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「xpcnativewrappers=no」の廃止 - Jun 09, 2010

レガシーな仕組みが1つ廃止されたようだ。

XPCNativeWrapperについては過去に行った拡張機能のセキュリティに関するプレゼンの中でも紹介した。現在も既に、chrome権限があるコードからWebページの内容に触る時は基本的には必ずXPCNativeWrapperを介してアクセスしないといけないようになってるんだけど、そういう仕組みがまだ入ってなかった頃の書き方でも拡張機能を書けるように、敢えてこの仕組みをOFFにするための機能があった。それがchrome.manifestでのxpcnativewrappers=no指定。今回上記のbugで投入されたパッチによって、この指定がそもそも機能しないようになった。

XPCNativeWrapper越しでなく生のJavaScriptのオブジェクトにアクセスする方法としては、xpcnativewrappers=no以外にもう1つ、任意のオブジェクトの.wrappedJSObjectというプロパティを見る方法がある。今回投入されたパッチではこの機能までは削除されていないように見えるので、今までxpcnativewrappers=noを使っていた人は、Webページ内のJavaScriptのオブジェクトにアクセスしてた箇所では.wrappedJSObjectを書き加えるようにすれば一応は動くようになるんじゃないかと思う。セキュリティ的には、そもそもラップされてない生のJSObjectに触らなきゃいけないという設計自体を変えた方がいいんだけど。だいたい、XPCNativeWrapperが入ったのってFirefox 1.5がリリースされるよりも前の話だよ。今なおXPCNativeWrapperの存在を前提にしてないコードって、どんだけ古いのさ?

Windows 7のAeroPeek(タスクバーのプレビュー)にアドオンから手を出してみる - May 13, 2010

Windows 7では、特定のアプリケーションのウィンドウが複数開かれている状態でタスクバー上のボタンをポイントすると、各ウィンドウのプレビューが一覧表示されるようになっている。これはAero Peekという機能だ。Firefox 3.6以降ではこのAero Peekのためのコードが入ってて、about:configでbrowser.taskbar.previews.enableをtrueに変更して機能を有効にすると、ウィンドウごとではなくタブごとのプレビューが表示されるようになる。Trunkではデフォルトで有効になってるので、次のメジャーリリースでもそうなるんだろう。

この機能について、ツリー型タブで対応してくれという要望が何件か来ていたので、0.10.2010043001以降では折り畳まれたツリーの中にあるタブのプレビューは表示しないようにしてみた。これを実現するにあたって調べたことを書き記しておく。

FirefoxでウィンドウごとではなくタブごとのプレビューをAero Peekに表示させるためのコードのうち、アドオンから簡単に触れるのはWindowsPreviewPerTab.jsmにあるコードだ。以下のようにするとプレビューのマネージャにアクセスすることができる。

Components.utils.import('resource://gre/modules/WindowsPreviewPerTab.jsm');
alert(AeroPeek); // "[object Object]"

ツリー型タブの新機能(?)の「折り畳まれたタブに対応するプレビューを隠す」は、ここからどうやれば実現できるのか。

まずAeroPeek.windowsの中から、処理対象のウィンドウに対応する項目を探す。このプロパティは各ウィンドウに対応するオブジェクトの配列になっていて、オブジェクトのwinプロパティにFirefoxのブラウザウィンドウのDOMWindowオブジェクトがそのまま入ってる。なので、以下のようにすれば今のウィンドウに対応するオブジェクトを見つけられる。

AeroPeek.windows.some(function(aTabWindow) {
  if (aTabWindow.win == window) {
    // 現在のウィンドウに対する操作
    return true;
  }
  return false;
});

また、このオブジェクトはpreviewsというプロパティの中に各タブのプレビューに対応するオブジェクトを持っている。以下のようにすれば、プレビューからタブのDOMElementを辿ることができる。

aTabWindow.previews.forEach(function(aPreview) {
  var tab = aPreview.controller.wrappedJSObject.tab;
  // タブに応じた操作
});

プレビューのオブジェクトはvisibleという真偽値のプロパティを持っていて、これの値がtrueだとAero Peekのプレビューが表示され、falseだと非表示になる。ツリー型タブの場合、タブが折り畳まれているかどうかによってこの値を上書きするようにしている。

var tab = aPreview.controller.wrappedJSObject.tab;
aPreview.visible = !TreeStyleTabService.isCollapsed(tab);

初期状態では、visibleの値はbrowser.taskbar.previews.enableの値と同じになっている。アドオンでvisibletrueにするとユーザがAero Peekを設定で無効化してても問答無用でプレビューが表示されてしまうので、誤ってtrueにしてしまわないように気をつけないといけない。僕はうっかりこれをやってしまった。

で、プレビューの表示・非表示を切り替えた後は、表示されるプレビューの総数が変わったことをマネージャに通知してやる。

AeroPeek.checkPreviewCount();

Firefoxは、プレビューの数が多すぎる時は強制的にプレビューを非表示にするようになってる。その切り替えの判断は、このメソッドが呼ばれた時に行われている。

以上をまとめると、こうなる。

AeroPeek.windows.some(function(aTabWindow) {
  if (aTabWindow.win == window) {
    aTabWindow.previews.forEach(function(aPreview) {
      var tab = aPreview.controller.wrappedJSObject.tab;
      aPreview.visible = !TreeStyleTabService.isCollapsed(tab);
    });
    AeroPeek.checkPreviewCount();
    return true;
  }
  return false;
});

ツリー型タブでは、これをツリーの開閉が行われる度に実行している。開閉の捕捉はカスタムイベントで行ってる。

プレビューの並び順とかも変えれそうな気がなんとなくしてるので、やる気が出てきたらまたいじってみようと思ってる。ただ、他のアドオンもここに手を出すと衝突しまくりそうではある。

nsIVariantを使ってるアドオンが終了していた、と思ったら僕の知識の方が終了していた件 - Mar 23, 2010

SCRAPBLOG : JavaScript 製 XPCOM で配列構造・列挙構造のデータをメソッドの戻り値にする

独自に開発したXPCOMコンポーネントに対して配列を渡したり、あるいは戻り値を配列で受け取ったり、ということをやる方法はいくつかある。上記エントリではコメント欄も含めると4つの方法が紹介されていて、そのうちコメント欄にある2つはJavaScriptの配列をそのまま受け渡せるという点で有用だ。特にnsIVariantインターフェースを使うやり方は、戻り値に使う時に余計な引数を定義しなくていいので、実際にそのXPCOMコンポーネントをJavaScriptから使う時にとても使い勝手がいい。

ということでXUL/Migemoでは積極的にnsIVariantを使ってたんだけど、これがMinefield(検証したバージョンは3.7a4pre)で動かなくなってた。

結論から言うと、これはnsIVariantインターフェースのIIDが6c9eb060-8c6a-11d5-90f3-0010a4e73d9aから81e4c2de-acac-4ad6-901a-b5fb1b851a0dに変更されたせいで起こっている問題で、nsIDOMRangeのIIDが変更された時に起こった問題と同様の物だ。

変更が入ったのは昨年9月で、HTML5の新しい仕様に対応するための作業の一環として、何らかの必要があってインターフェースに機能を加えると同時にIIDも変わったらしい。nsIVariantはFROZENなインターフェースじゃないから、nsIDOMRangeの時のようにIIDが元に戻されることは多分あり得ない。よって、考えられる対策は以下のいずれかということになる 。

  • APIをXPCOM経由で提供する事を諦める。Firefox 2以前、Thunderbird 2以前を切り捨てて、JavaScriptコードモジュールとして書き直す。
  • Firefox 3.6以前用とFirefox 3.7以降用とでXPIDLのコンパイル後のバイナリを分けて、Firefoxのバージョン別に2つのXPIファイルを提供するようにする。

JavaScriptコードモジュールにするデメリットは、Thunderbird 2で利用できなくなってしまう点と、APIが変わってしまう点。バイナリを分けるデメリットは、リリースの時の作業がめんどくさくなる(XPIファイルが2つになるので)という点。どっちを選んでも大変なのは変わらない……

APIが変わってしまうことは避けたかったので、結局、後者の方で対処することにした。

前から使ってるXPI生成用シェルスクリプトに起動オプションでサフィックスを指定できるようにして、

こんなショボいスクリプトを作って、前出のスクリプトと一緒に

call xpidl.bat xulrunner-sdk-1.9.2
bash makexpi.sh -n xulmigemo -v 0 -s "1.9.2"

call xpidl.bat xulrunner-sdk-central
bash makexpi.sh -n xulmigemo -v 0 -s "central"

てな感じで実行するようにして(make.bat / make.sh)、MozillaのFTPサイトからXULRunner SDKのファイル一式を入手して

  • xulmigemo
    • make.bat (make.sh)
    • xpidl.bat (xpidl.sh)
    • makexpi.sh
    • install.rdfなど
  • xulrunner-sdk-1.9.2
    • bin
      • xpidl.exe (xpidl)
    • idl
  • xulrunner-sdk-central
    • bin
      • xpidl.exe (xpidl)
    • idl

という感じにファイルを配置するようにした。

XPIを作りたい時にはXULRunner SDKが必要になってしまうけど、スクリプトいっこ走らせれば xulmigemo-mozilla-1.9.2.xpi と xulmigemo-mozilla-central.xpi という風に複数のXPIを出力できるようになったので、リリースにかかる手間は少しは軽減された……のかな……

追記。Gomitaさんのコメントを見て、IDLファイルからincludeの行を消して試してみたら、それでちゃんとコンパイルできた。なんでだ……!!!

えーと。ずっと勘違いしてたんだけど、#include "nsISupports.idl" みたいな行は、interface xmIXMigemoFileAccess : nsISupports てな感じでインターフェース定義の継承元に別のインターフェースを使う場合にだけ必要で、戻り値や引数に使う分には単に interface nsIVariant; とだけ書いておけばいいみたいですね……そうすると、コンパイル時には余計なIIDが含まれなくなって、Firefox 3.6まででも3.7以降でも問題なく使えるXPTファイルが作られるみたい。

まとめ。

  • IDLファイルの書き方を間違えておらず、最小限の記述だけにしてあれば、コンパイルしたXPTファイルはFirefox 3.6まででもFirefox 3.7以降でも使える。
    • 継承元に使うインターフェースはその内容が定義されたIDLファイルをincludeした上で interface インターフェース名; と書く。
    • そうでない物(引数や戻り値でしか使わないインターフェース)は interface インターフェース名; だけ書く。
  • Minefield 3.7におけるnsIVariantのIIDの変更の影響を受けるのは、nsIVariantを継承元としてさらに拡張したインターフェースを定義する場合だけ。

そんなわけで、xmIXMigemo.idlの頭の所はずいぶんスッキリしました。

#include "nsISupports.idl"
#include "nsIObserver.idl"

interface nsIObserver;
interface nsIFile;
interface nsIVariant;
interface nsIDOMWindow;
interface nsIDOMDocument;
interface nsIDOMRange;
interface nsIDOMElement;
interface nsIDOMNode;


/* Utilities: You can use them for your language without additional implementation. */

[scriptable, uuid(4aca3120-ae38-11de-8a39-0800200c9a66)]
interface xmIXMigemoFileAccess : nsISupports
{
(以下略)

Some reasons why I say that eval is not absolutely dangerous than other hacks. - Feb 08, 2010

This is an translated version of my another entry, evalが危険でそれ以外の方法が安全だと思ってる人へ . This is an objection for the entry: Five wrong reasons to use eval() in an extension written by Wladimir Palant.


Recently I updated Source Viewer Tab and Tree Style Tab. However, when I uploaded the latest version to AMO, both files were retained in the sandbox, never made public by AMO editors. They said with one mouth: "Your add-on uses the 'eval' function unnecessarily, which is something we normally don't accept. There are many reasons *not* to use 'eval', and also simple alternatives to using it. You can read more about it here: http://adblockplus.org/blog/five-wrong-reasons-to-use-eval-in-an-extension"

I know the point of their blames very well, because I read and translated the entry to Japanese for my understanding. When I got a rejection about another addon, I got just same comment.

Now I have an objection about indiscriminate rejections by "too many eval()s" like this.

Both "wrong" and "right" are infelicitous adjectives about eval.

First of all, there is no "wrong" use of eval in any JavaScript codes (not only my addons). All of evals are "right" if it does its own work correctly.

For example, by the HTML specification, <em> is defined as "means emphasizing", "cannot appear in <title>", and so on. If you write <em> against the definitions, your HTML will be "invalid".

How about eval? 15.1.2.1 eval (x) in the ECMAScript specification describes about the function. It just says: runs the specified string as a script. There is no cautionary statement about the purpose of using eval.

There is no "wrong" use, it is just "dangerous" use. There are many usecases: some is high-risk, some is low-risk. But, they all evals are "right" use if it works as required by the spec. So, I think that it is a suitable subject for the entry: "Five dangerous use of eval() in an extension".

Risks of eval have to be managed, in other words, risk-managed evals are useful tool to extend Firefox. For end users, I think some eval should be allowed if it is safe enough in the case. "Eval? No, no, it is evil function! Don't use it anyway!" - I think that is slapdash work.

When you get 5-minute recipes via HTTP, do you untrust it anyway? Because it is insecure protocol, you cannot trust any information without SSL? Note, VeriSign certifies that the website you are accessing via HTTPS is surely hosted by the author, but he doesn't certify that the author is not evil. If you cannot trust any people via internet, you have to live offline - it's a internet phobia. In many cases you maybe trust them anyway if it is low-risk.

In the entry, he negates any eval without considering about its risk if it is out of the "valid uses". I think it is just a eval phobia.

Can the eval eat codes from the Web, really?

I agree to blame some cases of 5 cases in the entry. The 1st (parsing JSON), the 2nd (accessing to properties dynamically), and the 4th (running event handlers of HTML or XUL elements) - those three cases must be blamed because they possibly run untrusted scripts from the Web as privileged. This is just same to caution about SQL injections for web apps.

I totally agree this topic. I also think any developer must be careful to make eval isolated from the Web. If my addons are rejected because they have this security issue, I totally back the judgment up.

So, how about my cases?

Both addons, Source Viewer Tab and Tree Style Tab, use eval only for injecting codes to functions in Firefox (and other addons). They never get codes from the Web. If editors decided to reject those addons by the reason, like "This is dangerous because it includes eval! Eval can run codes from the Web!", then it means: they reviewed addons without reading codes, and just checks warnings by the "not perfect" validator.

If so, I cannot agree to the decision. We shouldn't overestimate the power of the validator on the AMO system, because it can detect only a few patterns which are defined as "dangerous". It doesn't parse the JavaScript, it only reports the matching result about simple regular expressions, it cannot detect dangerous codes from obfuscated programs.

You have to judge case by case whether the eval is danger or not. Same about XBL hacks, CSS hacks, replacing of functions, and others. "Yes, this doesn't use eval. I accept it." "Oh, this uses eval. This is wrong. I reject it." Such a rash judgment possibly jeopardize people who download addons from AMO. I believe that we should review sources by our eyes to detect dangerous code cleverly obfuscated, even if it take time.

Is injection by eval absolutely dangerous than other hacks?

All of evals in Source Viewer Tab and Tree Style Tab are used to inject codes to functions of Firefox, it is the 5th case described in the entry. In the entry, he blames this use because:

  • When the definition of the target function changed, terrible problem (crashing, data loss, etc.) possibly appear.
  • It possibly invites "already fixed" security issues again.

And, he said that we should use "less dangerous" ways like:

  • Use closure, and wrap up the original function by a new function. In the function, call the original function by func.apply(this, arguments).
  • Watch changes of values of some property by Object.watch().
  • If you cannot do it with those safer ways, you should not do it. Give up.

In other words, in the entry he said that "those ways are safer than eval".

I think it is an unfair suggestion. If you talk about risk of those cases, you should think other risks too, which are not listed in the entry. We also would like to avoid eval if at all possible. However, in our cases eval is the way really better than others.

Risk: possibilities of conflicting to Firefox features and other addons

Methods to extend Firefox can be sorted as:

  1. Using stable APIs provided by Firefox or other addons. (Toolbar buttons, sidebar panels, contents filtering by nsIContentPolicy like AdBlock Plus, Jetpack Features, etc.)
  2. Using other unstable ways.
    1. Using XBL hacks.
      1. Applying new XBLs.
      2. Replacing existing XBLs. (Tab Mix Plus, etc.)
    2. Using JavaScript hacks.
      1. Replacing existing functions. Using closure, wrapping up original functions in new functions.
      2. Hooking operations of existing functions by Object.watch() or other ways.
      3. Injecting codes to existing functions by eval.
    3. Using CSS hacks. (Personas, third-pirtys' themes, etc.)

One addon can use multiple ways above, but we can call it "safe" addon if it uses only "stable APIs". Otherwise they are possibly unstable. Any addon using unstable ways possibly breaks Firefox and other addons. Themes also.

He said that the "less dangerous" way is safer than eval. But, actually it possibly isn't. For example, I tried to watch the toggling of the Sidebar in Firefox 3.6, by document.getElementById("sidebar-box").watch("hidden", ...). Then it breaks the original behavior of XUL element - the Sidebar was never toggled. (So I had to use an event listener for the "DOMAttrModified" generic event.)

Another case, if you wrap the original function by a new function, any other addon which aimed to inject codes to the original function will never work. Hmm, "Because it is evil. Evil addons using eval must die!" Don't say that. It is the fact, you didn't take care about people who use addons with eval.

By the way, there are features which cannot be implemented without injecting codes into existing functions. Dorando told about those addons in the comments to the entry. The conclusion of the entry is "don't do it, you should not do it". However, if you cannot explain how dangerous eval is than others, it is just a tautology: "you should not do it, because it is wrong use of eval." and "it is wrong use of eval, because you should not do it."

Risk: possibilities of causing troubles with updating of Firefox

On this point, both methods (eval and the "less dangerous" way) have same risk. He said that eval will never work if the definition of the function changed. However, the "less dangerous" way will collapse too if the original function is renamed. It is just a bias that functions will be never renamed in security updates. There is no "rule" like this.

Moreover, if you wrapped two functions A and B, expecting they work as "A-mod => B-mod", the hack will break down if only one mate changed by security fix. We cannot imagine how terrible thing caused is. Not only updating of Firefox, but conflicting to other addons too.

Anyway, we addon developers must catch up changes in any update of Firefox. It is the common issue for any addon which uses unstable ways to extend Firefox. I think blaming like "how terrible eval is than wrapping original functions" is nonsense. More importantly, I believe that we should talk about providing failovers for unexpected matters.

To put it bluntly, any addon is just a "dynamic patch". If you use Linux, you possibly download patches from ML or other places, apply it to the source, and build binaries. It is not uncommon sight. And, it is also important note in those cases: Don't apply the patch to any revision different from the base of it. Using addons on unverified versions of Firefox is just same to that.

Risk: possibilities of less maintainability and/or readability

If we use eval hack, only "codes should be replaced" and "codes should be injected" will appear in the source.

Generally reading source codes like this is certainly hard, because we have to refer the codes of the function which is being overwritten. Instead, there are less codes and sources become compact. If it is very simple like replacing from "width" to "height", it will be human readable enough. So know-how to keep maintainability and compatibility is important for this hack.

Even if you choose the way to wrap original functions, only fragmentary codes will appear in the source too. "Pre-operations", "post-operations", "wrapping functions", "watching functions for property changes", and others. Moreover, if you cannot get the result of operations by the original function as its returned value, eventually you have to know well how the function work.

In this case, if you want to implement a feature which require injection of some codes into the logic of an existing function, you need to copy the complete codes of the original function into your addon (of course you have to modify it.) Then, too many codes are possibly duplicated, so:

  • You possibly cannot include the codes of the original function because their licenses conflict.
  • It possibly re-invite security issues fixed by updates of Firefox, as told in the entry.
  • Too many codes simply make themselves hard to be read.

Risk: possibilities of rejection by editors

This is common to the topic about maintainability. AMO editors finally have to review addons with reading of their sources. If there are tricky codes or too many/long lines, then the cost of reading source codes increases. On this point, both eval hacks and wrapping hacks are similarly tricky.

Although if updates of addons are always rejected by the reason: "there is any eval", then, it becomes a new common practice: writing codes without eval anyway, with tricky hacks, even if they become hard to read. Otherwise the update won't be accepted. It is also a tautology: "we should not use eval, because they never accept codes including eval." and "they don't accept eval hacks because we should not use it."

The conclusion

As I described, I think evals in Source Viewer Tab and Tree Style Tab are not unnecessarily. In other words I believe that those evals are the best way to implement the feature with keeping compatibility. I think those evals are not absolutely dangerous than the "less dangerous" ways described in the entry, and I also think there are no alternative ways to do it.

How many people who says "eval is dangerous than others" actually read and reading the source codes of Mozilla products? Trying to extend Firefox even if there is no stable API? Catching up updates of Firefox constantly? Trying to solve compatibility problems with other addons? I'm feeling blue.

Only XPCOM components are really stable APIs, which are marked "FROZEN" in their IDL files. Otherwise they are absolutely unstable. There are only a few "FROZEN" APIs, preferences I/O, W3C DOM, etc. JavaScript functions in the browser window are very unstable. Even the FUEL - which was the component advertised as providing stable APIs independent from Firefox versions - is possibly removed from the next major release of Firefox. Yes, this is the Mozilla. I think it is just a kidding: "eval is dangerous, wrapping original functions by new functions with the name same to originals is safer than it."

In conclusion, I think it is unjust treatment that addons are retained in the sandbox because "they have evals".


To reject spams, you have to answer a quiz to comment to this entry. "今の日本の首相の名字(ひらがなで回答)" means: the family name of the current prime minister of Japan, in "hiragana". You'll see the answer from wikipedia (Japanese version of the page).

evalが危険でそれ以外の方法が安全だと思ってる人へ - Feb 08, 2010

先日、ソース表示タブのアップデート版をAMOにアップロードしたところ、公開申請が却下されました。「不必要なeval()が多すぎる。拡張機能におけるeval()の5つの間違った使い方(原文:Five wrong reasons to use eval() in an extension)をよく読んで出直してこい。(大意)」という感じのコメントが添えられていました。

また、ツリー型タブのアップデート版も別の人から同じコメント付きで公開申請を蹴られました。

全文+コメントを翻訳するくらいには当該エントリを読んだ僕ですから、今更読み返すこともないのですが、こう何度もこのエントリを引き合いに出して申請を蹴られると正直腹に据えかねる物がありますので、自分の考えをちょっとまとめておきたいと思います。

つたない英語力で頑張って英語に翻訳してみました。

evalの使い方に「正しい」も「間違っている」もない

まず何より明らかにしておきたいのは、言葉尻を捉えて反論するのもどうかと言われそうですけれども、evalの使い方には「正しい」も「間違っている」も無いということです。

例えばHTMLの仕様書には、em要素は強調を意味するとか、この要素はこの要素の中には記述できないとかの、色々な定義が書かれています。その定義から外れた使い方をすれば、確かにそれはinvalidな(間違っている)HTMLと言っていいでしょう。

では、evalはどうか。ECMAScriptの仕様書(リンク先のページには3rd Editionと書いてあるけどPDFは5th Editionです)15.1.2.1 eval (x)の項には、evalの仕様としては「与えられた引数をスクリプトとして実行する」という、挙動についての取り決めだけが書かれています。「何のためになら使ってよい」という風な記述は一切ありません。当たり前といえば当たり前ですが。

そこにあるのはただ、「その仕様の通りに動作した結果、何が起こるのか?」という結果についてのリスクの高低だけです。多大なリスクを伴う使い方、全くリスクを伴わない使い方、色々な使い方が考えられますが、動作する限りはそれらはすべて「仕様通りの正しい使い方」です。なので当該エントリのタイトルも本当は「evalの5つの危険な使い方」などとするのが妥当だと僕は思っています。

こういう場合にこういうデメリットがあること考えられる、だからこのような対策が必要だ、あるいはメリットとデメリットを天秤にかけないといけない、というのがリスク管理の考え方です。「間違っているから駄目だ」と思考停止するのは、天秤にかける事すら否定するということです。

例えばSSLを使っていない普通のHTTP接続で閲覧しているWebページの内容は、「第3者によって改竄されている可能性」を完全には否定できません。だからといって、そのページに書かれている情報は一切全く信用してはいけない、ニュースだろうが料理のレシピだろうが一切アテにしてはいけない、という考え方が健康的と言えるでしょうか? また、SSLは接続している先のWebサイトが本当にその運営者が運営するものであるかどうかということは保証してくれますが、運営者が善人か悪人かということまでは保証してくれません。相手が善人であると保証されないのだからネットで買い物はしたくない、カップラーメンもマンガの本もホッチキスの針も、詐欺に遭うのが怖いからネット経由では絶対何も買わない、という考え方は妥当でしょうか? そこまで行くともはやインターネット<ruby><rb>恐怖症</rb><rp>(</rp><rt class="読み">フォビア</rt><rp>)</rp></ruby>でしょう。

前出のエントリで「この使い方は正しい」とされている以外の使い方がされているevalを、個々のケースごとのリスクの高低を無視して一律で否定するのは、僕には単なるeval<ruby><rb>恐怖症</rb><rp>(</rp><rt class="読み">フォビア</rt><rp>)</rp></ruby>としか思えません。

そのevalには本当に、Webからやってきたコードが混入する恐れがあるのか?

前出のエントリで挙げられている5つのケースのうち、1番目(JSON形式のデータのパース)、2番目(プロパティ名が動的に変化する時に、そのオブジェクトのプロパティにアクセスするため)、4番目(HTMLやXULにインラインで記述されたイベントハンドラの実行)の3つのケースでは、Webからやってきた信頼されていないコードを特権付きで実行してしまう可能性があることに触れています。これはWebアプリケーションにおいてのSQLインジェクションに対する注意喚起と同様の物と言えます。

この観点でevalの使い方に神経質になることは大事です。僕も、evalを使うすべての人は、この点に気をつけなくてはならないと思います。この理由で公開申請が却下されたのであれば、その判断は実に妥当だと思いますし、反論の余地は全くありません。

では、今回のケースはどうでしょうか。

ソース表示タブツリー型タブでは、evalはFirefox本体の関数を書き換えるためにだけ利用しており、そこにWebから取得したコードが混入するとは考えにくいです。もしこの理由で申請が却下されたのであれば、それは、レビュアーがきちんとコードを読まずに、単に機械的チェックにおけるevalの警告だけを見て判断を下したという可能性が出てきます。これは言い換えると、「evalが機械的チェックで検出されたからNG、検出されなかったからOK」という風な安直な判断を下すようになっている可能性があるということです。

もしそうなのであれば、そのようなレビュー姿勢は宜しくないものだと自分には思えます。そういう機械的なチェックをくぐり抜けるための抜け道はいくらでもあります。難読化されたコードなどはその典型ですし、難読化されていない「読みやすそうなコード」でも、ぱっと見分からないようにごまかすのは簡単です。もし機械的なチェックの結果だけを見て判断を下しているのであれば、そういうケースによる危険なコードの混入の可能性は否定できないことになります(そういう場合、時間をかけてでも・判断が遅くなってでもきちんと精査するべきでしょう)。そういうケースに対しても対処できるようにというのが、わざわざ人の手でレビューすることになっている理由の1つであると自分は信じています。

evalによる関数の書き換えのリスクは、それ以外の方法のリスクと比べてそんなに高いのか?

ソース表示タブツリー型タブで使われているevalはすべて、前出のエントリで挙げられている5つのケースのうち5番目のケース、「Firefox内で使われている関数の内容を書き換えるため」に該当するものです。前出のエントリでは、この使い方を以下の理由から非難しています。

  • 書き換える対象の関数の内容が変化した時に、ブラウザ自体がまともに動作しなくなってしまう恐れがある。
  • せっかく修正されたセキュリティ上の問題を、再び持ち込んでしまう恐れがある。

そして、代わりに推奨するやり方として以下のような「無理のないやり方」を挙げています。

  • 関数を別の関数で置き換えた上で、置き換え後の関数内で元の関数をfunc.apply(this, arguments)で呼ぶ。
  • Object.watch()を使って、特定の変数やプロパティの値が変化したタイミングで処理を行う。
  • そういう「無理のないやり方」では実現できないことをしようとしているのであれば、もう素直に諦める。

換言すると、前出のエントリの筆者は「このような無理のないやり方の方が、evalによる関数の置き換えに比べて、前述のような事態が発生するリスクが少ない」と述べていると言えます。

僕には、これはアンフェアな言い方と思えます。リスクの多寡で問題を語るのであれば、ここに挙げられていないリスクについても考慮するべきでしょう。そうすることで初めて、僕のような人が「evalによる関数の書き換え」という手法を選択している理由が明らかになります。僕だって、考えなしにevalを使っているわけではありません。メリットとデメリットを天秤にかけた上で、その方がリスクが小さいと考えてevalを使っているのですから。

リスク:Firefox自身の機能や他のアドオンと競合する可能性について

アドオンを「機能を実現する方法」の観点で見ると、以下のように分類できます。

  1. Firefoxや他のアドオンが提供するAPIに則ったアドオン。ツールバーへのボタン追加、サイドバーパネルの追加、nsIContentPolicyによるコンテンツフィルタリング(AdBlock Plus)、Jetpack Featureなど。
  2. Firefoxや他のアドオンがAPIを提供していない箇所に改変を加えるアドオン。
    1. XBLを使って機能を加えるアドオン。
      1. 新規にXBLを適用するアドオン。
      2. 既存のXBLを上書きするアドオン。Tab Mix Plusなど。
    2. JavaScriptの関数のはたらきを変更して機能を加えるアドオン。
      1. 関数を置き換えるアドオン。
      2. Object.watch()等で本来の処理に割り込むアドオン。
      3. 関数をevalで書き換えるアドオン。
    3. CSSでXUL要素の見た目を変えるアドオン。Personas、テーマなど。

1つのアドオンが複数の分類にまたがる場合も多いのですが、このうち「他のアドオンとの競合の可能性」という点で本当に低リスクであると言い切れるのは、1の「APIに則ったアドオン」の枠から外れないものだけです。それ以外はどんなアドオンであっても、Firefox自体の挙動や他のアドオンに何らかの影響を与える可能性があります。テーマですら例外ではありません。

前述の「無理のないやり方」の説明では、さもそのようなやり方を採用することによって競合のリスクが全面的に低減されるかのような書き方がなされていますが、場合によってはこの方が却って競合してしまう場合すらあります。実際、Firefox 3.6上でサイドバーの開閉状態の変化を捕捉するためにIDがsidebar-boxである要素のhiddenプロパティに対してObject.watch()で監視を行おうとしたところ、XUL要素の挙動が破壊されて、サイドバーの開閉自体が行われなくなってしまいました。(これは結局、DOMAttrModifiedイベントを監視してhidden属性の値の変化を見るという方法で回避することにしました。)

別の例として、「無理のないやり方」で関数を丸ごと置き換えられてしまうと、evalで元の関数を書き換えようとしていた他のアドオンが、関数を書き換えられないせいで期待通りに動作しなくなってしまうということも考えられます。……「そんな邪道なやり方をしている方が悪いのだ」という非難は無しですよ? 他のアドオンに与える影響を考えていないのは、お互い様なのですから。

また、これはリスクとは別の話ですが、「evalによって特定の箇所に特定のコードを注入することによって関数の定義内容を変えてしまわなければ実現できない機能」というものもあります(前出のエントリに対するコメントでも、Dorando氏が例を示しています)。そのような「無理なやり方」でやらなければならない事はするべきではない、というのが前出のエントリの著者の結論のようですが、後述する物も含めたリスクの点で明らかな優位性を主張できないのであれば、「無理なやり方はするべきでない、なぜならevalの間違った使い方だからだ」「evalの間違った使い方はするべきでない、なぜならそれは無理なやり方だからだ」というトートロジーに過ぎません。

リスク:Firefoxのバージョンが変わると予期しない結果になる可能性について

この点のリスクは、evalによる関数の書き換えでも、「無理のないやり方」と呼ばれている関数の置き換えでも、同様に存在します。前出のエントリでは「置き換え対象の関数の内容が変わったらどうするんだ」ということを指摘していますが、それを言えば、関数の名前が変われば「無理のないやり方」も破綻します。セキュリティアップデートでは関数の名前やそれぞれの働きが変わることはない、というのはただの思い込みです。そんなルールはどこにもありません。

また、「置き換えた関数A」→「置き換えた関数B」の順で処理が行われることを期待してコードを書いてる場合に、「置き換えた関数A」だけが実際には置き換えられなかったとすると、「置き換えた関数B」が動作する上での前提が崩れますので、その時どんなトラブルが起こるかは予想できません。これはFirefoxのバージョンが変わった時だけでなく、他のアドオンと同時に利用した時の競合についても全く同じ事が言えます。

いずれの場合にせよ、Firefox本体や他のアドオンのバージョンアップに対して、改変を加える箇所のソースコードをその都度調査し直さなければならないという、メンテナンスのコストの問題は、どちらにも共通して存在しています。「evalと関数置き換えのどちらの方が元のコードの変化に強いのか」ということを論じてもあまり意味はなく、どちらの手法を使うにせよ、Firefoxのバージョンアップに際してきちんと動作を検証しているかどうかや、前提が崩れた時のためのフェイルセーフがきちんと考えられているかどうかの方が、リスクに対する備えとしては重要且つ効果的なのではないか? というのが僕の考えです。

Firefoxのアドオンやテーマの正体は「動的に適用されるパッチ」です。ソースコードに対して、そこら辺に転がってる野良パッチをあててビルドする、というのはLinuxを使ってる人にはよくある光景ではないかと思いますが、「パッチが書かれた時のバージョンと違うバージョンのソースにパッチを当てること」がいかに危険かは、言うまでもないでしょう。Firefoxのアドオンを「アドオン作者によって動作確認されたバージョン」以外のバージョンにインストールすることは、それと全く同じ事です。

リスク:メンテナンス性、ソースの可読性が低下する可能性について

evalによる関数書き換えの場合、ソース中には「書き換える対象の関数名」「書き換えたい前のコード片」「書き換え後のコード片」だけが書かれることになります。

このコードを解読するためには「書き換える対象の関数」の内容を参照する必要があるため、その内容が頭に入っていない場合(大抵はそうでしょう)、解読が難しくなりがちです。その代わり、ソースコードの量自体は必要最低限になります。また、書き換える対象がロジックに絡まない「widthをheightに書き換える」という風な部分なのであれば、コードの読みやすさという点でもさほど問題は無いと言えます。このあたりは、「evalで関数を書き換える時の、互換性や後々のメンテナンス性を高く保つためのノウハウ」が重要になってくる所です。

関数の置き換えを行う場合も、ソースコードは結局は断片的な物になります。「前処理の関数」「元の関数をラップする関数」「後処理の関数」「元の関数の中で特定のプロパティに変更が加えられた事を捕捉して処理を割り込ませる関数」などが細切れに定義されますし、また、元の関数の処理結果の受け取り方法として「戻り値」以外の情報を使うのであれば、結局は元の関数の内容が頭に入っていないといけないことになります。

元の関数の中に変更を加えなければどうにもならない機能をどうにかして実現したい場合(前出のエントリのコメントで指摘されているようなケースなど)、こちらの手法にこだわるのであれば、「元の関数に必要な変更を施した後の関数」をアドオンの中で定義しておく以外に手はありません。そうなると、Firefoxや他のアドオンのコードと全く同じコードがそのアドオンの中に大量に含まれるようになってしまいます。これは、以下のような問題に繋がります。

  • それぞれのライセンスが衝突してしまうために、コードを丸ごと引用できないという事態が起こり得る。その機能を実現できない、という苦渋の決断を迫られる。
  • 前出のエントリ内でも指摘されている「せっかくFirefox(や他のアドオン)の側でセキュリティ上の問題が修正されても、関数を古いバージョンのそれに基づいた改変版に丸ごと置き換えてしまうことで、再びセキュリティ上の問題が持ち込まれてしまう」問題が起こり得る。
  • 単純にソースの行数が増加する事それ自体も問題となる。

リスク:公開申請時のレビューが通りにくくなる可能性について

これは「メンテナンス性、ソースの可読性が低下する可能性」にも共通する話です。AMOのエディターは最終的にはコードレビューによってそのアドオンの安全性を精査する必要があり、コードがトリッキーなものであればあるほど、また、コードの行数が増えれば増えるほど、コードレビューは大変な物になります。その意味で、関数の部分的な書き換えも関数全体の置き換えも、コードレビューの手間が増えるという点では一長一短です。

もっとも、今回の事例のように「evalを使っていること」を理由に公開申請が却下されることが相次ぐのであれば、eval無しでトリッキーで可読性の低い分量の多いソースコードの方が、比較的レビューが通りやすいという事になるのかもしれませんけれどもね。その場合、これもやはり「レビューを通してもらうためにはevalを使わない方がいい、なぜなら、evalを使っているとレビューが通らないからだ」という、何の説明にもなっていないトートロジーになる訳ですが。

まとめ

上記のような理由で、僕はソース表示タブツリー型タブの中で使われているevalが不必要な物ばかりであるとは考えていません(むしろどれも必要だからそうしているというのが自分の立場です)し、それらのevalの個々の用法が「これを読んで出直せ」と提示されたエントリの中で書かれている「代替案」に比べて目立ってリスキーであるとも思っていませんし、その「代替案」で代替できるとも思えません。

「evalの方が危険だ」と言っている人のうち何割の人が、本当にMozillaのコードを読んだことがあるのか、読み続けてきたのか、APIが用意されていない箇所でブラウザの機能を拡張する事に取り組んできたのか、継続的にFirefoxのバージョンアップに追従し続けたことがあるのか、他のアドオンとの競合を解消する方法を模索し続けてきたのか、僕には疑問に思えます。

XPCOMコンポーネントのIDL定義で「FROZEN」というフラグが立っている物以外のすべてのAPIは、いくらでも変更される可能性があります。FROZENになっているAPIは、Preferenceの読み書き、W3CのDOM関連など、全体から見れば本当にごく一部だけです。ブラウザ内のJavaScriptのレイヤで定義された関数に至っては、それが変更されない保証などどこにもありません。「Firefoxのバージョンに依存しないAPIが提供される」と思われていたFUELですら廃止される可能性が出てきている、Mozillaはそんな世界なのです。それで「evalの方が危険だ、同じ名前の関数で置き換える方がマシだ」と言うのがどれほど馬鹿げた話か。

ですので僕にとっては、evalの使用を理由として公開申請が却下された今回の出来事に対しては、不当な判断を下されたという思いが強いです。

xpcshellでタイマーやXMLHttpRequestなどの非同期処理を扱う方法(Gecko 1.9以降限定) - Feb 06, 2010

XPConnectも使えるコマンドラインのJavaScript実行環境で、xpcshellという物がある。XULRunnerをダウンロードするとおまけでついてくる。

  • 引数無しで実行すると対話インターフェースが起動する。irbみたいな感じで使える。
  • -fオプションを付けると外部のファイルをスクリプトとして実行できる。なので、JavaScriptでシェルスクリプトっぽいことができる。

xpcshell内ではWindowオブジェクトが無いので、当然だけどWindow.setTimeout()Window.setInterval()等を使った遅延処理は書けない。でもXPConnectは使えるので、nsITimerの機能を使えば似たようなことはできるはず。

という事で以下のようなスクリプトを書いて-fオプションで読み込ませてみたけど、実はこのままでは期待通りに動いてくれない。

var Cc = Components.classes;
var Ci = Components.interfaces;

function Timeout(aCallback, aDelay) {
  this.finished = false;
  this.callback = aCallback;
  this.init(aDelay);
}
Timeout.prototype = {
  init : function(aDelay) {
    this.timer = Cc['@mozilla.org/timer;1']
                  .createInstance(Ci.nsITimer);
    this.timer.init(this, aDelay, Ci.nsITimer.TYPE_ONE_SHOT);
  },
  cancel : function() {
    if (!this.timer) return;
    delete this.timer;
    delete this.callback;
    this.finished = true;
  },
  observe : function(aSubject, aTopic, aData) {
    if (aTopic != 'timer-callback') return;

    if (typeof this.callback == 'function')
      this.callback();
    else
      eval(this.callback);

    this.cancel();
  }
};

print('START');

var timeout = new Timeout(
    function() {
      print('3 SEC AFTER');
    },
    3000
  );

これを実行しても、「START」と出てすぐに終わってしまう。何故かというと、xpcshellはメインスレッドの処理が終わったらその時点でxpcshell自体を終了させてしまうからなのだそうだ。

UxU 0.7.6でも使ってるGecko 1.9以降のスレッド関係の機能を使うと、この問題を解消できる。さっきのスクリプトの末尾に以下を加えて実行すると、今度は「START」と出た3秒後に「3 SEC AFTER」「END」と出てからxpcshellが終了するようになる。

var thread = Cc['@mozilla.org/thread-manager;1']
              .getService()
              .mainThread;
while (!timeout.finished) {
  thread.processNextEvent(true);
}

print('END');

多分nsITimerのタイマー機能以外でも、これ(フラグが立つまでwhileでループ回してメインスレッドを止める)でうまくいくんじゃないかと思う。

XMLHttpRequestも試してみた。

var Cc = Components.classes;
var Ci = Components.interfaces;

var request = Cc['@mozilla.org/xmlextras/xmlhttprequest;1']
                .createInstance(Ci.nsIXMLHttpRequest)
                .QueryInterface(Ci.nsIDOMEventTarget);

var loaded = false;
request.open('GET', 'http://piro.sakura.ne.jp/', true);
request.addEventListener('load', function() {
  print(request.responseText);
  loaded = true;
}, false);
request.send(null);

print('REQUESTING...');

var thread = Cc['@mozilla.org/thread-manager;1']
              .getService()
              .mainThread;
while (!loaded) {
  thread.processNextEvent(true);
}

print('END');

これも、ちゃんとレスポンスが帰ってきてから終了した。

汎用的なアンドゥ・リドゥ機能を提供するoperationHistory.jsの、理解しておかないといけない特性 - Jan 18, 2010

前のエントリではoperationHistory.jsの基本的な使い方を説明しましたが、次は、これを使うにあたって理解しておかないといけないポイントを解説しようと思います。


UIに対して行うアンドゥ可能にしたい操作の中には、他のアンドゥ可能にしたい操作を内部で呼び出すものがあるでしょう。例えばブックマークフォルダの内容をまとめてタブで開く時などに使われるtabbrowserのloadTabs()メソッドは、新しい空のタブを開くaddTab()メソッドを内部で呼び出しています。「新しいタブを開く」操作と「ブックマークフォルダの内容をまとめてタブで開く」操作をアンドゥ可能にする際は、これらのメソッドに対してそれぞれアンドゥ・リドゥの処理を定義することになります。

このように「アンドゥ可能な処理」同士が入れ子になっている時、operationHistoryは、それらすべてのアンドゥ可能な処理について、実行が始まった順番通りに履歴に登録を行います。例えば「loadTabs()で3つのタブを開く」という場面では、以下のように処理が行われます。

  1. loadTabs()実行。アンドゥ可能な操作Aが始まる。
    1. 対応する履歴項目A'が登録される。
    2. 1つ目のタブのaddTab()実行。アンドゥ可能な操作Bが始まる。
      1. 対応する履歴項目B'が登録される。
      2. アンドゥ可能な操作Bが完了する。
    3. 2つ目のタブのaddTab()実行。アンドゥ可能な操作Cが始まる。
      1. 対応する履歴項目C'が登録される。
      2. アンドゥ可能な操作Cが完了する。
    4. 3つ目のタブのaddTab()実行。アンドゥ可能な操作Dが始まる。
      1. 対応する履歴項目D'が登録される。
      2. アンドゥ可能な操作Dが完了する。
  2. アンドゥ可能な操作Aが完了する。

この時の操作B~Dは、操作Aが完了する前に、操作Aの中から呼び出されています。そのため、これらに対応する履歴項目B'~D'は、完了していない操作Aに対応する履歴項目A'の子項目として登録されます。つまり、このような親子関係が形成されます。

  1. 履歴項目A'
    1. 履歴項目B'
    2. 履歴項目C'
    3. 履歴項目D'

他の履歴項目の子項目として登録された履歴項目は、親となる項目の一部として扱われます。子項目になった履歴項目は、アンドゥ可能な操作の履歴の一覧には登場せず、「最大100回までアンドゥ可能」といった場合、子項目の数はそのカウントに含まれないことになります。

この履歴項目A'に対してアンドゥを指示すると、operationHistoryは以下の順で処理を行います。

  1. 履歴項目D'のonUndo()
  2. 履歴項目C'のonUndo()
  3. 履歴項目B'のonUndo()
  4. 履歴項目A'のonUndo()

この時の実行順序は項目の登録時の逆順であることに注意して下さい。なお、後で解説しますが、遅延処理のための仕組みによってこの実行順序は保証されます。前の項目のonUndo()が終わる前に次の項目のonUndo()が始まるという事はありません。

逆に履歴項目A'に対してリドゥを指示すると、operationHistoryは以下の順で処理を行います。

  1. 履歴項目A'のonRedo()
  2. 履歴項目B'のonRedo()
  3. 履歴項目C'のonRedo()
  4. 履歴項目D'のonRedo()

今度は、履歴項目の登録順の通りであることに注意して下さい。こちらについても、実行順序はこの通りに保証されます。

操作をアンドゥできるようにする際は、操作の中から呼び出している別の操作がアンドゥ可能である場合、上記の実行順の事を念頭に置いてアンドゥ・リドゥ用の処理を記述する必要があります。例えば上記の例であれば、アンドゥの際は以下の順でアンドゥのための処理が進みます。

  1. 3つ目のタブを開く操作のアンドゥ(タブが閉じられる)
  2. 2つ目のタブを開く操作のアンドゥ(タブが閉じられる)
  3. 1つ目のタブを開く操作のアンドゥ(タブが閉じられる)
  4. 複数のタブを開く操作のアンドゥ

これを見ると、4番目の項目の時点ではもう何もする必要が無いということが分かります。もし4の時点で、3つのタブを開いたのでそのアンドゥ操作としてタブを3つ閉じようとしても、閉じる対象のタブが存在しないためエラーになってしまいます。他のアンドゥ可能な操作を内部で呼び出す操作については、アンドゥ・リドゥの内容が重複しないように注意してください。

汎用的なアンドゥ・リドゥ機能を提供するoperationHistory.jsの基本的な使い方 - Jan 11, 2010

Undo Tab Operationsの核であるoperationHistory.jsは、タブに限らずいろんな操作に対してアンドゥ・リドゥを実装しやすくするための汎用のライブラリとして設計しています(一応)。こいつの使い方を、自分の頭の中の整理も兼ねて少しずつ解説していこうと思います。


  • 最新版はCOZMIX NGにあります。
  • 名前は「UI Operations History Manager」としています。長いので、以下「operationHistory」とだけ呼んでおきます。
  • ライセンスはMITライセンスとします。
  • Firefox 2以降でないと動きません。

読み込み方

まず、読み込みの方法。以下のようにJavaScriptのファイルを読み込ませるだけでOKです。

<script src="lib/operationHistory.js"
        type="application/javascript"/>

複数のアドオンでこのライブラリを読み込んでいる場合、最もリビジョンの新しい物が使われます。今後はAPIは変えないor後方互換を維持していくつもりなので、使う方はあんまり気にしないで使えるはずです。

operationHistoryの各機能には window['piro.sakura.ne.jp'].operationHistory でアクセスできます。以下の説明ではサンプルコードを短くするために、 OH という変数でこれを参照しているものとします。

var OH = window['piro.sakura.ne.jp']
               .operationHistory;

処理をやり直し可能にする

operationHistoryを使って任意の処理をアンドゥ・リドゥ可能にしたい時は、その処理を以下のように実行するようにします。

OH.doOperation(function() {
  // 任意の処理
});

doOperation()の引数に関数を渡すと、それがその場で実行されます。実行時のthisOH自身を指していますが、普通に分かりにくいんで、クロージャを使うなり何なりして好きなように書くといいと思います。

var MyAddon = {
  myFeature : function() {
    var self = this;
    OH.doOperation(function() {
      self.myInternalMethod();
    });
  },
  myInternalMethod : function() {
    // 何かの処理
  }
};

で、これだけだとまだアンドゥ・リドゥはできません。doOperation()に対して以下の引数をさらに指定してやる必要があります。

  • 履歴の名前(文字列、省略可能)
    • "MyAddonOperations" とかそんな感じで好きに名前を付けて下さい。省略すると、履歴の対象のウィンドウが指定されている場合は "global" 、そうでなければ "window" になります。
    • Undo Tab Operationsでは "TabbarOperations" という名前を指定してます。
  • 履歴の対象になるウィンドウ(nsIDOMChromeWindow、省略可能)
    • 拡張機能の名前空間で普通に見える所のwindowです。省略すると、ウィンドウ単位の履歴ではなく、クロスウィンドウな単一の履歴となります。が、動作が怪しいので今の所はウィンドウ単位での使い方だけ推奨しておきます。
  • 履歴エントリ(オブジェクト、必須)
    • オブジェクトリテラル、カスタムクラスなど、何でもOKです。詳しくは後述。

やり直し可能にしたい処理自体と合わせると、doOperation()は最大で4つまでの引数を取るという事ですね。引数は全部型が違う(関数、文字列、DOMWindow、オブジェクト)ので、doOperation()はそれらを受け取った後に、どれがどれなのかを自動的に判別します。なので引数はどの順番で指定しても構いません。

実際のアンドゥ・リドゥ処理を書く(関数を使うやり方)

実際のアンドゥ・リドゥ処理は、履歴エントリになるオブジェクトのプロパティとして関数で定義します。

var entry = {
  // 内部名
  name   : "undotab-addTab",
  // メニュー等に表示する「やり直す処理の名前」
  label  : "タブを開く",
  // アンドゥ時に実行される内容
  onUndo : function(aParams) {
    gBrowser.removeTab(this.tab);
  },
  // リドゥ時に実行される内容
  onRedo : function(aParams) {
    this.tab = gBrowser.addTab();
  },
  // 以下、任意のプロパティを好きなようにどうぞ
  tab : null
};

OH.doOperation(
  function() { // やり直し可能にする処理
    entry.tab = gBrowser.addTab();
  },
  'MyAddonOperations', // 履歴名
  window,              // 処理対象ウィンドウ
  entry                // 履歴エントリ
);

onUndoという名前のプロパティで関数を定義しておくとアンドゥ時にそれが実行されます。onRedoはリドゥの時に実行されます。どちらもthisは履歴エントリのオブジェクト自身になりますので、まあ見た通りで分かりやすいんじゃないかと思います。クロージャ使って書いても全然構いません。

namelabelは、文字列で好きなように名前を付けて下さい。定義しなくても使えますが、デバッグの時にはあると便利ですし、DOMイベントを使った記法(後で解説します)の時には無いと困ります。

アンドゥする・リドゥする

上記のようにして履歴に登録した処理は、以下のようにしてアンドゥ・リドゥできます。

// アンドゥ
OH.undo('MyAddonOperation', window);
// リドゥ
OH.redo('MyAddonOperation', window);

undo()redo()の引数には、doOperation()に対して指定したものと同じ履歴名と処理対象のウィンドウを渡します(こちらも引数の指定順は任意です)。ここではまだ「タブを開く操作」しか書いていませんが、同じ履歴名で「タブを閉じる操作」「タブを移動する操作」などに対してそれぞれアンドゥ・リドゥの処理を書いてやれば、線形にそれらをアンドゥ・リドゥできるようになります。

また、「戻る」「進む」のドロップダウンメニューで項目を指定してそこまで一気に飛ぶのと同じように、goToIndex()で履歴項目のインデックスを指定してそこまで一気にアンドゥする・リドゥする事もできます。

// 現在の位置を得る
var history = OH.getHistory('MyAddonOperation', window);
var current = history.index;
OH.goToIndex(current-3, 'MyAddonOperation', window);

getHistory()は、登録済みの履歴項目の全エントリを格納したオブジェクトを取得するメソッドです。それで取得したオブジェクトのindexプロパティで現在のフォーカス位置を得られるので、上の例ではそこから3つ手前に飛ぶ事になります。

要素やウィンドウに固有のIDを使う

ここまでの説明で既に疑問に思った人もいると思いますが、例えばこんな場合。

function NewTab() {
  var entry = {
    name   : "undotab-addTab",
    label  : "タブを開く",
    onUndo : function(aParams) {
      gBrowser.removeTab(this.tab);
    },
    onRedo : function(aParams) {
      this.tab = gBrowser.addTab();
      gBrowser.selectedTab = this.tab;
    },
    tab : null
  };
  OH.doOperation(
    function() {
      entry.tab = gBrowser.addTab();
      gBrowser.selectedTab = entry.tab;
    },
    'MyAddonOperations',
    window,
    entry
  );
}

function MoveTab(aTab) {
  var entry = {
    name   : "undotab-moveTab",
    label  : "タブを移動する",
    onUndo : function(aParams) {
      gBrowser.moveTabTo(this.tab, this.oldPosition);
    },
    onRedo : function(aParams) {
      gBrowser.moveTabTo(this.tab, this.newPosition);
    },
    tab : null
  };
  OH.doOperation(
    function() {
      entry.tab = aTab;
      entry.oldPosition = aTab._tPos;
      gBrowser.moveTabTo(aTab, 3);
      entry.newPosition = aTab._tPos;
    },
    'MyAddonOperations',
    window,
    entry
  );
}

NewTab()を実行→それで開かれたタブに対してMoveTab()を実行→アンドゥ→アンドゥ→リドゥ→リドゥ という順に操作すると、2つ目の履歴項目のリドゥ時にタブが見つからないせいでエラーになってしまいます。こうならないように、処理対象の要素は固有のIDなどで識別してやらないといけません。

operationHistoryにはそのために、要素に対して一意なIDを自動的に付与してそれを元に要素を検索する仕組みがあります。先の例を安全に書くと、以下のようになります。

function NewTab() {
  var entry = {
    name   : "undotab-addTab",
    label  : "タブを開く",
    onUndo : function(aParams) {
      var tab = OH.getElementById(this.tab,
                   gBrowser.mTabContainer);
      gBrowser.removeTab(tab);
    },
    onRedo : function(aParams) {
      var tab = gBrowser.addTab();
      OH.setElementId(tab, this.tab)
      gBrowser.selectedTab = tab;
    },
    tab : null
  };
  OH.doOperation(
    function() {
      var tab = gBrowser.addTab();
      entry.tab = OH.getElementId(tab);
      gBrowser.selectedTab = tab;
    },
    'MyAddonOperations',
    window,
    entry
  );
}

function MoveTab(aTab) {
  var entry = {
    name   : "undotab-moveTab",
    label  : "タブを移動する",
    onUndo : function(aParams) {
      var tab = OH.getElementById(this.tab,
                   gBrowser.mTabContainer);
      gBrowser.moveTabTo(tab, this.oldPosition);
    },
    onRedo : function(aParams) {
      var tab = OH.getElementById(this.tab,
                   gBrowser.mTabContainer);
      gBrowser.moveTabTo(tab, this.newPosition);
    },
    tab : null
  };
  OH.doOperation(
    function() {
      entry.tab = OH.getElementId(aTab);
      entry.oldPosition = aTab._tPos;
      gBrowser.moveTabTo(aTab, 3);
      entry.newPosition = aTab._tPos;
    },
    'MyAddonOperations',
    window,
    entry
  );
}

getElementId()は、要素に一意なIDが付いていなければ新しいIDを生成て設定した上でそのIDを、既にIDが付いていればその値を、文字列として返します。IDは普通のid属性ではなく別の属性名で保存されるので、通常の動作を破壊することはありません。

getElementById()は、そのID文字列をキーとして要素を検索するメソッドです。tabbrowserの場合はタブなどの内部の要素は普通のdocument.getElementById()等では取得できないのですが、getElementById()はID名の文字列以外に要素ノードを渡すと、その要素の子孫だけを検索するようになります。

ここでは、タブを開く操作のリドゥにおいてsetElementId()も使用しています。これは、既に生成されたID文字列を新しく復元された要素に付与することで、その要素を元の要素の代わりとして参照できるようにするためです。


とりあえず、まずはこの辺だけ解説しておきます。

→続き

FUELがなくなってJetpackが取って代わる - Jan 10, 2010

FUEL廃止はJetpackの台頭と対になっているよ、という話。

FUELとJetpackは、コンセプトが確かに重複してるんですよね。

  • Firefoxに好きな機能を追加する、ということをもっと簡単にできるようにする。
  • Firefoxのバージョンに依存しない安定したAPIの提供。

違うのは、FUELはあくまで既存の「拡張機能」という枠組み(JavaScriptやXULやCSSを使って、XPI形式にして、云々)の中でそれを達成しようとしていたのに対して、Jetpackは「そもそもXULとか要らなくね? JavaScriptだけでよくね?」とちゃぶ台をひっくり返してその目的に特化した物をゼロから作った所だと思う。

「Firefoxに機能を追加するなら拡張機能を使いましょう」というのは、実装の仕方をなるべく1種類にまとめて世界を分かりやすくしたいという、開発者目線の考え方のように思う。そうではなく、「Firefoxに機能を追加できるなら、拡張機能でもGreasemonkeyでもUbiquityでもJetpackでもStylishでも何でもイイじゃん。なんで拡張機能に拘らないといけないわけ?」とユーザー目線の発想で考え直したら、FUELみたいな子供だましではなく、Jetpackのように実行環境を1個丸ごと作りなおす事になりました、と。そういう話の流れなのだと僕には思えた。

既存の拡張機能の作り方に特化して知識を溜め込んできた僕にとっては、はっきり言って恐怖ですらある。自分の存在価値、アイデンティティを揺るがす事態だ。だって、大学在学中からMozillaにのめり込んで、それが縁で就職までしてしまって、今もそれをネタに仕事してるんだもの。

そんな僕にとっては、Jetpackが優遇されてFUELが廃止されるというのは、今まで自分が慣れ親しんでいたやり方が否定されて、開発元からも邪険にされて、お前らは時代遅れなんだよプギャーと指さして笑われて、時代の変化についていけない奴らは死ねばいいじゃないと見捨てられてる、正直そんな気分です。

でも、「今までのやり方が全く通用しない世界に飛び込んでいく」事を恐れて今いる所に留まり続けるのは、それこそ座して死を待つだけだという事も分かってる。

それに、そういう「今までのやり方が全く通用しない世界」を作るのであれば、どうせなら、今までのしがらみから完全に切り離された理想の世界を作って欲しいとも思う。XULやXPConnectといった古いやり方しか知らない僕みたいな人間のために「ほうら今までのやり方も使えるんですよ? だから怖がらないで入ってきて下さいよ」と媚びを売って、古いしがらみまでまた抱え込んでしまうのは、やめて欲しい。

僕はそう考えているので、だから今のJetpackでXULやXPConnectを触れるのは非常にマズイ事態だと思ってる。せっかく理想郷を作ろうとしてるんだったら、そこにつまんないしがらみを持ち込んでくれるなよと。僕みたいなロートルが、新しく出てきたJetpackという世界を、古臭い駄目なやり方で汚していってしまう事が許せないのです。老兵は潔く去らないといけないし、潔く去らせないといけないじゃないか。老兵に取り付く島を与えちゃ駄目じゃないか。そんなことをしたら、僕みたいにだらしのない老兵は甘えてしがみついちゃうじゃないか。

まあそれはさておき、FUELを出してきた時に「これで簡単に作れるようになれますよ」「安定したAPIが提供され続けますよ」なんて夢みたいな事を吹聴していた人達には、「すんません自分はバカでした。見る目がありませんでした。」と謝罪して欲しい所ですよね。それを真に受けて酷い目にあった被害者までいるんだし。うん、僕のことですね。ごめんなさい……

Firefox上のあらゆるタブ関連の操作を一次元で記録してアンドゥ・リドゥ可能にするアドオン(実験段階) - Jan 07, 2010

こないだから作ってる汎用のアンドゥ・リドゥ用ライブラリを使って、タブ関係の操作をなんでもアンドゥできるようにするアドオンを作ってみた。名前はそのままUndo Tab Operationsです。

ライブラリ自体が実験段階だし、そのライブラリの使い方も(自分で作っておきながら)まだよく把握しきれてないので、練習がてらという感じです。動作は全体的に非常に怪しいです。あと、これを作る上で「あーこういう機能が必要だよな」と躓く度にライブラリの方に手を入れているので、一体何が目的だったのかもうワケが分かりません。

そう。目的。そもそもは「ツリー型タブでウィンドウをまたいだタブの移動を取り消せるようにしたい」的な所が出発点だったはずなんですよね。なのにどうしてこんなに遠回りをしているのか。富豪的にも程がありますよね。

まあ、「リンクからタブを開く時に今のタブのすぐ右にタブを開きたい、ただし連続してリンクを開く時は開いた順に整列させたい」という目的を達成するためだけに、すべてのタブの親子関係を完全に保持する、なんていうめちゃめちゃ無駄なことに力を注ぐような僕のやる事ですからねぇ。

とりあえずこのアドオンで一通りの基本的なところをカバーして、次に親子関係が絡まない単純な応用という事でマルチプルタブハンドラを、最後にツリー型タブを対応させるという感じで作業を進めていこうかなー。と。思ってますけどどうなるかは分かりません。現段階でものすんごいバグバグなので、ひょっとしたら全部お蔵入りになるかもね。

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