを書いたり詳細を読んだりするときだけそのウィンドウを大きくして、終わったら元の大きさに戻す(そうしないと他のウィンドウのRedmineが見えないから)という事をよくやっていた。

という使い方をしていて、いいかげんいちいち自分でリサイズするのが面倒になったから。

今のFox Splitterは、全体を管理する大きなウィンドウのような実体が無い状態で各ウィンドウをあたかも1つのグループの下に属しているかのように協調して動作させる、ということをやっていて、作ってる側の自分としては、頭を抱える部分も多いけれども「元々Firefoxにある物だけを駆使してどこまでできるか?」ということを追及するある種の挑戦というかパズルに挑んでいるような感覚もあって、そういうことを効率よくやるためには結局2分木でやるのが安全確実なんだなあとか色々と気付かされた所があって、ノウハウ的にも自分のやってきたことの集大成になってるんだけど、エンドユーザとしての使い勝手は多分旧版のFox Splitterに比べると劣化してると受け取られることの方が多そうで、報われないことに一生懸命になってるなー感が自分である。

とはいっても、自分で使う分にはとりあえずこれだけ動いてくれれば十分だし、旧版の設計で今後もずっと自分でメンテナンスし続けるのは絶対に無理だし、もっといいやり方が見つかるまでは、この路線を変えることは多分無いと思う。

Fox SplitterのせいでユーザのFirefox 3.6からの移行が進まないって言われた件 - Apr 02, 2012

Linuxでwmctrlを使うようにしたバージョンのFox Splitterを今日付で公開した。

なんだかんだで最近腰が重いんだけどその重い腰を上げてリリースのための作業をやろうと思った背景の1つには、Mozillaの中の人からメールで表題の件について連絡があったからだ。既知のバグがあってmasterでは直ってるのにリリースされていない、という状況ではそのメールに返信するのが憚られる……と思って、慌てて細かい所を直してリリースしたというわけ。これも罪悪感駆動開発な気がする。

Fox Splitterのユーザが古いバージョンを使い続けている最大の理由は、AMOでFox Splitter 0.xから2.0への自動アップデートが行われないからじゃないかと思ってる。諸々の事情でFox Splitter 2.0では旧版からアドオンのIDを変えないといけなかったので、AMOのサイト上ではFox Splitter 2.0と0.xが別々のアドオンとして登録されてて、Fox Splitter 0.xのユーザにはFox Splitter 2.0が自動アップデート経由で提供されない。2.0への移行は、完全にユーザの自由意志に任せざるを得ないという事になっている。使い勝手がどうとか以前に、勝手にアップデートが下りてくるかこないかがネックになってるっていう予想だ。

強権的手段として、「単にFox Splitter 2.0を自動的にインストールして、その後Fox Splitter 0.xを削除する」というだけの内容のアドオンをFox Splitter 0.x最新版としてアップロードすれば、Fox Splitter 0.xから2.0への移行を強制することはできるけど……2.0の方には否定的なレビューが多く付いていて評価も低い(旧版は星2つ以下は15%なのに対し、新版は星2つ以下が57%……まあ母数が圧倒的に少ないから統計的にはあんまり意味がないかもなんだけど)という現状を見ると、そこまでやっちゃっていいっていう自信をまだ持てずにいる。

4月4日追記。Mozillaの中の人から「ちょうどそういう(Fox Splitter 0.x系の新バージョンとして、Fox Splitter 2への自動アップデート機能を含んだ物をリリースするという)方法について提案しようと思ってた所だった」的なレスポンスがあったので、春の嵐で早退したのをいいことに頑張って書いてみたんだけど、死ぬほどめんどかった。

Fox SplitterのLinuxでの挙動の改善と、Mac OS Xで残された課題 - Mar 25, 2012

Fox SplitterをWindows以外で使った時に 実にパネェ感じでストレスフルな挙動を示す件について、とりあえずLinuxではちょっとだけ改善できた気がする。

要点を先にまとめておくと、こういうことだ。

  • Windows上では以前から、ウィンドウの1つが選択されて最前面に来たら、グループ化された他のウィンドウもそれによって「押し上げられ」て最前面に来る、という挙動になっていた。
  • でもFirefoxの仕様上の制限で、LinuxとMac OS Xではそれができていなかった。
  • 今回、Linuxではwmctrlを呼び出すことによってWindows上と同じような挙動を再現できるようになった。
  • Mac OS Xで同じ事ができるのかどうかは分からないままである。
  • JSDeferredはやっぱり素晴らしいです。

以下、背景も含めた詳しい話。

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再起動のいらないアドオンのコンテストが11月8日頃〆切で行われているそうですね - Nov 01, 2011

Firefoxアドオンコンテストの要項を意訳してみた。 - おんがえしの日記で報じられていますが、「再起動のいらないアドオン」というテーマでアドオンのコンテストが開かれているそうです。

再起動のいらないアドオンというとAdd-on SDKを使って開発すればそういう風になる訳ですが、何度か勉強会等で話している通り、再起動のいらないアドオンを作るだけならSDKなしでも作る事は可能です。そういう物も応募できるのか? という質問がやはり告知のページにも寄せられていて、回答としては、「SDKなしでもいいよ」と書いてありました。なので、老害のくせに性懲りもなく応募してみる事にしました。

まずFox Splitter

URL
https://addons.mozilla.org/firefox/addon/fox-splitter/
Name
Fox Splitter
Description

Do you want to browse multiple webpages (ex. "English version" and "translated version") side by side? This can do it.

This provides ability to "split" a Firefox window to multiple ones, and manages them (grouped windows) like a large window with multiple panes. To "split" the window, "Split" button in the navigation toolbar is available. Otherwise, you just have to drag a tab to near the inner edge of the window itself, and stay there. Then a drop position marker will appear like the screenshot: https://static-cdn.addons.mozilla.net/img/uploads/previews/full/59/59710.png?modified=1309171529 Not only two panes, but also three, four, or more "panes" are available. Of course, when you resize a member window, others also fit to it like panes in a large window.

This is developed without Add-on SDK but based on my tiny framework named "Restartless", including customizable toolbar items, configuration dialogs, l10n, Firefox 3.6 support, and so on. https://github.com/piroor/restartless

あと、Back to Owner Tab

URL
https://addons.mozilla.org/firefox/addon/back-to-owner-tab/
Name
Back to Owner Tab
Description

Have you met such a stressful situation?: You finished to read a webpage and want to back to the previous page, but you can't click the "back" button because it is disabled - yes, you were in a new tab opened from the previous page, so you have to close the current tab instead of clicking "back" button.

This provides ability to go back/forward across tabs/windows. Even if the current page is in the first (or last) entry in the history, the "back" (or "forward") button is still enabled. If you click the button, then the owner tab (or the "next" tab - it had focus before the "owner") gets focus.

This is developed without Add-on SDK but based on my tiny framework named "Restartless", including customizable toolbar items, configuration dialogs, l10n, Firefox 3.6 support, and so on. https://github.com/piroor/restartless

最後にさらに宣伝しておくと、先日発売されたオライリーのFirefox Hacks Rebootedには、GomitaさんによるAdd-on SDKを使ったアドオン開発のチュートリアルと、Add-on SDKを使わない再起動不要なアドオン開発での色々なテクニック・注意点のまとめの両方が収録されています。再起動不要なアドオンには興味があるけど、まとまった情報が無くて二の足を踏んでる……という方がもしいらっしゃいましたら、こちらの本を片手に挑戦してみるといいかもしれませんね。

Fox Splitterを元の設計に戻して欲しい (Why Fox Splitter lost its functionalities in old versions: multiple panes in a window, not multiple windows?) - Aug 25, 2011

Q

Why did you remove the awesome functionalities from Fox Splitter 0.6 and replaced it with Fox Splitter 2? Fox splitter is now just a way to glue multiple instances of Firefox together.

I would like to ask you to remake the functionality of Fox Splitter 0.6.2009110501, perhaps as it as a function that can be enabled or disabled? Or perhaps just make the 0.6.2009110501 version workable on newer Firefox versions?

どうしてFox Splitter 0.6の素晴らしい機能(※訳注:1つのウィンドウの中を複数のペインに分割する機能)を削除してFox Splitter 2で置き換えたのですか? 今や、Fox Splitterは単に複数のFirefoxのインスタンスをくっつけて一緒に操作するだけの物になってしまいました……

Fox Splitter 0.6.2009110501の機能を復活させて、オプションで有効無効を切り替えられるようにならないでしょうか? それか、単にバージョン0.6.2009110501を新しいFirefoxの上で動作するようにできないでしょうか?

A

I recommend you to try Tile Tabs or Tile View, if you want to split a window to multiple panes and don't want toolbar/tabbar for each pane.

Sorry, Fox Splitter never introduce "multiple panes in a window" feature in future releases. There are some reasons.

After I initially released the old Fox Splitter, I realized that each "pane" should have navigation toolbar for usability. So I actuary did it. However, much codes was required, it had too less maintainability, and it was strongly depended on codes of the specific version of Firefox. So I couldn't update the old Fox Splitter for 1.5 years.

During that time, similar new addons "Tile Tabs" and "Tile View" debuted. I hope that they can replace my old Fox Splitter. However, after I tried them, I couldn't become familiar with their concept. I thought that their "tiled view in a tabbrowser" is hard-to-understand.

Moreover, both "Tile Tabs" and "Tile View" didn't provide navigation toolbar for each pane. I realized that it was a unique feature of my old Fox Splitter and no other addon inherited the concept. I thought that I have to implement such an extension by myself if I want to use it -- no one does it for me except myself.

Yes, I decided to update Fox Splitter. And, I decided to drop functionality to split a browser window to multiple panes, because it requires huge codes and it is very hard to maintain for current rapid-released Firefoxes. I don't want to abandon the new Fox Splitter for a long time anymore. High maintainability (and compatibility) code is strongly required for me. The old Fox Splitter didn't have them and I cannot cover them by my crazy hacking time - now I have less time to do it.

もしあなたが分割されたそれぞれの領域のためのツールバーやタブバーを必要としないのであれば、Tile TabsTile Viewを試す事をお薦めします。

申し訳ないのですが、Fox Splitterが「1つのウィンドウの中を複数の領域に分割する機能」を将来のバージョンで実装する可能性はありません。それにはいくつかの理由があります。

私は、Fox Splitterの最初のバージョンを公開した後で、実用性のためには分割後の各領域がそれぞれ専用のツールバーを持っている方が望ましいという事を実感しました。それで実際にそのような機能を実装しました。しかしそのためには非常に多くのコードを書かなければならず、コードの量が多いという事はメンテナンス性も低かったですし、さらに言うと、それらのコードは特定のバージョンのFirefoxに強く依存した物でした。そのため、私は旧Fox Splitterを更新し続ける事ができず、1.5年もの間完全に放置してしまっていました。

そうこうしている間に、Fox Splitterに似た新しいアドオンの「Tile Tabs」と「Tile View」が公開されました。私は、これらのアドオンが私のFox Splitterの代わりになってくれればいいと期待していました。しかしながら、実際にそれらを試してみると、私にはどうしてもそれらの設計コンセプトに慣れ親しむ事ができませんでした。それらがやっている「1つのタブブラウザの中でタイル表示を行う」というのは、直感的な理解が難しいアプローチなのではないかと、私には思えました。

それに加え、「Tile Tabs」と「Tile View」の両者とも、それぞれの分割された領域のためのナビゲーションツールバーを提供していませんでした。これに至って私は、それが旧Fox Splitterに特有の機能で、そのコンセプトを継承した他のアドオンはまだ登場していないのだという事を理解しました。そのような物を使いたいのであれば、自分自身で実装するしかないーー自分以外の誰もそういう事をやってはくれないのだ、と、私は思いました。

それで、私はFox Splitterを更新する事を決意しました。また、それと同時に、実現するために非常に多くのコードが必要になる上に、現在の高速リリース体制になったFirefox向けにそれをメンテナンスし続ける事は非常に難しいということで、1つのウィンドウの中を分割する機能を廃止する事も決めました。私はもうこれ以上、Fox Splitterを更新できないまま長い期間放置してしまうような事になってしまうのを望んでいません。高いメンテナンス性(そして互換性)を持つコードこそが、私の求めていた物でした。旧Fox Splitterにはそういう視点が欠けており、そういった問題を絶えず修正し続けるために狂ったように多くの時間を注ぐ事は、今の自分には不可能だとも思っています。

Fox Splitterを作りなおした - Jun 27, 2011

Fox Splitterのバージョン2.0を公開した。1つ前のバージョンが「0.6.2009110501」だったから、順当に行けば「1.0」とかにするのが筋だと思うんだけど、設計的に前バージョンと全く違う物になってしまったのと、気分転換を図りたかったのとで、バージョン2という事にした。

前のバージョンから1年半ぶりくらいのアップデートということになる。名前かぶり問題で名称を「分割ブラウザ(Split Browser)」から「Fox Splitter」に変える事になった時、「次のバージョンから名前変える」と言っておきながらその「次のバージョン」が出てなかったので、配布ページ上の名前と実際にインストールした物の名前も一致してない状態だった。酷い話だ(他人事のように)。

1年半物間全く動きがなかったのはなんでかというと、ぶっちゃけ、これ以上頑張る意味を見つけられなかったからだ。独自に作ったバインディングを駆使して頑張ってみたけど、ブラウズ領域の上で発生するイベントを拾う形式のマウスジェスチャ系のアドオンとの相性が致命的に悪いという構造上の欠陥を抱え込んでしまったし、Firefox本体の仕様変更に追従しきれそうになかったし、という感じで前のバージョンの設計にはもはや全く将来性がなかった。それに、Tile TabsとかTile Viewとかのもっとユーザにウケそうな物も出てきてたし。

それでも、どういうわけか英語で「Fox SplitterをFirefox 4に対応してくれ!」というメールがわりと何通も来ていて、それなりに使われているんだなあという事は認識していたので、いずれはなんとかしないとなとは思ってた。Tile TabsやTile Viewのアプローチにはいまいち納得できてない所もあったので、そこがFox Splitterのカラーという事になるのかなあとも思った。


Auto Arrange Window After Detach Tabの存在を知った時から、次にやるならこの方式でやってみようとずっと思ってた。

Firefoxのウィンドウの内容を分割して複数のペインを表示するという使い方には、以下のような問題がある。

  • メインのナビゲーションバーを全てのペインが共有すると、今操作対象になっているのがどのペインなのかが視覚的に分かりにくい。(Tile TabsとTile Viewはこの問題を抱えている)
  • かといって、個々のペインにナビゲーション用の機能を持たせると実装が増えてメンテナンスで死ねる。(旧Fox Splitterではこれで痛い目を見た)

Auto Arrange Window After Detach Tabの発想は、それとは違った。1つのウィンドウの中を無理矢理分割するんじゃなくて、タブをドラッグ&ドロップしてウィンドウを切り離すというFirefox本体に備わった新機能をそのまま使い、ただ「ドロップした方向にウィンドウを並べる」という風にしてた。これは目から鱗だった。無茶する必要は無いんだ、Firefox本体でそういう機能が既にあるんだからそれに沿った設計にすればいいんだ、という事に気づかされた。

そういうわけで僕はAlice0775氏に感謝しているし、よくここに気がついたと尊敬している。Alice氏に批判的なレスを付けたどっかの誰かが別の誰かに「Piro乙」とか言われてたりして、どーも僕がAlice氏を全面的に毛嫌いしてるように思われてるようなんだけど、勘違いもいいとこだ。(ただ、実際にFox Splitterを作りなおすにあたっては、Auto Arrange Window After Detach Tabのコードは引用していない。設計思想が違う物のコードに引きずられて全体の整合性を保てなくなると困ると思ったから、イメージした通りの設計で一からスクラッチした。)


設計を変えるにあたって、どうせやるならBootstrapped Extensionにしようと思った。

  • ウィンドウを束ねて擬似的にウィンドウが分割されたかのように振る舞わせるだけだったら、DOMのイベントだけでどうにかなりそうだと思った。
  • B.E.でどこまでの事ができるのかを自分で確かめてみたかった。(腕試しとノウハウの蓄積)
  • 今更古いスタイルのアドオンはないわー、再起動が必要とかありえんわーって普通に思った。
  • Add-on SDKを使っても結局は独自のライブラリを作らなきゃいけない気がしたので、だったら最初からSDK無しでやろうと思った。

といったあたりがその理由だ。

その過程で以下のような物ができた。

Add-on SDKにも似たようなライブラリがあった気がするけど、手厚いサポートを行わないいわゆる「薄いフレームワーク」の方が(そのライブラリを使ったアドオンを)作ってて全体の動きを把握しやすいんじゃないだろうか、というか自分はそうじゃなきゃ嫌だ、そっから下のレイヤに掘り進まない前提だったらRailsやAdd-on SDKみたいな分厚いフレームワークがいいだろうけどフレームワークの下にもどんどん潜らなきゃいけないとなるとそういう分厚いフレームワークは邪魔になる、とかそんな思いがあったので、これらのライブラリの作りはわりとシンプルだと思う。普通にアドオンを作る時に同じ事をやる際の頻出のイディオムを抽出しただけだと言えるだろう。


Mozillaが用意したオモチャの上で遊んでるだけのくせに偉そうなこと言うなやボケ、みたいな事を言われた(そういう事を言っても変じゃない経歴を持ってて「もも」という名前、ということで、この人はMozillaのコミッターだった(だよね?)桃井氏である可能性もあるのかなーと僕は勝手に思ってます)にもかかわらず、またこういうことをやっている。という自分に呆れもするけど、今はただ、とりあえず形にできたということで一息つきたい気分だ。

Fox Splitterを作りなおした - Jan 01, 1970

Fox Splitterのバージョン2.0を公開した。1つ前のバージョンが「0.6.2009110501」だったから、順当に行けば「1.0」とかにするのが筋だと思うんだけど、設計的に前バージョンと全く違う物になってしまったのと、気分転換を図りたかったのとで、バージョン2という事にした。

前のバージョンから1年半ぶりくらいのアップデートということになる。名前かぶり問題で名称を「分割ブラウザ(Split Browser)」から「Fox Splitter」に変える事になった時、「次のバージョンから名前変える」と言っておきながらその「次のバージョン」が出てなかったので、配布ページ上の名前と実際にインストールした物の名前も一致してない状態だった。酷い話だ(他人事のように)。

1年半物間全く動きがなかったのはなんでかというと、ぶっちゃけ、これ以上頑張る意味を見つけられなかったからだ。独自に作ったバインディングを駆使して頑張ってみたけど、ブラウズ領域の上で発生するイベントを拾う形式のマウスジェスチャ系のアドオンとの相性が致命的に悪いという構造上の欠陥を抱え込んでしまったし、Firefox本体の仕様変更に追従しきれそうになかったし、という感じで前のバージョンの設計にはもはや全く将来性がなかった。それに、Tile TabsとかTile Viewとかのもっとユーザにウケそうな物も出てきてたし。

それでも、どういうわけか英語で「Fox SplitterをFirefox 4に対応してくれ!」というメールがわりと何通も来ていて、それなりに使われているんだなあという事は認識していたので、いずれはなんとかしないとなとは思ってた。Tile TabsやTile Viewのアプローチにはいまいち納得できてない所もあったので、そこがFox Splitterのカラーという事になるのかなあとも思った。


Auto Arrange Window After Detach Tabの存在を知った時から、次にやるならこの方式でやってみようとずっと思ってた。

Firefoxのウィンドウの内容を分割して複数のペインを表示するという使い方には、以下のような問題がある。

  • メインのナビゲーションバーを全てのペインが共有すると、今操作対象になっているのがどのペインなのかが視覚的に分かりにくい。(Tile TabsとTile Viewはこの問題を抱えている)
  • かといって、個々のペインにナビゲーション用の機能を持たせると実装が増えてメンテナンスで死ねる。(旧Fox Splitterではこれで痛い目を見た)

Auto Arrange Window After Detach Tabの発想は、それとは違った。1つのウィンドウの中を無理矢理分割するんじゃなくて、タブをドラッグ&ドロップしてウィンドウを切り離すというFirefox本体に備わった新機能をそのまま使い、ただ「ドロップした方向にウィンドウを並べる」という風にしてた。これは目から鱗だった。無茶する必要は無いんだ、Firefox本体でそういう機能が既にあるんだからそれに沿った設計にすればいいんだ、という事に気づかされた。

そういうわけで僕はAlice0775氏に感謝しているし、よくここに気がついたと尊敬している。Alice氏に批判的なレスを付けたどっかの誰かが別の誰かに「Piro乙」とか言われてたりして、どーも僕がAlice氏を全面的に毛嫌いしてるように思われてるようなんだけど、勘違いもいいとこだ。(ただ、実際にFox Splitterを作りなおすにあたっては、Auto Arrange Window After Detach Tabのコードは引用していない。設計思想が違う物のコードに引きずられて全体の整合性を保てなくなると困ると思ったから、イメージした通りの設計で一からスクラッチした。)


設計を変えるにあたって、どうせやるならBootstrapped Extensionにしようと思った。

  • ウィンドウを束ねて擬似的にウィンドウが分割されたかのように振る舞わせるだけだったら、DOMのイベントだけでどうにかなりそうだと思った。
  • B.E.でどこまでの事ができるのかを自分で確かめてみたかった。(腕試しとノウハウの蓄積)
  • 今更古いスタイルのアドオンはないわー、再起動が必要とかありえんわーって普通に思った。
  • Add-on SDKを使っても結局は独自のライブラリを作らなきゃいけない気がしたので、だったら最初からSDK無しでやろうと思った。

といったあたりがその理由だ。

その過程で以下のような物ができた。

Add-on SDKにも似たようなライブラリがあった気がするけど、手厚いサポートを行わないいわゆる「薄いフレームワーク」の方が(そのライブラリを使ったアドオンを)作ってて全体の動きを把握しやすいんじゃないだろうか、というか自分はそうじゃなきゃ嫌だ、そっから下のレイヤに掘り進まない前提だったらRailsやAdd-on SDKみたいな分厚いフレームワークがいいだろうけどフレームワークの下にもどんどん潜らなきゃいけないとなるとそういう分厚いフレームワークは邪魔になる、とかそんな思いがあったので、これらのライブラリの作りはわりとシンプルだと思う。普通にアドオンを作る時に同じ事をやる際の頻出のイディオムを抽出しただけだと言えるだろう。


Mozillaが用意したオモチャの上で遊んでるだけのくせに偉そうなこと言うなやボケ、みたいな事を言われた(そういう事を言っても変じゃない経歴を持ってて「もも」という名前、ということで、この人はMozillaのコミッターだった(だよね?)桃井氏である可能性もあるのかなーと僕は勝手に思ってます)にもかかわらず、またこういうことをやっている。という自分に呆れもするけど、今はただ、とりあえず形にできたということで一息つきたい気分だ。

Fox Splitterを作りなおした - Jan 01, 1970

Fox Splitterのバージョン2.0を公開した。1つ前のバージョンが「0.6.2009110501」だったから、順当に行けば「1.0」とかにするのが筋だと思うんだけど、設計的に前バージョンと全く違う物になってしまったのと、気分転換を図りたかったのとで、バージョン2という事にした。

前のバージョンから1年半ぶりくらいのアップデートということになる。名前かぶり問題で名称を「分割ブラウザ(Split Browser)」から「Fox Splitter」に変える事になった時、「次のバージョンから名前変える」と言っておきながらその「次のバージョン」が出てなかったので、配布ページ上の名前と実際にインストールした物の名前も一致してない状態だった。酷い話だ(他人事のように)。

1年半物間全く動きがなかったのはなんでかというと、ぶっちゃけ、これ以上頑張る意味を見つけられなかったからだ。独自に作ったバインディングを駆使して頑張ってみたけど、ブラウズ領域の上で発生するイベントを拾う形式のマウスジェスチャ系のアドオンとの相性が致命的に悪いという構造上の欠陥を抱え込んでしまったし、Firefox本体の仕様変更に追従しきれそうになかったし、という感じで前のバージョンの設計にはもはや全く将来性がなかった。それに、Tile TabsとかTile Viewとかのもっとユーザにウケそうな物も出てきてたし。

それでも、どういうわけか英語で「Fox SplitterをFirefox 4に対応してくれ!」というメールがわりと何通も来ていて、それなりに使われているんだなあという事は認識していたので、いずれはなんとかしないとなとは思ってた。Tile TabsやTile Viewのアプローチにはいまいち納得できてない所もあったので、そこがFox Splitterのカラーという事になるのかなあとも思った。


Auto Arrange Window After Detach Tabの存在を知った時から、次にやるならこの方式でやってみようとずっと思ってた。

Firefoxのウィンドウの内容を分割して複数のペインを表示するという使い方には、以下のような問題がある。

  • メインのナビゲーションバーを全てのペインが共有すると、今操作対象になっているのがどのペインなのかが視覚的に分かりにくい。(Tile TabsとTile Viewはこの問題を抱えている)
  • かといって、個々のペインにナビゲーション用の機能を持たせると実装が増えてメンテナンスで死ねる。(旧Fox Splitterではこれで痛い目を見た)

Auto Arrange Window After Detach Tabの発想は、それとは違った。1つのウィンドウの中を無理矢理分割するんじゃなくて、タブをドラッグ&ドロップしてウィンドウを切り離すというFirefox本体に備わった新機能をそのまま使い、ただ「ドロップした方向にウィンドウを並べる」という風にしてた。これは目から鱗だった。無茶する必要は無いんだ、Firefox本体でそういう機能が既にあるんだからそれに沿った設計にすればいいんだ、という事に気づかされた。

そういうわけで僕はAlice0775氏に感謝しているし、よくここに気がついたと尊敬している。Alice氏に批判的なレスを付けたどっかの誰かが別の誰かに「Piro乙」とか言われてたりして、どーも僕がAlice氏を全面的に毛嫌いしてるように思われてるようなんだけど、勘違いもいいとこだ。(ただ、実際にFox Splitterを作りなおすにあたっては、Auto Arrange Window After Detach Tabのコードは引用していない。設計思想が違う物のコードに引きずられて全体の整合性を保てなくなると困ると思ったから、イメージした通りの設計で一からスクラッチした。)


設計を変えるにあたって、どうせやるならBootstrapped Extensionにしようと思った。

  • ウィンドウを束ねて擬似的にウィンドウが分割されたかのように振る舞わせるだけだったら、DOMのイベントだけでどうにかなりそうだと思った。
  • B.E.でどこまでの事ができるのかを自分で確かめてみたかった。(腕試しとノウハウの蓄積)
  • 今更古いスタイルのアドオンはないわー、再起動が必要とかありえんわーって普通に思った。
  • Add-on SDKを使っても結局は独自のライブラリを作らなきゃいけない気がしたので、だったら最初からSDK無しでやろうと思った。

といったあたりがその理由だ。

その過程で以下のような物ができた。

Add-on SDKにも似たようなライブラリがあった気がするけど、手厚いサポートを行わないいわゆる「薄いフレームワーク」の方が(そのライブラリを使ったアドオンを)作ってて全体の動きを把握しやすいんじゃないだろうか、というか自分はそうじゃなきゃ嫌だ、そっから下のレイヤに掘り進まない前提だったらRailsやAdd-on SDKみたいな分厚いフレームワークがいいだろうけどフレームワークの下にもどんどん潜らなきゃいけないとなるとそういう分厚いフレームワークは邪魔になる、とかそんな思いがあったので、これらのライブラリの作りはわりとシンプルだと思う。普通にアドオンを作る時に同じ事をやる際の頻出のイディオムを抽出しただけだと言えるだろう。


Mozillaが用意したオモチャの上で遊んでるだけのくせに偉そうなこと言うなやボケ、みたいな事を言われた(そういう事を言っても変じゃない経歴を持ってて「もも」という名前、ということで、この人はMozillaのコミッターだった(だよね?)桃井氏である可能性もあるのかなーと僕は勝手に思ってます)にもかかわらず、またこういうことをやっている。という自分に呆れもするけど、今はただ、とりあえず形にできたということで一息つきたい気分だ。

Fox Splitterを作りなおした - Jan 01, 1970

Fox Splitterのバージョン2.0を公開した。1つ前のバージョンが「0.6.2009110501」だったから、順当に行けば「1.0」とかにするのが筋だと思うんだけど、設計的に前バージョンと全く違う物になってしまったのと、気分転換を図りたかったのとで、バージョン2という事にした。

前のバージョンから1年半ぶりくらいのアップデートということになる。名前かぶり問題で名称を「分割ブラウザ(Split Browser)」から「Fox Splitter」に変える事になった時、「次のバージョンから名前変える」と言っておきながらその「次のバージョン」が出てなかったので、配布ページ上の名前と実際にインストールした物の名前も一致してない状態だった。酷い話だ(他人事のように)。

1年半物間全く動きがなかったのはなんでかというと、ぶっちゃけ、これ以上頑張る意味を見つけられなかったからだ。独自に作ったバインディングを駆使して頑張ってみたけど、ブラウズ領域の上で発生するイベントを拾う形式のマウスジェスチャ系のアドオンとの相性が致命的に悪いという構造上の欠陥を抱え込んでしまったし、Firefox本体の仕様変更に追従しきれそうになかったし、という感じで前のバージョンの設計にはもはや全く将来性がなかった。それに、Tile TabsとかTile Viewとかのもっとユーザにウケそうな物も出てきてたし。

それでも、どういうわけか英語で「Fox SplitterをFirefox 4に対応してくれ!」というメールがわりと何通も来ていて、それなりに使われているんだなあという事は認識していたので、いずれはなんとかしないとなとは思ってた。Tile TabsやTile Viewのアプローチにはいまいち納得できてない所もあったので、そこがFox Splitterのカラーという事になるのかなあとも思った。


Auto Arrange Window After Detach Tabの存在を知った時から、次にやるならこの方式でやってみようとずっと思ってた。

Firefoxのウィンドウの内容を分割して複数のペインを表示するという使い方には、以下のような問題がある。

  • メインのナビゲーションバーを全てのペインが共有すると、今操作対象になっているのがどのペインなのかが視覚的に分かりにくい。(Tile TabsとTile Viewはこの問題を抱えている)
  • かといって、個々のペインにナビゲーション用の機能を持たせると実装が増えてメンテナンスで死ねる。(旧Fox Splitterではこれで痛い目を見た)

Auto Arrange Window After Detach Tabの発想は、それとは違った。1つのウィンドウの中を無理矢理分割するんじゃなくて、タブをドラッグ&ドロップしてウィンドウを切り離すというFirefox本体に備わった新機能をそのまま使い、ただ「ドロップした方向にウィンドウを並べる」という風にしてた。これは目から鱗だった。無茶する必要は無いんだ、Firefox本体でそういう機能が既にあるんだからそれに沿った設計にすればいいんだ、という事に気づかされた。

そういうわけで僕はAlice0775氏に感謝しているし、よくここに気がついたと尊敬している。Alice氏に批判的なレスを付けたどっかの誰かが別の誰かに「Piro乙」とか言われてたりして、どーも僕がAlice氏を全面的に毛嫌いしてるように思われてるようなんだけど、勘違いもいいとこだ。(ただ、実際にFox Splitterを作りなおすにあたっては、Auto Arrange Window After Detach Tabのコードは引用していない。設計思想が違う物のコードに引きずられて全体の整合性を保てなくなると困ると思ったから、イメージした通りの設計で一からスクラッチした。)


設計を変えるにあたって、どうせやるならBootstrapped Extensionにしようと思った。

  • ウィンドウを束ねて擬似的にウィンドウが分割されたかのように振る舞わせるだけだったら、DOMのイベントだけでどうにかなりそうだと思った。
  • B.E.でどこまでの事ができるのかを自分で確かめてみたかった。(腕試しとノウハウの蓄積)
  • 今更古いスタイルのアドオンはないわー、再起動が必要とかありえんわーって普通に思った。
  • Add-on SDKを使っても結局は独自のライブラリを作らなきゃいけない気がしたので、だったら最初からSDK無しでやろうと思った。

といったあたりがその理由だ。

その過程で以下のような物ができた。

Add-on SDKにも似たようなライブラリがあった気がするけど、手厚いサポートを行わないいわゆる「薄いフレームワーク」の方が(そのライブラリを使ったアドオンを)作ってて全体の動きを把握しやすいんじゃないだろうか、というか自分はそうじゃなきゃ嫌だ、そっから下のレイヤに掘り進まない前提だったらRailsやAdd-on SDKみたいな分厚いフレームワークがいいだろうけどフレームワークの下にもどんどん潜らなきゃいけないとなるとそういう分厚いフレームワークは邪魔になる、とかそんな思いがあったので、これらのライブラリの作りはわりとシンプルだと思う。普通にアドオンを作る時に同じ事をやる際の頻出のイディオムを抽出しただけだと言えるだろう。


Mozillaが用意したオモチャの上で遊んでるだけのくせに偉そうなこと言うなやボケ、みたいな事を言われた(そういう事を言っても変じゃない経歴を持ってて「もも」という名前、ということで、この人はMozillaのコミッターだった(だよね?)桃井氏である可能性もあるのかなーと僕は勝手に思ってます)にもかかわらず、またこういうことをやっている。という自分に呆れもするけど、今はただ、とりあえず形にできたということで一息つきたい気分だ。

Fox Splitterを作りなおした - Jan 01, 1970

Fox Splitterのバージョン2.0を公開した。1つ前のバージョンが「0.6.2009110501」だったから、順当に行けば「1.0」とかにするのが筋だと思うんだけど、設計的に前バージョンと全く違う物になってしまったのと、気分転換を図りたかったのとで、バージョン2という事にした。

前のバージョンから1年半ぶりくらいのアップデートということになる。名前かぶり問題で名称を「分割ブラウザ(Split Browser)」から「Fox Splitter」に変える事になった時、「次のバージョンから名前変える」と言っておきながらその「次のバージョン」が出てなかったので、配布ページ上の名前と実際にインストールした物の名前も一致してない状態だった。酷い話だ(他人事のように)。

1年半物間全く動きがなかったのはなんでかというと、ぶっちゃけ、これ以上頑張る意味を見つけられなかったからだ。独自に作ったバインディングを駆使して頑張ってみたけど、ブラウズ領域の上で発生するイベントを拾う形式のマウスジェスチャ系のアドオンとの相性が致命的に悪いという構造上の欠陥を抱え込んでしまったし、Firefox本体の仕様変更に追従しきれそうになかったし、という感じで前のバージョンの設計にはもはや全く将来性がなかった。それに、Tile TabsとかTile Viewとかのもっとユーザにウケそうな物も出てきてたし。

それでも、どういうわけか英語で「Fox SplitterをFirefox 4に対応してくれ!」というメールがわりと何通も来ていて、それなりに使われているんだなあという事は認識していたので、いずれはなんとかしないとなとは思ってた。Tile TabsやTile Viewのアプローチにはいまいち納得できてない所もあったので、そこがFox Splitterのカラーという事になるのかなあとも思った。


Auto Arrange Window After Detach Tabの存在を知った時から、次にやるならこの方式でやってみようとずっと思ってた。

Firefoxのウィンドウの内容を分割して複数のペインを表示するという使い方には、以下のような問題がある。

  • メインのナビゲーションバーを全てのペインが共有すると、今操作対象になっているのがどのペインなのかが視覚的に分かりにくい。(Tile TabsとTile Viewはこの問題を抱えている)
  • かといって、個々のペインにナビゲーション用の機能を持たせると実装が増えてメンテナンスで死ねる。(旧Fox Splitterではこれで痛い目を見た)

Auto Arrange Window After Detach Tabの発想は、それとは違った。1つのウィンドウの中を無理矢理分割するんじゃなくて、タブをドラッグ&ドロップしてウィンドウを切り離すというFirefox本体に備わった新機能をそのまま使い、ただ「ドロップした方向にウィンドウを並べる」という風にしてた。これは目から鱗だった。無茶する必要は無いんだ、Firefox本体でそういう機能が既にあるんだからそれに沿った設計にすればいいんだ、という事に気づかされた。

そういうわけで僕はAlice0775氏に感謝しているし、よくここに気がついたと尊敬している。Alice氏に批判的なレスを付けたどっかの誰かが別の誰かに「Piro乙」とか言われてたりして、どーも僕がAlice氏を全面的に毛嫌いしてるように思われてるようなんだけど、勘違いもいいとこだ。(ただ、実際にFox Splitterを作りなおすにあたっては、Auto Arrange Window After Detach Tabのコードは引用していない。設計思想が違う物のコードに引きずられて全体の整合性を保てなくなると困ると思ったから、イメージした通りの設計で一からスクラッチした。)


設計を変えるにあたって、どうせやるならBootstrapped Extensionにしようと思った。

  • ウィンドウを束ねて擬似的にウィンドウが分割されたかのように振る舞わせるだけだったら、DOMのイベントだけでどうにかなりそうだと思った。
  • B.E.でどこまでの事ができるのかを自分で確かめてみたかった。(腕試しとノウハウの蓄積)
  • 今更古いスタイルのアドオンはないわー、再起動が必要とかありえんわーって普通に思った。
  • Add-on SDKを使っても結局は独自のライブラリを作らなきゃいけない気がしたので、だったら最初からSDK無しでやろうと思った。

といったあたりがその理由だ。

その過程で以下のような物ができた。

Add-on SDKにも似たようなライブラリがあった気がするけど、手厚いサポートを行わないいわゆる「薄いフレームワーク」の方が(そのライブラリを使ったアドオンを)作ってて全体の動きを把握しやすいんじゃないだろうか、というか自分はそうじゃなきゃ嫌だ、そっから下のレイヤに掘り進まない前提だったらRailsやAdd-on SDKみたいな分厚いフレームワークがいいだろうけどフレームワークの下にもどんどん潜らなきゃいけないとなるとそういう分厚いフレームワークは邪魔になる、とかそんな思いがあったので、これらのライブラリの作りはわりとシンプルだと思う。普通にアドオンを作る時に同じ事をやる際の頻出のイディオムを抽出しただけだと言えるだろう。


Mozillaが用意したオモチャの上で遊んでるだけのくせに偉そうなこと言うなやボケ、みたいな事を言われた(そういう事を言っても変じゃない経歴を持ってて「もも」という名前、ということで、この人はMozillaのコミッターだった(だよね?)桃井氏である可能性もあるのかなーと僕は勝手に思ってます)にもかかわらず、またこういうことをやっている。という自分に呆れもするけど、今はただ、とりあえず形にできたということで一息つきたい気分だ。

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