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拡張機能の標準化の話について思うこと - Oct 20, 2010

かつてIE6が一番先進的なブラウザだった頃は、ブラウザに機能を加える物といったら、「ツールバー」か「コンテキストメニューの追加項目」くらいしかなかった気がする。そもそも、「ブラウザにツールバーを追加できますよ」だけでもずいぶんすごいことであったような気がする。僕がそれ以外を知らなかっただけかも知れないけど。(具体的に僕が「その頃」の代表的なブラウザとして今思い浮かべているのはIE6とNetscape Communicator 4.xです。)

その頃は、MicrosoftとかNetscapeとかがリリースしてるメジャーなブラウザの使い勝手に不満があっても、プログラミングの知識がないフツーの人は、我慢するか、既にある別のブラウザ(iCabとかOperaとか)を探すかしか無かった。そもそもこの時代、ちょっと前までブラウザは4000円とか9000円とかお金払って「買う物」であったから、基本的には「買った物をそのまま使うか、買わないか」という選択肢しかなかったとも言える。

それでも、腕に覚えのある人なら、コアであるレンダリングエンジンにはIEの物を流用して、それ以外のブラウザのUI自体を頑張って全部作り直すということは可能だったようだ。それで出てきたのがDonutだったりSleipnirだったりLunascapeだったりのいわゆるIEコンポーネントブラウザだった。メジャーなブラウザがリリース計画とか顧客とか組織とか色んな都合で足踏みしている間に、個人の開発者あるいは小規模な開発チームであるが故のフットワークの軽さによって、凡庸なメジャー製品では手に入らなかった「痒い所に手が届く使い勝手の良さ」を提供したことで、それらIEコンポーネントブラウザはパワーユーザの支持を得るに至ったのだろう。

IEを使うのなら、できる「機能拡張」はせいぜいツールバーの追加かコンテキストメニューの機能追加くらい。なぜなら、IEが開発者向けに開いていた「ブラウザの個々に機能を追加できますよ」というポイントが限られていたから。(あるいは、もっと色々できたのかもしれないけど、それくらいしかできないという印象が強かった。)それ以上の物が欲しかったら、そういう機能を提供するIEコンポーネントブラウザに乗り換えるしかない。それが、あの頃に取り得た現実的な選択肢の全てだったのだと思う。

僕にとっては、そういう「暗黒時代」はMozillaとの出会いで終わった。当時はまだMozilla Suite(Seamonkey)がメインラインで、バージョンはM16とか0.6とか言われてた頃だったか。当初はCSS2に一番真っ当に対応してたブラウザだったからという理由で使い始めたけど、使い続ける理由はいつの間にか、「一番痒い所に手が届くから」になっていた。

Ben Goodger氏が当時を振り返って語ったエントリにもあるけれど、Mozillaの設計上の特性からくる「拡張性の高さ」はホントにぶっ飛んでた。

Mozilla以前は、
「標準のUIに不満がある? Googleサジェストが使える検索ボックスが欲しい? じゃあ、このツールバーを追加して下さい。ほら、このツールバーの中でならもっと快適に過ごせますよ! Googleサジェストの結果もポップアップされますよ! まあ、このツールバーの世界から一歩でも外に出ると、また今まで通りの世界に逆戻りですけどね。」
「え、このボタンだけ切り離してウィンドウの下の方に置いておきたい? そんなことできるわけないでしょ。この素敵な便利機能は、このツールバーの世界から外には持ち出せませないんですよ。」
「え、専用のツールバーなんかいらないから、本来のアドレスバーから色んな検索エンジンでWeb検索できるようにしてくれって? そりゃ無理ですよ。このツールバーの枠の中の事ならどうとでもできるけど、枠の外は元々作られてた通りにしか動かないんだもの。」
こうだった。ツールバーという細長い箱の中、コンテキストメニューというメニューの中、そういう様式の中でないと何もできなかったっぽかった。

あるいは、こうだった。
「このブラウザに乗り換えたら、こんな便利な機能が使えますよ!」
「え、こっちのブラウザのこの機能が欲しいって? そんなこと言われても、それは別のソフトだし……正直、そんなもん知らんがな。」
「パソコン盗まれてソースコードが失なわれちゃいました! もうメンテナンスできません!」

でもMozillaではそうじゃなかった。
「標準のUIに不満がある? じゃあ、そこをピンポイントで解決しちゃえばいいよ。」
「ボタンはウィンドウの上じゃなくて下の方にあって欲しい? じゃあそうすればいいよ。ほら、ツールバーのボタンをウィンドウの下に移動できるようになった。」
「アドレスバーから色んな検索エンジンで検索できるようにしたい? じゃあそうすればいいよ。ほら、GoogleやAmazonの検索結果がアドレスバーの履歴と一緒に表示されるようになった。」
こうだ。実にシンプルだった。「イラッ」と来たまさにその点を、イメージしていた通りに、一番ストレスのない形で解決できる。ツールバーという細長い四角い枠の中であるとか、たった1人の作者の都合であるとかに、囲い込まれなくてよかった。使いたい機能を使いたいように組み合わせて使えた。

具体的な例をもっと挙げると、例えば、ツリー型タブマルチプルタブハンドラ情報化タブの併用みたいなことができるのかどうか、ってことなんですよ。

タブで開いてるページをツリー表示するポップアップを表示する拡張機能。うん、それは多分便利。
開いてるタブのリストを表示して、任意のアイテムを選択してまとめて操作するポップアップを表示する拡張機能。うん、それも多分便利。
開いてる全てのタブの内容をサムネイルで一覧表示するポップアップを表示する拡張機能。うん、それも多分便利。

で、それを1つにまとめて同時に使えるの? ツリー表示されていて、気が向いたらそれを複数個選択してまとめて閉じられて、それらには常時サムネイルが表示されてる、というソリューションは誰でも得られるの? エンドユーザでも? って事なんですよ。

「ツリー表示してサムネイルも表示して複数選択もできるUI、を提供する1つの拡張機能」があればいい? 「ツリー表示してサムネイルも表示して複数選択もできるUI、を持ったIEコンポーネントブラウザ」があればいい? そういう物がもしあるのならそれを使うのもいいだろうし、作れる能力があるのなら作って全然いいと思う。でも、そういう物が無かったらどうなのか? 誰も作っていなかったら? そして自分でそれを作る知識は無いというのなら? 

また、3つの機能を持った物くらいならともかく、要求事項が4つ5つと増えていったらどうなるか。条件が増えれば増えるほど、既製品で要求を完全に満たす物は見つけにくくなるだろう。妥協が増えてくるだろう。その逆に、個々の要求事項を満たす物を集めてきてそれで1つの物として使えるのなら、何も我慢しなくて済む。

だから僕は、Firefoxを捨てられないんだ。「Operaならあれもできるよ、これもできるよ」って言われても、「Chromeなら爆速だよ」って言われても、「ほうほう、ではこのポップアップパネルの下の端にこれこれこういうボタンを置いておきたいんだけど、そういうことはできるのかね? え、できない? ああそう……それじゃ日々の『イラッ』はなくならないなあ」と思ってしまうんだな。(だからFirefoxが好きなんですよ、っていうのが全く無いとは言い切れないけど、むしろ、他の物もそうだったらいいのに、でも残念ながらそうじゃないから諦めてFirefox使い続けるしかないのか、って思ってる所も結構ある。)

でも、時代は今また「用意された枠の中でならなんでもできますよ、でもそこからは一歩もはみ出せませんよ」の方向に戻ろうとしている。(いや、あの頃に比べたらずっと洗練されたAPIで、できることの幅も広がっているようなのだけれども。)何故なのか。

理由はたくさんあるようだけど、多分一番重要なのは、「みんな、そんなに自由でなくていい」って事なんだろうね。

頑固で融通の利かない馬鹿で順応性が低い僕にとっては、こうだ。「イラッと来たまさにその部分がピンポイントで解決されてくれないと、我慢ならない。ちょっとでも遠回りしないといけないのは、もう嫌。このツールバーの中でならそんな不満は起こりませんよ、なんて言われても、ツールバーなんていらんし。そんなん興味ない。今目の前にあるコイツがどうにかなってくれないと嫌なの。」でも、普通の人は僕なんかよりもっと頭が柔らかくて順応性が高いから、苦にならないんだろう。「こういうとこが不満で、なんとかして欲しいんだけど。え、代わりにこれを使わないといけないの? ふーん、まあ、いいけど。」で受け入れてしまえるのだろう。

(というか多分そもそも「こういうとこが不満で」なんて思わなくて、今ある物でだいたい満足できてしまうんだろう。思い入れも無ければ、一日中それと接するわけでもない、1日1回1時間くらいしかブラウザを操作しない、だからそんな深刻な不満を抱きようがないんじゃあないかな。頭が固いとか柔らかいとか以前に。)

(あと、これは、「普通の人」を揶揄する話ではない。そういう人達の方が環境の変化に柔軟に適応できる能力があるって事で、それは人として素晴らしいことだと僕は思う。こうやりたいと決めたやり方以外だとストレスを感じてしまうとか、そういうどうでもいいことにこだわってしまう性根というのは、人として問題があると思う。)

Jetpackがrebootされる前、まだJavaScriptのファイルいっこで完結してた頃、僕は「JetpackはGreasemonkeyやChromeの拡張機能とAPIのレベルで互換性を設けるべきだ」と強く思っていた。なので今回のOperaの「拡張機能を標準化しよう」っていう話に僕は賛成する。既に、ChromeとSafariの間では既にそういう状況になっていると聞いた気がする。大抵の人がそれで満足できる、ツールバーのボタンなり、Webページ内で自動実行されるスクリプトなり、そういう「どのブラウザでも共通して利用できそうな物」には、互換性があっていいと思う。僕だってひょっとしたら、ユーザになるかもしれないし。OperaやSafariをメインで使ってる人が作った拡張機能の恩恵に僕がFirefoxで与れる、そういうことがあり得るかも知れないし。

ただ、Firefoxと同じくらいになんでもできる環境になってくれない限りは、僕自身は軸足をChromeとかその後に出てくる物とかには移せないんじゃないかなー、と思ってる。些細な「イラッ」に目を瞑らずにストレートにそれを解消することができる、という居心地の良さに、僕はあまりにドップリと浸かりきってしまっているので。あまりに「自分を変えなくていい」事に慣れきってしまっているので。

分類:Mozilla > Firefox, , , , , 時刻:20:47 | Comments/Trackbacks (0) | Edit

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