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nsIHttpProtocolHandlerに対するプロキシとなるXPCOMコンポーネントを実装してみた - Jun 08, 2009

ローカルプロキシっぽいことをローカルプロキシを立てずにやろうとして挫折したことのまとめを書いたら、thorikawaさんが別のアプローチを提示してくださったので、その方向で頑張ってみた。

結論から言うと、URIの置き換え(特定のURIにアクセスしようとした時に、別のURIのリソースの内容を返す)についてはできるようになった。成果はUxU 0.6.0組み込んである。ただし、他のアドオンとの競合の可能性があるので、初期状態では機能を無効にしてある。

実装がどうなっているかはGlobalService.jsの中のProtocolHandlerProxyHttpProtocolHandlerProxyHttpsProtocolHandlerProxyの各クラスを参照のこと。thorikawaさんのエントリに挙げられている課題は、一応解決されているはず。

thorikawaさんによるコードからの違いは以下の点だ。

変更点1:元のコンポーネントが実装しているインターフェースは全部備えることにした

一つは QueryInterfaceの部分で、QueryInterfaceの部分を置換前のXPCOMに丸投げしてしまっているので、その後の個別の処理も全て置換前XPCOMで行われてもよいはずです。だけど実際にはnewURI,newChannelといったメソッドは置換後のXPCOMのものが呼び出されます。

QueryInterface()は、実はメソッドの返り値を見るまでもなく、メソッドを実行した時点でそのラッパーオブジェクト自体が変更される。なので、そのせいじゃないかと思う。例えば

var pref = Cc['@mozilla.org/preferences;1']
            .getService(Ci.nsIPrefBranch);
var value = pref.getBoolPref(...);

このコードは

var pref = Cc['@mozilla.org/preferences;1']
            .getService();
pref.QueryInterface(Ci.nsIPrefBranch);
var value = pref.getBoolPref(...);

と書いてもちゃんと動く。後者のような使い方をされている限りは、QueryInterface()で何を返していようと関係ない、ということではないのかなあ。

C++で書かれたコンポーネントの中ではdo_QueryInterface()という関数?がよく使われているようで、こいつが中で何をやってるのかまでは僕にはよく分かってないけど、上記の例の前者ではなく後者に相当するものなんだったら、引用部のような現象が起こるのではないかと思う。

ということでそういう場合に備えて、ProtocolHandlerProxyクラスは、コンポーネント「{4f47e42e-4d23-4dd3-bfda-eb29255e9ea3}」が備えているすべてのインターフェースを実装しておくようにした。具体的には、nsIHttpProtocolHandler、nsIProtocolHandler、nsIProxiedProtocolHandler、nsIObserver、nsISupports、nsISupportsWeakReferenceの各インターフェース。といっても、やってることとしてはやっぱり単に元のコンポーネントに処理を丸投げしてるだけなんだけど。

変更点2:プロパティとしてアクセスされる情報を、prototypeの方に定義するようにした

またもう一つは、このサンプルでも正常に動作しないサイトがいくつかあること。AJAXを多用しているサイトでも基本的には問題なく動くのですが、たとえばGMailにアクセスするとなぜか簡易版HTMLが表示されてしまいます。もしかすると上記の問題と関連しているのかも知れません。

これは推測だけれども、HTTP_USER_AGENT等が正常に送られなくなっていたせいではないかと思われる。

ちゃんと調べたわけではないんだけど、Webページ内のスクリプトのnavigator.userAgentの値や、HTTPの通信の際に送られるユーザエージェント名の文字列は、コントラクトIDが@mozilla.org/network/protocol;1?name=httpであるコンポーネントがnsIHttpProtocolHandlerインターフェースを通じて返す値を元に生成されているらしい。

然るに、thorikawaさんによるサンプルコードのコンポーネントにはnewChannel()などのメソッドは定義されているけれども、nsIHttpProtocolHandlerが持つはずのuserAgent等のプロパティは定義されていない。XPConnect経由でこのコンポーネントにアクセスすると、undefinedが文字列にキャストされて空文字として返ることになる。その結果、サーバに送られるUA文字列も空っぽになってしまう。つまりサーバから見たら未知のUAとなってしまう。GMailにアクセスするとなぜか簡易版HTMLが表示されてしまうのは、未知のUAに対しては簡易版HTMLを返すようにGMailが作られているからではないかと僕は推測している。

変更点1で書いた話を実施するにあたって、当初はこれらのプロパティもgetterとして定義してみてたんだけど、実際に動かしてみると、期待通りには動かなかった。具体的には、Webページ内のスクリプトからnavigator.userAgent等にアクセスしようとすると、セキュリティの制限により前述のgetter関数を実行できない、というエラーが出る。

なので、getter関数を使うことは諦めて、ProtocolHandlerProxyクラスのプロトタイプに、単純な文字列や数値の定数プロパティとしてそれらを設定しておくようにした。general.useragent.* 系の設定の変更を動的に反映しないといけないので(ここでgetterを使えないのが痛い)、とりあえず今のところは、それらの設定の変更を常時監視して、変更があればその都度ProtocolHandlerProxyクラスのプロトタイプの定数プロパティの値を更新するようにしている。

変更点3:https:なURIに対しても働かせるようにした

この実装では、ProtocolHandlerProxyをスーパークラスとして、HttpProtocolHandlerProxyHttpsProtocolHandlerProxyという2つのサブクラスを定義することにした。これらの違いは単にコントラクトIDだけ。(まあ、モジュールを登録する時にしか使わない情報なので、サブクラスにするまでもなかったんだろうとは思うけど……)

変更点4:このコンポーネントを使うかどうかをユーザが設定できるようにした

コントラクトIDが@mozilla.org/network/protocol;1?name=httpであるコンポーネントを入れ替える事を考えた時に、一番問題になるのはおそらく、同じ事をしようとするアドオンが2つ以上あった時のことだと思う。テストケース内でリクエストされるURIをリダイレクトするためだけに、いつもコンポーネントを入れ替えた状態にしておくというのは、無駄にリスクを高めるだけのような気がする。なので、必要な時にだけ機能を有効化できるようにしてみた。

当初は、NSGetModule()が返すモジュールのregisterSelf()メソッドの中でregisterFactoryLocation()している箇所を、設定値を見て必要に応じスキップするようにすればいいだろうか、くらいに考えていた。でも2つの理由でこれはうまくいかなかった。

  1. コンポーネントを登録する処理が走る段階では、プロファイルが初期化されていないので、ユーザが設定を有効にしているのか無効にしているのかが分からない。
  2. コンポーネントの登録はUxUをインストールまたはアップデートした後に1回行われるのみなので、ユーザが設定を変更しても即座には反映されない。

1の問題をもう少し具体的に書くと、例えばこのコンポーネントの有効無効をextensions.uxu.protocolHandlerProxy.enabledといった名前の設定で切り替えるようにしようと思っても、NSGetModule()が返すモジュールのregisterSelf()メソッドが実行される段階ではまだユーザプロファイル内に保存された設定値が読み込まれていないため、その段階でextensions.uxu.protocolHandlerProxy.enabledの値を取得しても常にデフォルト値(=false)となってしまう、ということ。

これを回避するためにUxUでは、設定値ではなくファイルを使うことにした。プロファイル内に「.uxu-protocol-handler-proxy-enabled」という名前のファイルがあればコンポーネントを有効に、ファイルがなければコンポーネントを無効に、という風に、ファイルの有無を真偽値型の設定代わりに使うようにしている。泥臭いというか非効率的というかすごく馬鹿っぽいというかそんな気がするけど、これ以上にいい方法を僕は思いつけなかった。

2の問題は、1を解決できたとしても発生する。Firefoxは利用可能なXPCOMコンポーネントのデータベースをプロファイル内にcompreg.datとxpti.datとして保存しているようで、これらのファイルを生成する時にNSGetModule()が呼ばれるんだけれども、毎回起動時にこのデータベースを作り直していたら無駄が大きすぎる。ということで、アドオンが追加・削除された時などの「コンポーネントの一覧に変更があった可能性がある」場合にだけ、有効なコンポーネントの一覧のデータベースが作り直されるらしい。UxU的には、プロトコルハンドラの乗っ取りのON/OFFを切り替えた後に必ずこのデータベース再作成の処理を走らせないといけない、でもそれができてない、ということだ。

で、これも似たような方法でアッサリ解決した。Firefoxはユーザプロファイル内に「.autoreg」という名前のファイルがあると(ファイルの有無しか見ないので、内容は何でもいい。空ファイルでよい。)、必ずcompreg.datとxpti.datを再作成する。なので、ユーザが設定を変更したらそのタイミングで「.autoreg」を作成してやり、次に起動した時には設定の変更が確実に適用される(コンポーネントが有効かあるいは無効化される)ようにした。

んで

これだけごちゃごちゃと妙なことをやっておいて、できることといったら単にURIをリダイレクトするだけなんだよね。ショボっ!

分類:Mozilla > XUL, , , , , , , 時刻:12:17 | Comments/Trackbacks (1) | Edit

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コンポーネントの登録と登録解除

変更点4の問題2の解決にnsIComponentRegistrarインターフェース(Components.managerが実装)のautoRegister/autoUnregisterメソッドは使えませんか?

Commented by nanto_vi at 2009/06/08 (Mon) 18:32:59

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の末尾に2020年11月30日時点の日本の首相のファミリーネーム(ローマ字で回答)を繋げて下さい。例えば「noda」なら、「2009-06-08_protocolhandlerproxy.trackbacknoda」です。これは機械的なトラックバックスパムを防止するための措置です。

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