たまに18歳未満の人や心臓の弱い人にはお勧めできない情報が含まれることもあるかもしれない、甘くなくて酸っぱくてしょっぱいチラシの裏。RSSによる簡単な更新情報を利用したりすると、ハッピーになるかも知れませんしそうでないかも知れません。
の動向はもえじら組ブログで。
宣伝。日経LinuxにてLinuxの基礎?を紹介する漫画「シス管系女子」を連載させていただいています。 以下の特設サイトにて、単行本まんがでわかるLinux シス管系女子の試し読みが可能!
ツリー型タブのAPIでこんなのが欲しいというのがあったら言っておくれと書いたところ、Alice0775さんからタブバーのドラッグ操作とかツリーのドラッグ操作とかをアンドゥする機能が欲しい(大意)という要望をいただいた。
そういえばこの前のMozilla勉強会の後の懇親会で、新しいタブが開かれたり新しいウィンドウが開かれたりした時に「戻る」ボタンで元のタブや元のウィンドウに戻れないことについて、あらゆる操作がアンドゥ可能になってないといけないんじゃないの?とかそんな感じの話が出ていたと思う。なので実験的にそういう物を作り始めてみた(自動テスト)。
var current = TreeStyleTabService.currentTabbarPosition;
window['piro.sakura.ne.jp'].operationHistory.doUndoableTask(
// やり直し可能にしたい処理
function() {
TreeStyleTabService.currentTabbarPosition = newPosition;
},
// 履歴の名前(省略可)
'TabbarDNDOperations',
// ウィンドウごとの履歴の場合の対象ウィンドウ(省略可)
window,
// 履歴の項目
{
// 項目名
label : 'タブバーの位置変更',
// アンドゥの時に実行する内容
onUndo : function() {
TreeStyleTabService.currentTabbarPosition = current;
},
// リドゥの時に実行する内容(省略可)
// →省略時は上記の「やり直し可能にしたい処理」が自動的に
// onRedoとして登録される
onRedo : function() {
TreeStyleTabService.currentTabbarPosition = newPosition;
}
}
);
という感じでアンドゥ・リドゥ時の動作を登録して、window['piro.sakura.ne.jp'].operationHistory.undo('TabbarDNDOperations', window)
とかwindow['piro.sakura.ne.jp'].operationHistory.redo('TabbarDNDOperations', window)
とか書くとヨロシク処理してくれる……という風な感じ。「あらゆる操作を一次元で記録して」とタイトルに書いてるけど、自動的に記録するんじゃなくてアドオン作者が手作業で記録する前提で、「履歴の記録」「履歴の呼び出し」の所を管理する手間を軽減するだけのライブラリなんで、そこの所はお間違えなきよう。
関数をそのまま登録するというのが乱暴と言えば乱暴なんだけど、柔軟性を高くしようと思ったらこうするのが手っ取り早いかなーって思いまして。一応ウィンドウごとの履歴とグローバルな履歴の両方を持てるようにしてみてる。イメージ的には、Adobe製品のヒストリ機能のような物を目指してる。
で、枠組みは用意したんだけど、タブバーの位置の移動みたいな単純な機能はいいとして、ツリーの移動みたいなややこしい物をどうやってアンドゥ・リドゥさせるかで暗礁に乗り上げてる。
なんとなく、ツリー型タブからは分離して「タブバー上のあらゆる操作をアンドゥ可能にするアドオン」を新しく作った方がいいような気がしてきた。で、ツリー型タブが入ってる時はそいつのアンドゥ履歴の中に「タブバーの位置変更」の項目が混ざってくる、みたいな連携の仕方。
ツリー型タブに他のアドオン向けのAPIを加えていきたいという話を書いた関係でコードをあちこち見直して書き直していて、カスタムイベントを通知→イベントを捕捉した側でキャンセル→イベントを通知した側でキャンセルを検知して処理を中断 という事をやりたくなって調べた結果をmodestにまとめてみた。
ここに書かずにmodestの方に書いたのは、話のレベル的に今更感があったのと、わりと基礎的な話だからこんな世界の果てのオメガギークの日々の下らない愚痴に混ぜて書くだけにしたら誰にも見てもらえないんじゃないか(それよりももっと多くの人に読んで貰って取り入れてもらって、アドオン同士の連携を取りやすい世の中になってくれると嬉しい)と思ったというのと、というあたりが理由です。
でもなんかほんと今更過ぎるというかものすげえ基本的なことを得意げに解説してしまった気がしていて、失敗だったかなあとちょっとブルーです。
ツリー型タブとClose tab by double clickの競合について報告をもらった。
向こうのコードを見てみたら、タブバーの上でダブルクリックされた時にそのイベントがタブの中で発生したものかどうかを検出するのにevent.originalTarget
とそのparentNode
だけを見ていて、ツリー型タブによって追加されたバインディングがあると判別に失敗するようになっていた。これはツリー型タブだけの問題じゃなく、バインディングを加えるあらゆるアドオンと衝突の可能性があるし、テーマによっても衝突する。バインディングに変更を加えなくても、タブの中に何か要素を追加するアドオンは全部衝突する。
いいかげん、こういう時にはDOM3 XPathを使うのが常識になってて欲しいです。こんな所で他のアドオンと衝突する可能性を残す必要はない。
clicked : function(event) {
if (gBrowser.mTabs.length <= 1) return;
var tab = document.evaluate(
'ancestor-or-self::*[local-name()="tab"][1]',
event.originalTarget,
null,
XPathResult.FIRST_ORDERED_NODE_TYPE,
null
).singleNodeValue;
if (tab) gBrowser.removeTab(tab);
}
こういう風に書けば、クリックされた要素の祖先まで辿って確実に判別できる。他にも絞り込みの条件を付けたければ付けられる。
「シンプルに作る事」と「手抜き」とは、必ずしも一致しませんよね。
画面の描画を一時停止する方法を先日書いたけど、案の定というかやっぱりというか、重大な弊害があることが分かった。また、その弊害にぶち当たらない安全なやり方も見つけることができた。
安全に画面の描画を一時停止・再開する方法は、以下の通り。
var baseWindow = window.top
.QueryInterface(Ci.nsIInterfaceRequestor)
.getInterface(Ci.nsIWebNavigation)
.QueryInterface(Ci.nsIDocShell)
.QueryInterface(Ci.nsIBaseWindow);
baseWindow.setPosition(window.innerWidth, window.innerHeight); // これで画面の描画が止まる
gBrowser.addTab(); // これによって起こる変化は画面上に現れない
gBrowser.addTab(); // この変化も画面上に現れない
gBrowser.addTab(); // 同上
baseWindow.setPosition(0, 0); // ここでやっと描画が再開される
以下、前のエントリに書いたやり方にどういう弊害があるのか、および、このエントリで紹介するやり方の方がどのくらい安全なのかについて詳しく説明する。
ツリー型タブとJetpackが同時にインストールされているとコンテンツ表示領域に何も表示されなくなってしまう、という問題の原因がやっと分かった。そこからさらに調査をして、表題のような「画面の再描画を任意に停止・再開させる」方法が見つかった。
先にやり方だけ書いとくと、こうするとできる。
var rootContentViewer = window.top
.QueryInterface(Ci.nsIInterfaceRequestor)
.getInterface(Ci.nsIWebNavigation)
.QueryInterface(Ci.nsIDocShell)
.contentViewer;
rootContentViewer.hide(); // これで画面の描画が止まる
gBrowser.addTab(); // これによって起こる変化は画面上に現れない
gBrowser.addTab(); // この変化も画面上に現れない
gBrowser.addTab(); // 同上
rootContentViewer.show(); // ここでやっと描画が再開される
24日追記。この方法には重大な弊害があることが分かりました。使用を検討している人はより安全な方法を使うようにして下さい。
以下は、これに辿り着いた経緯のお話。
以下、Adblock Plus and (a little) more: Five wrong reasons to use eval() in an extensionのいいかげんな訳です。XUL/Migemoのバージョンアップ時のエディタによるレビューのコメントで「今回は公開を承認するけど、次からはeval()
はなるべく減らすように。詳しくはこれを読んで。」と指摘されたので、自分が読むために訳してみました。誤訳があったら指摘して。一部のサンプルコードは見やすさのためにインデントを勝手に加えてます。
ちなみに、僕は5番目の点(こういう用途でeval()
を使うなという話)については反対の立場です。拡張機能同士を協調して動作させたいなら、むしろeval()
を使って関数を書き換えるやり方を使う方が望ましいとすら考えています。なので参考のために、似たような立場と思われるSimon氏・Dorando氏のコメントも訳しています。
2010年2月8日追記。このエントリで述べられている内容に対する反論を公開しました。できればそちらも併せてご覧下さい。
過剰に使われているJavaScriptの機能のひとつに、eval()
関数があります。私はそれが非常に多くの拡張機能で利用されているのを見てきましたが、そのうちのごく一部だけが正しい使われ方をしています。ですので、eval()
のすべての間違った使い方について説明したいと思います。
今日において、JSONはデータを保存するためのポピュラーな形式となっています。その最大の特長は、パースが非常に簡単であるということです。単に data = eval(json)
という風に書けば、それだけで事足ります。
うまい話には裏があるんじゃないの? その通り。このjson
という変数は {foo: "bar" + alert(Components.classes)}
のような内容が含まれるかもしれず、このようなJavaScriptのコードを実行してしまうと、あなたが意図していなかった結果になってしまうでしょう。このように、信頼できない情報源からやってきたデータをJSONとしてパースする用途にはeval()
は全く不向きです。それがFirefoxの拡張機能であるなら、どんなWebサーバから送られてくるデータも信頼できません。もしそれがあなたのWebサーバであっても、ハックされて(※訳註:原文ではhacked
)いるかもしれませんし、ユーザへの通信経路上で情報が改竄されているかもしれません(特に、暗号化されていない接続では)。あなたは、ユーザを危険な状況に晒したくはないでしょう。
それだけではありません。そのデータが拡張機能自身によって(例えば、ブラウザ終了時の状態を保存するためなどの目的で)書き出されたデータであっても、常に信頼できるとは限りません。その中にはひょっとしたら、Webから受け取ったデータが含まれるかもしれません。もしJSONを書き出す処理にバグがあって、JavaScriptの文字列として書き出すべき物が文字列になっていなければ、それをJSONとして解釈しようとした時、知らない間にJavaScriptのコードとして実行されてしまうでしょう。これが、JSON処理専用の機能を必ず使うようにした方が良い理由です。JSON処理専用の機能は、不正なデータを受け取った時にもJavaScriptのコードとして実行してしまわないので安全です。
obj.fooN
のNがn
という変数の値である、というプロパティにアクセスしたいとき、どんなコードを書けばよいでしょうか? これは、あなたがアクセスしなければいけないプロパティの名前が事前には分からなくて、動的に決定されるものであるという場合のことです。拡張機能の中には、これを eval("obj.foo" + n)
のようなやり方で解決しているものがあります。この時、その拡張機能はn
の値の中に危険な内容が含まれていないかを検証する必要があるでしょう――でも、どうやって?
幸いにも、この質問の答えを考える必要はありません。もっといい方法があります。JavaScriptではすべてのオブジェクトが連想配列である(※訳註:原文ではassociative arrays
)ことを思い出してください。言い換えると、obj.foo
と obj["foo"]
は全く同じ意味で、すべてのプロパティは配列の要素としてアクセスできるのです。ですから、前述のような問題を解決するには単に obj["foo" + n]
とだけ書けばよく、この操作は、何も他の余計なことをすることなく常にそのプロパティにアクセスするでしょう。
では、メソッド(関数)の場合は? JavaScriptではメソッドも、値が関数オブジェクトであるという違いがあるだけのただのプロパティです。その関数を this
が正しい値を示すようにして呼び出すために、Function.call()
というメソッドが利用できます:
var method = obj["foo" + n];
method.call(obj, param1, param2);
あるいは簡潔にこう書くこともできます:
obj["foo" + n](param1, param2);
同じアプローチが、グローバル変数やグローバルな関数に対しても使えます。「グローバルオブジェクト」のすべてのプロパティはwindow
のプロパティとして参照できます。window.foo
や window["foo"]
は、グローバル変数foo
の値を返すでしょう。(※訳註:JavaScriptコードモジュールなどwindow
が使えない変数スコープでも、 (function() { return this; })()
とすればその実行時の変数スコープのグローバルオブジェクトを取得できます。)
私が時々見かけるひとつのパターンは、このような関数の呼び出し方です:
foo("window.close()");
その関数は他の場面で、異なるJavaScriptのコードをパラメータとして渡されていました。そして関数が処理を終えた後で、パラメータとして渡された内容を動作の指定として eval()
で実行するようになっていました。
どう見ても、ここにはセキュリティ上の問題はありません(※訳註:もちろん、パラメータで渡す内容にWebから取ってきたデータが含まれる可能性がある時は問題外ですよ!)。では、このアプローチの一体どこが間違っているのでしょうか? 実際には、以下のような問題があります:
eval()
が呼ばれるまでコンパイルされないでしょう。これは、それ以外の部分のコードについてはスクリプトが読み込まれた時にすぐにJavaScriptインタープリタが文法エラーを報告するのに対して、関数のパラメータとして渡されたコードの文法エラーは後になってからしか報告されないため、そのコードが実行されるような経路を辿る操作をあなたがテストしなかった場合に、問題が見過ごされてしまうだろうということを意味します。foo()
に対して実行して欲しいコードをパラメータとして渡すというのは普通のやり方ではなく、見苦しい回避方法を色々と必要とします。(※訳註:ダブルクォーテーションをエスケープしないといけない、など。)幸いにも、クロージャを使うことによってそれらの問題は解決できます(※訳註:この例はクロージャではなく関数リテラルとか関数オブジェクトとかその辺の話だと思うんですが……)。以下は、前述のコードを少し書き換えた例です:
foo(function(error)
{
alert(error);
window.close();
});
そしてfoo()
という関数の内容は以下のようになるでしょう:
function foo(callback)
{
...
callback("Full success");
}
以下のようなボタンがあると仮定しましょう:
<button id="button" oncommand="doSomething();"/>
このイベントハンドラを実行するために eval(document.getElementById("button").getAttribute("oncommand"))
としてはいけないのは何故でしょうか? その要素が実際にクリックされたなどの場合以外の所でイベントハンドラを実行するための方法として、拡張機能の中ではしばしばこのようなやり方が用いられます。しかしながら実は、commandイベントを生成する方法のほうがもっと簡単で、しかもイベントハンドラがどのように定義されていようとも正常に動作することが期待できます:
document.getElementById("button").doCommand();
doCommand()
というメソッドは、すべてのXUL要素で利用可能です。他のイベントに対しては、document.createEvent()
を使って本当のイベントオブジェクトを生成する方がよいでしょう――何故なら、イベントハンドラがそれを期待しているでしょうから。例えば:
var event = document.createEvent("MouseEvents");
event.initMouseEvent("click", true, true, window,
0, 0, 0, 0, 0,
false, false, false, false,
0, null);
document.getElementById("button").dispatchEvent(event);
では、あなたが「onfooaction」という風な独自の属性を定義していて、それがいかなる実際のイベントとも関連付けられていない場合には? このような場面でも、eval()
を使うのは最良の選択とは言えません。何故なら、eval()
を呼び出した関数の実行コンテキストにおいてコードが実行されてしまうからです。もしそのイベントハンドラがfoo
というグローバル変数を参照したとして、あなたがそのイベントハンドラを呼んでいる関数の中にfoo
という名前のローカルな変数があったら――そのイベントハンドラは意図しないままにそのローカル変数にアクセスしてしまうでしょう。そしてもちろん、その時イベントハンドラに対してパラメータを渡すこともできません。よりベターな解決策は、そのイベントハンドラのための関数を作る事でしょう:
var handler = new Function("param1", "param2",
document.getElementById("button")
.getAttribute("onfooaction"));
handler("foo", "bar");
このシナリオでは、このイベントハンドラは「foo」をparam1
という名前の引数として、「bar」をparam2
として受け取るでしょう。(これは、よくあるインラインで記述されたイベントハンドラに対してevent
というパラメータを渡す時にも使えます。)
以下のようなことをしているコードをよく見かけます:
gBrowser.foo = eval(gBrowser.foo
.toString()
.replace("foo", "bar"));
このようなやり方でブラウザの関数を書き換えている人は、公の場所でおしりペンペンされることをお勧めします。それは、ブラウザの関数を新しい関数で単に置き換えてしまうだけの拡張機能に比べてほんのちょっとだけマシであるに過ぎません。どちらの場合も、書き換えられようとしているコードが変化しないことを前提にしていますが――しかし、もしそれが起こったら? 最良のケースでは、その拡張機能は大きな損害を与えることなく単に動作しなくなるでしょう。しかしひょっとすると、ブラウザを壊してしまうかもしれません。あるいは、ブラウザのその関数がセキュリティ上の問題の修正のために書き換えられたとしたら、その拡張機能は同じセキュリティ上の問題をまた持ち込んでしまうかもしれません。
言い換えると――この使い方はしてはいけません。ほとんどの場合で、このアイデアはブラウザの関数の動作を変えるのではなく、その関数の前後に追加の処理を挿入するために使われています。幸いなことに、それをするためのもっと危険でないやり方として、ここでもクロージャを使えば元の関数を単純にあなたの関数で包み込むことができます:
var origFoo = gBrowser.foo
;
gBrowser.foo
= function(param1, param2)
{
if (param1 == "top secret")
doSomethingBeforeFoo();
var result = origFoo.apply(this, arguments);
if (result == null)
doSomethingAfterFoo();
return result;
}
元の関数にすべてのパラメータを渡すためにFunction.apply()
を使うことに注意してください。その関数が今現在2つだけパラメータを受け取っているとしても、将来のバージョンのブラウザでは変わるかもしれません。あなたの拡張機能は新しいパラメータに対して何をすればよいのか知っているかもしれませんが、元の関数の動作を壊さないために、それらの新しいパラメータはそのまま元の関数へ引き渡しましょう。
eval()
の正しい使い方とは?私は、eval()
関数の有効な使い方はそれほど無いと思っています。拡張機能の中にはユーザに対して、評価可能なJavaScriptのコードを入力させることを許しているものもあります。そのスクリプトが関数のパラメータとして値を受け取る必要があり、関数を作り変数を渡すのにFunction()
コンストラクタを使うことが依然として望ましいとしても、これはeval()
の妥当な使い方でしょう。
もう1つのeval()
の使い方として、状況に応じて定数を宣言するためにも使えます:
if (typeof MY_CONSTANT == "undefined")
eval("const MY_CONSTANT = 'foo'");
こうすることによって、もし他のスクリプトで同じ名前の定数が定義されていても、あなたは文法エラーを目にしなくて済むでしょう。しかしながら、私はこれはその場しのぎのやり方だと思います。もし同じ名前空間で実行される未知のスクリプトと衝突することを恐れているのなら、あなたは他のスクリプトが使わないような一意な名前を定数(グローバル変数も)に与えるように気をつけるべきです。また、あなた自身のスクリプトについても、定数宣言を含んでいるスクリプトを複数回読み込まないように気をつけてください。
最後に、実行時にそれ自身のコードを生成するためにeval()
を大量に使う、分かりにくい・「圧縮」されたスクリプトもあります。Webにおいては「圧縮された」スクリプトに価値があることは認めますが、拡張機能の中で同じ事をやることにはほとんど意味がありません。拡張機能は1度だけしかダウンロードされませんから、ダウンロードにかかる時間をたった2秒だけ節約できても、誰も喜ばないでしょう。また、「圧縮」されたスクリプトはロードされ実行される度に毎回、処理に余計な時間を食うことでしょう。
5番目について。関数の中のコードに手を入れる(単にコードの前後に処理を付け加えるだけでは実現不可能で、関数全体を書き換えないといけないような場合)方法として、どんなやり方なら勧められるというのでしょうか? また、ある1つの拡張機能があなたの推奨しているやり方を実行したら、関数の中身を書き換えるタイプの他のすべての拡張機能の動作が妨げられ、それらの拡張機能はすべてのコードを書き直すことを強いられるので、拡張機能同士が円満に共存できなくなるでしょう。
私は元々はあなたが勧めているようなやり方を取っていましたが、しかしeval()
を使うことによってしか解決できないような非互換性の問題に何度か遭遇してきました。より良いやり方があるのなら私は喜んでそれを採用するつもりですが、残念ながら、私にはあなたが勧めているやり方が問題を解決してくれるようには見えません……
4番目について。new Function("some code")
はeval("some code")
と比べてどのように安全なのでしょうか? bug 477380であなたはeval()
を禁止することを提案していますが、new Function()
も禁止しないと無意味なのではないでしょうか。
あなたが書いたわけではない関数の中身に対して変更を行う事は、一般的に言ってよいアイデアではありません。あなたがどんな風にそれをやったとしても、必ず酷い結果になるでしょう。他の手段(例えばObject.watch()
など)であなたがやりたいことを実現できないのであれば、多分あなたはそれをするべきではないのでしょう。
new Function()
について。それはeval()
に比べて本質的に安全であるとは言えませんが、それはたいていの場合静的なコードのために使われ、それほど多くの問題を持ち込みません。これは、トラブルを抱え込まないようにするための良いコーディングの習慣ということです。
特権が無いWebページの場合でも同じ事が言えるのでしょうか? Gecko 1.9.1はグローバルなJSONオブジェクトを実装するそうですが、evalInSandboxと同等のものはあるのでしょうか?
evalInSandboxを使うためにUniversalXPConnect権限が必要なのは困ります……
クロスサイトスクリプティングを防ぐことについて話しているのだと思いますが――スクリプトのためのサンドボックスは十分な対策とは言えません。これについてはbug 341604(※訳註:IEの独自拡張であるiframe要素のsecurity属性の実装についてのバグ)とWHATWGのWeb Appsの仕様のiframe要素のsandbox属性を参照してください。
5番目について、例えば元の関数 gBrowser.foo
について以下の場合を仮定しましょう(似たようなコードはMozillaのコードベースから簡単に見つけられます。例えばtabbrowser.xmlで「.isTrusted」や「permitUnload」を検索してみてください):
gBrowser.foo
= function(param1, param2)
{
if(!gBrowser.isItSaveToDoSomethingBeforeFoo())
return;
if (param1 == "do_nothing")
return;
var color = "red";
doSomething(color, param2.length);
if (param2 == "some_extensions_want_to_prevent_this")
doSomethingAnnoying("dark"+color);
}
doSomething()
が実行された時に、常にdoSomethingAfterFoo()
を実行するようにしたい、という時はどうすればいいのでしょうか?doSomething()
が実行されるであろう時に、常にdoSomethingBeforeFoo()
を実行するようにしたい、という時はどうすればいいのでしょうか? 元のコードのうちいくらかを複製することはできますが、それは既に修正されたセキュリティの問題をまた持ち込みかねず、関数を単に書き換えるだけにしない事のメリットを打ち消してしまいかねません。関数に対して行われる変更を常に参照し続けることは、いくつかのシチュエーションでは上手く行くでしょうが、私に言わせてもらうとそれは大変すぎます。(そしておそらくコードをいくらか遅くさせるでしょう。)gBrowser.foo
がdoSomethingAnnoying()
を実行するのを食い止めたい時はどうすればいいのでしょうか?gBrowser.foo
が使う色をgreen
に変えたい時はどうすればいいのでしょうか? 追加の関数を置き換えてその呼び出し元関数を確認するようにするという手もありますが、私にとってはそれは何かを壊してしまう可能性を増大させるものでしかないです。関数に本来の処理を行わせた後でその変更を後から取り消すというやり方も、可能ではありますが、良いユーザ体験をもたらすものとは思えません。どちらの場合も、書き換えられようとしているコードが変化しないことを前提にしていますが――しかし、もしそれが起こったら?
maxVersionはそのために存在しています。
あるいは、ブラウザのその関数がセキュリティ上の問題の修正のために書き換えられたとしたら、その拡張機能は同じセキュリティ上の問題をまた持ち込んでしまうかもしれません。
isItSaveToDoSomethingBeforeFoo
が導入されて、doSomethingBeforeFoo();
がeval()
でパッチを当てられた場合と同様の内容を含むようになったとしたら、(※訳註:ここで推奨されているやり方の方の)関数の置き換えでも同じ問題が起こり得ます。
その一方で、拡張機能の作者はeval()
によって、(セキュリティに関するものも含めて)バグがFirefox本体側で修正されるよりも前にパッチを適用することができます。そのバグが本体側で修正された後は、書き換え対象のコードが見つからなくなるので、eval()
によるパッチ適用は望ましい形で失敗する(※訳註:何の変化ももたらさず悪影響も及ぼさないということ)でしょう。
あなたが書いたわけではない関数の中身に対して変更を行う事は、一般的に言ってよいアイデアではありません。
もちろんです、それは組み込みのどんな機能の挙動を変えることについても常に言えることです。しかし拡張機能の作者にとっては、やりたいことを実現するための組み込みのインターフェースや関数が存在しない時に、それを実現するための唯一の手段がこれであるという場合もあります。
Simonが既に指摘していることの繰り返しになりますが、関数へパッチを当てるのではなく関数を丸ごと置き換えるという(※訳註:ここで推奨されている)やり方は、私が述べたようなことをやろうとしているすべての拡張機能に対してそれを完全に妨げてしまいます。ですからどうか、あなたが代替になる方法を提案できないのなら、このような手法を推奨しないでください。
あなたがどんな風にそれをやったとしても、必ず酷い結果になるでしょう。
(以下翻訳中)
今まで私がみてきた限りでは、ほとんどの最小の変更がそれを壊しうるという事実にもかかわらず、(APIの変更を含む)他の種類の変更によってコードが動かなくなるケースの方が、eval()
によるパッチの適用が原因で動かなくなるケースよりも多く見られました。
gBrowser.foo
とwindow.doSomething
の両方を拡張する必要があります。gBrowser.foo
の開始時にフラグ変数をfalse
にセットして、window.doSomething
がそれをtrue
にする、doSomethingAfterFoo
はそのフラグ変数がtrue
になった時にだけ呼ばれる、という具合です。gBrowser.foo
がwindow.doSomething
を呼んだ時にdoSomethingBeforeFoo
を呼ぶ、という事でしょう(window.doSomething
が他の場所から呼ばれた場合を除いて)。このような場合、やはり両方の関数を拡張するべきです。gBrowser.foo
の開始時にフラグ変数をtrue
にセットして、終了時にそれをfalse
にセットする。window.doSomething
の開始時に、そのフラグ変数の値がtrue
であるならdoSomethingBeforeFoo
を実行する。という具合です。gBrowser.foo
を拡張し、doSomethingAnnoying
についてもそのフラグ変数がtrue
な時は何もしないように拡張することで、可能でしょう。ただし、あなたが本当にそれをする必要があって、それが何をどのように壊すのかについては、改めてよく考えてください。gBrowser.foo
を拡張し、doSomething
についてもそのフラグ変数がtrue
で且つarguments[0]
が"red"
である場合にarguments[0]
を"green"
に置き換えるように拡張すれば、それも可能でしょう。ただしその場合も、やる前にその影響をよく考えてください。maxVersionの仕組みについては、大抵の拡張機能は「バージョン3.0.*に対して互換性がある」という風に指定されているので、セキュリティの修正やマイナーリリースでの変更をキャッチアップしてくれません。
その一方で、拡張機能の作者は
――このような方法でバグにパッチを当てるのは、実に宜しくないアイデアです。Bugzillaにバグを報告して、ちゃんとしたパッチを書いてください。それが確かに明らかにバグで、安全に修正できるのであれば、その修正はマイナーリリースに取り込まれるでしょう。もしあなたが間違ったことをしていれば、フィードバックを得られるでしょう――それは、誰にも何も尋ねずに「パッチ適用」をしてブラウザの機能を壊してしまうよりも良いことです。eval()
によって、(セキュリティに関するものも含めて)バグがFirefox本体側で修正されるよりも前にパッチを適用することができます。
doSomething
(あるいは他の関数)は、 Components.classes[""].createInstance().doSomething();
という風な(※訳註:置き換え不能なネイティブのメソッドを呼ぶ)コードかもしれませんし、関数ではなくべた書きされたコードのブロックかもしれませんし、あるいは、その処理がとても頻繁に呼ばれる機能である場合は置き換え後の関数によって度し難いほどの余計な処理時間がかかるかもしれません(特に、複数の拡張機能がそういうことをするのなら)。
maxVersionの仕組みについては、大抵の拡張機能は「バージョン3.0.*に対して互換性がある」という風に指定されているので、セキュリティの修正やマイナーリリースでの変更をキャッチアップしてくれません。
これは「必ず酷い結果になる」という未来予測への反論ですよ。あなたが言っているのは実際には拡張機能の作者の過ちです。また、私に言わせれば、既存のコードを動かなくしてしまうような変更がMozillaのセキュリティアップデートで行われることがあまりに多すぎます(私が知っている最近の例はBug 442333(※訳註:eval()
の第2引数の廃止を決定したバグ)です)。
このような方法でバグにパッチを当てるのは、実に宜しくないアイデアです。Bugzillaにバグを報告して、ちゃんとしたパッチを書いてください。
既にBugzillaに報告されていたり、次のメジャーリリースに修正が取り込まれることが確定していたりするなら、同じコードを使えるでしょう。そのバグが外部の(※訳註:拡張機能などの)コードに対してのみ影響を与えるものである場合は特に、(パッチが提出されていても)そのバグが実際に修正されるまでには何ヶ月もかかることがあります。
それが確かに明らかにバグで、安全に修正できるのであれば、その修正はマイナーリリースに取り込まれるでしょう。
その修正が次のマイナーリリースに取り込まれたと仮定しても、それには最低でも1ヶ月はかかります。その修正内容をバックポートすることはそれほど害を及ぼさないでしょう。
~誰にも何も尋ねずに「パッチ適用」をしてブラウザの機能を壊してしまうよりも良いことです。
もしその拡張機能の意図するところが、そのシチュエーションにおいて行われる通常の挙動を変更する事なのであれば、それは初期状態の挙動を壊してしまおうとするもののように見えるでしょう。
ちなみに、異なる実行コンテキストでコードを動的に実行することは、eval()
のもう1つの妥当な使い方です。
eval("code to inject", context);
あるいは
domWindow.eval("code to inject");
これらは、コードを一時ファイルに書き出して、サブスクリプトローダーで読み込ませ、一時ファイルを削除する、という風なやり方によってのみ置き換えることができます。なぜなら、サブスクリプトローダーは依然としてdata: URIの読み込みを許可していないからです。(この回避策は実に面倒です。テンポラリファイルを使うことは他の問題を引き起こしかねませんから。)
「異なる実行コンテキスト」というのは、「特権がないコンテキスト」という意味ですか? それは別物です、そのコードはChrome権限を得ることはないでしょう。
「異なる実行コンテキスト」というのは、「特権がないコンテキスト」という意味ですか?
そうとは限りません。nsIWindowMediatorによって返されたDOMWindowのコンテキストは、Chrome権限のあるオブジェクトと同じになり得ます。(サブスクリプトローダーを使って読み込ませたスクリプトや、XBLのバインディングの中に書かれたスクリプトのようにwindowオブジェクトを汚染することなく動的に使われるスクリプトにおいては。)
最初の影響を見るには、以下のコードをエラーコンソールで実行してみてください:
Components.classes["@mozilla.org/appshell/window-mediator;1"]
.getService(Components.interfaces.nsIWindowMediator)
.getMostRecentWindow("navigator:browser")
.eval("location");
Firefox Developers Conference 2009、企業でアドオンを開発してる所でただの宣伝ではない技術的な話が聞けそうなセッションということで、A3 「ビッツにおける拡張機能開発 (Wired-Marker 他)」見たいなあと思ってたんだけど、15:40からのトークセッションの打ち合わせがあったので見れなかったんですよね。Webに上がってる感想を見ると、AMOで公開した後のやりとりについて色々話してたそうで、うわー分かる分かる!見たかったなあ!と、悔しい思いをしてたんです。
今日になってチラシを改めて見ながら、僕の代わりにセッションを聞いてもらってた小野寺さんに「どんな発表だったん? 技術的に面白そうな所ありました?」と聞いたら、「ページ内の選択箇所の位置情報をXPathでURLに付与するとかなんとか」って言われて、「へぇーずいぶん前に僕も同じようなことをやったなあ、同じ事考える人がいるんだなあ。ひょっとして僕のコードコピペして使ったんかな?w 使われてたらちょっと嬉しいなあ。」と思って、でも公式サイト見てみても特に僕の名前とかLine Markerへの言及は無いし、「予想外したかなあ。でももし仮に僕のコードが入ってたらライセンス違反(笑)だよなあ。」と思いながらAMOの配布ページからXPIをダウンロードして中を見てみて、該当する箇所を見てみたんですよね。
わあ。懐かしいコードに出会ってしまった。
クリエイティブコモンズの表示-非営利-改変禁止ライセンス(ちなみにこのライセンスは、無料で見れる映像作品などに設定する場合に使われる「作者を明らかにしてタダで再配布しなさいよ、自分の物だと言い張ったりお金取ったりしたらあかんで、あと改造したり切り貼り素材に使ったりするのもあかんで」という性質のライセンスです)なので、具体的にコードの一部を引用して比較することは避けておきますが、content/hyperanchor/hyperanchor.jsの中で定義されてるgetXPathForNodeというメソッドと、Line MarkerのcontextMenuOverlay.jsの同名のメソッドを見比べると、変数の書き方とかループのラベルとか// fallback, for markers in another marker or other cases...
というコメントとかを見る限り、Line Marker由来のコードと見て間違いないみたいなんですよね。どうも。
amachangとAzaと後藤さんと通訳の人と打ち合わせしてる隣で堂々とCopyright(c) BITS Co., Ltd. and Prof. Okubo. All Rights Reserved.
なこのコードの解説が行われていたかと思うと、なんか笑えます。
まあそんなに独創性のあるアイデアでもないし、僕もコピペした後元のコードの作者の名前を書き忘れることがあるし、こういうのを作れる技術力のある人ならこの関数をスクラッチで書き直す(&改良する)のは大して苦じゃないでしょうから、このエントリに気付いて今後のバージョンでライセンス違反を解消してくれればいいねえと期待しつつ生暖かい目で見守りたいと思います。
で、皮肉るだけじゃあまりに非生産的なので、僕のコードに限らずMPL1.1/GPL2/LGPL2.1のTri-licenseなコード(Firefoxそのものもそうです)をこういう風に流用したい方へのアドバイスを書いておきます。トリプルライセンスなコードはトリプルライセンスまたはいずれか1つのライセンスを引き継げば問題無いので、
のような感じにしておくと、僕のようなうるさい奴が「ライセンス違反じゃー!! 天狗のしわざじゃー!!!」とどや顔で騒ぎ立てることが無くて良いと思いました。逆に言うと、そのようにしておけば誰に文句を言われることもなくFirefox内部のコードでもなんでもパクれるもとい再利用できるので、みんなどんどんFirefoxの中からコードをコピペすると良いと思います。
イベントの感想エントリより前にこんなの書いてる僕って何なんでしょうね。
追記。コメント欄にも書き込まれていますが、先方からメールでもご連絡をいただきました。ライセンス上の問題が解消されるまで一時的に、当該アドオンの公開を停止されるとのことです。当該アドオン自体の有用性を否定するつもりはありませんので、早く再公開されればいいなあと、アドオン開発者の一人として思っています。
なんでこういう嫌らしいエントリを書いて晒し上げにするわけ? メールで連絡してなしのつぶてだったら初めて晒すのでも十分なんじゃないのか? 的な批判を裸電球さんからいただきましたので改めてよくよく考えてみましたが、今回の自分の「目的」というのはどうも、「ライセンス違反を解消してもらうこと」ではなく「尊敬されなかった事への不快感の表明・発露」だったのでしょうね。
「オープンソース」という言葉が生まれたのはGNUの思想と無関係にGPLなどのライセンスの恩恵を受けるためだった、という歴史がありますが、そういう意味では僕自身も、「自分の名前をどこかに残すため」「自分の痕跡を残すため」「称賛を得るため」「遺伝子を残せないなら、代わりにコードと名前を残す」という風な大目的のためにオープンソースにフリーライドしているという部分が大きいのだと思います。だからこそ、「フリーソフトウェアの思想のため」でもなければ「コードが適切に再利用されるため」でもなく、あくまで「リスペクトされなかった、自分が蔑ろにされた、成果から得られたはずの称賛を横取りされた(と、事実はともかく自分は感じて)、それによって傷付いた自分がここにいるのだということを世界に対し表明し、同情を買い、自分の心を慰めるため」という目的を意識した行動を真っ先に取ったのでしょう。即ち、twitterやここのような「自分のフィールド」で、間接的な嫌らしい書き方で、相手を非難する、という行動を。
だからおそらく、メールで知らせて人知れず修正されたとしても、あるいは淡々と事実のみを記しても、僕の「目的」は果たされることはなかった。また、その瞬間の僕の頭には「ああ可哀想な僕たん。こんなに可哀想なんだから同情されるよね間違いないよね。」というシナリオができあがっていたから、そのシナリオに沿った行動以外を取る気にはなれなかった。
しかし一通り吐き出してやっと、おそらく大方の第三者が冷静に考えて思うであろう「馬鹿だなあ、そんな書き方をしたら余計に嫌われるだけだろ」という結論に自分自身も辿り着いたため、何ともばつの悪い、しかし今更これを引っ込める事もできない、後味の悪さと、自分という人間の小者っぷりを最大限にアピールしてしまった事への後悔を感じたわけです。今となっては、自分に対しても本件に関わった誰に対しても、残念な思いしか感じられません。
Firefoxでは、タブがセッション情報も伴って復元された時に、SSTabRestoring
とSSTabRestored
という2つのイベントが発行される。イベントのoriginalTarget
はいずれも復元されたタブの要素で、SSTabRestoring
はセッション復元処理が走ったけれどもタブの読み込みは完了していない段階、SSTabRestored
はタブの読み込みが完了した段階で発行される。
これらのイベントが発行される場面は、3つある。
この3つの場合を、特に1とそれ以外とを判別したい、その方法を考えてみたよ、というのがこのエントリの主題です。
例えばツリー型タブでは、タブの親子関係が変更された時のインデントの変更やツリーの折りたたみ時にアニメーション効果を適用している。しかしながら、Firefoxのセッション復元時に複数のタブのツリー構造を一気に変更する場合には、いちいちアニメーションしてたら重くてしょうがない。なので、この時だけはアニメーション効果を適用しないようにしたいと僕は思った。
しかしながら、前述のSSTabRestoring
とSSTabRestored
からは、そのイベントが発行されたのが上記の3つの場面のうちいずれなのかが分からない。どの場面でイベントが発行されたのかを判別するには、他の情報も参照する必要がある。
実は1の場合については、セッションが復元される時にObserverServiceに登録したオブザーバに対してsessionstore-windows-restored
というメッセージが通知される。なので、これを監視すればいいんじゃないか?と、最初のうちは考えてた。
でも、話はそう単純には済まなかった。実際にイベントを監視してみると、セッション復元時には以下のような順番でイベントが発行されていることが分かった。
SSTabRestoring
イベントが発行される。sessionstore-windows-restored
が通知される。SSTabRestoring
イベントが順番に発行される。SSTabRestored
イベントが読み込みの終わった物から発行される。3と4はこの通りにならないこともあって、あるタブのSSTabRestoring
が発行されてすぐに読み込みが完了したタブについては、次のタブのSSTabRestoring
が発行される前にSSTabRestored
が発行される場合もある。
一番致命的なのは、複数タブのセッション復元が始まったことは通知されるのに、全部のタブのセッション復元が終わったことは通知されないという点だ。
sessionstore-windows-restored
が通知されたらその後に発行されたSSTabRestoring
は全部ウィンドウ単位のセッション復元の一部なんだな、と判断してしまうと、例えば10個のタブを開いたウィンドウのセッションを復元した後、1つタブを開いて、閉じて、開き直した時、そのタブまで「ウィンドウ単位のセッション復元の一部」と誤爆してしまう。SSTabRestored
が発行されるまでの間にSSTabRestoring
が発行されたタブ」がウィンドウ単位のセッション復元なんだな、と判断してしまうと、後続のタブのSSTabRestoring
よりも前にSSTabRestored
が発行された時に、セッション復元が終わってないのに終わったと見なされてしまう。という具合で、「ウィンドウ単位でのセッション復元の終わり」がいつなのかが分からないと、誤爆しまくりで全然役に立たない。
また、重ねて困ったことに、sessionstore-windows-restored
の通知はsubjectがnull
なので、どのウィンドウでセッション復元が開始されたのかすらオブザーバ側からは分からない。別のウィンドウでセッション復元がはじまった時に来た通知を見て「これからこのウィンドウで開き直されるタブは全部、ウィンドウ単位のセッション復元の一部なんだな」と判断してしまってはいけない。
dump()
をコードの中に埋め込んで調べたところ、nsSessionStore.js内の各処理とイベントは、以下のような順番で起こっているらしいということが分かった。
SSTabRestoring
が発火sessionstore-windows-restored
が通知されるSSTabRestoring
が発火×タブの個数分SSTabRestored
が発火×タブの個数分SSTabRestored
が発火したら、すべてのタブの復元が完了このうちnsSessionStore::restoreHistoryPrecursor()やnsSessionStore::restoreHistory()やnsSessionStore::restoreDocument_proxy()は、タブを1つ復元するだけの時にも使われてる。
よくコードをよく読むと、nsSessionStore::restoreHistoryPrecursor()の中で「復元するタブの数だけ新しくタブを開く」「それらのタブのtab.linkedBrowser.parentNode.__SS_data._tabStillLoading
をtrue
にセットする」という処理が行われて、その後でsessionstore-windows-restored
がオブザーバに通知されていた。(このtab.linkedBrowser.parentNode.__SS_data._tabStillLoading
は、タブの復元が完了した段階でundefined
になる。)
ということは、sessionstore-windows-restored
が通知された時にウィンドウ内の全部のタブを調べて、tab.linkedBrowser.parentNode.__SS_data._tabStillLoading
がtrue
であるタブが2つ以上ある(復元待ちのタブが複数ある)なら、そのウィンドウでこれからウィンドウ単位のセッション復元が行われようとしている、と考えてよいわけだ。
で、SSTabRestored
が発行される度に復元待ちのタブの数を確認して、復元待ちのタブの数が0になったら、ウィンドウ単位でのセッション復元が終わったと判断できる。
厳密には、「ウィンドウ単位でのセッションの復元中に別途タブを1個だけ復元した」という場合にもそのタブが「ウィンドウ単位のセッション復元の一環で復元された」と見なされてしまうので、この方法にも穴はある。たくさんのタブのツリー構造を一気に変更した時にアニメーションでクソ重くなるのを避けたい、という僕の目的ではこれで必要十分なので、これ以上は追求してない。
以上をコンパクトにまとめると、こんな感じになる。
var ObserverService = Cc['@mozilla.org/observer-service;1']
.getService(Ci.nsIObserverService);
var observer = {
restoringWindow : false,
getRestoringTabsCount : function() {
return Array.slice(gBrowser.mTabContainer.childNodes)
.filter(function(aTab) {
var owner = aTab.linkedBrowser;
var data = owner.parentNode.__SS_data;
return data && data._tabStillLoading;
}).length;
},
observe : function(aSubject, aTopic, aData) {
if (aTopic == 'sessionstore-windows-restored')
this.restoringWindow = this.getRestoringTabsCount() > 1;
},
handleEvent : function(aEvent) {
switch (aEvent.type) {
case 'load':
window.removeEventListener('load', this, false);
window.addEventListener('unload', this, false);
gBrowser.addEventListener('SSTabRestoring', this, false);
gBrowser.addEventListener('SSTabRestored', this, false);
return;
case 'unload':
ObserverService.removebserver(this, 'sessionstore-windows-restored');
window.removeEventListener('unload', this, false);
gBrowser.removeEventListener('SSTabRestoring', this, false);
gBrowser.removeEventListener('SSTabRestored', this, false);
return;
case 'SSTabRestoring':
this.onTabRestoring(aEvent);
return;
case 'SSTabRestored':
this.onTabRestored(aEvent);
return;
}
},
onTabRestoring : function(aEvent) {
var tab = aEvent.originalTarget;
if (this.restoringWindow) {
// ウィンドウ単位でのセッション復元時の処理
}
else {
// タブが個別に開き直された時の処理
}
},
onTabRestored : function(aEvent) {
if (this.restoringWindow)
this.restoringWindow = this.getRestoringTabsCount() > 0;
}
};
window.addEventListener('load', observer, false);
ObserverService.addObserver(observer, 'sessionstore-windows-restored', false);
セッションストアAPIを使ってタブにいろんな情報を紐付けて、その情報に基づいてあれこれしたい人には、役に立つんじゃないでしょうか。(でもそんな変なことやってる人はほとんどいないんだろうなー)
XUL/MigemoがTrunk(3.7a1pre)で動かなくなっていた件について原因を調べてた。
エラーメッセージに見覚えがあるなあと思って検索したら、前に書いたエントリがヒットした。
一個だけ躓いた所として、XPCOMコンポーネントの新しいメソッドをIDL定義に追加して引数にnsISelectionController型のオブジェクトを渡すようにしていた所、XPIDLでのコンパイルは通るんだけど実際に使う時に
NS_ERROR_XPC_CANT_GET_PARAM_IFACE_INFO
というエラーが出てにっちもさっちもいかなくなってしまった。ダメ元で、引数の型をnsISupportsにして受け取り側でQueryInterfaceするようにしてみたところ、ちゃんと動いてくれた。一体何だったんだろうこれは。
ああ、前にも詰まってたところだったか……この時は結局「理由」が分からないままで、とりあえず動くようにはなったからということでそれ以上は調べなかったんだよね。
改めて検索してみたら、似たような問題にぶち当たった人がいたようだった。で、やっと何が問題の原因だったのかが分かった。
新しいXPCOMコンポーネントを定義する時に、インターフェースも新しく定義する場合、XPIDLを使ってインターフェースを定義してやらないといけない。
[scriptable, uuid(4aca3120-ae38-11de-8a39-0800200c9a66)]
interface xmIXMigemoFileAccess : nsISupports
{
AString getAbsolutePath(in AString filePath);
AString getRelativePath(in AString filePath);
AString getExistingPath(in AString absoluteOrRelativePath);
AString readFrom(in nsIFile file, in ACString encoding);
nsIFile writeTo(in nsIFile file, in AString content, in ACString encoding);
};
この時、メソッドの引数や返り値の型として、AStringやlongのようなプリミティブ型(?)だけでなく、nsIFile
のように他のインターフェースを使うこともできる。
この時気をつけないといけないのが、インターフェースには2つの識別子があるということ。1つは、上記の例でいえばinterface xmIXMigemoFileAccess
という部分で定義されているインターフェース名「xmIXMigemoFileAccess」、もう一つは[scriptable, uuid(4aca3120-ae38-11de-8a39-0800200c9a66)]
という部分で定義されているインターフェースID(IID)「4aca3120-ae38-11de-8a39-0800200c9a66」だ。
今回は、XUL/Migemoのコンポーネントの機能のうち、nsIDOMRangeやnsIDOMWindowを値の型として使っていた部分でエラーが起こっていた。
interface xmIXMigemoTextUtils : nsISupports
{
(略)
AString range2Text(in nsIDOMRange range);
(略)
具体的にはこの辺。どうも、Firefox 3.5から3.7a1preまでの間のどこかの時点で、nsIDOMRangeやnsIDOMWindowのIIDが変更されたらしい。XPIDLのコンパイル(.xptファイルの生成)には成功しても、そのあと3.7a1preのFirefoxが.xptを解釈する時に、IIDの方でnsIDOMRangeやnsIDOMWindowのインターフェース定義を探すために、「こんなIIDのインターフェースは定義されてないよ! インターフェースの情報が見つからないよ!」というエラーになっていたようだ。
とぴあさんに色々教えてもらった。元々、XPCOMの元になった(?)COMの世界つまりC++の世界では、インターフェースの識別にはIIDを使うのが原則というかIIDこそが本来の識別子で、nsIDOMRangeとかの名前はそれへの参照に過ぎないということなのだそうな。
インターフェースの内容が変化した時(メソッドの追加等)には、「古いインターフェースの定義が消されて、別のIIDで新たなインターフェースが定義された」というような扱いになるようだ。「IIDが変わった」と前述しているけれども、プログラム的には「IIDが変わっただけで同じインターフェース」なのではなく「全くの別物」という扱いだから、全く互換性は保証されない……というわけ。
なお、互換性を維持したままインターフェースに新しい機能を追加するためには、現在使われているインターフェースの定義はそのまま残して、それを継承した新しいインターフェースを定義する必要があるということになる。「nsIPrefBranch2」とか「nsIGlobalHistory3」などがそれにあたる。
nsIDOMRangeやnsIDOMWindowのIIDが3.7a1preのものと同じになっている新しいSDKを使って.xptファイルを作り直してやれば、3.7a1preでもXUL/Migemoが動くようになるはず。でも、そうすると今度はFirefox 3.5以下で動かなくなる。それは困る。
無難な解決策は、値の型として使うインターフェースを、古いFirefoxから新しいFirefoxまでの間でずっと変わっていないインターフェースにするということ。nsISupports(すべてのXPCOMの基底インターフェース)ならほぼ確実に使える。
interface xmIXMigemoTextUtils : nsISupports
{
(略)
AString range2Text(in nsISupports range);
(略)
このようにインターフェースの定義を変えた上で、実装の方で受け取った値をQueryInterface()
してやる。
range2Text : function(aRange) {
aRange.QueryInterface(Ci.nsIDOMRange);
var doc = aRange.startContainer;
(略)
こうすると、メソッドを呼ぶ時に、DOMのRangeオブジェクトをそのまま引数に渡せる状態を維持できる。
JavaScriptのレイヤからはIIDではなくヒューマン・リーダブルなインターフェース名だけを使うのが一般的なのだけれども、こうしておけばXPCOMのフレームワークが自動的に「新しいIIDのnsIDOMRangeインターフェース」を参照してくれる。実際にインターフェースで定義されている内容には変更が起こっているかもしれないから、確実な動作は保証できなくなるけれども、当該のインターフェースが「既にある機能はなくなったり変更されたりせず、新しい機能が追加されていくだけ」という傾向があるのなら、おおむね問題なく動作し続けてくれると考えられる。
とぴあさんが調べてくれたのだけれども、今回のトラブルの原因になったnsIDOMRangeは定義の頭の方に@status FROZEN
と書かれていて、本来であれば、IIDが変わることもなければメソッドやプロパティなどのインターフェース定義の内容が変わることもない、安心して永続的に使えるインターフェースだったはず……のようだ。
それが、Bug 396392 – Support for getClientRects and getBoundingClientRect in DOM Rangeに提出されたパッチでメソッドが追加されると同時にIIDも変更されてしまった。本当は、これはあってはならない事態らしい。当該バグのコメントでもnsIDOMRangeのIIDは元に戻して、変更はnsIDOMNSRange(Geckoの独自拡張の機能が色々定義されているインターフェース)に対して行うべきと書かれている。おそらく近いうちに、nsIDOMRangeのIIDは元の物に戻されて、XUL/Migemoが動かなくなってしまった問題も解消されるものと思われる。
個人的な感覚としては、インターフェースに変化が無くても実装が変わって挙動も変わりました……なんて事がMozillaではザラにあるので、インターフェースの部分でだけ「ちょっとでも変化があったらIIDは別の物! インターフェースとしても別物!」という風に厳密に区別しても意味なくね? と思う。ぶっちゃけ、「安心して使えるAPI」なんてのはMozillaの世界じゃリップサービスに過ぎないと思ってる。(とぴあさんには、それはプロジェクトのマネジメントがマズイという別のレイヤの問題だよねと言われた。)
あと、現在のFirefox(Gecko 1.9以降)では、自分で新しくインターフェースを定義してXPCOMコンポーネントを作る必要はほとんど無いと言っていい。JavaScriptでコンポーネントを定義してJavaScriptだけから使うのであれば、JavaScriptコードモジュールを使えばよくなった。また、起動直後に処理を行うような場合なんかには相変わらずXPCOMコンポーネントの定義が必要だけど、それは既存のインターフェース(nsISupportsやnsIObserver)だけでも事足りる。XPIDLが必要になるのは、JavaScriptで書かれた機能をC++のレイヤから呼び出したいような時だけだ。普通に開発する分には、こんな事で悩む必要は今や全くない。という事に気がついて、今更になって激しい徒労感を感じている。
trunk gBrowserのloadOneTabとaddTabの引数が変わった - alice0775のファイル置き場 - Yahoo!ジオシティーズを見て初めて知ったけど、TrunkでgBrowser.addTab()
とgBrowser.loadOneTab()
の仕様が変わったようだ。
すでに追加されている「現在のタブの隣に新しいタブを開く」機能は、リファラが渡されていれば現在のタブの隣に、そうでなければタブバーの右端にタブを開くという挙動になっている。これに対し、リファラを渡さなくても現在のタブの隣に新しいタブを開けるようにしたい、という要望が出た(当然と言えば当然だ)。
それを実現するには、普通に考えると、gBrowser.addTab()
とgBrowser.loadOneTab()
の引数でそういう挙動を指定できるようにしてやらないといけない。しかしどっちのメソッドもすでに多数の引数を受け付けるようになってて(現状でもすでに6個ある!)、これ以上引数を増やすのってどうなん? と。関数の引数が多いのは悪い設計の典型例だ。こういう場面ではハッシュなりなんなりを使うのが定石ですわな。そこで件のバグが立ったと。
最初に提出されたパッチは、引数リストにさらにaRelatedToCurrent
を加えつつ、各引数に対応する値をプロパティに持つオブジェクトを2番目の引数として渡した時はそっちを使うようにするという風になってる。これだけ見ると「また引数増やすのかよ、しかも新方式(ハッシュによる指定)もサポートするのかよ。マンドクセ。」と思うところだけど、2番目に提出されたパッチでは引数の数の方は変更が無くて、aRelatedToCurrent
に相当する引数を指定したい時はハッシュを使わなければならないようになってる。実際にチェックインされた内容は後者のパッチの通りだ。
この事から、今後は新方式のAPI(新しいタブの挙動はgBrowser.addTab()
とgBrowser.loadOneTab()
の第2引数でハッシュで指定する)が標準となり、旧方式のAPI(gBrowser.addTab()
とgBrowser.loadOneTab()
に沢山の引数を渡す)はあくまで後方互換性のためにのみ残されている、という風に考えることができる。
参考までに、新旧それぞれの書き方を示しておこう。
// new API
var newTab = gBrowser.addTab('http://www.example.com/', {
referrerURI : referrer, // nsIURI
charset : 'Shift_JIS',
postData : null,
inBackground : true,
allowThirdPartyFixup : false,
relatedToCurrent : false
});
// old API
var newTab = gBrowser.addTab(
'http://www.example.com/',
referrer, // nsIURI
'Shift_JIS',
null, // postData
true, // inBackgorund
false // allowThirdPartyFixup
);
本当だったらもっと早く、Firefox 3.0になる前の時点でこういう事は済ませておくべきだったんだろうと思う(そのための「メジャーバージョン」でしょ?)。でもまあ、いつかはやらなきゃいけないことだ。新しい引数が追加されるというタイミングは、移行のいいきっかけではある。