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イキガミ - Oct 12, 2006

何で急にイジメの話のエントリなんか書いたかっていうと、イキガミ(1)Amazon.co.jp)読んだからなんすけどね。ちょうど1巻の最初の話が、元いじめられっ子の復讐の話だったんで。イキガミ (2)Amazon.co.jp)も今日読んだ。

表紙から内容がよく分からんかったから、以前店頭で見かけたときは「生き神」かとばかり思ってた。死亡予告通知書、通称「逝き紙」ということだったのね。

あらすじを一応書いておくと、どういう訳か法律で18~24歳の若者を1/1000の確率で見せしめに殺すことで国民に命の尊さを実感させるのだという妙ちきりんな法律が施行された日本を舞台にして、イキガミ配達係の公務員から死亡予定時刻のちょうど24時間前に「あんたが死ぬことに選ばれましたよ」と死の宣告を受けた若者達が、どういう風に最期の一日を過ごすか、ということを描いた作品。1巻あたり2エピソードで、現在2巻まで刊行中。現実の神風特攻隊をとりあげたドラマであるとか、あるいは僕は読んだことないけどえんどコイチの「死神くん」とか、そういうのと同じ系統に属する作品と言えますね。

このいわゆる一つの「ショッキング設定」は、とはいっても、「突然誰かが24時間後に死ぬことを宣告されます。死は止められません。そして、そういうこと(絶対不可避な死の宣告)がある事を世の中のみんなが知っています。」という特殊な状況を作り出すための舞台装置でしかない。今のところ、べつにそういう体制を転覆させるまでの闘争を描くドラマになる気配もない。あくまで、死の宣告を受けた人の最期の足掻きを見ることがこの作品のテーマです。

ということなので、「いい話」っぽい話が展開されてはいるんだけれども、左翼思考が骨の髄に染み込んでてしまってて国のやるおかしな事には異議を唱えて当たり前だろ的な考えをどうしてもしてしまう僕としては、誰も何も文句を言えないし言わない閉塞した状況設定というのが、終始胸くそ悪い印象を受けた。漫画の世界だったらそこでかっこいいこと言って闘ってナンボでしょ、そうしないなんて単なる現実のコピーでしかないじゃん、カタルシスも何も無いじゃん、みたいな。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」みたいに足掻きもしてないんじゃ意味ないじゃん、みたいな。「いい話」にはトコトン弱い僕が珍しく全然泣かなかったのも、そのせいかなと思う。

ああ、でも、この「現状に対するどうしようもない無力感」というのを、作品全体を通してのトーンでもってこっそり描いているという風に考えると、抜かりないなあ、と逆に感心してしまったりして。

作中、主人公の配達員が「愛とか命の尊さとかを学んじゃいけない、学んだらそれこそ国の思う壺だから」という風なことを言っていたりして、本作が単純な人間賛歌ではないことがそこかしこに滲み出ている。サブテーマの折り込み方がなんとも巧みだと思った。

分類:レビュー・感想 > マンガ, , , , 時刻:19:32 | Comments/Trackbacks (0) | Edit

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