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Latest topics 近況報告

たまに18歳未満の人や心臓の弱い人にはお勧めできない情報が含まれることもあるかもしれない、甘くなくて酸っぱくてしょっぱいチラシの裏。RSSによる簡単な更新情報を利用したりすると、ハッピーになるかも知れませんしそうでないかも知れません。

萌えるふぉくす子さんだば子本制作プロジェクトの動向はもえじら組ブログで。

宣伝。日経LinuxにてLinuxの基礎?を紹介する漫画「シス管系女子」を連載させていただいています。 以下の特設サイトにて、単行本まんがでわかるLinux シス管系女子の試し読みが可能! シス管系女子って何!? - 「シス管系女子」特設サイト

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HOLOLIVE FANTASY 1st LIVE FAN FUN ISLAND #ホロライブ3期生1stライブ の感想 - Dec 05, 2021

半年くらい前からホロライブ関係の配信アーカイブやその切り抜き動画を見るようになり、アラフォーのドルオタ1年生をやっている今日この頃なのですが、先日11月25日に開催されたホロライブ3期生1stライブ「FAN FUN ISLAND」をSPWNの配信で見たので、その感想を。 (以下、各メンバー敬称略)

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シン・エヴァンゲリオン劇場版(ネタバレ感想) - Mar 09, 2021

以下、ネタバレ感想です。未視聴の方は読まないことを強く強くお勧めします。

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言葉が通じない同士で対話するのが面白い「ヘテロゲニア リンギスティコ」、言葉は通じるのに対話ができないのが辛い「魚頭さんと袋さん」 - Oct 31, 2019

最近ニコニコ静画の通知で流れてきた漫画、当初はよくある異世界物かぁ~と思ってあまり食指が動かなかったんだけど、なんとなく読んでみた。そしたら謎の感動を覚えて、それどころか泣きたいような気持ちになってしまって、既刊の電子書籍も全部ぽちって、さらにその気持ちが強まるという体験をした。べつに「泣ける話」ではないはずなんだけど、泣けてくる。何故なのか。

その漫画のタイトルは「ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~」(作:瀬野反人)。現代人で言語学者のハカバ君(劇中ではもっぱら「センセイ」と呼ばれる)が、師事する教授の代理として「魔界」に赴いて現地でフィールドワークをする中で遭遇する、様々な出来事を描く作品だ。内容やテーマが似た作品としては、

などが該当するだろうか。

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辻褄はどこへ行った……?「君のまなざし」 - Jun 05, 2017

仏陀再誕 The REBIRTH of BUDDHA神秘の法に続く、幸福の科学制作の映画のチケットを譲って頂いたので見てきました感想です。

  • 朝飛の演技が冒頭から大根で「大丈夫かこれ……?」って思った。
  • ペンションで料理の後片付けをしつつ普通に会話してると思ったら急に真顔になって意味深なセリフを喋るのは、ギャグなのか?
  • 幽霊に「とりあえず下に降りましょ」って普通に話しかける流れも、その後の食道で幽霊交えて3人で会話してる絵面も、ギャグなのか?(映画見ながら笑っちゃった)
  • お堂?の前でオーナーと口論になる所、キレさせ方もキレ方も雑すぎない?
  • 西洋の神様、ブッダ、また西洋の神様、と入れ替わり立ち替わりでてくるの節操ないなあ(って書いてて思い出したけど、前の映画での話によると確か幸福の科学の教えではキリストとかもみんなブッダの生まれ変わりという説なんだっけ……それにしても連続で出てくるのはビジュアルとして強烈だ)
  • 手からビーム出して浄霊するの、唐突かつそこだけ浮いててこれもギャグっぽく見える。
  • 過去生のとこは「AIR」の「Summer編」みたいなのかなと思ってたら、設定も展開もガバガバすぎて……なんで君らそんなきれいなおべべ着て貧民街に出入りしとるん?
  • 地下に降りた所で何の説明も無く唐突に巫女さんの霊?的な人が出てきて「えっ」てなった。
  • 「ここまで全部夢(?)の中の出来事でした」というまとめ方なのかと思ったら最後に朝飛と抱き合ってて、歴史改変されたけど部分的に記憶は持ち越されてる的な事なの? え? どゆこと? ってなってしまった。

総じて、実写にすることで違和感が引き立つというか粗が目立つというか、一線を張ってるプロの脚本家や声優や俳優ってやっぱすごいんだなあという事を逆説的に感じる結果となった次第でした。

宗教本体の教義がアップデートされるわけでは当然ないので、教義の説明部分は回数を重ねれば重ねるほど「あ、また同じ事を言ってるな」となっちゃうのは致し方ないんだけど、それにしても、以前に見た映画と同様に「言いたい事を言う」が優先されていて「伝わるように言う」がなおざりにされてるなあと思った。

例えば「メッセージ」(テッド・チャン「あなたの人生の物語」が原作の物)は「悲劇的な未来が既に決定されていても、それでも人はその選択をする、ということの尊さ」をストーリー内に織り込んでたし、「オデッセイ」(アンディ・ウィアー「火星の人」が原作の物)は「折れないこと、諦めないこと、ユーモアを忘れないこと、の大切さ」を主役の演技から演出からすべてを投じて描いてたし、「LEGOムービー」は「自由な発想を忘れないことの大事さ」を語りつつも「お堅いルールに自由な発想で立ち向かった主人公達が、さらに次元の違う自由さを目の当たりにする」という落とし方をしてたし。上手くやるやりようはいくらでもあると思うんですよ。

例えば、「地獄に堕ちる」とかの恐怖を語るんだったら徹底的にホラーに振り切って救いも何も無しに終わらせるとか。

例えば、修行の大切さを語るんだったら修行そのものにテーマを置くしんみりした作品にするとか。

例えば、退魔的なところにフォーカスを当てるんだったらエクソシストみたいなエンターテインメントに振り切るとか。

全部語ろうとするからシッチャカメッチャカになるんであって、1作で全部語ろうとしないで、それぞれ分けてちゃんと掘り下げなきゃ。

こっちの言いたい事を全部言いたいだけまくし立てても相手が聞いてくれるのは、相手が最初から好意を持ってくれている場合だけなんだよね。そう考えると、これはやっぱりまだまだ「身内」向けの物で、「外」に出す性質ものではないんだと思う。

トレイラー見てちょっと面白そうかなって思ってチケット譲ってもらったんだけど、実際見てみたら、見せ場だけ繋いで面白そうに見せるトレイラー編集の妙というか、あれはあれで大した技術だよねと再認識したというか……市井のレビューを見ても「宗教映画と知らずに見に行った。(僕の挙げてるようなツッコミの後)お金損した。」みたいに後悔してる物すらあって、なんというか、いたたまれない。身内向けなら身内向けと分かるように振り切る、外向けなら外向けでもっと外の人が見ても面白く作る、どっちつかずが一番罪作りだというのを実感する。単に不出来ならまだ仕方ないけど、「普通のセミナーを装ってて、誘われて行ってみたら宗教だった」みたいな狙ってやってるんなら、騙すのは駄目ですほんと。

対象視聴者でないにも関わらず「見たい」って言ってチケット譲って貰っておきながら(あまりに本編だけでは訳がわからなかったので補足情報を求めてパンフレットは買いました)、批評とも言えないようなくさすばかりの感想を公開するのって道義的にどうなん?というのはあると思うんですが、貰うだけ貰って何も言及しない方が問題かなと思って書いてみました。

BLAME!の映画を見た後で原作を読み返したらもっと映像見たくなった - Jun 05, 2017

NETFLIXで映像化されたやつを映画館で見てきた。「すげえええ~~これまさに『俺の見たかったBLAME!のアニメ』やああ~~」って大興奮だったんだけど、帰宅後原作を読み返したら意外と色々違ってた。「シドニアの騎士を経た後の弐瓶勉」感もミックスされて色々アップデートされたBLAME!と言った方が適切なようだ。パンフレットは売り切れで買えなかったので、以下パンフレットに書いてある話と違う的外れなこと言ってたらごめんなさい。

  • CG WORLDのインタビューでも触れられてたけど、づるがめっちゃ美少女になってて別人過ぎる。
  • あのシャキサク、こうやって食べる物だったの!? しかもうまいの!?! っていうか原作みたいに生(?)で食べたら死ぬ……?
  • 霧亥がアニメで着てたのは原作終盤の衣装で、原作序盤はもっとあっさりした服だった。あの服でこの映像の中にいたら結構ギャグっぽく見えたかもしれない。
  • 種族の違いによる体格差、は今回は省略されてたように感じた。原作だと電基漁師達は大人でも霧亥より小柄だったけど、映像ではそこまで露骨な差は無かったような……?
  • シボは原作では有機的なボディという設定だったのか発見時の腐った体も修復後の体も生身の人間っぽくて「えっ? えっ? なんでこの人腐ってるのに喋ってるの??」って思ってたんだけど、アニメでははっきりメカな描写になっててだいぶ「分かりやすい」表現になってるなあと思った。
  • 偽装端末遺伝子(だっけ?)とか自動工場とか、原作よりスマートで硬質なビジュアルにデザインが変更されててそこも見やすいと思った。工場の新しいビジュアルは、原作終盤にちょろっと出てきた別の施設のデザインの流用か?
  • 珪素生物や東亞重工は出番無し。入れると情報量増えすぎだからこれは妥当だと思う。
  • 工場脱出時にシボが霧亥に「ごめんなさいね」か「残念だったわね」か何か言ってたと思うんだけどあれどういう意味だったんだろう?

総じて、原作のぐにょぐにょした有機的イメージは抑えめで、メカはメカと分かりやすい描かれ方に統一されてるなあと思った。これはCG作画だからという制約による部分もあるのかもだけど。

とりあえず、この1作だけじゃなくもっといろんなエピソードをこのクオリティの映像で見せて頂きたい、そしてそれに浸りたい、なんならVRでこの超構造体に挟まれた階層都市内での生活を体験したい(絶対後悔するけど)、という「もっとこれくれぇぇぇええ!!」感を覚えた次第でした。

書評:まんがでわかるLinux シス管系女子 - May 02, 2017

発売から2年経ってニュース性がなくなっており、新規にレビューされることももはやなさそうなので、自分で読者の気持ちになってレビューしてみようという謎企画です。ダイマです。露骨ですね。それではいってみましょう。


まんがでわかるLinux シス管系女子 (日経BPパソコンベストムック)
Piro(結城洋志)
日経BP社 (2015-02-18)
売り上げランキング: 22,482

本書は端的に言えば、「Linuxサーバーをコマンドで操作する事はあるが、決まりきったコマンド以外は使えずにいて、他にどんな事ができるのかわからないでいる人」「コマンド操作の訳の分からなさに挫折して、すっかり敬遠するようになってしまった人」のための本と言えます。

タイトルに「入門」とありますし、「マンガで分かる何々」と言うと全くの初心者向けの本という印象を受けますが、本書はむしろ全くの初心者にはハードルが高いくらいかもしれません。初心者から中級者へステップアップしようとしている人、ステップアップの仕方が分からず躓いている人向けのケーススタディ集というのが、本書の適切な位置付けでしょう。

技術解説するマンガ

世の中の「マンガでわかる何々」な本には大きく分けて2つの種類があります。1つは直前にレビューしたわかばちゃんシリーズのような、初心者の抵抗感を減じる導入・緩衝材としてマンガを使う物。もう1つは学研の「~のひみつ」シリーズや「マンガで分かる心療内科」のように、解説そのものがマンガになっている、解説のための表現手法としてマンガを使う物。実用書では前者のタイプが多いですが、本書は後者です。

本書はLinux初心者の「みんとちゃん」を主人公に立てて、みんとちゃんが遭遇する様々なトラブルや困った事態に対する解決策をメンターの「大野先輩」に教わる、という形でLinuxのコマンド操作を解説する構成になっています。前の話で紹介されたコマンドを後の話で使うという事はありますが、カリキュラム通りに学んでいくレッスン形式ではなく個別のケーススタディ形式で、マンガとしても4~8ページごとに1話完結のオムニバスとなっています。

それ故に本書は構成上のゴールが無く、スタイルとしては「技術雑誌の連載マンガの単行本」と言った方が適切でしょう(実際、本書は月刊誌である日経Linuxでの連載の最初の2年分をまとめた物で、次の2年分をまとめた物が続刊として出ています)。「1冊の技術書として通読することで何かを達成する、という性質の本」ではないことを把握しないまま読むと、尻切れトンボな最後で面食らってしまうかもしれません。

絵柄や絵の巧拙については、好みもある話なのでなんとも言えませんが、「これは何の事を描いているのか?」が分かる・解説として読む妨げにならない程度の水準は満たしているのではないかと思います。

解説の内容・質はどうか

本書で解説されている話題は、sshによるリモート操作からシェルスクリプトの基本までというLinuxの一般的な操作についてです。舞台設定やタイトルは「システム管理」を想起させますが、Webサービスの運用や組み込み機器の開発など、Linuxをコマンドで操作する際には共通して必要になる範囲の知識と言えます。コマンド操作を使い始めた頃に躓きがちな「あるある」な場面が多く、各トピックはいずれも実践的です。

また、紹介されているコマンドやツールは古くから今に至るまで現役で使われ続けている物がほとんどで、発売から2年が経過(※2017年現在)したものの、内容は陳腐化していません。一度読み込んでおけば、その後長く役に立つ知識が身に付くタイプの本と言えるでしょう。

ただ、本書の知識が長く役立つと言える理由は、単に解説されているツールが伝統的な物だからだけではありません。

コマンド操作が敬遠される理由の1つに、「覚えるのが辛い」というのがあります。コマンドの数は無数にあり、またそのそれぞれが多数のオプション指定を受け付けるため、組み合わせは膨大な数になり、とても覚えきれるものではありません。しかし実際には、中・上級者でもコマンドやオプションをすべて丸暗記しているわけではなく、よく使うコマンドがどのように作用し・どう相互に連携して・どんな結果になるのか、ということを頭の中で想像して適宜組み合わせて目的を達成している場合の方が多いです。

本書ではコマンドやファイルといった「登場人物」達を擬人化し、時にはナビゲーターであるみんとちゃん達自身をその図の中に飛び込ませることで、熟達した人達が頭の中で思い浮かべている主観的な「コマンド操作の向こうで起こっている事」のイメージをマンガとして描いています。文章での説明や抽象的な図よりもずっと生の感覚に近い「(擬似的な)映像体験」を得て、「そうか、先輩達にはコマンド操作の世界がこう見えているんだ!」と思うことができれば、抵抗感も薄れるのではないでしょうか。

全体を通して解説が24トピックというのは少ないように見えるかもしれませんが、個々の話題を丁寧に描いているので情報量自体は多く、実際に読むと物足りなさは感じないと思います(というか、自分は通読してものすごく頭が疲れました)。

残念な所

誉めるべき所がある一方で、技術解説の書籍としての本書には難点もあります。

まず前述した通り、「入門」というタイトルとは裏腹に、本書には基本的なファイル操作のコマンドなどに対する説明が含まれていないため、そのレベルでLinuxの知識が無い人には本書はおすすめできません。事前に最低限、cdlscprmといったファイル操作の基本コマンドの使い方は把握している必要があります。

(ちなみに、Web上で無料公開されている特別編ではその辺りの基本知識が解説されています。いまいち自信が無い場合は、本書を読む前にまずそこから目を通しておくと良いでしょう。)

文字を読む印刷物として、スクリーンショットの中で文字の色がグレーになっていて背景との判読が難しい箇所があるのも地味に辛いです。読みやすいように文字の色を調整したり、文字はすべてフォントで入れなおしたりといった工夫が欲しかった所です。

また、根本的な所で、手元のPCがWindowsである場合の事が全く考慮されていないというのも、初心者を対象とした本と考えると重大な問題です。Linuxのデスクトップ環境やmacOSであればターミナルからの操作で問題無いのですが、Windowsの場合は、Windows 10の開発者向けの機能であるUbuntu on Windowsや、MSYSCygwin、もしくは仮想マシンにLinuxをインストールするといった準備をしないと、本書の内容そのままの実践はできません。Tera Termなどのシェル環境一式を伴わない端末エミュレータを使う場合は、本書の内容をすべてサーバー間の話(Tera Termからの接続先が本書中の「みんとちゃんの手元のPC」に相当する)として読み替える必要があります。これは恐らく、連載の掲載誌である日経Linux誌が「Windows XPからUbuntuへの移行」といった記事を多く扱っており、Linuxのデスクトップ環境を使うのが当たり前という雰囲気があることから、それに引きずられたのでしょう……

まとめ

上記のような難点はあるものの、本書にユニークな価値があるのは確かです。

クラウド、SaaS、DevOpsといった最近の技術的な潮流では、サーバーを操作するために自分でLinuxのコマンドを操作するという場面は減っていっています。しかし、障害発生時のトラブルシューティングや、サービス開発時のデプロイ手順の確立など、シェル上でのコマンド操作の知識が必要な場面は依然としてあります。

丸暗記でもコマンド操作は使えるには使えますが、コマンドや構文の意味を理解していないままだと応用が利かず、パターンから外れた途端にお手上げになります。また、コマンドの使い方をその都度検索しても、やりたい事に合致する例がすぐに見つかるとは限りませんし、最悪の場合、闇雲に実行したコマンドでファイルが消えてしまったなんて事も起こります。でも「自分が今何をしようとしているのか」を正確にイメージできるようになれれば、自信を持ってコマンドを組み合わせて、時には組み合わせを変えて、自在に使えるようになるはずです。本書は、そのようなレベルに自分自身を引き上げて、コマンドリファレンスなどの網羅性の高い情報ソースを活用できるようになるための、手がかりとなる1冊と言えるでしょう。

まんがでわかるLinux シス管系女子 (日経BPパソコンベストムック)
Piro(結城洋志)
日経BP社 (2015-02-18)
売り上げランキング: 22,482

ということで、読者目線でのセルフレビューでした。

直前に読んだのがパッケージとして非常にまとまりの良いわかばちゃんのGit本だったので、それと読み比べると「シス管系女子」のパッケージとしての不完全さがどうしても目についてしまい、気が付くと「ここがダメ、そこがダメ」という事ばかり書きたくなってしまうのが辛い所です。でも、書評は駄目な所をあげつらうだけの物ではなく、その本の持つ価値を必要としている人のもとにちゃんと届くよう補助線を引く物でないといけないと思い、実用書としての評価をするよう努めてみました。

本書を薦められた人が「馬鹿にされた」と感じて拒絶してしまうという話を見ると、ああやっぱりピンクとオレンジがまずかったのかなあとか、タイトルがチャラそうなのが良くなかったのかなあとか、もっと成年誌っぽい絵柄だったらよかったかなあとか、詮無い事をつい色々考えてしまいます。レビュー内ではその辺りの事にあまり触れなかったのですが、実際どのくらい評価に影響するものなのでしょうか。気になります。

書評:わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門 - Apr 30, 2017

わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2017-04-21)
売り上げランキング: 787

「わかばちゃんと学ぶWeb制作の基本」のレビューを参照しながら書こうと思ったらそもそも書いてなかったので、先にそっちから書いていました。例によって自分は恐らく対象読者ではないのですが、人気の秘密を解き明かしてやんよ!とばかりに自費購入です。

本書は端的に言うと、「チームでGitを使う事になったが、よく分からないという人」「Gitをまだ使ったことがなく、なんだか難しそう……と尻込みしている人」「とりあえずなんとなくで使えてはいるが、決まった操作以外はできずにいる人」「チーム内のITエンジニアがGitを激推ししてくるのだが、使い方を覚えるのが億劫な非ITエンジニアの人」のための本だと思います。「Gitというツールの使い方の入門」+「Gitを使ったワークフローの世界への入門」という、人がGitに初めて触れる場面に即した内容になっています。

わかばちゃんシリーズの2冊目ではありますが、解説の内容は独立しています。一部キャラクターは前作からの登場のため、説明がないキャラは「誰これ?」となってしまうかもしれませんが、解説の理解を妨げるほどではなく、前作から読んでいる人のためのファンサービスと言えるでしょう。

マンガで技術解説、ふたたび

前作同様、本書も「マンガは導入や簡単な説明で、その後のテキストが本編」という構成です。漫画要素は前作より多く、トピックによってはマンガの内容が解説として機能している部分も増えていますが、テキスト部分をすべて読み飛ばして成立する内容ではないので、基本的にはやはり漫画もテキストも全部読みましょうという事になります。

GitやGitを使ったワークフローはそれ自体がそれなりに複雑な物なので、何か基準を定めないと、解説する側も解説される側も混乱してしまうでしょう。本書は主人公の「わかばちゃん」がその基準となり、「これをしたい!」や「こういう事で困った!」という形で話題を展開していきます。まだGitを使ったことがないという段階の人が、「初心者がGitを使い始める時に起こる一通りの事」をわかばちゃんを通して疑似体験できる構成なので、予習としても苦痛を感じず通読できるのではないかと思います。

似た分野で解説漫画を描いている自分としては、「あっ、この1コマで済ませてるやつもうちょっと2~3コマ使って段階的に説明したい……」と感じる箇所もあったのですが、これをやり過ぎるとマンガのページがどんどん膨れあがってしまうので、テキストを本文として置く限りにおいては現状はバランスの良い落とし所と言えると思います。)

純粋にGitの解説としての出来は?

本書の(ページ数的な意味での)前半はGitの基本的な使い方、後半は前半を踏まえてのケーススタディ集です。

Gitには山ほど機能があり、また、それぞれが関連しあっていることがあるため、「そういえば、あれも」「そういえば、これも」と解説し始めるとキリがありません。本書前半は「とりあえずこれだけ覚えれば使える」というレベルに持っていく事を優先して脇の話はざっくりカットしているので、多すぎる情報に惑わされることなく、押さえておかないといけない最も重要なポイントを知る事ができます。

また、そうして基本を分かった上でいざ使い始めてみて起こる様々なトラブルや「これをやりたい」といったニーズに対し、本書後半ではケースごとにその解決方法を解説しています。話題のチョイスとして、Gitの初心者~中級者が遭遇しがちな物がまとめられているため、実用性は高いです。

重要な事として、「やりたくなるけど、やっては駄目」な事は極力解説していないのも好印象です。具体的にはgit push -f絡みの話がそれで、データ喪失などの致命的な事態に陥らないためには「それはできない」という事にしておいた方が安全なのは確かです。この点からも、本書が実際の運用の事を強く意識していることが伺えます。

自分も解説を書く立場の人間ですが、自分も含めて自分から本を書こうというような人は、自分の持つ知識を無意味にひけらかしたがるものです(偏見)。よほど自分を抑制しないと、「Gitの生まれた経緯はこれこれこうで……」というような脇の話や、使用頻度の低い使いどころの難しい機能のように判断力(判断材料となる知識)が不足している初心者には使いこなせない知識など、実際の運用上はどうでもいい情報を盛り込んでしまいがちです。

その点、本書はわかばちゃんという視点を設定することで、「ここは教えなくていい」「今は教えない方がいい」というノイジーな情報をバッサリ切り落としていて、この本を必要としている読者のための本というスタンスを貫いています。読者に寄り添う姿勢を崩さない真摯さと、嘘を書かない真摯さを保ち、その上で必要な情報をきちんと盛り込むという本書のバランス感覚は、見事だと思います。

SourceTreeユーザ以外へのケアが課題か

これはターゲッティングによるものなので仕方がないのですが、基本的にSourceTreeを使っての運用の解説なので、それ以外のツールでのやり方は解説されていません。「SourceTreeを極限まで使いこなす」という観点ではなく「Gitを始めるにあたって最初の道具としてとりあえずSourceTreeを選択する」という観点での解説ですし、pushやpullといった用語はどのツールでも共通なので、本書での解説はほとんどそのまま他のクライアントに読み替えて応用できるのですが、コマンドラインツールのようにまったく操作体系の異なるクライアントの場合はそこそこ苦労しそうな気がします。

希望としては、例えば本書の説明の下にgitコマンドや別のツールでのやり方の説明があればなお良かったのでは?とも思うのですが、それをやり始めると内容が薄いわりに分量だけあるという本になってしまいますし、第一、多すぎる情報の提示は初心者を惑わすだけですので、これらをカットしたのは至極妥当だと自分も思います。電子書籍のように、補足的な内容を視界の中にオーバーレイ(スーパーインポーズ)表示できる媒体の発展に期待したい所です。

なお、gitコマンドを使った操作に関しては、著者の湊川さんご自身の手による以下のコンテンツが存在しています。

副読本として本書と併せて読むと、SourceTreeを通した見え方以外のGitが見えてきて、よりGitへの理解が深まると思います。

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シス管系女子+マンガでわかるGit コラボ特別編の裏側(想像) by Piro/結城洋志 on pixiv

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非エンジニアの人にこそ読んでもらいたい

上では「課題あり」という書き方をしてしまいましたが、コマンド操作に関する説明のような、見た目に抵抗感や苦手意識を持たれそうな内容をばっさりカットしていることで、第一印象でのとっつきやすさは高く保たれていると思います。そこで考えられるのが、非ITエンジニアの人にGitを使ってもらうための入門書としての活用です。

本書の例はWebサイト制作を想定して書かれていますが、Web制作であれば企画やデザイナーといった職種の人も実作業に関わってきます。また、自分が会社の業務として過去に手がけたWEB+DB PRESSの記事執筆でも、複数人で並行して執筆して最後にとりまとめるという事をGitで行っていました。バージョン管理システムや、それを前提としたGitHubのようなサービスの便利さは、ソフトウェア開発に限らずあらゆる場面で実感できるものです。こんな便利なものをITエンジニアだけで使うに留めるのは勿体ないです。

電子化可能なデータを取り扱うプロジェクトに関わるあらゆる人の間で、データを共有しその履歴をトラッキングするインフラとして、Gitを活用する。ファイルの履歴管理や連絡の手間から皆を解放する。そのような働き方の改革にすらなり得る手引き書として、本書は広くおすすめできます。

わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2017-04-21)
売り上げランキング: 787

書評:わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本 - Apr 29, 2017

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
売り上げランキング: 27,596

そういえばちゃんとした書評を文章としてまとめていなかったことに気が付いたので、改めて書き留めておこうと思います。自分は対象読者層から外れていますが、「マンガで技術解説」という非常に近い領域で活動をしている以上、気になるのは事実なので、それならいっそちゃんと読んで学びを得ようと思い自費で購入しました。

本書はひとことで言えば、「今これからWebサイト制作を初めてみようと思っている、スタート前の人のための本」「格好いいサービスに憧れてWeb制作を始めてはみたけど、知れば知るほど次から次に新しいキーワードが出てきて、勉強しないといけない範囲がどんどん広がっていってしまい、途方に暮れている人」だと思います。

昨今のWebというと、アプリ寄りの見え方をするSingle Page Applicationと呼ばれるつくりが流行りで、やれAngularだのReactだのという話になりがちだと思うのですが、それらも全て基礎があっての話。SPAを作るにせよ、そこから移り変わった次のトレンドに乗るにせよ、絶対に外せないであろう知識というのはあります。本書は、主人公の「わかばちゃん」をはじめとするキャラクター達を立て、わかばちゃんを皆がサポートして導くという流れに乗せて、Webサイト制作の基礎中の基礎となるトピックを一通り解説する入門書ということになります。

「マンガでWeb技術」?

本書の基本構成は「その節で解説する概念の大まかな絵解き説明、あるいは内容に絡んだネタの4コマ」と「それに続いてテキストや図での解説(本文)」という形で、マンガ部分の分量はそんなに多くはないです。「マンガで」という所に期待しすぎると、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれません。マンガ部分だけを追った場合に得られる情報量は限られていますので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちゃんとテキストも読むことが必要です。

自分は中学校でNEW CROWNで英語を初めて教わりましたが、いらすとや系の無色透明な・人格を意識させない絵ではない、漫画雑誌で見慣れた絵柄の・趣味嗜好などのバックグラウンドを持っていそうなキャラクター達(当時の物は「緋が走る」のあおきてつお氏がイラストを担当されており、この形式の先駆けだったそうです)がいることで、「堅苦しくてつまらない教科書、ではない。僕らの価値観、僕らの好みの事をちゃんと分かってくれている。頭ごなしに押し付けてきているのではない」と感じ、未知のものへの抵抗感がずいぶん薄れたような記憶があります。

<script src="https://source.pixiv.net/source/embed.js" data-id="59331506_9a7ef6e0b488bf3557348b4bf4a854e7" data-size="medium" data-border="on" charset="utf-8"></script><noscript>

10月の誕生盆栽で誕生日をお祝いするわかばちゃん&HTMLちゃん by Piro/結城洋志 on pixiv

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本書に対して抱く率直な感想は、その感覚に非常に近いと思います。解説のためのマンガというより、読者の心理的抵抗を和らげる緩衝材としてのマンガ、という性質が主であるように感じました。そして、その狙いは見事に果たされていると思います。自分を未熟な初心者のわかばちゃんと重ねて読み進めることで、Web制作にまつわる膨大なトピックの中から「まず最初に押さえておかないといけないのは、ここ!」という部分をストレスなく学べるのではないでしょうか。

肝心の「解説」の質はどうか?

マンガは導入に過ぎないとはいえ、本編のテキストも決して堅苦しくはなく、文字だけではイメージしにくいであろう抽象的な概念の説明に図を多用していて、全体としては平易な解説になっていてます。「分かりやすい解説書にする」ための工夫が凝らされていますので、引っかかりを覚えることなくするっと通読できると思います。

初心者向けの技術解説は、どこまで説明してどこからをカットするか、例え話をする時はどこにフォーカスしてどこを無視するか、話を単純にするために嘘をつくのかつかないのか、という匙加減が難しいものです。あれもこれもと入れていくと、必然的に個々の解説に割ける文章の分量が減り、説明はおざなりになってしまいます。

本書は、自分の役割はあくまで導入と割り切っていて、難しい概念の話は別の専門書に任せるスタンスを取ることにより、解説として無理をせず、極力嘘をつかない、誠実な立場を取っていると感じました。本書を読んだ後であれば、「扱う話題はやたら幅広いが、内容は薄い」初心者向けの本をすっ飛ばして、中級者向けやあるいはそれ以上の難易度の本や解説サイトに挑戦していけると思います。

本書に込められた魂

自分が本書の最大の特長だと思ったのは、HTMLやCSSといった「Webサイト制作に必要な道具」の使い方の説明に終始してはいないという点です。

分量のほとんどの部分がそういった技術の解説なのは事実ですが、本書はそれらの手前の導入部に「そもそも、その道具を使って何を作ろうとしているのか? 何のためにWebサイトを作ろうとしているのか?」という目標設定のフェーズを、後ろに「で、作ったはいいが本当に目的は達成されているのか?」というフィードバックのフェーズを設けています。これにより、本書全体に一本の筋が通っていて、「イラストが豊富で内容も平易だが、作者が何を言いたいというのは特に読み取れない、雑多な内容の本」ではない、「やりたい事の本質は人とのコミュニケーションであり、前提の立て方次第で最適な手段は変わる。手段としてWebを選ぶというのは、こういうこと。その手段はこういうもの」という考え方までもを伝える野心的な構成の本になっていると思いました。

だからこそのマンガ要素、なのかもしれません。そんな深いテーマを語る長いテキストは途中で飽きてしまうという人でも、わかばちゃんと同じペースで進み続ければゴールに辿り着ける、そういう本なのだと言えます。

まとめ

Webは新しい技術が絶えず生まれ廃れる、荒波のような世界であり続けています。Webサイト・Webページ制作に関わる技術の全体像を把握しきることは困難ですし、その場を乗り切るのに必要な部分だけをつまみ食いしていても、それぞれが文脈上結びつかない個別の情報を増やすだけになりがちなのではないかと思います。

本書「わかばちゃんと学ぶWebサイト制作の基本」は、そんな中を自分に自信を持って生きていくための基準点となる、一朝一夕に廃れることのない確かな知識を伝える1冊だと思います。趣味で始める人に、仕事で関わり始めたという新人に、あるいは、自分で制作はしないまでもWebサイト制作の専門家と組んで何かをしようという人に、おすすめです。

わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本
湊川 あい
シーアンドアール研究所 (2016-06-15)
売り上げランキング: 27,596

シリーズ第2弾のGit本のレビューもあります

アニメ制作の現場を通して仕事というものを描く「SHIROBAKO」 - May 03, 2015

アニメ制作スタジオの日常を描くアニメ、というメタな作品のSHIROBAKO。最初は「え、何? ネタの自主制作アニメ企画か何か?」って認識してたり、主人公達のキャラクターデザインがいまいち好みから外れてたというのもあって、放送時は完全スルーだったんだけど、評判がやたらいいので、ニコニコ動画の公式で無料で見れる1話目を見てみた。そしたら結構印象が良かったので、諸々片付いて時間ができた段階で残りの全話も一気見した。

結論から言うと、ちゃんと物語してて面白かった。仕事論とか社会人としてとかそういう意味で新人の人達に見てもらいたい、と言う人がいるのも分かる(どっちかというと、連絡をちゃんとしないとか、後工程に迷惑をかける人とか、そういう反面教師がたくさん出てきてて「ああ、こういう事をするとスケジュールが破綻するんだなあ……」と思わされる場面の方が多い)んだけど、僕はただただ単純に主人公達5人の成長物語として面白いと思った。

高校時代に1つのアニメを作ったかつての仲間達5人が、いつか再集合することを誓いながら、巣立った後それぞれの現場で一人前になろうと足掻いていて、1人また1人と少しずつ自分の夢に近づいていく中で、1人だけがその中で出遅れてしまう。それぞれバラバラに闘っていた彼女らだけれども、終盤、1つの共通の仕事に各分野のプロとして関わることになっていく、それでもまだ1人だけ出遅れたまま。でも最後の最後に、その1人も思わぬ形での合流を果たす。成長と成功の物語として見事にまとまっていて、2クール分かけてやるだけの事はあったなと思えた。

アニメ制作の現場を描いた作品というと、自分が過去に見かけたことがあるのは動画・原画などの絵描きの人達がメインだった「アニメがお仕事!」と、あとは声優が主人公クラスの作品がいくつかあったかなあというくらいで、「制作進行」という役割の人は口うるさいマネージャーとかそんなくらいのちょい役扱いだったような気がする。やっぱり普通に考えて、抜群に絵が上手い人とか、抜群に演技が上手い人とか、そういう感じで、スター性のある強いキャラクターの方が主役にしやすいんだろうと思う。

今作はその「制作進行」のチームに属する人が主人公で、最初は、なんでまたそんな地味な立ち位置の人を?と思ってしまった。でも考えてみたら、アニメ制作の現場全体を俯瞰しようと思ったら、絵を描く人や演技する人みたいな「そのセクションの中でやってる人」よりは、全体の調整役として動いてる人の視点の方が適してるんだろうな。スター選手ではないし、絵も描いてなければ演じてもいない、音楽もシナリオも作らないけれども、確かに彼女は「アニメを作ってる」人だ。むしろ、そういう各セクションの「絵を描く人」みたいな余計な属性が付かないから、制作進行という立場の彼女こそが主人公に相応しいのかもしれない。

アニメが好きで、アニメ誌とか見てて、あの作品にはこんな人が関わってるんだ、みたいな感じでちょっと制作側のことも垣間見ていて……という人は、大いに楽しめると思う。有名な作品やアニメ関係者のパロディがたくさん出てくるし。

IT関係やってるなら見とかなあかんやろ「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」 - May 02, 2015

イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密、やっと見た。

コンピュータの歴史をかじったことがある人なら知らない人はいないだろうと思われる超有名人の、現代コンピュータの礎を築いた1人であるアラン・チューリング(チューリングテスト、チューリングマシン、チューリング完全、といった言葉に今でも名前が残ってる)。エニグマ暗号の解読に関わったものの、晩年は同性愛の嫌疑をかけられて、最終的に自殺した、という程度の事は知ってたんだけど、この映画を見て初めて知った事もたくさんあった。

  • アスペルガー症候群だったらしい。
  • 嫌疑だけじゃなくて、実際に同性愛者だった。
  • でも、女性と婚約もしてた。
  • 少年時代に親友にして初恋の相手がいたが、死別した。
  • 天才数学者でありつつ、アスリートでもあった。
  • 戦時中の業績は国家機密として50年も秘密にされていた。

婚約者になった女性(ジョーン)が参加した経緯とか、脚色の部分も色々あるそうなんだけど、パンフレットを見ると上記の点は全部実話だとのことで、驚くほかない。

チューリングといえば計算機科学、みたいな連想をする人間からすると物足りないくらいにそういう部分の描写や説明は控えめで、メインはあくまで、上記のような特異な人物であったアラン・チューリングその人と周囲の人達の人間ドラマや政治ドラマという感じだった。とはいえ、それは全然正しい判断だし、アラン・チューリングという人の人生のハイライトをドラマティックに描いてるし、1つのストーリーとして綺麗にまとまっていて良かったと思う。IT系じゃない人でも全然面白く見れる。

その時代の常識から外れた「変な人」であったチューリングやジョーンが社会の中でどう扱われるのか、同性愛者として生まれてしまったチューリングが世間からどう扱われるのか、という所の描写もすごく考えさせられた。世の「普通」から外れる事が一体どういう罪だというのか。少なからず世の中のメインストリームから外れた所で生きている自覚があり、メインストリームに完全に合わせては生きられないとも思っている自分としては、他人事に思えず結構感情移入してしまった。

脚色はあるにせよ歴史的な事実の要点を知る事はできるし、それだけでなく、マイノリティの生き辛さを生々しく感じられたり、そういうのをなくしていかなきゃいけないという思いを新たにできたりするし、何より、一人の人の悲しく切ない人生の物語として、大いに見る価値のある映画だと思う。

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