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ツリー型タブには「ポインタがタブバーを離れている時はタブバーを隠してor縮めて、ポインタがタブバーに近づいたら(フルサイズで)表示する」という機能がある。
Firefox 4に向けて開発が進んでいるMinefield 4.0b6preでこの機能が動かなくなっていたので修正をしよう……と思ったら根本的に作りなおさなきゃいけなかった。でも以前のやり方に比べたらずっとスッキリと実装できるようになっていた。
これはそんなお話。
Firefox 3.6までは、上記の機能を実現するのにえらく苦労していた。
tabbrowser要素の仕様変更のまとめで過去に図解したけど、今までのFirefoxではタブバーとコンテンツ表示領域が1つのボックスの中に収まっていたので、ボックスの縦横の配置を変えるだけでタブバーを「縦置き」できていた。そうして「縦置き」したタブバーの幅を自動的に増やしたり減らしたりしてやりさえすれば、最も単純な「タブバーを自動で隠す」機能は実現できる。
ただ、実際にはそれだと実際使っててストレスを感じる。タブバーの幅が変化する度にタブバーによって押し潰される形でコンテンツ領域の幅が縮んでしまい見た目に激しくガタつくのと、それに加えて再描画のためにFirefoxが一瞬でも無反応になってしまう事がある、というのが多分その理由だろう。
じゃあタブバーの幅が増えた分をコンテンツ領域の上にかぶせてやればガタつきがなくなってイイよね、ということで上のスクリーンショットのような事をやろうとして、当時の僕はFirefoxの仕様に頭を抱える羽目になってしまった。
要素同士を重ねる、というと一番手っ取り早いのはネガティブマージンを使う方法だろう。タブバーにネガティブマージンを指定してやれば万事解決する……そう考えていた時期が僕にもありました。
見るも無残。
どうも現行バージョンのGeckoはインラインフレームだけ特別な描画の仕方をしているらしく、iframeやbrowserの内容はオーバーレイのウィンドウのように他の内容より前に表示されるみたいだ。browser要素がDOMツリーに尽かされた後でDOMツリーに追加されたtab要素なら、browser要素よりも手前に描画されることもあるようだけど、基本的にはこうなると思っておいた方がいい。
ネガティブマージンで駄目ならposition:absoluteやらposition:fixedやらはどうなんだ、という代替案は当然出てくるだろうけど、これもやっぱり駄目だった。browserをz-index:1に、タブの方をz-index:2にという風にやっても、どう頑張ってもタブがbrowserの下に隠れてしまった。
panelやmenupopupを使うと、OSのレベルで別のウィンドウを開いて任意の位置に重ねることができる。影や枠を表示しないようにすることもできるから、うまくやればこれが一番確実かもしれない。
ただ、自分で0から作る場合ならともかく、Firefoxのタブを後から改変するという場合には、これは激しくお勧めできない。Firefoxのタブ周りのDOMツリーを不用意にいじると、Firefoxの本来の構造を期待して開発されたアドオンが動かなくなってしまう可能性が高いからだ。
アレも駄目これも駄目という感じだったので、Firefox 3.6以前では結局、他のアドオンに対して与える影響が一番少なそうなやり方として、いくつかのテクニックの組み合わせでそれっぽく見せるようにしてみた。
まずタブバーの幅を普通に増やす。
それだけだとコンテンツ領域が押し潰されてしまうので、そうならないようにネガティブマージンでappcontentあたりの幅を広げてレイアウトを維持する。
次にnsIContentViewerのmoveメソッドで描画内容をずらす。このメソッドは、フレームの内容の描画位置を任意の座標分平行移動する物だ。
仕上げとして、nsIContentViewerのmoveメソッドで描画位置を変えたせいでレンダリングされていない「タブバーと重なり合う部分」を、canvasのdrawWindowで描画する。 スクロールしてる場合やフルズームが使われている場合に位置をうまく合わせるのが難しいけど、なんとか頑張った。
ちょっと前までのMinefieldでも、基本的にはこれと同じ事をやってた。 tabbrowser要素の仕様変更のまとめで説明している通り、タブバーそのものはposition:fixedで固定して位置を合わせていて、かつてタブバーがあった所に挿入したダミーの要素と実際のタブバーとの表示サイズを同期させているという点が異なるけど、browser(iframe)とタブが重ならないように工夫を凝らしているという点では変わりはなかった。
そんな感じで今までやってたんだけど、Minefield 4.0b6preをアップデートして試しに機能をONにしてみたら、上記の解決策の重要な要素の1つである「nsIContentViewerのmoveメソッドで描画内容をずらす」が効かなくなってた。
これではタブバーの幅が変わる度にコンテンツ領域がガタついてしまうという問題を回避できない。
もはやこれまでか。そう思った僕を救ったのは、別の(ツリー型タブ)の不具合によって起こっていた現象でした。
先述の通り、Minefield用には既にタブバーをposition:fixedでレイアウトするという変更を反映してた。それが原因で、TabsToolbarの中に配置されたツールバーボタンが、タブバーが自動的に隠された状態であっても表示されたままになってしまうという現象が同時に発生していた。
……ん? ちょっと待てよ! なんでその位置にそのボタンが見えてるわけ?! browserの下に隠れてない!?
検証してみたところ、いつ行われた変更によるものなのかは分からないけど、Minefieldではいつの間にか、前述した「browserやiframeの内容は常に最前面に描画されてしまう。それらと重なる位置に置かれたXUL要素はbrowserやiframeの下に隠れてしまう。」という問題が起こらなくなっているようだ。
そこまで分かれば話は早い。もう前述のような凝ったことをしなくても、普通にposition:fixedで配置してbackground:rgba(0, 0, 0, 0.25)にすればもうそれだけで、「半透明のタブバーの下にコンテンツ領域が透けて見える」状態になるということだ。 こうしてひとまず現状のMinefieldには対応することができた。
いい時代になったものですね。
Bug 130078のおかげですね.
一方でアクセシビリティ方面で変更が必要になってますが.
http://mindforks.blogspot.com/2010/09/firefox-4-beta-at-vendor-alert.html
の末尾に2020年11月30日時点の日本の首相のファミリーネーム(ローマ字で回答)を繋げて下さい。例えば「noda」なら、「2010-09-11_positioning.trackbacknoda」です。これは機械的なトラックバックスパムを防止するための措置です。
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