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「ツリー型タブ」が、Firefoxのアドオン管理画面にオススメとして表示されるようになりました - Jun 04, 2018

標題の通り、ツリー型タブが、Firefoxのアドオン管理画面にオススメとして表示されるようになりました(メールインタビューでやり取りしたScottさんが教えてくれた)。一定期間で入れ替わるやつなのでそのうちまたどっか行くと思うけど、記念に記録を残しておきます。 (証拠画像:英語版) (証拠画像:日本語版)

最初に書いておくと、このエントリはただの自慢です。こういう所に注目してくれる人はどこにもいないので、自分で解説して「僕TUEEEEEE」とアピるという物です。


統計データ上ではFirefoxの全ユーザーの中でアドオンを使っている人は意外と多くなくて、せっかくアドオンがいろいろあるのだから認知を向上させたい、というのがMozilla的には一つの課題のようです。2016年のAllHandsで既に、「アドオンをインストールするまでのハードルを下げたり、アドオンのインストールというよりも機能のON/OFFのように見えるようにしたりするといいのでは?」という方向でリニューアルを進めているということが通達されていて、現在のMozilla Add-onsやアドオン管理画面はその時見たモックほぼそのままのデザインが踏襲されています。

その時見た「機能のON/OFF」の選択肢の中に自分が作ったアドオン、特に「ツリー型タブ」が登場しているというのが、何とも感慨深いです。

というのも、WebExtensions版を作った時の苦労話の冒頭に名前が出てくるTBEより若干マシになってはいたものの、ツリー型タブもアドオンとしての「お行儀の悪さ」はなかなかのものでした。Firefox本体の関数をガンガン置き換えるわ、eval()で関数の行単位でモンキーパッチを当てまくるわ……なのでMozilla Add-onsのレビューポリシー的に「一般向けのアドオン」としては認められず、サイト上の検索結果等には表れない「開発者向けアドオン」の地位に長く留まっていました。TBEやツリー型タブのせいで(互換性を壊すとクレームがMozillaの方に来るから)Firefox本体の大規模な改修が阻害されていた、という部分ももしかしたらあったかもしれず、恨まれたり疎まれたりしていてもおかしくないくらいです。

そういう背景を持つツリー型タブが今、Mozilla Add-onsのバリデーションでエラーも警告も一切無く、Firefoxを使っている人がアドオン管理画面を開いたら目に入る位置に、広告ブロック等の桁違いのメジャーな選択肢に紛れて表れている現状を見ると、「ずいぶん立派になったもんだ……」と思うわけです。


ところで、苦労話に書いた通り、ツリー型タブのWebExtensions版は同様のWebExtensionsベースの縦長タブバー型アドオンとしては最後発と言っていいくらいに遅れて登場しました。いま自分が把握してるだけでも、サイドバー内に縦型のタブバー風UIを表示するアドオンは他にもこれだけあります。

それらを差し置いて何故ツリー型タブがおすすめになっているのでしょうか。選考過程は関知していないのであくまで憶測ですが、「これらの中ではツリー型タブが一番クソ真面目にFirefoxのタブバーを真似てるから」ではないだろうか、と自分は考えています。

実際に自分自身で上記の縦型タブバーアドオンをいくつかを試してみると、「みんな意外と適当だな……?」という印象を受けました。例えば以下のような具合です。

  • 見た目・配色がまずFirefoxのタブと大きくかけ離れている。
  • リンクをサイドバー内にドラッグ&ドロップしても、タブとして開かれない。
  • リンクをサイドバー内にドロップすると、ドロップ位置ではなく常にタブバー末尾に開かれる。
  • コンテキストメニューが無い。
  • コンテキストメニューがあるが、項目の並び順がFirefoxのタブバーの物と違う。
  • 音声をミュートしたタブの表現の仕方が独特。
  • Firefoxのタブバー上のタブの並びとサイドバー内での並びが一致しない。

ツリー型タブはどうかというと、基本的に見た目も挙動も全部Firefoxのタブに合わせるようにしています。技術的に不可能な事以外は、Firefoxのタブバーでできることは全部ツリー型タブでも同じようにできるようにする、という方針です。何故かというと、平たく言えば「そうじゃないと自分が使えないから・使う気にならないから」です。だってイヤじゃないですか、たかが個人開発のアドオンごときのために今まで覚えた物全部捨てて一から順応しなきゃいけないなんて。

もう少し格好を付けて言うと、度々述べていますが、UIの実装時には既存の何かに合わせるのが鉄則で、必要のない中途半端な自己主張はユーザーにとっては邪魔でしかない、と僕は考えています。コンテキストメニュー項目の並び順にせよミュート状態の表示の仕方にせよ、「Firefoxのタブと違う」という事それ自体が学習コストを引き上げ、使い勝手を悪くします。メニュー項目の並び順などはその典型で、人は普段よく使うメニュー項目を「だいたいここら辺」というような視覚的な位置で記憶しているようで、並び順が違うとそれだけでもう目当ての項目を見つけられなくなります。まったく違うならそれはそれで覚え直せばいいのですが、中途半端に似ていると、両方の記憶が混ざって余計に悲惨な事になります。似せるなら半端に似せないで完コピする、「俺の考えた最強のUI」を披露したいというエゴは捨てる、というのが、既存の何かに対する「改良版」と言える物を作る時に必要な心がけだ、と僕は思っています。

こういう所って、頑張れば頑張るほど違和感が無くなって既存の物に溶け込んでいってマジで誰にも気付いてもらえなくて報われなくて、それだけならまだしも、こういう事を頑張る事の価値自体が認識されなくなって誰もこういう所を頑張ろうとしなくなるんじゃないかということを心配してるので、ダサいとは思いつつ折に触れてアピっておく次第です。


また話は変わりますが、Google Chrome向けにもツリー型タブの代替になりそうな拡張機能はいくつかあるものの、どちらも自分にとっては「コレジャナイ」感が強くて、Chromeへの移行を考える材料にはなりませんでした。

どのあたりが「コレジャナイ」なのかは上手く言語化できないのですが、上記のような点が理由なんじゃないかなあとなんとなく思っています。Chrome全然使ってないから憶測ですが。

今見てみたところ、これを書いている現時点でのTabs Outlinerのユーザー数は13~14万人くらい、ツリー型タブのユーザー数は12万人くらいらしいです。Firefoxより圧倒的にユーザー数が多いはずのChrome用拡張機能ですから、ユーザー数に何倍も差があってもおかしくなさそうですが、実際にはこのように案外健闘しているようだというのが興味深いです。元々こういうタイプのUIに順応できる人やこういうUIを求めている人の絶対数がそのくらいという事なんでしょうか? とりあえず今のところは、「Chromeユーザーの中でこれらの拡張機能を使ってる人の割合より、Firefoxユーザーの中でツリー型タブを使ってる人の割合の方が多いという事は、ツリー型タブの方がユーザーに選ばれているという事に違いない!」と勝手に自慢しておこうと思います。


という、最初から最後まで自慢でしかないエントリなのでした。

分類:Mozilla > 拡張機能, , , , 時刻:14:24 | Comments/Trackbacks (0) | Edit

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