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何故上野氏やamachangを凄いと思い、自分はそうでないと思うのか? - Mar 01, 2008

Nyaxt氏に対する嫉妬、劣等感、卑屈な感情がわき上がる理由を考えてみた。このあたりはちゃんと掘り下げて納得いくまで分析しておきたい。

  • 取り組んでいるレイヤの違い
  • 成長曲線の違い

先のエントリに書いた内容には上記2点への言及があったので、まずはそこから見てみる。

まず、レイヤの違い。

以前、スポーツとか音楽とかをやってる人は一瞬の煌めきがあるからとかなんとか書いたけど、その点では、僕も彼もやってることは同じプログラミングだ。ただ、携わっているレイヤが違う。もちろん知識・技能・経験にも差はあるけど。

僕が見たいくつかの記事では、氏は3DCGのレンダラを開発しているという事が書かれていた。1000人スピーカでの発表内容もそれに関連した技術、分散コンピューティングとかマルチスレッドプログラミングとかに関する物だった。僕はこれらの技術は、色々な人が利用する物の基礎になる技術だと思ったので、氏が活躍すればするほど、例えば大都市の大深度地下開発のように、町、そこに暮らす人達全体が、幸せになると思う。コンピュータ世界の原理原則に関わり、不変の真理(=法則)を扱うものだと思っている。

対して、僕がやっているのは、Firefoxの拡張機能だ。CPUの上で動く、OSの上で動く、Mozillaのバーチャルマシンの上で動く、XULとJavaScriptの上で動く、インターフェースを改変するというオンメモリパッチ。色々なものの世話になった上でやっと成り立っている、ごくごく表面の部分の「改善」に過ぎない。氏のしていることを大深度地下開発に例えたけど、その例で言うなら、僕のやってることは水道の蛇口にホースを付けて、湯沸かし器からこっちの部屋まで温かいお湯を持ってこれるようにしましたよ、という程度のことでしかないと思う。

TBEのことを評価してくれる人はいるし、僕自身もそれに依存しきってたせいで長らくFirefox 1.5から離れられなかったくらいだけど、でも、TBEから何か派生的に他に価値を持つものが生まれてきたか? 具体的には、TBEの機能をさらに活用する追加の拡張機能は開発されたか? TBEのAPIを使った他のアドオンが他にあったか? っていうと、そういうものは僕の知る限りでは無かった。Tab Mix Plusのように「TBEのコンセプトによく似た、TBEに代わるもの」は出てきたけど。今僕の作ってる拡張機能も、その点ではあんまり代わってない気がする。Firefoxの「拡張機能」は普通にやってる限りは、技術の発展とか人の繋がりとかの袋小路になってしまうんではないかと思う。その物の価値以上の価値、幸福、富は生み出せない。でも基礎になる物は、そうはならない。Rubyという言語を作ったまつもと氏も、Railsを作った人も、本人が作った物以上の価値を、幸福を、富を、ユーザも含めたエコシステム全体が生み出している。

そういえば、「ブラックジャックによろしく」の初期の方の話で、臨床医療でお前が一生かけて救える人数よりもはるかに多くの人数を、私は研究室の中での研究の成果(新薬、新しい治療法、etc.)で救っている、という風なことを大学病院の教授先生が言って、臨床医の主人公は黙り込むというシークエンスがあったと思う。それと同じことを僕は感じたんだと思う。

次に、成長曲線の違い。

僕は先のエントリで年齢に言及したけど、もっと根源的には、氏と僕との成長曲線の違いに嫉妬したのではないかと思う。

氏のことを知らない人はまずIT PLUSのインタビューIT Proの記事を見るといいと思うけど、小学生のうちからプログラミングに興味を持って、留学して、飛び級して、という風に物凄い急角度で成長して氏は今に至っている。その角度を維持したまま成長が続くと、この人は一体どこまで行くんだろう、という感じだ。

ちなみに、amachangについても似たようなことが言えると思う。Biz.IDのインタビューあたりを見れば分かるけど、amachangは比較的最近になって急激に伸びてきた人だ。某マンガのセリフを借りると、「超音速で成長中」という感じ。これもやはり、グラフの先は一体どこまで伸びるんだろう、という風に感じている。

一転して僕はというと、まあスタート自体は中学校からということになるけれども、彼らのように急加速で伸びていったりなんてことはなく、ずっとのんびりダラダラやってきた。中三から高校の間なんて、プログラミングからほとんど完全に離れてのことばっかりやってたし。新しい技術をマスターするために文献をガツガツ読む、なんてことは、面倒だからずっと避けてきた。寄り道が多くて、成長のグラフは鈍角も鈍角、全然上に伸びていかない感じだ。今の時点だけ見れば「結構いい所にいるんじゃん」って見える人もいるかもだけど、数年後、数十年後になって見てみたら「え、あんたまだそんな所にいるの?」って思われることは間違いないと思う。

「現時点で持っている物」にも大きな差があるし、「これから先為すであろう事」にも大きな差がある。そう感じたから、僕は負の感情を覚えたのではないかと思う。

それはそうと、いろんな人に迷惑かけたり不快な思いさせたりしといてあれだけど(特にこんな絡み方をされたNyaxt氏にとっては災難もいいとこだ)、当人はというと、先のエントリの内容を一気に吐き出した時点で賢者タイムに突入してたりするんですよね。

分類:出来事・雑感, , , 時刻:10:39 | Comments/Trackbacks (2) | Edit

Comments/Trackbacks

no title

ttp://1kara.tulip-k.co.jp/img/083_1.gif
隣の芝生は青いとは云いますけど、Piroさんはアメリカ大統領になっても、ビル・ゲイツみたくコンピュータ業界で最大クラスの実績と世界有数の富を手に入れても、心が落ち着かないというか周りの人や周りの人の目が気にしながら生きてるような気がします。
というか、Piroさんの場合はポリバレントなのか器用貧乏なのかは他者の評価は固まっているのであとは本人の気の持ちようだけのような。
まあ、あと本願寺さんの跡地(大阪)ご出身なら教養としてこのあたりも。
ttp://homepage.mac.com/b_young/comic/zemi/00101.html
ttp://1kara.tulip-k.co.jp/1kara/081.html

Commented by くでん at 2008/03/01 (Sat) 11:10:40

no title

 うーん、ご本人が無自覚でいらっしゃるようですが、piro さんの雑誌への記事やこのサイトでの解説、実際のコードを拝見させていただいて、参考にさせていただいたりしてる人間は、私を含めてごまんといると思うんですけど。
 piro さんが日本での拡張作成の先駆者であるという事実は変わらないと思いますけど。どうでしょうか?
 それにプラットフォームに携わっている人間の方が優れているという考え方自体、賛同できません。いくらプラットフォームが優れていても、アプリケーションがなければ意味はないでしょう?
 それに拡張って、ユーザのかゆいところまで手を届かせる、ユーザにとって非常に望ましい存在じゃないですか。どっちが優れているのかを考えるのは無意味じゃないでしょうか?プラットフォームも、様々なレイヤー上で動くスクリプトも、どっちもユーザにとって欠かせないものだと思うんですが?
 それと「ブラックジャックによろしく」の例を挙げておられましたけど、実際の医学の基礎研究者で『臨床医療でお前が一生かけて救える人数よりもはるかに多くの人数を、私は研究室の中での研究の成果(新薬、新しい治療法、etc.)で救っている』なんて傲慢な考えで仕事をしている人に私は会ったことがありません。
 研究職は地味だけど、いつかきっと臨床で役に立つことがあると信じて仕事をしている、という話ならよく聞きますけど。

Commented by 絶滅危惧種IA類 at 2008/03/01 (Sat) 17:56:46

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