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液晶ペンタブレットを使った(PCに接続して) - Jan 21, 2014

液晶ペンタブレット買った話と、Androidモードで使った感想の続きで、運用編その2です。

正月休みが終わって帰宅し、いよいよデスクトップモードでの本格利用です。Androidモードの感想は「液晶ペンタブレットという未体験の入力装置の感想」でしたが、こちらのエントリは「Intuos 4と比べてどうなのか」という話がメインです。

接続と配置と姿勢

Cintiq Companion Hybrid導入前は、こんなでした。 (今までの作業環境の様子) イスに座って膝の上にIntuosを置いて、机に立てかけて保持しながら作業する感じでした。

導入後は、こうなりました。 (Cintiq Companion Hybrid導入後の作業環境の様子) 机に直置きしたCintiqを正面(真上)から覗き込む感じで、例によって顔を画面に近づけて背中を丸めて作業しています。Cintiqは直置きじゃなくてライトボックス程度の角度を付けて置けたらより良さそうな感じなのですが、グラつかせずにそういう角度で固定する方法を今のところまだ見つけられておりません。

(6月25日追記:その後、滑り止めが付いたビーズクッションの小さいやつみたいな感じでフレキシブルに形を変えられるタブレットスタンドの「MOGU」の10インチ用モデル(主にiPadなどを想定している模様)を試してみたらサイズも角度もぴったりだったので、今はMOGUに立てかけて、30°〜45°程度の角度を付けて使用しています。)

Cintiqは3番目のディスプレイとして認識されていて、プライマリディスプレイ(EIZOの17インチ)の左に行けばサブディスプレイ(15インチ)があり、プライマリの下に行けばCintiqがあるという、論理的にも写真の通りの配置になってます。 (Windowsのコントロールパネルでの表示) 物理的には一番小さいCintiqの画面がピクセル数的には一番大きいですね。

最初は、キーボードを奥に・Cintiqを手前に置いて、Cnitiqの下にスタンド代わりに漫画の本を何冊か重ねてみていたのですが、グラグラして安定しないし、ケーブルがキーボードに当たって知らん間に打鍵されてしまうし、キーボード操作をしたり文字入力をしたりするのに邪魔だしで、写真のような配置に落ち着きました。文字入力は相変わらずやりにくい(右の画面を見ながら左のキーボードを打つという奇妙な体勢になる)のですが、最初よりはずいぶんマシです。下描きの前にコマ割りと台詞割りをだいたい決める時や、作画が終わった後の編集工程では、というか絵を描く時以外はCintiqは外してます。

あと、見ての通りCintiqは縦長の画面として設定してます(ボタンが手前に来る配置)。これは、描く絵の内容的に縦長の方が都合がいいからです。ケーブルの長さの制限がなければボタンが上の方がもしかしたらいいかもしれませんが、この辺は好みでしょうか。

買ってきたビデオカードには、当初は3つの端子(DVI、D-sub 15pin、HDMI)にそれぞれディスプレイを繋げてみたのですが、それぞれの認識順が固定されているらしく、HDMIにCintiqが繋がっている時はCintiqが2画面目・サブディスプレイが3画面目になり、外すとサブディスプレイが2画面目に繰り上がる、という事になってしまいました。これだとサブディスプレイに置いているThunderbird等のウィンドウがしょっちゅう場所が変わってしまって鬱陶しい事この上ありません。

ネットで情報を検索したら認識順ばかりはもうどうしようもないらしく、一縷の望みをかけてHDMI(Cintiq)だけオンボードビデオのHDMIの穴に繋ぎ替えた所、今度はCintiqが常に3画面目になるようになり、気軽に抜き差ししても困らない状態となりました。せっかく3画面出力できるビデオカード買ったのに……これなら2画面出力までの安いやつでよかったんやん……

極端にズームしなくてもよくなった

意識してあまり激しくズームインしないようにしていたというのもありますが、作業時のズーム率は大きく下がりました。先の写真ではビフォー・アフター共に同じコマを映していますが、Cintiqではこのサイズでペン入れできました(細部の描き込み時は拡大してますが)。本誌掲載時のサイズに対して等倍~2倍程度でしょうか。

狙った所に狙った通りの線を引きやすくなった

Cintiqを買う前の経緯に書きましたが、僕はIntuosで作業してた時はとにかく画像を拡大しまくっていました。というのも、 (下描き) こういう下描きがあった時に、 (理想の線) このようにペン入れしたいと思っているのに、膝の上のIntuosの上で何も考えずにさっと腕を動かすと (激しくずれた線) 画面上ではこんな風にあらぬ位置に線が引かれてしまうのです。 また、かといってゆっくり丁寧に線を引こうとすると、(ツールによる補正があるとはいえ) (ヨレヨレの線) こんな風にヨレヨレの、勢いのない死んだ線になってしまいます。

そのため、狙った位置にピッタリ合うまで描いては消し描いては消しを繰り返すか、(ベクターレイヤを使うようになって以降は)ズレを気にせずとりあえず勢いのある・ヨレていない綺麗な線を描いてから後で線編集で狙った位置に合わせるか、という非常に面倒な事をしていました。特に顔の輪郭線なんかはまず狙った通りの線を一発では引けないし、線を2回に分けて描いたりなんかすると繋ぎ目になる所がピッタリ合う事はまず無いので、ほとんど毎回、線編集のお世話になっていました。

極端にズームインした状態でこれをやると、多少腕がふらついて線が画面上で1ミリ2ミリずれてしまっても、縮小した時には0.1ミリとかそういう世界になってしまって目立たなくなるので、描いたままで使える線の率が上がります。そういうわけで、僕は最近ではすっかり、極端にズームインした状態での作業が多くなってしまっていたのでした。

また、ズームインしていない状態で線を引くと、線のふらつきが1ピクセル以下のオーダーで残っていても気がつかず、印刷されると解像度が上がるので線のふらつきがはっきり見て取れてしまう、という事への恐れもありました。

これでは、ペン入れ工程では同じような作業を延々繰り返す事になるため、ストレスを強く感じてしまいます。

それに対して、Cintiq上でのペン入れでは、脳内の腕の動きのイメージと実際の腕の動きとをぴたりと一致させやすく、極端にズームしていなくても狙い通りの線を引きやすいと感じました。線を2度に分けて引く時も、ちょっと気をつければフリーハンドで線を繋げられました。むしろ、原寸に近いサイズでの作業では細かい線編集の方がやり辛かったほどです。

全体のバランスを見ながら描きやすくなった

極端にズームしなくてもよいため、描いているキャラの全体像を常に一望しながら描けるようになりました

実際には、描き込んでいる時は顔を画面にかなり近付けているのですが、全体を眺めるのに今までは一々ズームアウトの操作をしなくてはならなかったのが、Cintiqでは自分の体をちょっと起こすだけでズームアウトと同じ効果が得られます。おかげで頭身などのバランスの崩れにも気がつきやすくなりました。

その結果、手直しの手間が減ったという印象があります(計測したわけではないので、あくまで「気がする」という話ですが)。今までは、ペン入れが終わった後で「さあ全体を見てみよう」とズームアウトして、その時初めて「あれ、これ脳勃起じゃね……?」「う、なんでこんなに頭がでかくて体が小さいんだ……これじゃ子供じゃないか……」と気がつき、選択&変形を駆使して慌てて修正するという事が度々あったのでした。

影の表現をダイナミックに付けやすくなった

極端にズームインした状態だと、陰影を付けるのにもついつい、ちまちまとした付け方ばかりをしてしまいます。ズームインした状態だとこれで十分かな?と思えても、ズームアウトすると(実際に印刷されると)、さっきあれだけ気を使って塗った物がたった数ピクセルに圧縮されてしまい、それ以外の大部分は手つかずのために、全体としてはなんだかのっぺりした単調な絵だなあという印象になってしまいます(実際、そのような感想を頂いてしまいました)。余裕があればさらに修正できるのですが、余裕がないと直しきれないままになってしまいます。

極端にズームインしなくても作業できるようになったことで、「まずは大きな陰影を付けて、次に細かい所に入っていく」という事をやりやすくなりました。 (過去の回と、Cintiqで描いた回との比較) 左はIntuosで作業した回、右はCintiqで作業した回(次回分)ですが、影の付け方のメリハリに結構な差が出ています。髪や袖のあたりが分かりやすいでしょうか。まあ、このあたりは液晶ペンタブでなくても気をつけさえすればできる事なのかもしれませんが……

総じて、ストレスが減った(気がする)

以上の通りのメリットを得られた結果として、作業のストレスが大幅に軽減された印象があります。今までは、極端に言うと「ペン型の入力装置を使って画像を編集する」という作業であったのが、液晶ペンタブレットではまさしく「ペンで画面に絵を描く」という感覚になった、と感じています。

あと、疲労度が下がった気がします。少なくとも僕は、物理的に大きい絵を何枚もたくさん描くのと小さい絵を同じ数描くのとでは、小さい絵の方が精神的に楽なようです。また、物理的にも腕を動かす量が小さくて済みますし。極端にズームした状態で漫画を描くというのは、大きなサイズのイラストをコマの数だけ描くようなものですので、いろんな意味で疲れます。

ただ、そう感じるのは単に今までと違う作業フローになったことで新鮮に感じているだけなのかもしれません。本当に労力削減に繋がっているのかどうか、絵の質が向上しているのかは、今後も継続的に振り返りを行っていかないと正確な所は分からないです。しばらく経ってみて「こいつ、あんだけ偉そうにああだこうだ言ってたくせに、液晶ペンタブになってから劣化してく一方だな」なんて事になっていないことを祈るばかりです。

キャリブレーションしても描画位置がずれる→ComicStudioの設定の問題だった

Cintiqは、画面の四隅をタッチしてキャリブレーションを行いペンの位置の認識精度を高めることができます。画面を回転させた時など、キャリブレーションしてないとペン先から何ミリもずれた所に線が出たりしますので、キャリブレーションは絶対に行う必要があります。

ところが、いくらキャリブレーションしてもComicStudio 4では激しく線がずれる……むしろキャリブレーション前より酷い。これはどういう事かと悩んでいたのですが、よく見たら、ボタンやメニューを操作する時のペン先のタッチ位置はずれていないのに、キャンバスの上に線を引く時だけずれていました。そこでComicStudioの環境設定を見てみた所、「タブレット・デバイス」のパネルに「タブレット座標を使用しない」という怪しげな項目があるではないですか。これのチェックを入れてComicStudioを再起動してみた所、無事、正しい位置に線が引かれるようになってくれました。

ポインタは限りなく非表示に近い状態にした

Androidではポインタを消した方が快適だった(ポインタを目で追ってしまうと逆に疲れた)ので、こちらでも似たような設定にしました。といってもComicStudio 4ではポインタ完全非表示というのはできないようだったので、選択できる中で一番小さいポインタを選ぶということになるのですが。

僕はとりあえず、ポインタを凝視せずにさっさか描く時に使うツールである鉛筆、ベクターペン、消しゴムの3つについてだけ、ポインタを最小の物に変更しました。選択ツールや塗りつぶしツールなどは正確な位置を指示したいので、デフォルトのままです。

この設定、ペンを使ってる時はいいんですが、マウスに持ち替えてメイン画面の方の操作をちょっとやりたいなあという時に、ComicStudioのウィンドウの上にポインタが乗っかるとどこにポインタがあるのか分からなくなってしまうのが難点ですね。何かいい方法があればいいんですが……

Tab-Mate Controllerが活躍していて、タッチ機能はOFFに

タッチ操作が可能ということでCintiq 13HDではなくCintiq Companion Hybridを選んだのですが、結論から言うと、見出しの通り作業中はタッチをOFFにして使ってました。つまり、実売価格で何万円か安いCintiq 13HDでも十分だったなあ、ということです。なんじゃそりゃ!!

誤爆のわりに報われない

何故そうなってしまったかというと、端的には、タッチの誤爆が多かったからというのが理由です。AndroidモードでLayerPaint HDを使っていた時でもちょくちょくあったのですが、掌底? っていうんですか? チョップで相手に当てるような部分? とにかく手が画面に接触した状態のままでペン先を浮かせてメニュー項目を探したりツールボックス内のボタンを探したりしていると、「ペン先が画面の近くにある時はタッチを無効にする」仕様の閾値を超えてしまうことがままあり、そうするとその瞬間に、手が当たってる位置でタッチ操作が行われたと認識されてしまいます。そのせいで、僕の場合は気がつかないうちにレイヤの順番を入れ替えてしまっていたり、アクティブなレイヤが切り替わってしまったりしていました。

そんな誤爆があったとしてもタッチ操作が便利に使えるのなら良かったのですが、僕が使っているComicStudio 4では一部のジェスチャにしか対応していなくて、ピンチイン・ピンチアウトでの拡大縮小はできるものの、一本指でも二本指でもパンスクロールができませんでした(三本指スワイプに機能を割り当てる系のジェスチャは使えましたが、これはショートカット的な利用法しかできません)。これではメリットよりもデメリットの方が大きいので、諦めてタッチ機能はOFFにしてしまいました。

パンスクロール

ただ、パンスクロールができないのは不便でしょうがないので、あまり使っていなかったペンの第2ボタン(でいいのかな? サイドスイッチのテール側です)に対してスペースキーのストロークを割り当ててみました

ComicStudio 4はスペースキーを押している間は一時的に手のひらツールになる仕様なので、これで、第2ボタンを押しながらペンを動かせばいつでもパンスクロールできるようになります。僕はこの操作にすっかり慣れてしまって、AndroidでLayerPaint HDを使った時にも2本指ジェスチャでのパンスクロールが億劫になってしまうほどでした。

その他のハードウェアボタン

Cintiqの物理ボタンには自由に機能やキーストロークを割り当てられるのですが、とりあえずタッチ操作ではカバーできなさそうな物をということで以下のように割り当ててみています。

  • Ctrl-A(全選択)
  • Ctrl-D(選択解除)
  • Ctrl-T(変形)
  • Ctrl-S(保存)
  • Ctrl-Z(アンドゥ)→円形ボタンのうち2つ
  • Ctrl-Y(リドゥ)→円形ボタンのうち2つ

円形ボタンの中央にはタッチのON/OFFを割り当てましたが、そもそもタッチを使わないとなるとこれも変えた方がいい気がしてきています。

これだけ割り当てておけば十分かなと思っていたのですが、実際に作画に使い始めてみると、Ctrl-Shift-I(選択反転)やCtrl-U(描画色で塗りつぶし)など他にも使いたい物が色々出てきてしまいました。今はそういうわけでキーボードと併用しています。一杯ショートカットを割り当てられる専用の左手用コントローラ、という物を導入するのも手だとは思うのですが、またお金かかるなあと思うと尻込みしてしまいます。

Tab-Mate Controllerは液晶タブレットで真価を発揮するっぽい

タッチOFFで使うと割り切ることができた理由の1つには、Tab-Mate Controllerが手元にあったからというのもあります。オリジナルモードだと拡大・縮小、アンドゥ・リドゥ、そして(これはあまり使わないけど)スポイトがそれぞれ1ボタンで操作できるので、一番よく使う操作についてはこれでなんとか事足りました。

ただ、そうすると左手はこれを握りっぱなしになるので、左手でCintiqをホールドして描くという使い方はできなくなります。最終的にCintiq本体を机の上に直置きするようにしたのはそれが一番大きな理由です。

あと、Intuosで作業していた時にはジョイスティックでのスクロールは過敏すぎて使えない!!という感想でしたが、Cintiqで使ってみたらなんだかそれほどでもなく、パンスクロールすら面倒な時には結構便利でした。あの過敏っぷりは、高解像度の画面で使った時にちょうど良くなるように調整されていたということなのでしょうか。左手をTab-Mate Controllerのために自由に使えるようになっていないといけない=入力装置を左手でがっちりホールドするような使い方の環境では使えない=左手が空くのは入力装置がそれ自体でがっちり安定した状態に固定されている場合だけ、と考えると、高解像度の液晶ペンタブ向けにチューニングされていてもおかしくはないな……と、今頃気付いたのでした。

気が散らなくなった

冒頭の写真のような設置の仕方でCintiqの画面を凝視していると、メインディスプレイもサブディスプレイも完全に視界の外になってしまいます。ということで本来特に意図していたわけではなかったのですが、作業中に目の前にはCintiqしかないという状態になるので気が散らなくなるというメリットもありました。今までだったら、作業用BGVのつもりで流していたパシリムの香港戦のシーンについ見入ってしまうなんて事もあったので、それがなくなったというのも作業効率アップの原因かもしれません。

ちなみに、DVDやBDの再生にはPowerDVDを使っているのですが、なんとPowerDVDは1つでも縦長のディスプレイがあると起動できない仕様なのだそうです……なので、今のところは諦めて、Cintiq接続中はMedia Player Classic Home Cinema(MPC-HC)を使っています。

ウィンドウの位置の問題

普段はCintiqを外しておき、絵を描く時だけ接続する、という使い方は、ウィンドウの最後の表示位置を覚えるアプリケーションと相性が悪いです。例えばワコムタブレットのプロパティのダイアログをうっかりCintiq側の画面に置いたまま接続を切ってしまうと、次にタブレットのプロパティを開いても、デスクトップの外に開かれてしまって操作できず、詰んでしまいます。

また、ComicStudio 4のパレット類もウィンドウの位置を記憶するため、Cintiqを使った後にメイン画面で続きの編集作業をやろうとすると、ツール類が画面外に吹っ飛んだままになってしまいます。とりあえず今は、Cintiqの有無が変わった時には「ウィンドウ」→「パレットの整頓」→「位置を初期化」で強制的に同じ画面にパレットを集めるようにしています。「整頓」で戻す方の配置はCintiqで使う時の物にしてます。

ペンはIntuos 4の物を流用

ペンはIntuosと互換性があるとのことなので、Intuos 4の物をそのまま使い続けています。こいつがもし壊れても大丈夫なように、Cintiq付属のペンは外出時用および予備という扱いで温存しています。

ちなみにこのペンなんですが、軸の所のゴム?をIntuos 4に付いてきた極太の物に変えた上で、サイドスイッチも使えるように改造した物です。 (ペンの写真) サイドスイッチが通るようにゴムを四角く切り抜いたのと、サイドスイッチにゴムを貼り付けたのとを合わせて、極太の軸の一部分だけがスイッチになってるみたいな感じで使えるようにしています。僕が筆圧が強すぎてしょっちゅう中指が痛くなるので、このほうがもしかしたら楽なんじゃないか?ということで使ってるんですが、実際の所効果の程は不明です。これ使ってても結局指は痛くなってるし……

ドライバの設定がよく消える気がする

スリープからの復帰でペン先のポインタがぷるぷる震えて認識されるようになる、とか、ドライバの設定が消失してしまう、とか、僕の環境ではドライバ回りが微妙に不安定な感じです。

Cintiq Companion Hybrid付属のバージョンのドライバではユーティリティを使ってドライバの設定のバックアップと復元を行えるようになっていたので、安全のためにも、ボタンの割り当てを変更したりとかのカスタマイズの後は毎回バックアップを保存しておく事を強くお勧めします。

発熱

練習のためのテキトーな一枚絵と違い、複数ページに渡る漫画を作画し続けていると、さすがに発熱してきます。とはいえ、今が冬だからかもですが、熱くなったといっても「あー、ぽかぽか暖かいな……」程度でした。火傷するほどではなさそうです。

夏になったらどうなるのかは気になるので、その時にはまた追記するかも。

(6月25日追記:夏が近づいて、大型モデルだとそろそろアチチな感じで辛いという人が出てきているようですが、僕の場合は今のところ大丈夫な感じです。)

手が邪魔

ペンタブから液晶ペンタブへ、というと、ペンを持つ手が絵を隠してしまって邪魔なんじゃないのかってのは当然思う心配事だと思います。僕も心配してました。

実際使ってどうだったかというと、うん、やっぱ手が邪魔です。手が透明になる光学迷彩とか欲しい。外科手術の現場で、手の上に幹部の写真を投影することで手が透明になったように見せる技術とかあるらしいけど、そういうの欲しくなります。

とはいえ、ここまで書いた通りそれを補ってあまりあるメリットがあるので、この点は僕としては問題にならないと思いました。ペン先が見えにくければ、覗き込むようにすればいいだけの話ですしね。

総評

一度使ったらもう普通のペンタブレットには戻りたくない……

Cintiqの後にもう1度Intuosを使ってみたのですが、あ、これはもう戻れんわ、と思ってしまいました。普通のペンタブレットの作業に慣れていて、それしか知らなかった時は、ペンタブレットいいじゃんって思ってたんですが、Cintiqで1本漫画を描いた後でまたIntuosに戻ってくると、「なんだこれは……今までこんなので僕はどうやって絵を描いてたんだ……」となってしまいました。

僕は年数的には紙の上に美少女を描いていた時期よりもペンタブレットで画面上に描いていた時期の方が長いので、Cintiqにちゃんと移行できるのだろうか?という不安がかなりありました。フルデジタルに移行するためにペンタブレットで思った通りの線を引けるようになるのにもそれなりの慣れが必要だったので、これからまた新しい道具(液晶ペンタブレット)の使い方を覚えられるのだろうか、アナログで描いていたプロの人が液晶ペンタブに移行するのよりも、ペンタブレットでのフルデジタル作業に慣れきった人間が液晶ペンタブに移行する事の方が実は困難だったりしないだろうか、思ったような「可愛い女の子の絵」を描けなくなってしまうのではないか、そんな不安がものすごくありました(可愛い女の子の絵を描きたい!描けなくなると嫌だ!ということではなく、連載に支障をきたすのは非常に困る、という理由だったんですが)。

でも実際使ってみると、その心配は杞憂でした。自分ちに持って帰って真面目に何枚か絵を描けば、液晶ペンタブというツールの特性にはすぐに慣れます。アナログからペンタブレットでのフルデジタルに移行した時よりも早かったくらいかもしれません。

Cintiq 13HD/Cintiq Companion Hybridの困った点

ここまでCintiqをベタボメしてますが、不満点もあります。

最大の難点はやはり物理的なサイズの小ささです。取り回しの良さという意味ではこのサイズは大変魅力的(兼業とか趣味とかのレベルでも導入しやすい)ですし、漫画の1コマ単位で描く分にはちょうどいいんですが、大きなサイズのイラストを細かい所の描き込みまで含めて原寸に近いサイズで描きたいと思うと、もう一回り大きいのが欲しくなってきます。せめてA4サイズ、欲を言うと17インチくらいは……(でもこれより上になると一気に20インチ台になってしまうし、仮にミドルレンジの物が出たとしても重量がやっぱり大変なことになりそうだし、実現は難しいでしょうか。)

あと、タブレットの描画面以外の所のサブ的なインターフェースがIntuos 4に比べると貧弱なのも、地味に痛いです。特に、タッチパッド式の小さな入力インターフェースはやっぱ便利なんですよね。絵を描く領域で同時にタッチ操作も受け付けようと思うと、どうしたって誤爆は避けられませんから、心置きなく操作のために使える領域があると嬉しいのです。まあ上位モデルのCintiqにはちゃんと付いているので、これは小サイズのCintiq Companion Hybridだから仕方ない点ではあるんですが。

どのモデルを買うべき?

以上の事を念頭に置いた上で、ComicStudio 4を使ってる人が液晶タブレットデビューするなら、Tab-Mate ControllerやPS3のナビコン設定手順の解説)その他の左手用コントローラを組み合わせてCintiq 13HDを使うのが良さそう、というのが僕の感想です(ゲーマー向けの製品も含めると色々あるようです)。CLIP STUDIO PAINTだったらタッチ操作との親和性に問題なしと思われますので、Cintiq Companion Hybridを選択肢に入れて良さそうですが、タッチの誤爆のせいで結局僕みたいになりそうというのが心配であれば、13HDと左手用デバイスの組み合わせで何ら問題ないと思います。

というのも、Cintiq 13HDを蹴ってCintiq Companion HybridやCintiq Companionを選んだところで、作業効率とか絵の上手さとかが劇的に向上するわけではないだろうというのが今の僕の見解だからです。

そもそも、実際に僕がIntuos 4から液晶ペンタブに乗り換えた事でどれくらい作業効率が上がったのかというと、平日に会社員やりながら夜中と土日で6ページの漫画を下書きから仕上げまで作画するのに、今まで2週間くらいかかってたのが、1週間半くらいで終わったという程度です(もっと慣れればもう少し作業時間を短縮できるかもしれませんが)。先の例の画像を見れば明らかですが、絵の上手さも特段向上した訳ではなく、今までの環境でも時間をかけて丁寧にやりさえすれば到達できたであろうクオリティです。僕のようなレベルの人間が液晶ペンタブのために8万円とか12万8千円とかを投じて得られるものは、要するに、毎月1回程度の土日が自由になるとか1時間長く寝れる日が週に2〜3日ほど増えるとかいう程度の「時間」なのです。

(振り返ってみれば、コミケ会場でWacomの営業の人に詳しい話を聞いた時にも、「作業効率の劇的な改善は望めませんが、使った人はみんな、ストレス無く作業できるようになったのが良かったとおっしゃっています」という感じのことを言ってました。実際使ってみて、やっぱりその通りだったなということですね。)

で、そこで1.5倍とか2倍かの金額を上乗せして手に入るのは、約2㎏の重い・デカいタブレット端末です。持ち運んで遊べるとはいうものの、普通に売ってるカバンには入りませんから、そのまま手で持っていくか、もっとデカいカバンを持つ必要があります。でも2㎏って結構肩に来ますよ。僕なんか、キャリーバッグに入れてガラゴロ引っ張っていくくらいでもいいかもしれないと思ってます。出先で気軽にデジタルスケッチと言うには、それなりに気合いがいります。

しかも僕の場合は、「連載が続いてくれれば頂いた原稿料で元を取れるだろう」という目算があっての液晶ペンタブ導入です。大幅な黒字が見込めるわけでもない(むしろ赤字気味の)同人活動しかやってなかったら、液晶ペンタブの導入すらしてなかったかもしれません。Cintiq 13HDの「実売の最安値価格帯で約8万円」というのは、僕としては、完全な道楽のために出せる金額のギリギリ上限ややオーバー気味という感じです。

だから、ちょっとばかし便利だからといってCintiq 13HDよりもCintiq Companion HybridやCintiq Companionやさらに上位のモデルのCintiqを気軽に人にお勧めするというのは、なんか違うなあ、と思うのです。初めての液晶ペンタブとして導入を検討する際は、そういったあたりの事をよーく考えてから納得のいく結論を出すべきです(偉そうにすみません)。

逆に言うと、絵を描く事が何らかの形で収入に繋がる人や、数万円から十数万円程度の支出であれば痛くないという豪気な人であれば、液晶ペンタブは迷わず導入していい物だと思います。液晶ペンタブというデバイス自体についてちゃんと使い物になるのかどうか不安があって、いきなり20インチとかのでかい物を据え付けるのに抵抗がある、という感じの心配性な人にとっては、液晶ペンタブデビューを飾るのにCintiq 13HDとその系列製品はちょうどいい選択肢だと思います。

それに、まあなんやかや言っても、今までよりも低ストレスでデジタルお絵描きできる環境が手に入るというのは、やっぱり嬉しいものです。より短い時間でより多くの絵を描く事ができれば絵を描く事自体をもっと楽しめる、そういう考え方はあって、重くてもデカくても、その楽しさというのは文句なくプライスレスです。楽しみのための出費をケチケチしててもしょうがないですよね。

以上、3エントリに渡って長々とお送りしてきました、Cintiq Companion Hybridレビューなのでした。


後から知ったのですが、「うぶんちゅ!」の瀬尾さんもCintiq移行時のレビューを書かれていたのですね。結論が似ていて、やはりこれは普遍的な話なのだなあと思った次第です。

分類:, , , , 時刻:22:52 | Comments/Trackbacks (1) | Edit

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グラつかせずに固定するのには、耐震ジェルのようなものを使ってはどうでしょうか。

Commented by NLS at 2014/01/21 (Tue) 23:42:43

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