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Firefox Hacks Rebooted ―Mozillaテクノロジ徹底活用テクニック
浅井 智也 池田 譲治 小山田 昌史 五味渕 大賀 下田 洋志 寺田 真 松澤 太郎
オライリージャパン

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書評:わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門 - Apr 30, 2017

わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2017-04-21)
売り上げランキング: 787

「わかばちゃんと学ぶWeb制作の基本」のレビューを参照しながら書こうと思ったらそもそも書いてなかったので、先にそっちから書いていました。例によって自分は恐らく対象読者ではないのですが、人気の秘密を解き明かしてやんよ!とばかりに自費購入です。

本書は端的に言うと、「チームでGitを使う事になったが、よく分からないという人」「Gitをまだ使ったことがなく、なんだか難しそう……と尻込みしている人」「とりあえずなんとなくで使えてはいるが、決まった操作以外はできずにいる人」「チーム内のITエンジニアがGitを激推ししてくるのだが、使い方を覚えるのが億劫な非ITエンジニアの人」のための本だと思います。「Gitというツールの使い方の入門」+「Gitを使ったワークフローの世界への入門」という、人がGitに初めて触れる場面に即した内容になっています。

わかばちゃんシリーズの2冊目ではありますが、解説の内容は独立しています。一部キャラクターは前作からの登場のため、説明がないキャラは「誰これ?」となってしまうかもしれませんが、解説の理解を妨げるほどではなく、前作から読んでいる人のためのファンサービスと言えるでしょう。

マンガで技術解説、ふたたび

前作同様、本書も「マンガは導入や簡単な説明で、その後のテキストが本編」という構成です。漫画要素は前作より多く、トピックによってはマンガの内容が解説として機能している部分も増えていますが、テキスト部分をすべて読み飛ばして成立する内容ではないので、基本的にはやはり漫画もテキストも全部読みましょうという事になります。

GitやGitを使ったワークフローはそれ自体がそれなりに複雑な物なので、何か基準を定めないと、解説する側も解説される側も混乱してしまうでしょう。本書は主人公の「わかばちゃん」がその基準となり、「これをしたい!」や「こういう事で困った!」という形で話題を展開していきます。まだGitを使ったことがないという段階の人が、「初心者がGitを使い始める時に起こる一通りの事」をわかばちゃんを通して疑似体験できる構成なので、予習としても苦痛を感じず通読できるのではないかと思います。

似た分野で解説漫画を描いている自分としては、「あっ、この1コマで済ませてるやつもうちょっと2~3コマ使って段階的に説明したい……」と感じる箇所もあったのですが、これをやり過ぎるとマンガのページがどんどん膨れあがってしまうので、テキストを本文として置く限りにおいては現状はバランスの良い落とし所と言えると思います。)

純粋にGitの解説としての出来は?

本書の(ページ数的な意味での)前半はGitの基本的な使い方、後半は前半を踏まえてのケーススタディ集です。

Gitには山ほど機能があり、また、それぞれが関連しあっていることがあるため、「そういえば、あれも」「そういえば、これも」と解説し始めるとキリがありません。本書前半は「とりあえずこれだけ覚えれば使える」というレベルに持っていく事を優先して脇の話はざっくりカットしているので、多すぎる情報に惑わされることなく、押さえておかないといけない最も重要なポイントを知る事ができます。

また、そうして基本を分かった上でいざ使い始めてみて起こる様々なトラブルや「これをやりたい」といったニーズに対し、本書後半ではケースごとにその解決方法を解説しています。話題のチョイスとして、Gitの初心者~中級者が遭遇しがちな物がまとめられているため、実用性は高いです。

重要な事として、「やりたくなるけど、やっては駄目」な事は極力解説していないのも好印象です。具体的にはgit push -f絡みの話がそれで、データ喪失などの致命的な事態に陥らないためには「それはできない」という事にしておいた方が安全なのは確かです。この点からも、本書が実際の運用の事を強く意識していることが伺えます。

自分も解説を書く立場の人間ですが、自分も含めて自分から本を書こうというような人は、自分の持つ知識を無意味にひけらかしたがるものです(偏見)。よほど自分を抑制しないと、「Gitの生まれた経緯はこれこれこうで……」というような脇の話や、使用頻度の低い使いどころの難しい機能のように判断力(判断材料となる知識)が不足している初心者には使いこなせない知識など、実際の運用上はどうでもいい情報を盛り込んでしまいがちです。

その点、本書はわかばちゃんという視点を設定することで、「ここは教えなくていい」「今は教えない方がいい」というノイジーな情報をバッサリ切り落としていて、この本を必要としている読者のための本というスタンスを貫いています。読者に寄り添う姿勢を崩さない真摯さと、嘘を書かない真摯さを保ち、その上で必要な情報をきちんと盛り込むという本書のバランス感覚は、見事だと思います。

SourceTreeユーザ以外へのケアが課題か

これはターゲッティングによるものなので仕方がないのですが、基本的にSourceTreeを使っての運用の解説なので、それ以外のツールでのやり方は解説されていません。「SourceTreeを極限まで使いこなす」という観点ではなく「Gitを始めるにあたって最初の道具としてとりあえずSourceTreeを選択する」という観点での解説ですし、pushやpullといった用語はどのツールでも共通なので、本書での解説はほとんどそのまま他のクライアントに読み替えて応用できるのですが、コマンドラインツールのようにまったく操作体系の異なるクライアントの場合はそこそこ苦労しそうな気がします。

希望としては、例えば本書の説明の下にgitコマンドや別のツールでのやり方の説明があればなお良かったのでは?とも思うのですが、それをやり始めると内容が薄いわりに分量だけあるという本になってしまいますし、第一、多すぎる情報の提示は初心者を惑わすだけですので、これらをカットしたのは至極妥当だと自分も思います。電子書籍のように、補足的な内容を視界の中にオーバーレイ(スーパーインポーズ)表示できる媒体の発展に期待したい所です。

なお、gitコマンドを使った操作に関しては、著者の湊川さんご自身の手による以下のコンテンツが存在しています。

副読本として本書と併せて読むと、SourceTreeを通した見え方以外のGitが見えてきて、よりGitへの理解が深まると思います。

シス管系女子+マンガでわかるGit コラボ特別編の裏側(想像) by Piro/結城洋志 on pixiv

非エンジニアの人にこそ読んでもらいたい

上では「課題あり」という書き方をしてしまいましたが、コマンド操作に関する説明のような、見た目に抵抗感や苦手意識を持たれそうな内容をばっさりカットしていることで、第一印象でのとっつきやすさは高く保たれていると思います。そこで考えられるのが、非ITエンジニアの人にGitを使ってもらうための入門書としての活用です。

本書の例はWebサイト制作を想定して書かれていますが、Web制作であれば企画やデザイナーといった職種の人も実作業に関わってきます。また、自分が会社の業務として過去に手がけたWEB+DB PRESSの記事執筆でも、複数人で並行して執筆して最後にとりまとめるという事をGitで行っていました。バージョン管理システムや、それを前提としたGitHubのようなサービスの便利さは、ソフトウェア開発に限らずあらゆる場面で実感できるものです。こんな便利なものをITエンジニアだけで使うに留めるのは勿体ないです。

電子化可能なデータを取り扱うプロジェクトに関わるあらゆる人の間で、データを共有しその履歴をトラッキングするインフラとして、Gitを活用する。ファイルの履歴管理や連絡の手間から皆を解放する。そのような働き方の改革にすらなり得る手引き書として、本書は広くおすすめできます。

わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2017-04-21)
売り上げランキング: 787

書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Apr 29, 2017

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
売り上げランキング: 27,596

そういえばちゃんとした書評を文章としてまとめていなかったことに気が付いたので、改めて書き留めておこうと思います。自分は対象読者層から外れていますが、「マンガで技術解説」という非常に近い領域で活動をしている以上、気になるのは事実なので、それならいっそちゃんと読んで学びを得ようと思い自費で購入しました。

本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

10月の誕生盆栽で誕生日をお祝いするわかばちゃん&HTMLちゃん by Piro/結城洋志 on pixiv

本書に対して抱く率直な感想は、その感覚に非常に近いと思います。解説のためのマンガというより、読者の心理的抵抗を和らげる緩衝材としてのマンガ、という性質が主であるように感じました。そして、その狙いは見事に果たされていると思います。自分を未熟な初心者のわかばちゃんと重ねて読み進めることで、Web制作にまつわる膨大なトピックの中から「まず最初に押さえておかないといけないのは、ここ!」という部分をストレスなく学べるのではないでしょうか。

肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
売り上げランキング: 27,596

シリーズ第2弾のGit本のレビューもあります

書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Jan 01, 1970

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
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そういえばちゃんとした書評を文章としてまとめていなかったことに気が付いたので、改めて書き留めておこうと思います。自分は対象読者層から外れていますが、「マンガで技術解説」という非常に近い領域で活動をしている以上、気になるのは事実なので、それならいっそちゃんと読んで学びを得ようと思い自費で購入しました。

本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

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本書に対して抱く率直な感想は、その感覚に非常に近いと思います。解説のためのマンガというより、読者の心理的抵抗を和らげる緩衝材としてのマンガ、という性質が主であるように感じました。そして、その狙いは見事に果たされていると思います。自分を未熟な初心者のわかばちゃんと重ねて読み進めることで、Web制作にまつわる膨大なトピックの中から「まず最初に押さえておかないといけないのは、ここ!」という部分をストレスなく学べるのではないでしょうか。

肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
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書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Jan 01, 1970

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
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そういえばちゃんとした書評を文章としてまとめていなかったことに気が付いたので、改めて書き留めておこうと思います。自分は対象読者層から外れていますが、「マンガで技術解説」という非常に近い領域で活動をしている以上、気になるのは事実なので、それならいっそちゃんと読んで学びを得ようと思い自費で購入しました。

本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

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本書に対して抱く率直な感想は、その感覚に非常に近いと思います。解説のためのマンガというより、読者の心理的抵抗を和らげる緩衝材としてのマンガ、という性質が主であるように感じました。そして、その狙いは見事に果たされていると思います。自分を未熟な初心者のわかばちゃんと重ねて読み進めることで、Web制作にまつわる膨大なトピックの中から「まず最初に押さえておかないといけないのは、ここ!」という部分をストレスなく学べるのではないでしょうか。

肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

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書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Jan 01, 1970

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そういえばちゃんとした書評を文章としてまとめていなかったことに気が付いたので、改めて書き留めておこうと思います。自分は対象読者層から外れていますが、「マンガで技術解説」という非常に近い領域で活動をしている以上、気になるのは事実なので、それならいっそちゃんと読んで学びを得ようと思い自費で購入しました。

本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

10月の誕生盆栽で誕生日をお祝いするわかばちゃん&HTMLちゃん by Piro/結城洋志 on pixiv

本書に対して抱く率直な感想は、その感覚に非常に近いと思います。解説のためのマンガというより、読者の心理的抵抗を和らげる緩衝材としてのマンガ、という性質が主であるように感じました。そして、その狙いは見事に果たされていると思います。自分を未熟な初心者のわかばちゃんと重ねて読み進めることで、Web制作にまつわる膨大なトピックの中から「まず最初に押さえておかないといけないのは、ここ!」という部分をストレスなく学べるのではないでしょうか。

肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
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シリーズ第2弾のGit本のレビューもあります

書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Jan 01, 1970

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
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そういえばちゃんとした書評を文章としてまとめていなかったことに気が付いたので、改めて書き留めておこうと思います。自分は対象読者層から外れていますが、「マンガで技術解説」という非常に近い領域で活動をしている以上、気になるのは事実なので、それならいっそちゃんと読んで学びを得ようと思い自費で購入しました。

本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

10月の誕生盆栽で誕生日をお祝いするわかばちゃん&HTMLちゃん by Piro/結城洋志 on pixiv

本書に対して抱く率直な感想は、その感覚に非常に近いと思います。解説のためのマンガというより、読者の心理的抵抗を和らげる緩衝材としてのマンガ、という性質が主であるように感じました。そして、その狙いは見事に果たされていると思います。自分を未熟な初心者のわかばちゃんと重ねて読み進めることで、Web制作にまつわる膨大なトピックの中から「まず最初に押さえておかないといけないのは、ここ!」という部分をストレスなく学べるのではないでしょうか。

肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
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書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Jan 01, 1970

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本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

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肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

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本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

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肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

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「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

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肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

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本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

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