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アニメ・漫画オタクと服飾オタクの邂逅 - Dec 27, 2005

ここまでのまとめ。

  1. 電車男スタイリング・バイブルAmazon.co.jp)出版。
  2. 上記書籍についてKammy+氏が辛辣なレビューを書かれた
  3. コメント欄に著者の方降臨
  4. プチ炎上。僕も便乗。
  5. 「ファッションは金かけなくてもできるって言うなら、ユニクロとか無印とかだけでコーディネートして見やがれ!」みたいな発言が登場
  6. 著者の方が「いいっすよ、大阪まで来てくれればコーディネートするさ!」的にコメント
  7. 「Piroが大阪在住だろ」と誰かが個人情報漏洩。
  8. でもまあせっかくだから「名前が出てますけど僕はやってもいいっすよ?」とメールで特攻してみた。
  9. あれよあれよと話が進んで

んで、今日、その著者の方とお会いしてきましたよ。「変身」決行の前の打ち合わせということで。

色々興味深い話が聞けたと思う。特に口止めされてなかったから暴露しちゃいますよ?(鬼)

  • ファッション業界は頭の良い人が少ないらしい。4大卒でファッション業界に飛び込む人はそうそういないし、ファッション関係の専門学校に行く人はそもそも大学を狙えなかった人という説。裾野を広げることで、理知的な人がファッション業界にもっと来てくれるようにしたい……とかなんとか。
  • 男の有名なデザイナーやファッション関係者は8割方あっち系というウワサ(例:おすぎ&ピーコ)。対人関係のノリが女子チックらしい。女性脳がファッション業界では重要で、ガチガチに理屈っぽい男男した人は活躍しづらいのではないかという仮説。
  • アキバ系オタクにとって「キモイ」は人格全てを否定する言葉であるが故に、タブーに近い言葉。それと同様に、ファッション業界では「ダサイ」が人格全てを否定する言葉で、タブーとなっている現実。そのため彼らはむしろダサいという言葉を口にすることに非常に抵抗があり、それを避ける傾向にあるのだとか。
  • ファッション業界の女性はファッション業界の男性があんまり好きではないとかなんとか。そういえばアニメ・漫画系オタクもそういうとこあるような気がするのだがどうか。
  • 部下のHさんはモナー似だそうです。
  • ファッション業界だからってイケメンばかりとは限らない、というよりもそういう人間はむしろ少ない。アメリカ村とかに行っても、ほんとに素材がイケメンなのは少数。逆に言えば、それを補ってあまりあるほどの視覚的影響をファッションは与えるということか。
  • 前田建設ファンタジー事業部の話が一時期社内で話題になり大ウケだったとか何とか。
  • 「電車男」については、素直に感動し、ヤラセと疑ったことはないらしい。JRに電話して裏を取った等の検証情報にまでは興味がいかない。逆に言うと、そういうところにこだわるのはアキバ系オタクだけなのではないかという仮説。
  • 「大阪まで来ればコーディネートしたる!」発言に対してわざわざメールでちゃんと連絡を取ってきたのは僕だけらしい。なんだかなー。
  • 「買った服を着てそのまま店を出ろ」は冗談ではなくマジ。なぜなら、何軒も店をハシゴして服を選ぶのに、前の店で買った服をいちいち袋から取り出して合わせて様子を見て、なんてやってたら効率が悪くてしょうがないから。
  • アキバに行ってみて思ったのは、のけぞるような凄いのはそうそういなかったけど、みんな黒一色だなーということ。だそうだ。ちなみに僕の服装も上着の下は真っ黒でした。色彩センスがないと無彩色に流れてしまうのだ、という話をどっかで見かけた。でもまあ旧姓小林被告みたいに白一色でないだけマシだよねとかなんとか。

僕は僕でまた思いつきで色々ベラベラと。

  • 僕が脱ヲタを考えたのは、女性にモテたいからというよりも、人類全体に好かれたかったからというよりも、馬鹿にされないようになりたかったから。もっと正確に言えば、引け目を感じずにいられるようになりたかったから。馬鹿にしてた人はいないのかもしれないけれども、自意識過剰で被害妄想な僕には、他人の視線が常に痛く感じられた。
  • アキバ系ヲタにとって、服を買いに行ける難易度は、「ジャスコやイズミヤなどの紳士服売り場の真ん中あたりの、中高年のおとーさん向けな売り場(親が買ってきてくれていた服に近く、抵抗がない)」→「ユニクロ(売り場がオシャレオシャレしてないし、棚が高くて視界が悪いから店員の視線が気にならない)」→「ジャスコやイズミヤなどのカジュアル服売り場(店員がオシャレで怖いし、視界がいいからいつも見張られてる気がする)」→それ以上 という順になっていると僕は思う。これがファッション業界の人的にはカルチャーショックらしい。
  • 電車男の影響で、一般人が冷やかしのために秋葉原に流入してくることは増えているようだが、その逆(アキバ系がおしゃれな町に繰り出すこと)はほとんどない。一般人はアキバ系の領域に土足で踏み込めるが、アキバ系は一般人の領域には近寄れない。アキバ系オタクは自分の世界から踏み出すこと・他人の世界に踏み入ることに強い抵抗がある。この状況故に、アキバ系オタクは一般人に自分達の価値観が一方的に蹂躙されていると感じているのではないか。
  • アキバ系オタクは現実社会でのコンプレックスがあり、また、マンガなどに多く見られる「勧善懲悪」「主人公が勝つ」「正義が勝つ、あるいは勝って正義になる」パターンの影響から、自らが高邁な精神を持っているのだと考えることで精神バランスを取り、そのため保守的・父権主義的になるのではないか。それ故に、男は女を守るべきとかの騎士道精神的な美学を抱くのではないか。「電車男が勇気ある行動に出た」のにはそういう背景があるのではないか。 という説。
  • でも勇気と実行力は残念ながら伴わない、というのが大抵のアキバ系オタクなんじゃないかな。
  • ネットを通じて趣味を同じくする人とつながりやすくなったが、それが却ってアキバ系オタと一般人との断絶を深めているのではないか。従来であれば「地域」や「年齢層(学年)」「クラス」といった人格以外の要素にもとづいて強制的に他の価値観を持つ人との交流を行わされていたところが、ネットなどによって同じ価値観を持つアキバ系オタク同士のつながりが強化されたため、他の価値観を持つ人との交流の機会が減ってしまったのではないか。という仮説。
  • かつては選択的に「アニメが好きだから」「漫画が好きだから」という理由で積極的に極めていったオタクが主流だったのに対して、現在では裾野が広がり、「他について行ける物がないから」のような消極的な理由でズルズルと転げ落ちていくオタクが主流になっているという説を以前目にした。そういう「薄いオタク」の層が最も「脱オタ」を指向するのではないか。

異なる世界の人と話すと、今までハッキリとは見えていなかったことや、確信を持てなかったことに、確信めいたものを持てるようになってきたりする。

  • オタクには、デザイナーや絵描きなど、その世界の中心近くにいる「創出する」オタクと、服を買い集めたりグッズを買い集めたりなどの、その世界の辺縁にいる「消費する」オタクの、2種類がいる(両方を兼ねている人もいるし、片方だけの性質しか持たない人もいる)。他の価値観を持つ物を執拗に攻撃するのは「創出するオタク」よりも「消費するオタク」に多いのではないかと、僕も先方も考えている。僕も先方も「創出するオタク」の立場であったからこそ、お互いさして悪感情を持たずにいられたのではないか。という説。
  • 僕は臆病なくせに性根は目立ちたがり屋のようだ。(というか、ただ自己愛が強いだけなんじゃないの?)
  • 本気でちゃんとした脱オタ本を作ろうとするなら、脱オタしたがっている当人を連れてくるべきだし、彼の言葉で語らせるべきだ。
  • でも、脱オタしたがってて、写真に撮られても良いと割り切ってしまえるような、アキバ系オタクはどれほどいるのだろうか? ファッション業界にいる人が声をかけても、本当に来て欲しい・来るべき人にはその声は届かないだろう。
  • 「買った服を着てそのまま店を出ろ」の話なんかに顕著だけど、アキバ系オタクだって理屈で納得できればそれほど反感は抱かないはず。理屈っぽいアキバ系オタクに合わせるのならアプローチも理屈っぽくする必要があるだろう。

まあ会って話して思ったのは、氏のあのノリは悪意と言うよりは、ヲタに対する無知故のただの無神経(←暴言)。例えるなら「パワフルなかーちゃん」的な印象を受けました(←失礼)。

見方を変えれば、ヲタがあまりに神経質すぎるとも言えるかもしれない。

上に書いた「タブー」に無意識のうちに触れてしまいかねないのが、価値観の異なる人同士のコミュニケーションの難しさですね。しかしそこに拘泥してても建設的な話にはならんでしょう、と、僕は思います。

決行の日へ続く。

分類:出来事・雑感, , , , , , 時刻:01:09 | Comments/Trackbacks (11) | Edit

Comments/Trackbacks

no title

出社早々、H君に

「僕のことモナー似って言ったでしょう!」

と怒られてしまったよ。バレバレ…

Commented by 菊池 at 2005/12/27 (Tue) 11:53:59

北海道から応援しています.

興味深い展開になってきましたねえ.
私自身はとても勇気がないのでできませんが,どうかファッションにナイーブな青少年のキモチを少しでも伝えてきたください.

Commented by Kammy+ at 2005/12/27 (Tue) 11:57:35

no title

>ファッション業界は頭の良い人が少ないらしい。4大卒でファッション業界に飛び込む人はそうそういないし、ファッション関係の専門学校に行く人はそもそも大学を狙えなかった人という説。

頭のいい人が少ないかどうかとは別に、この書き方だと「高学歴な人が少ない」であって、頭のいい人が少ないにはならいないじゃないかと思います。
(高学歴と頭の良さは関連性はあるけど、必ずしも一致しませんし)

Commented by ろばQ at 2005/12/27 (Tue) 23:28:29

あー

その辺の話はもちろん会ったときの話でも出ましたが、短くまとめたかったのと、壮絶に眠かったのとで、乱暴な書き方で放置してました。まあおおむね意図は通じるかなーと。

Commented by Piro at 2005/12/28 (Wed) 00:40:07

no title

今まで、熱狂的な消費者のことをオタクと捉え
脱オタというのは熱狂的ではなくなるか、
消費者でなくなる事を指していると考えていましたが
熱狂的である時点で、はたからみればオタクなのかもしれませんね
「創出するオタク」と「消費するオタク」勉強になりました

Commented by かげまつり at 2005/12/28 (Wed) 10:57:43

同じような経験が…

むかし古本屋でバイトしていた時のことですが、
店長に、"お前はダサすぎる"と言われたことがありました。
おたくですからしょうがない。
そこで店長が考えた対策が、サブカル系の人に僕の服装の面倒を見させることでした。
サブカル系の彼に僕がお金を渡し、彼が買ってきたものを黙って着るわけです。
彼が買ってきたものを見て、こちらの好き嫌いを言って、次に買ってきてもらうときには、僕好みの服になっている。

今の僕がファッショナブルかと言えば、相変わらずダサダサですが、
あれはなかなか新鮮な体験でした。

Commented by pica at 2005/12/28 (Wed) 11:14:29

no title

>無知故の無神経

よくもまぁ、それでデザイナーが勤まるものですね。
あ、違うか。
無知で無神経で、自分の価値観が絶対で、他人にそれを押し付けることに何のためらいもない(むしろそれが善意であり優しさ・思いやりだとさえ思っている)からこそ、あんな本が出せるんですね。
ファッション業界って、そんなヤツばっかりなんでしょうね。
あーヤダヤダ。

Commented by やっぱり嫌 at 2005/12/28 (Wed) 13:35:20

no title

先方が「無神経」なら、こちらの陣営はさしずめ「意固地」でしょうか。

せめて建設的でいたいものです。

Commented by Piro at 2005/12/28 (Wed) 21:58:58

同行希望です

菊池さんとこにもコメントしたのですが(http://syacho.livedoor.biz/archives/50346314.html#comments)、
もし日程等の都合がついたら、僕も同行したいのですが、構いませんでしょうか?

Commented by Masao at 2005/12/30 (Fri) 14:07:58

no title

四大出がアパレルに少ないのは薄給だからでしょ。
アパレル専業企業は中小企業ばかりだし、従業員の待遇だって悪い。だが、どう考えても、当面は改善されない、それどころか悪化する一方だよ。

Commented by nmaeda at 2005/12/30 (Fri) 17:09:05

学歴

必ずしも、高学歴だから頭が良いわけじゃないが、
[平均]すれば、大卒より高卒の方が精神年齢が低い。それに工業高校と工学部では知識は違う。
アクマで平均だから、いま、対面している個人が高卒だからバカだと決め付けて対応するのは愚かしいことだが、派遣社員を大勢雇うとか、履歴書だけを見てコメントを求められるとか、そういうときには判断基準のひとつに使った。

Commented by nmaeda at 2005/12/30 (Fri) 17:22:42

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