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ツリー型タブのWebExtensions移行の後半作業と並行して進めてたマルチプルタブハンドラのWE移行ですが、こちらも一区切りとしてバージョン2.0をリリースしました。こちらはTSTほどには語る内容が無いので手短に。
マルチプルタブハンドラ(以下、MTH)は元々、「そこにあるFirefoxのタブを雑にドラッグして選択したらメニューが出てきて『で、この選択したタブをどうしたい?』と次のアクションを訊ねてくる」という、操作対象を起点とした操作、本来の意味での「オブジェクト指向」らしい操作というコンセプトに基づくアドオンでした。そのコンセプトを具現化するために、レガシー版ではタブの上でのクリックやドラッグどいった操作をハンドルし、時にFirefox本体の挙動をキャンセルして、「タブをドラッグして選択」という挙動を実現していました。
ところが、WebExtensionsではFirefoxのタブの上での生のイベントをハンドルすることが許されていません。そういうAPIが欲しいという要望は挙がっていましたが、WebExtensions APIのコンセプトに反するということでWONTFIXになっています。よって今後もそういう事ができるようにはならないでしょう。
ただ、WE版TSTは専用のサイドバーを提供していて、その中で発生するイベントを扱う事に関してであれば自分の裁量で好きなようにAPIを提供できます。 なので、WE版MTHは当初は「TSTに完全に依存したアドオン」として開発を始め、TSTにAPIを実装してはMTHでそれを使ってみるという形で両者の開発を並行して進めていたのでした(TSTのAPI整備とその動作検証のための体のいい実験台になってもらったとも言えます)。 その過程で、ツールバーボタンから開いたパネル内であればドラッグ操作でのタブの選択もできなくはないと思い立ったため、TST完全依存のアドオンではなく一応単体でもそれなりに機能するアドオンとしてリリースする方針に切り替えて不足部分を整備し、この度ようやくリリースに至った次第です。
そういう経緯なので、本来意図していたMTHのユーザー体験は、WE版においてはTSTとの併用時においてのみ実現されています。単体のWE版MTHはあくまで仮の姿で、TSTと併用した時にのみ真価が発揮されるとは、なんとも中二病くさい仕様ですね。
ところで、Firefoxにはずいぶん前から(具体的には8年前から)タブを複数選択する機能の実装提案がなされています。 この機能がいつまで経っても実装される様子がないので、渋々MTHを今までメンテナンスしてきた、という部分も実を言うとあるのですが、なんとここに来てそれなりの優先度で解決(実装)に向けて動き始めてきたようです。 もっと早くやってくれていれば、MTHはWE版を開発せずそのまま開発終了にできたかもしれなかったのに……
ともあれ、将来のどこかの時点でMTHがお役御免となるのなら、それに越したことはありません。 その日が来るまでの間は、できる限りメンテナンスを続けていこうと思っています。
以上、MTHのWE版リリースの裏事情でした。
の末尾に2020年11月30日時点の日本の首相のファミリーネーム(ローマ字で回答)を繋げて下さい。例えば「noda」なら、「2017-10-13_migration-we.trackbacknoda」です。これは機械的なトラックバックスパムを防止するための措置です。
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