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凍結されても迷惑行為をやめない人にできる事はあるのか問題 - Jun 30, 2018

この事件に関する報道を見ていた感じでは、限りなく通り魔に近いような物だったという印象だった。迷惑行為を繰り返す→通報される→通報されて凍結とかBANとかの対応を取られる→またアカウントを作り直す→迷惑行為を繰り返す……という事をしていた人が、通報・凍結の頻度が上がって追いつめられてストレスを募らせて、そんな時にまた煽られて、たまたま手の届く距離に来た人がいたから暴発した、という。だから、Hagex氏が公然と通報を煽らなければ良かった、みたいに言う人もいるけど、「人生がうまく行ってる人を見て妬む」みたいなのだってあるわけで、「不用意な発言をしないように気をつけましょう」なんてのは何の役にも立たないアドバイスなんすよね。

 

それはそうと、東洋経済オンラインの記事は「加害者を追いつめすぎるな」という論調だけど、かといって「迷惑行為をさせるがままにして、他のユーザーは彼の迷惑行為の被害を我慢しなければいけない」というわけにもいかないじゃないすか。ごく少数の迷惑なユーザーのせいで、一般ユーザーが離れてしまっては元も子もないし。

AbemaTIMESの動画では、よく炎上する事で知られるウーマンラッシュアワー村本氏が「昔は罵倒してくる人をブロックしてたが、ブロックされた人が逆上して余計に罵倒してきていた。今はミュートするようになって、相手はその事を知らずにずっと罵倒し続けているから、自分は快適で相手もスッキリしてWin-Win」みたいなことを発言していて(うろ覚えです。詳細は違ったかも)、やっぱり、こういう迷惑行為からフツーの人を守る鍵になるのは「ブロックよりミュート」という考え方だと思うんすよね。

自分がブロックされる側になる事があんまり無いからか、多くの人が気付いてないんじゃないかと思うけど、ブロックって「拒絶・否定した」というメッセージを相手に対して表明する行為なんすよ。普通に生活してて、明確に拒絶の意思を表明される事ってそうそう無いじゃないすか。これは多分断られるだろうなあ、断られても仕方ないよなあ、みたいな心構えができてる時ならともかく、前触れも無しに拒絶されたらイラッとする人多いと思うんすよ(僕はそうです)。それまでニコニコしてた人が、NOを伝えた瞬間に逆上するってよくある光景じゃないすか。「自分は相手から否定された」という事をわざわざ相手に知らしめる事は、リスクなんすよね。

もちろん、やっちゃいけない事をした人に「それはやっちゃいけない事だ」と指摘して、行為を改めさせる事は大事です。でも、言ったからってやめる人ばかりじゃないし。むしろ、自分の中で反省する準備ができてない人は、何を言われても頑なになるだけで、反省なんかできるはずが無いし、行為だって改めないし、余計に攻撃的になる事だってあるわけじゃないすか(こういった話は、実際に刑務所等で犯罪者の更生に関わった人が書いた「反省させると犯罪者になります」という本が面白いのでオススメです)。行動を改めも反省もしない人に対して、「あんたはブロックされたよ」「あんたはBANされたよ」とわざわざ伝える事に意義なんて無いわけですよ。

「ミュート」の面白い所は、ここがデジタルというかネットというか非物理的なサービスの面白い所なんだけど、見る人ごとに違う物を見せる機能だという点なんですよね。ミュートしてる人からは、ミュートされた人がいないかのように見える。ミュートされた人からは、自分がミュートされているとは分からない、今まで通りの物が見えている。なので、僕はこう思ったのです。迷惑行為で通報された荒らしユーザーは、サービスを使用する権利を全面的に剥奪される代わりに、単に隔離されて、自分以外の全員からミュートされるようになってたらいいんじゃないのか? と。そうすれば、迷惑行為をはたらく人は今までと変わらずに迷惑行為(と主観的には感じられる行為)をしてスッキリできるし、他の人は迷惑行為から守られるし、Win-Win。もっと言えば、サービス運営者も「迷惑な人」一人分のPVを失わないで済むのでWin-Win-Winかもしれない。

ただ、相手の反応なんかお構いなしに暴れ回る人ならそれでいいんだけど、反応される事が自分の快楽ループに組み込まれてる人だと、「無視するんじゃねー!!」と逆上してしまいかねないという問題は残る。これをどう解決すればいいか。

スラドのように、他人からの評価がマイナスの人は「デフォルトでは見えない」「わざわざ見ようと思って見る物好きは見れる」というシステムになっていれば、何かしらの反応はある状態を維持できるかもしれない。でも、本人を逆上させないためには「自分の評価がマイナスという事を本人に知らせない」事が大事と考えると(スラドはそうはなっていない)、荒らしを自ら覗きたがるような意地の悪い物好きだもの、「あんた評価マイナスで見えなくなってるよ」とわざわざ告げ口しかねない。告げ口は無粋、黙って観察せよ、というスタンスの「ウォッチャー紳士」ばかりではない。だから「人に見させる」のはやっぱりリスクだと思う。

それで考えたんすけど、ここはひとつ、今流行りの機械学習でもって「荒らしがされたい反応だけを返す人」を演じるbotも用意して、「一般ユーザーが見てる世界」と「荒らし本人(達)と、それに反応するbotだけの世界」とを用意してみるというのはどうでしょうか。実際、自身が隔離されているという事を本人が認知できるという点を除けば、GTAタイタンフォールといったオンラインゲームにはそれに近い仕組み(違反者とNPCだけがいる、「負け犬サーバー」とか「チータープール」と呼ばれる物)があるそうだし。専用ワールドを維持するコストはかかるけど、Twitterやはてブのように人の悪意が増幅・拡散されやすい仕組みのSNSでは、人の命がかかってるんだから、社会に対する義務を果たすための必要経費として容認してもよいのでは? なんて思っちゃって。

……という事を考えてはみたんですが、自分で言っててすごいディストピア感ありますね。だって、何も言われずに隔離されて、その事に本人で気付けないって、自分で行動を改める機会を奪われるという事だもの。ある意味非常に冷酷で残酷な措置だ。主観的には幸せかもしれないけど、客観的には哀れですよね。というか、そういう物が既に実用化されていて、自分自身も既にそういう世界に隔離されてるんじゃなかろうか? と思うと、背筋が薄ら寒くなってくる。

 

もっと生産的に考えると、単に荒らしがされたい反応だけを返すbotにするんじゃなくて、カウンセラーのように振る舞うbotにするというやり方もあるかもしれませんね。つい最近、カウンセラーにも当たり外れがある(誰もが人間的にできたカウンセラーばかりでなく、未熟で技能的にも不適格な落第カウンセラーもいる)という話を見かけたけど、botだったら「自身の感情」に流されずにカウンセラー役を淡々と勤め上げられるでしょうから。どうでしょう。まだまだSFの世界の話すぎますかね?

分類:出来事・雑感, , , 時刻:23:14 | Comments/Trackbacks (0) | Edit

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