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Chrome Extensions Manifest V3とFirefoxアドオンの死(の可能性) - Feb 04, 2019

1523784 - Set up analytics for https://extensionworkshop.com というbug(※bugzilla.mozilla.orgではシステム上でトラックされているタスクを一般的に「bug」と呼ぶ)でどうやら何かアドオン(拡張機能)作ってみましょう的なイベント?の準備が進められているらしいという事を、人から教えて頂いた。キャンペーンサイトの準備中バージョンらしき物を見てみると、絵が豊富で見た目とっつきやすそうな感じに仕上がってる印象で「ほほう」って思ったんだけど、アドオンの構造を図解してる部分でbackground script等の話が出てきてるのを見て、ちょっとキナ臭いというか不安というかそういう思いが頭をよぎった。

というのも、FirefoxのWebExtensionsというのはGoogle Chromeの拡張機能の現行の仕様(Manifest V2)をベースに作られてるわけだけど、他ならぬGoogleがManifest V3でbackground scriptの廃止などのかなり大きな変更をしようとしている状況で、この内容で大々的にリリース打って大丈夫なのか? と。

だって、このキャンペーンサイト(多分)の内容を素直に受け取ると「WebExtensionsのAPIを使ってアドオンを作ろう。他のブラウザにも移植しやすいよ。」というような話になってると思うんだけど、いやちょっと待ってくださいよ。Firefox向けにWebExtensionsでアドオン作っても、Google ChromeがManifest V3に移行しちゃったら、それ動かないじゃんすか。っていうかChromeがManifest V3に移行するってことは当たり前だけどChromiumもManifest V3になるってことで、ということは、Chromiumベースのブラウザも(各ベンダがどう思ってるかに関係なく、強制的に)全部Manifest V3に移行するってことじゃんすか。次期EdgeもOperaもVivaldiもKinzaもみんなManifest V3に行っちゃって、そしたらChromiumベースでないFirefoxだけ置いてけぼりじゃんすか。

つまり、ChromeのManifest V3移行は、ちょっと前に騒がれてた「Chromeの拡張機能の大量死」という影響だけでなく、Firefoxにとっては「大多数の開発者にとっての、(Manifest V2互換の)WebExtensionsでFirefox用アドオンを作る意義の消失」という影響を及ぼすのではあるまいか? という事に、遅まきながら気付いたわけです。

昨年のTokyo WebExtensions Meetupに参加されていた方が実装上困っておられた事について「Firefoxでは(Chromiumに無い独自拡張の)APIがあるから、Firefox向けにだけちょっと便利にするみたいなことはできるよ」的な話をしたら、「いやあ……Chromeで使えないんじゃ、その機能は使えないですね……」と敬遠された時に、改めて思い知ったのですよね。ああ、WebアプリやWebページを作る人達だけじゃなくて、ブラウザを拡張するという拡張機能を作る人達にとっても、いまや「ふつうはChrome」であって「Firefox対応はオマケに過ぎない」んだな、って事を……

FirefoxのWebExtensionsはいまのところManifest V3に追従する予定はないみたいな話をどっかで又聞きした気がしてますが、いやいやそんな悠長なこと言うとれんやないですか。ツリー型タブを実装できなくなるからManifest V3に完全移行はしないで欲しいけど、Firefox一人だけ置いてけぼりを食らわないためには、オプションとしてでもManifest V3に対応は絶対しなきゃいけないじゃないですか。

ほんとどうなるんだこれ。

 

難しい事は脇に置いて、「アドオンを作る人」「ベンダが提供しているUIに気に入らないところがあってイラッてなったときに自分で手を動かして解決したい人」という立場から「こうだったらいいのに」という事を書き留めておきますと、

  • ブラウザ本体が提供するUIが気に食わない時に努力次第でゴッソリ置き換えられる余地は欲しい。(Tree Style TabやVimiumのような)
    • こういう物を実現するにあたっては、筋の良い設計にしようとするとどうしたって「永続的なバックグラウンドプロセスが全体を統括する」という設計になるので、それができる余地は欲しい。
    • 常時見える状態で画面上の領域を占有できる余地は欲しい。現状で言えばSidebar APIはその代表例。
    • この点で、「サイドバーみたいなものは不要」「拡張機能は原則として一時的に呼び出されすぐ終了する物であるべき」「UIの領域においそれと踏み込ませたくない」みたいな設計者達の思想が強く表れているGoogle Chrome、そしてそのChromeの設計に強く引きずられたあまり永続的なバックグラウンドプロセスまで廃止してしまう(と自分には読めた)Manifest V3は、自分が欲している物とはかけ離れている
  • サイトごとの権限と機能の権限は、確かに別々に記述できるべきだと思う。Manifest V2/現行WebExtensionsのpermissionsの書き方はあまりにダサイ
  • フィルタリングを宣言的に簡単に設定できることは、単純に良い事に思える。
  • 現行のwebRequestのような「クライアントサイドでリクエストやレスポンスの書き換えを任意に行える機能」は、新しい事をやる余地を残すために必要だと思う。
    • ただし、現状のようにシレッと他の権限と一緒に一言だけの注意書きで確認を求められる程度ではなく、「黄色と黒の縞々」みたいな禍々しい外観で激しく警告するような事は必要だと思うし、もっと細かく権限の段階を分けた方が良いと思う。
    • このページは拡張機能の何々によって内容が改変されています、みたいな警告をロケーションバーあたりに表示しておくというのもありかもしれない。
  • 総じて、自己責任で愚行権を行使できる余地は認められていて欲しい。警告も何も読まず、危険な物をホイホイインストールして、重くなったとか不安定になったとか言う、自分がやっている事の意味を自分で分からない・分かろうとしないような人のことまで手厚くケアする必要は無いんじゃないの? そういうのが欲しい人はApple製品を使うのが筋だと思う。技術屋が高級ブランド家電屋になろうというのが無理がある。

という風な事を自分は思っています。

分類:Mozilla > XUL, , , , , , , 時刻:01:14 | Comments/Trackbacks (0) | Edit

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の末尾に2020年11月30日時点の日本の首相のファミリーネーム(ローマ字で回答)を繋げて下さい。例えば「noda」なら、「2019-02-04_manifest-v3-and-firefox.trackbacknoda」です。これは機械的なトラックバックスパムを防止するための措置です。

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