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こないだのアレを見たとある高校時代からの友人O君がこの件に興味を持ってくれて、色々うまくいかんくて凹んでることを漏らしたら、そのうち一緒に服を買いに行こうやと言ってくれてて。
今日、また別件で落ち込んでたら、これからカバンを買いに行くつもりだからついでに服を見に行かないか?と誘ってくれたので、梅田まで行ってきた。
彼に連れられていったのは、梅田イーマと阪神百貨店とNU。へぇぇぇぇこんなとこにこんな店があったのか。おいちゃん全然知らんかったよ。おいちゃん毎日この辺歩いとるけど、例によってこういう店には結界が張られてるもんだから、気付きすらしなかったよ。いやもうほんとマヂで。アレだな、げんしけんの春日部さんが秋葉原まで家電製品を買いに行くことはあってもヲタな店の存在自体にまるで気付いてなかったという話に通じるものがあるな。
最初はイーマ内のUNITED ARROWSに行ってみた。
何この空気。耐えられない。早くもギブアップしたくてたまりません。でも耐えます。耐えて前に進むのです。そこでジャケットとかインナーとかをいくつか見たり。
先日菊池さんに頂いたニットと同じものも発見。ああ、こうして店頭に置かれてるのを見ても僕は完全スルーしてしまうなあ、まるで分からないから。これを着た自分というものが全く想像できないから、この商品を使っている様子というのが思い浮かばないから、手に取ろうとすら思わないという……
続けて同ビル内のSHIPSとあともう一店舗、それから阪神百貨店でバーバリー・ブラックレーベル(彼はここで当初の目的のカバンを買った)とポールスミス、最後にNU茶屋町でも何店舗か見た。
一通り見てて思ったけど、「これはいいね」とか「これはちょっとあかんね」とかO君が言ってることが僕にはさっぱり分からない。例えて言うなら、そうだなあ……時速10km/hと時速100km/hの違いは分かっても、100km/hと110km/hの違いは分からない、みたいな感じ? EASYモードから始めた人にはNORMALもHARDもVERY HARDも全部違いが分からん、みたいな? とにかく、例え「こういう感じのがいい」と思ってたとしても、実際に行ってみたら見分けが付かなくて死亡するのは確実だと思った。
最終的に、UNITED ARROWSで最初に見たジャケット1着を買った。多分、ファッションに詳しい人が見たら、似合ってないとか、合ってたとしても微妙だとか、あるいは着こなしがダサいとか、色々ボロカスに言われるんだろうと思う。でも今度は悔やまない。自分で好きで選んだつもりだから。ここから僕は再出発をきる、そういうつもりで。
――彼はどうやってこういう店のありかを知ったのかと聞いてみたら、友人に連れられて行ったり、本で見て調べたりしたのだと言っていた。友人。本。僕にはそういう種類の友人が身近にいなかったし、そういう情報に当たり前のように触れている人もいなかった。そのせいにだけするのもどうかと思うけど、僕は自分のことを、誰か他人の助けを借りなくては最初の一歩を踏み出せないタイプの人間だと分析しているから、そんな僕がずっと変われず・変わろうともせずに4年も5年も時間を浪費してしまったのは、環境との組み合わせの運が悪かったのだろうかとどうしても思ってしまう。
帰り際、本屋に立ち寄って、ファッション誌のコーナーを見てみた。たくさんある中から彼はGainerやメンズノンノや何冊かを取ってくれて、僕はただただその素早さに目を丸くしながら、それをパラパラとめくるばかり。見ても、やっぱり僕には何も分からない。でも、周回遅れでも、例えもうリタイヤ間近になってしまっていたとしても残りの僅かな時間だけでも、それこそQODを高めることにしかならない、死に化粧でしかないとしても、せめて自信を持って最後まで生きていけるようになるには、ここで頑張らないといけない。そんな気がする。
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