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エントリ書きかけの状態でうっかりタブ閉じたか何だったかで書きかけの文がどっか行っちゃって、書くの忘れてた。
コンテキストメニューの展開が場合によってはとんでもなく遅くなる問題については、一応の解決を見たというかこれ以上は自分の頭では速くできないなあという所まで行き着いた感じ。やったことはというと、メニュー展開時には最初と最後のURI文字列だけ検出して、それ以外は実際に操作を確定するまで検索しないようにしたっていう、実に単純なアレですハイ。すぐに処理を打ち切るようになったから選択範囲の大きさはもう影響しなくて、選択範囲の始点(終点)からその中に含まれる最初(最後)のURI文字列までの間にあるURIっぽい文字列の数によって、遅くなるかどうかが決まるという感じになりました。
その関係で、メニュー項目をポイントした時に選択範囲に含まれてるURI文字列をツールチップで列挙するにあたって、ツールチップの内容をちょっとずつ更新するようにした。これにはJavaScript 1.7以降のyieldを使っていて、yieldがあったからこれができたと言っても過言ではない……と思う(Firefox 2未満を切り捨ててなかったらこの決定はできなかった)。とにかくみんなyieldをもっと活用するべきだよ! と今更ながらに推してみたりして。
細かい事だけど、「一部だけ選択されてるURI文字列」というのを考慮するにあたって、選択範囲の境界がURIに含まれうる文字である場合は、URI文字列らしき文字が出現し続ける間Rangeを前後に拡張する、という風に考え方を変えてみた。今までみたいに固定の文字数で前後にRangeを拡張するのと違って、ある意味では無駄なくURIを検出できるようになったんじゃなかろうか。オーバーヘッドの大きさで相殺されちゃってる気もするけど。
某スレで僕がtextLink.uc.jsの普及を阻害している!これは陰謀だ!的な書き込みがあって吹いた。どっからそんな発想が出てくんだ。……と思ったけど、よく考えてみたら確かに前々からuserChrome.jsスクリプトにはどちらかというと否定的というか批判的な発言をしてきてるから、そういうことをやりかねないと思われるのも無理はないのか。(ちなみに、改めて言っとくと、本来userChrome.jsを使うのに相応しくない知識レベルの人がホイホイ使ってドツボに嵌る事とか、自動アップデートのできないスクリプトをそういう人のために作ったり配ったりする事とかに対して僕は否定的なのであって、全部織り込み済みで使う人や、技術者レベルの人向けにしれっと公開する事とかについては、僕がとやかく言う筋合いではないと思ってますよ。)
で、そういえばちゃんと中を見てなかったなと思ってtextLink.uc.jsを見てみたんだけど、networl.enableIDNがtrueだったらフツーに全角英数字で書かれたURIを読み込めるってマジすか! ってか試したら確かにいけてビビった。これって国際化ドメインの仕様? 無い知恵絞って一生懸命変換ルーチン書いたのは全くの無駄だったのか……今更だけど激しい徒労感に襲われました。あと、もしかしたら前にも書いたかもしれんけど、nsIFindを使わないというアプローチに自分は気付いてなかったので、こういうやり方があったのか……と唸ってしまった。まぁ、選択範囲の複数のURI文字列を収集するという風な事をやろうとするとこのままではうまく行かなさそうなので、今の方法を全面的に捨てた方がいいとまでは言えないみたいなんだけど。
そういえばbox-shadow(-moz-box-shadow)が使えるんだったなと思って、Firefox 3.1……じゃなくて3.5以降ではツリー表示したタブに影を付けるようにしてみた。
「新しいタブ」ボタンの影だけは背景画像です。
ページ全体を選択したりしてるとコンテキストメニューの展開が遅くなる件について、処理を色々スキップするようにして、だいぶ速くなった。
やってることというのは、メニューを表示する時に毎回選択範囲の中のURIを全部検出するんじゃなく、選択範囲の中で最初のURIっぽい文字列と最後のURIっぽい文字列だけ検出するようにするという変更。ツールチップで全部のURIを表示する機能はなくさざるを得ない、あるいはプログレッシブ表示みたいな感じになると思う。
で、テスト用に使ってるページでは、最初のURIの検出に約300ミリ秒、最後のURIの検出に500ミリ秒程かかってる。合わせて大体1秒近いので、まだ結構重たい。Venkmanでプロファイルを取って見てみた感じでは、1つ1つの処理は20ミリ秒とかそのくらいなんだけど、それが何十と重なってトータルでこの重さになってる。
「URIっぽいんじゃね?」と思われるものの実はURIではない、という文字列(例えばHH:MM:SS形式で示された時刻やid:XXXXなど)の数が多いとこうなってしまう。URIっぽい文字列の検出条件を厳しくすれば回避できる(例えばXXX://で始まってない物を除外するようにすれば先の例はすべてスキップできる)けど、それはちょっとやりたくない……
逆に考えるんだ。自動テストのおかげでリグレッションがこのレベルにおさまってると考えるんだ。
いや実際これがなかったらほんとに日に5回6回はアップデートすることになってたかもしれんですよ。いつかの頃みたいに。
コンテキストメニューやダブルクリックがめちゃめちゃ重くなることがあったのは、呆れる位しょうもないミスのせい。「クリック位置の前後のテキストからURIっぽい文字列を探す」時に、部分選択されたURIの全体を取得するために、一定の文字数に達するまで前後にRangeを広げるようになってるんだけど、この時にループを回す方向を逆にしてしまってて、一番近いノードじゃなくて一番遠いノードから数えてた。そりゃ遅くもなるって。ログによると18日の変更によるリグレッションだった。
改善されたとはいっても原理的に若干のもたつきは避けられない(特にページ全選択した状態でメニュー開いたりしたらやっぱり死ぬ程時間かかる)んだけど、まあ、ページの中をうっかりクリックする度に数秒間固まるのに比べればまだマシってことで……
Venkmanのプロファイラの使い方がやっと分かったんで、パフォーマンスの改善にも取り組みたいところです。
中野さんが、JavaScriptにはsleep(一定時間待ってから次の処理に進むという命令文)が無いせいでテストを書くのに難儀したという話を書かれているけれども。まさにこれをどうにかしたくて、UxUは進化してきたようなものと言える。
知ってる人は知ってるだろうけど、Firefox/Thunderbirdアドオン向けの自動テスト実行ツール・UxUでは、テストを書く上でsleepに相当する機能を利用できる。これは、JavaScript 1.7でジェネレータ・イテレータ機能を実現するために追加されたyield式のトリッキーな使い方だ。
これを実現しているのは、lib/utils.jsのdoIteration()
と、test/test_case.jsのrun()
ということになる。ここから要点だけを取り出すと、以下のような事をしている。
まず、スクリプトの書き手は、「sleepを使いたい処理」を関数として定義する。この時、sleep
の代わりにyield
を使う。
var task = function() {
doSomething1();
yield 1000;
doSomething2();
yield 1000;
doSomething3();
}
次に、スクリプトの書き手は、この関数を後述するdoIteration()
に渡す。すると、doIteration()
がよしなに計らって、「doSomething1()
を実行した後、1000ミリ秒待って、doSomething2()
を実行し、また1000ミリ秒待って、doSomething3()
を実行する」という風な形で先程の関数の内容を実行する。
この時のdoIteration()
の内容は、以下のような感じ。
function doIteration(aTask) {
if (typeof aTask == 'function') {
// 渡されたのが関数だったら、まず、評価した返り値を得る。
aTask = aTask();
}
if (!aTask ||
!('next' in aObject) ||
!('send' in aObject) ||
!('throw' in aObject) ||
!('close' in aObject) ||
aObject != '[object Generator]') {
// 渡されたオブジェクトまたは関数の返り値が
// ジェネレータ・イテレータではない場合、何もしない。
return;
}
// ここからがミソ!
// 全部の処理が終わったかどうか、を示すオブジェクトを定義
var finishFlag = { value : false, error : null };
var last = 0; // スリープ開始時点の時刻を保持する変数
var sleep = 0; // スリープの長さ(秒数)を保持する変数
var timer = window.setInterval(function() {
if (
// スリープの長さがちゃんと指定されていて
sleep > 0 &&
// スリープ開始時点からの経過時間がスリープとして
// 指定された時間未満であれば
(Date.now() - last) < sleep
) {
// ここで処理を終えて、100ミリ秒後まで待つ。
return;
}
// スリープとして指定された時間が経過したので、処理を進める。
try {
// 次にyieldが登場するまでの間の処理を実行。
sleep = aTask.next();
// next()の返り値はyield式に渡された値。
last = Date.now(); // スリープ開始時刻を保持して
return; // 処理を一旦終えて100ミリ秒後を待つ。
}
catch(e if e instanceof StopIteration) {
// 最後のyield式の後の内容が実行されて、定義された関数の内容が
// 最後まですべて実行されると、StopIteration例外が発生する。
// よって、処理完了とみなす。
finishFlag.value = true;
}
catch(e) {
// それ以外の未知の例外が発生した時は、処理中断とする。
finishFlag.error = e;
}
// 100ミリ秒ごとの繰り返し処理を停止。
window.clearInterval(timer);
}, 100);
return finishFlag;
}
UxUの内部でやってる事は基本的にはこういう事。ただ、実際にはもうちょっと使い勝手をよくするために細かい処理が加わってる。
doIteration()
が中で何をやってるのかを知らなければ、パッと見は、sleepという命令文の名前がyieldに変わっただけのようにすら見えるんじゃないだろうか。そこが、このやり方の狙いだ。スクリプトの書き手はタイムアウトだのコールバックだのといった難しい事を何も考えなくても良くて、単に「sleep文に相当する機能が加わったJavaScript」として好きなように処理を書く事ができる。テストを書くための工数が大幅に削減される(かもしれない)ので、テストを書くのが苦にならず、ばりばりテストを書けるようになる(はず)。その結果、充実したテストのおかげでより安心して開発に専念できるようになる(はず)。という理屈です。
ちなみに、勘のいい人は気付くだろうけど、setInterval()
に渡している関数の冒頭に以下の内容を挿入すれば、doIteration()
をいくらでも入れ子にできるようになる。
if (
typeof sleep == 'object' &&
(!sleep.value || !sleep.error)
) {
return;
}
var task = function() {
doSomething1();
yield 1000;
yield doIteration(function() {
doSomething2();
yield 500;
doSomething3();
yield doIteration(function() {
doSomething4();
yield 100;
doSomething5();
});
});
doSomething6();
};
doIteration(task);
さらに、こんなこともできる。
var task = function() {
doSomething1();
yield doIteration(function() {
var flag = { value : false; }
frame.addEventListener('load', function() {
frame.removeEventListener('load', arguments.callee, false);
flag.value = true;
}, true);
frame.contentDocument
.defaultView
.location.href = 'http://www.example.com/';
yield flag;
// フレームの読み込みが終わったらここに進む
doSomething2();
});
doSomething3();
};
doIteration(task);
この辺をもっと簡単に書けるようにヘルパーメソッドを色々と整備したのがUxUのテスト実行環境、と思ってもらえれば大体それで正解です。
25日追記。他にも色々やり方があるようです。(どっちもMozilla限定だけど)
ロケール更新ついでに。
直した問題は、「www.」で始まるドメイン名をダブルクリックした時の補完結果が「http:\/\/www.〜」になってしまうせいで読み込みに失敗するというもの。これはデフォルト設定として指定していた補完ルールのミスで、変更したのも設定ファイルだけ。デフォルト設定から変更して使ってる人は、「http:\/\」となっている所を「http://」に書き換えると、問題が直ります。
で、何故この問題を見落としてしまっていたのか、なんだけれども。
この設定が影響する処理については、既にUxU用のテストを作成してあって、自動テストを走らせた時にはこの問題は発生していなかった。テストの内容自体には問題はなくて、問題はUxUの方にあった。
テキストリンク用のテストでは、UxU 0.5.3で追加した新しいヘルパーメソッドのutils.loadPrefs()
を使っていて、defaults以下にある設定ファイルを読み込んだ上でテストを行っていた。調べてみたら、これがまずかった。
この設定ファイルは元々はcontent以下に置いてあった物で、旧バージョンでは「ファイルの内容を文字列として読み込んだ後に評価して……」てな事を全部自前でやってたんだけど、Firefox 2未満のサポート打ち切りに際して、defaultsフォルダ以下にファイルを置いて読み込み処理はFirefox自身に任せるようにしたという経緯がある。
アドオンの設定ファイルはJavaScriptの関数呼び出しの形で設定が保存されている。なので旧バージョンでは、ファイルの内容を文字列として読み込んだ後、eval()
でJavaScriptとして評価して設定内容を読み込んでいた。文字列の設定値として「http:\/\/」と書かれた箇所は、無意味なエスケープになるので、この時自動的に「http://」と解釈される。なので、冒頭に書いたような問題は今まで起こっていなかった。
defaults以下に置かれたファイルをFirefox自身が読み込む時も同じような感じなのだろう、と思いこんでたんだけど、よく調べてみたらそうじゃなかった。defaults以下に置かれた設定ファイルはlibprefモジュールのprefreadという、JavaScriptパーサではない独自のパーサによって解釈されていて、よくよく見てみると、\"
、\'
、\
、\r
、\n
、\xXX
(16進数表記でのエスケープ)、\uXXXX
(Unicodeエスケープ)以外のエスケープはエスケープ文字を含んだ文字列として取得されるという事が判明した。例えば\t
はタブ文字ではなく"\t"
になるし、\/
は"\/"
になる。これは予想外だった……
で、このあたりの挙動を再現するコードをゼロから書こうとしたら死ねると思ったので、結局、prefreadをまるごとJavaScriptに移植する事にした。といってもJavaScriptの文法はCに近い(らしい)ので、コピペして少し書き換えたという感じ。
UxU自体のライセンスはGPLなんだけど、ソースコードとして入手する限り、このファイルのライセンスは元バージョンと同じMPL/GPL/LGPLとして使えるはずなので、まぁ、そんなに使い出はないと思うけど使いたい人がいたらどーぞ。
直った直った書いてたけど見落としがありましたごめんなさい。
コンテキストメニューを開くと固まる、という極端なケースの事例としてGMailでの現象を見て、他の所で起こってるらしいコンテキストメニューがらみの問題もこれ(スタイルシートに対してマッチングを行って激遅になってる)に違いない!と思い込んでしまってたんだけども、それ以外に、テキストノードが細かく分割されてる場面でも超スローになってしまうことがあることに、今朝やっと気付きました。
修正箇所を見ると分かるけど、何でか手抜きでXPath式の評価をループごとに毎回行うように書いてたせいで、表みたいにテキストが細かく分割されてる場面でXPath式の評価が無駄に何度も行われてしまい、それで時間を食ってた。式の評価を最初の1回だけにしたら、場合によっては100倍くらい速くなった。正直、document.evaluate()
の実行コストを甘く見てた。
実に恥ずかしいミスですね。
テキストリンク 3.0.2009021601で、inputやtextareaの中のURI文字列も処理できるようにしてみた。といっても、テキスト入力中にダブルクリックするだけで開かれるとかそんなのはウザすぎるので、あくまでURI文字列選択中にコンテキストメニューを開いた時だけの機能だけど。ブログとか日記とか書いてる途中でふと確認したくなった時、なんかに使えるんじゃないかと思う。
DOM2 RangeのcompareBoundaryPointsをnsIDOMNSEditableElementの編集領域の中のRange同士の間で使うと、何故だかNS_ERROR_DOM_WRONG_DOCUMENT_ERR例外が発生してしまったので、仕方ないからnsIDOMNSRangeのcomparePointで解決するようにしてみた。独自仕様な上にどうにも動作が怪しい感じなので、できればcompareBoundaryPointsだけで済ませたかったんだけど、なかなかうまくいかない。
GMailでコンテキストメニューが固まる問題は、本文だけじゃなくヘッダ領域の中のstyle要素の内容までURI文字列の検索対象にしてしまってたせいだった(全面リライトにあたって、DOM3 XPathで代用できそうな所を片っ端からDOM3 XPathに置き換えたんだけど、XPath式の評価結果が書き直し前と違ってたことに気付いてなかった)。スタイル宣言が全部URI文字列らしき物として検出されてしまって、それで無限ではないんだけど数千回のループが発生して、途中で処理を打ち切られてたという感じ。XPath式を工夫してbodyの中だけを検索対象にするようにしたら直った。
この辺の修正に際してもまたテストを書き足した。こんな感じでテストが充実してくれば、多分、将来的にはregressionは減る方向に向かうと思うんだけど……
テキストリンク更新した。1つ前のバージョンから、Firefox 1.5等の古い奴はサポートしなくなってる。
設定ダイアログもprefwindowベースで書き直した(今まではSeamonkeyと共通で動作させるためにdialogベースで自力で書いてた、というかSuite時代はそうせざるを得なかった)ので、多分Mac OS Xで起こってるという設定まわりの問題は解消されてるんじゃないかと思うんだけど……どうだろう。
バージョン番号は上がったけど、機能的には大して変わってない。新機能と言えばせいぜい、選択範囲のURI文字列をまとめてコピーする機能くらいだ。内部的には、Firefox 3以降での「複数の選択範囲(ページ内をCtrl-ドラッグすると離れた位置に飛び飛びで選択範囲を作れる)」への対応のために抜本的な改修を行ったんだけれども、それって多分使う側にとっては割とどうでもいいことだろうなあ。
あと、このバージョンからガッツリ自動テストするようにした。
ところで、公開中のアドオンのいくつかについて「とっととFirefox 3.1対応しろやゴラァ」メールがMozilla Product Teamから届いた。「対応しないとお勧めリストから消すぞゴラァ」みたいな。
最近、恐怖症っていうか神経症っていうか……自動テストで検証されてない事が怖くて仕方ない。一通りテストを書き終えるまで、次をリリースするのが怖い。リリース工程をとても億劫に感じてしまって、どうにかしてそれを乗り越えてやっとリリースしたと思ったら、しょうもないregressionがあることに気がついて、またあの面倒なリリース工程をやらないといけないのかと思うと気が重くなって。
追記。とかなんとか言いながら結局テスト未完のままリリースしてしまった。
テストがあるからってバグがない訳ではない……XUL/Migemoもまだまだモロモロと障害が見つかってる。ただ、自動化のプロセスがほぼできあがってるので、新たに問題がおこるケースが見つかったら、それをテストケースに追加して、コードを修正して、全体のテストが完遂すること(=regressionが無いこと)を確認して、過去に自分が把握してた範囲についてはある程度の自信を持ってリリースできる。自動化ができてないと、その自信を持てない。直したと思った物がすぐ後ろから崩れてるかもしれないという恐怖に駆られる。