たまに18歳未満の人や心臓の弱い人にはお勧めできない情報が含まれることもあるかもしれない、甘くなくて酸っぱくてしょっぱいチラシの裏。RSSによる簡単な更新情報を利用したりすると、ハッピーになるかも知れませんしそうでないかも知れません。
の動向はもえじら組ブログで。
宣伝。日経LinuxにてLinuxの基礎?を紹介する漫画「シス管系女子」を連載させていただいています。 以下の特設サイトにて、単行本まんがでわかるLinux シス管系女子の試し読みが可能!
Firefoxのマルチプロセス設計への移行がいよいよ目前に迫っている。
Firefoxにおけるマルチプロセス化のための仕組みそのものはElectrolysis、略してe10sと呼ばれており、Firefox 4の頃から既に入っていて、Firefox Hacks Rebootedでも詳しく解説してたんだけど、ブラウザのUIを動かすプロセスとコンテンツ領域のプロセスを分けるというのはFirefoxではかなりの大ごとだった。一時は「こんなん無理!」っつって計画が凍結されてたほどだったと記憶してる。
e10s移行が困難だった理由は、多分、Firefoxというアプリケーションそのものの設計にあったのだと思う。FirefoxというWebブラウザは、「GeckoというHTML・XMLレンダリングエンジンの上で動作するJavaScript製のローカルWebアプリケーション」といった感じの設計になっている。なのでコンテンツ領域内の操作のためのコードとUI部分の操作のためのコードが非常に似通っていて、シームレスに連携しやすかった、否、「連携しやすすぎた」と言える。あまりにシームレスに連携できたせいで、ブラウザのUIに関わるコードとコンテンツ領域内の操作に関わるコードが渾然一体の密結合になってしまい、それが「UI部分とコンテンツ領域内との間はテキストメッセージだけを非同期に通信しあう」というe10sベースの設計への移行を阻んでいた、という事なのではないか……と僕は思っている。
どういう理由があったのかは知らないけど、最近のバージョンのFirefoxではe10sベースの設計への本格的な以降のための準備が着々と進められている。上記のような密結合だった部分が「UI領域専用」「コンテンツ領域専用」「両方で共通」といった感じに分離されてきているし、同期処理前提だった部分が非同期処理前提に改められている。 セッション保存の仕組み(ページ内のテキストボックスへの入力内容を保存する所とか)、リンクのクリック操作のハンドリング、その他多数の部分が大幅に書き直されている。アドオンから見た時のAPI的な互換性は可能な限り残すようにしてあるようで、その努力の様子が非常に興味深い。
で、アドオン側での対応をどう進めるかなんだけど、実際にいくつかのアドオンをe10s対応に改修してみて、アドオンの性質によって典型的なパターンがあるようだという事が分かった。
browser
のcontentWindow
やcontentDocument
に一切触れず、コンテンツ領域内からBubblingしてくるイベントも捕捉しないタイプのアドオンは、何も考えなくてもそのままe10sで動く。var linkURIs = Array.map(gBrowser.contentDocument.links, function(aLink) { return aLink.href; });
と書けたけれども、こういう事ができなくなる。
UI領域とコンテンツ領域の境界をまたぐ時に非同期処理を挟まないといけないので、処理を「UI領域からコンテンツ領域へ、リンクを収集する指示のメッセージを送る」「コンテンツ領域で指示のメッセージを受け取って、リンクを収集し、UI領域へ結果を報告するメッセージを送る」「UI領域で報告のメッセージを受け取って、次の処理を行う」という3つの段階に分けなくてはならない。
マルチプルタブハンドラの場合、「選択したタブの情報をクリップボードにコピーする」という機能のために、タブ(で開いているページ)の情報からクリップボードにコピーするための文字列を得る処理をコンテンツ領域側に移動した上で、UI領域からコンテンツ領域へ・コンテンツ領域からUI領域への橋渡しを行うためのコードを追加し、前後の処理をPromiseで繋ぐようにした。上記の5パターンの最初の方の物ほど実装が容易で、後の方の物ほど実装が面倒になる(その上、メッセージの往復を待たないといけないのでオーバーヘッドも大きくなる)。 特に深い意味もなく後の方のパターンで実装していた機能は、どうにかして前の方のパターンで実装できないか検討した方がいい(Firefox本体の設計変更も、おそらくそういう風に進められたのではないかと思う)。 実際に、情報化タブではWebページのサムネイル画像を取得する処理について、元々はUI領域で「サムネイルが必要だ」となったタイミングでその都度同期処理していたのだけれども、まずサムネイル取得の処理はコンテンツ領域に移し、処理が走るタイミングについて、コンテンツ領域側で発生したイベントをトリガーとしてサムネイル画像をUI領域側にpushで送りつけるように改めた。 これは上のリストで言うと、5番目のパターンから4番目のパターンに設計変更した、ということになる。
それでもどうしても5番目のパターンで実装しないといけないケースというのはあって、前後の処理とどうやって繋ぐか(同期処理だった物をどう非同期化するか)というのが問題になる。 自分の場合は、こういう時はPromiseを使うのがいいと思ってる(以前ならJSDeferredを使ってたんだけど、Mozilla Add-onsのレビューが通らないため、最近になってPromise.jsmのES6 Promise互換APIを使うようになった)。 ツリー型タブでも、コンテンツ領域内にプラグイン(Flashなど)で描画されている領域があるかどうかを調べるための処理で、このパターンが残っている。 Promiseを使うコードはUI領域側のブリッジにまとめてあり、こんな感じになってる。
sendAsyncCommand : function CB_sendAsyncCommand(aCommandType, aCommandParams)
{
var manager = this.mTab.linkedBrowser.messageManager;
manager.sendAsyncMessage(this.MESSAGE_TYPE, {
command : aCommandType,
params : aCommandParams || {}
});
},
checkPluginAreaExistence : function CB_checkPluginAreaExistence()
{
return new Promise((function(aResolve, aReject) {
var id = Date.now() + '-' + Math.floor(Math.random() * 65000);
this.sendAsyncCommand(this.COMMAND_REQUEST_PLUGIN_AREA_EXISTENCE, {
id : id
});
return this.checkPluginAreaExistenceResolvers[id] = aResolve;
}).bind(this));
},
handleMessage : function CB_handleMessage(aMessage)
{
// dump(JSON.stringify(aMessage.json)+'\n');
switch (aMessage.json.command)
{
...
case this.COMMAND_REPORT_PLUGIN_AREA_EXISTENCE:
var id = aMessage.json.id;
if (id in this.checkPluginAreaExistenceResolvers) {
let resolver = this.checkPluginAreaExistenceResolvers[id];
delete this.checkPluginAreaExistenceResolvers[id];
resolver(aMessage.json.existence);
}
return;
}
},
checkPluginAreaExistence
メソッドは、その実行を示すユニークなidを伴ってコンテンツ領域に指示のメッセージを送ると同時に、新たに生成したPromiseのリゾルバ関数を、idと対応付けて保持する。メソッドの戻り値はPromiseとする。という風にする事で、checkPluginAreaExistence
メソッドをthenableなメソッドとして他の処理の中に無理なく組み込める(次のコールバックには、コンテンツ領域側での処理で得られた結果が渡る)ようになってる。
UI領域→コンテンツ領域→UI領域 と境界を2回以上またぐ処理を実装する時は、多少の差異はあれどだいたいこんな感じになるんじゃないだろうか。
必要かどうかで言うと、このパターンでPromiseは必須ではなくて、Promiseのリゾルバ関数を保持・実行する代わりに、単にcheckPluginAreaExistence
メソッドでコールバック関数を受け取って、それを保持・実行するようにしてもいいんだけど。
非同期の処理同士を何度も書き連ねる時のコールバック地獄は見たくない(今はそういう連携をする必要がないとしても、今後いつ必要になるとも限らない)ので、僕は自分で書く非同期処理は、インターフェースとしては基本的にPromiseを使う方向で統一するように考えてる。
ツリー型タブ、情報化タブの今日付でのリリース分から、tabFx2Compatibleという自作のライブラリ(?)を使わないようにした。当初はマルチプルタブハンドラでも使ってたけど、ツリー型タブ・情報化タブに先駆けて一足先に使わないようにしていた。今回残りの2つでも利用をやめたことで、TBEやり直し組のアドオンからはこのライブラリが全く姿を消したことになる。作ったのが2008年の2月からだから、丸4年くらいは使ってたのか。
このライブラリは元々、Firefox 3での仕様変更に追従するために仕方なく作った物だった。
Firefox 2ではタブの中に任意の要素(サムネイル描画用のcanvasだったりカウンタ表示用のlabelだったり)をXBLのコンテナ要素を使って動的に追加できていた。しかしFirefox 3になる時、具体的には2007年の12月頃に、高速化のためにそういう冗長性を排除する変更が行われてしまって、JavaScriptで動的にタブの内容を追加するということが原理上不可能になってしまった。
正確には、方法はあった。Firefox本体がタブに適用していたXBLによるバインディングを独自のバインディングで置き換えて、それを使ってタブの内容を変更するというやり方だ。しかし、XBLのバインディングは同時に1個だけしか適用できないという制限がある。複数のアドオンが同じ事をやろうとしたら、結局どれか1つのアドオンしかまともに動かないという事になってしまう。他の人の作る物との互換性という話に限らず、リッチでファットなAll-in-One型のアドオンであったTBEを捨てて各機能ごとに個別のアドオンに開発し直す道を選んでいた僕にとっては、自分の手がける物同士の互換性を維持するためにも、これは致命的な問題だった。
前述のライブラリは、特定のアドオンのために特化したバインディングを適用するのではなく、Firefox 2時代の「ある程度好きなようにタブの内容を増やせる余地がある」、冗長性を持った汎用的なバインディング定義を、Firefox 3向けに復活させるという物だった。
風向きが変わったのは2010年9月の事だった。Firefox 3.7のモックアップで示された視覚的なデザインを実現するために、タブのバインディングに再び冗長性が付与された。メジャーバージョンとしては、この変更はFirefox 4から反映されている。僕はこの仕様変更をうけてtabFx2Compatibleを改修し、Firefox 4以降のタブのバインディングの構造と、Firefox 2以前のタブのバインディングの構造の、両方を併せ持つ状態に変更した。
という経緯を見ると分かるかもだけど、このtabFx2Compatibleというライブラリは本質的に、Firefox 3.0から3.6までの間のバージョンに対応するためには欠かすことができなかった。ツリー型タブ等のアドオンの対応バージョン範囲の下限がこの範囲に重なっている間は、このライブラリは絶対に使う必要があったので、いくらTMPやVimperator等とバインディングの衝突の危険性があったとしても、構成ファイル群から外すことができなかった。
今回、Firefox 10のESR(延長サポート版)がリリースされたことにより正式にFirefox 3.6の死期が確定したので、サポート終了を待たずにFirefox 3.6のサポートを打ち切って、それと同時にtabFx2Compatibleも廃止することにした。レガシーなFirefox 2由来のDOMツリー構造を前提にして書かれたスクリプトやスタイルシート等を、全面的にFirefox 4以降の既定のDOMツリー構造に合わせて変更する作業は、それなりの手間を要したけれども、これでカビの生えた過去から決別できるのなら安い物だと思った。
選択肢の1つとして、tabFx2Compatibleを今後も使い続ける(Firefoxのタブのバインディングの構造が変わったら、その度にtabFx2Compatibleを更新していく)というやり方もあった。今この瞬間にかける労力を最小化する事を選ぶのなら、そういう選択もあり得たと思う。でも、tabFx2Compatibleは元々Firefox 3から3.6までの暗黒期を乗り越えるためだけに用意された物だったのだから、用済みになったのなら、思い切って捨てた方が今後のためになると思った。
こういう切り替えをできる時にやっておかないと、またTBEみたいな事になってしまう恐れがある。TBEでは、タブの移動等といった基本的な機能すらFirefox本体に備わっていなかった頃から開発していたため、TBE自身で独自の「タブを移動する」などのAPIを実装していた。そういう古いオレオレAPIから、Firefox 1.5くらいから新しくFirefox本体に備わったTabMoveとかのDOMイベントベースでのやり方にスイッチする事の手間を惜しんで、「とりあえず今動いてるから」と独自のオレオレAPIを維持することに固執してしまったがために、TBEはFirefox 1.5とともに時代に取り残され死んでしまった。そんな愚はもう繰り返してはいけない。
それにつけても、あの辺(Firefoxのタブまわり)の開発をやってる人達の意向に振り回されっぱなしだった4年間だったなー……と思うと、なんか感慨深い。
このへんのパッチが投入されて、gBrowser.pinTab()
とgBrowser.unpinTab()
というメソッドが実装された。
pinTab()
にタブを渡すとそのタブが他のタブの左側に寄せられて、unpinTab()
に(pinnedな)タブを渡すと元に戻る。ぶっちゃけアレですね、Chromeの似たような機能のパクリですね。
この時、タブはスクロールボタン(左向き三角のボタン)よりもさらに左に表示されるようになるんだけど、これは一体どうやって実現されてるのか。実は、CSSで非常にトリッキーなことをしている。pinTab()
に渡されたタブはpinned
という属性の値にvalue
が設定されるんだけど、この時、.tabbrowser-tab[pinned="true"]
なタブはposition:fixed
に設定されて、通常の描画フローから切り離される。その上で、スクロールボックスの左にすべてのpinnedなタブの幅の合計と同じだけのマージンを設けて、pinnedなタブ1つ1つにはネガティブマージンを設定してそれらしい位置に表示する……という感じ。moveTab()
の中とかでタブの状態を見て処理を分けていて、pinnedなタブはpinnedじゃないタブの中には移動できないし、その逆も然り。原稿のコードに対する最小限の変更でそれらしい挙動を実現するようにしている。よう思いつくな、こんなの。
大抵の既存のアドオンは影響を受けないはずなんだけど、タブ周りで凝ったことをしてる奴は、下手したら全滅しそうな気がする。というかツリー型タブなんかはお話にならないのが目に見えてる。なのでちょっと頑張ってみた。
結果。 最初は単に、pinnedなタブのレイアウト処理の所のX軸とY軸を入れ換えるだけにしてみたんだけど、それだと縦置きタブバーの場合は無駄な領域がメチャメチャ増えるだけだという事が分かったから、「タブが小さくなる」という所を優先して、24×24固定サイズでアイコンを並べられるだけ並べる(1行に収まらなければ改行する)という風にした。見た目は……あんまり良くないね。すんません。
縦置きしたタブバーとpinnedなタブの相性はすこぶる悪い。結局全部ツリー型タブの方で作り直すのに近い状態になってしまった気がする。でもまあ挙動としてはそれなりに違和感のない状態に落ち着いた。
これからまた実装に仕様変更が入らないことを祈るばかりだ。実装の仕方自体が変わってしまうなら、今回のこの作業はまるっきり無駄になってしまうから。
Tab Progress BarのプログレスバーがFirefox 3.7のモックアップ風なのを見て「羨ましい!」と思ったのでInformational Tabのデフォルトスタイルをそのように変えてみた。一応、設定で今まで通り(ラベルの下に表示)にも戻せる。
で、やるならとことんやってみっか!と一念発起して、モックアップにあるような光るプログレスバーを再現しようと頑張ってみた。 伸びるバーの部分は背景画像で、ぽわーんと光った感じは-moz-box-shadowを使ってるので、Firefox 3.5じゃないと期待通りには見えない。
Reinventing tabs for the browser · Alexander Limiに、A full thumbnail screenshot of a page is not really useful in identifying the page, especially if the page is mostly text.
(ページ全体のスクリーンショットのサムネイルは、ページを判別するのには実際の所便利ではない。特に、そのページのほとんどがテキストである場合は。)とあったので、試しに情報化タブのサムネイル表示機能について、ページの端から一定のピクセル数の部分を切り出してサムネイルにするモードを加えてみた。
理屈の上では、各Webサイトはページの左上にブランドロゴのようなものを置いている場合が多いから、この方が視認性が高まる、って事らしいんだけど……単純に慣れの問題なのか、あんまり視認性が上がったような気がしない。もしかしたらサムネイルがそもそも小さすぎるからなのかもしれない(32×32程度のサムネイルだったら、全体の縮小だろうが一部の縮小だろうが大して変わらない)。
本当のところを言えば、端から固定で何ピクセルなんていう取り方じゃなくて、人の視覚を引き付ける特徴的な要素がある部分を切り取る形にできれば、それが最良なんだろうけど(そうしないと、例えばこのページだったら左上を切り取ると真っ黒なサムネイルになるけど、全体を引いて見た印象はブルー、というちぐはぐなことになる)……そんな事僕の頭じゃできませんわ。
「次のエントリで書く」なんて予告じみたことを書いてはみたものの、どうも話がまとまらない。もう、思ったことを箇条書きで書くだけにする。
現実的に言って、1つのアドオンであらゆる人のニーズを満たすことは不可能だと思うし、そういう方向での努力はしない方がいいとも思う。何でもかんでも……と際限なく詰め込んでいくと、どこかで破綻すると思う。機能の詰め込みは、ある時点までは効率がいいんだけど、ある時点を超えてしまうと、デメリットの方が大きくなってくる。「Piro拡張化」なんて言われるようになる。
作る側の心理として、どうして機能を増やしたくなるのか。他の人はどうか知らないけど、僕はこんな感じだった。
そんな感じの理由でどんどん機能を加えていく。ある時点までは、それでうまく回る。応援してくれる人とか感謝してくれる人とか、モチベーションを高めてくれる声も寄せられる。でも、なんかの閾値を超えたところで、あらゆる物事が下り坂に転じる。
そんなわけで、精神的な負荷と時間的なコストがどんどん大きくなっていって、タブブラウザ拡張は破綻した。Firefox 1.5のサポート完全終了と共に、過去の遺物となった。
そういうわけで、過去の自分の失敗を徹底的に反省して、ゼロからやり直すことにした。
eval()
による部分的な書き換えで対処する。こういう考えに基づいて作ったのが、マルチプルタブハンドラ、情報化タブ、ツリー型タブ、ソース表示タブという4つのアドオンだ。上に書いたことを完全に守れてるとは言えない部分もあるけど、昔に比べれば遙かにマシになってると思う。
作る側としても、使う側としても、僕は今の方がずっと楽だ。
「多機能に」「1つだけで様々なニーズに応えられるように」という方向に頑張ると、縛りがどんどんきつくなってくる。1つのアドオンだけでできることを増やしていこうとすると、妙な話だけど、他のアドオンに頼れなくなっていく。作り込むほどに、そのアドオンを入れた結果が素のFirefoxとかけ離れてしまうから、他のアドオンとの互換性がどんどん失われていく。だから、1つのアドオンだけでしなきゃいけない事がイモヅル式にどんどん増えてくる。
ユーザの視点から見ると、「多機能なアドオン1つだけの世界で完結した使い勝手を享受する」か、「いろんなアドオンを組み合わせて使う」かの、どっちかを選ばないといけないということでもある。両立はできない。
ここで改めて念を押すけれども、僕は、Tab Mix Plusと上記のタブ系アドオンの組み合わせは推奨していない。一応TMPで動くようにはした、けれども、継続的に追っかけ続けるモチベーションが無い。何故なら、僕はTMPユーザではなく、TMPと組み合わせて壊れるようであっても僕自身は全く困らないから。TMPユーザでない他のアドオンの作者の中には、同じように感じてる人もいるんじゃないかと思う。自分が使ってもいないのに対応を迫られるなんて、厄介な奴だ、目障りな奴だ、みたいな。閑話休題。
「多機能なアドオンで、部分的には、痒い所に手が届くような感覚がある。でも、足りない部分もある。それを補うための他のアドオンと組み合わせて使うことは、残念ながらできない。」「単機能のアドオンをたくさん入れていて、それぞれはそれなりに便利。でも、いまいち連携が取れてなくて、痒い所に手が届かない。」そのどっちかを選ばないといけない。
一人あるいは少数の作者の頑張りだけに期待しなきゃいけない、期待して待ってなきゃいけない。多機能長大路線を歩むという事は、ユーザにそれを強いるという事だと思う。僕はそれが嫌になった。
多分、多機能な物を「作る」だけなら、誰にでもできるんだと思う。時間さえかければ。当時の僕にもうなる程の時間があった(大学生で、レベルもそんなに高くなかったから楽に単位を取れて、その分自由に時間を使えた)から、できてたんだと思う。でも、より大きな問題は「作った」の後にあると思う。メンテナンスし続けられるのか? 他のアドオンと協調させられるのか? 多機能長大路線ではそれは難しいと、僕は思った。
Firefox 3.1からは、ウィンドウをまたいでタブを移動できるようになる。アドオンの作者はこれに合わせて修正を行わないといけない場合がある。
また、この機能を実現するために新しく用意された「表示されている2つのフレームの内容を破壊せずに入れ換える」APIは、他の目的でも利用することができる。
そんなわけで(?)、TBE3に含まれる4つともアップデートした。
情報化タブの機能として、Firefox 3.1向けに、最後のタブのクローズボックスを強制的に表示させるオプションを加えた。本体の方でまた隠し設定がどうとか色々変わりそうな気もするけど、とりあえず現時点での仕様に合わせておく。不要になったら機能自体削除の可能性もある。
ソース表示タブは、機能は変わってないんだけど、動的に書き換えてるメソッド類がMinefieldでだいぶ変わってるようだったので、その修正が主。
マルチプルタブハンドラは、ツリー型タブの修正で書いたのと同じ要領でMenu Editorとの競合を解消したり、ツリー型タブと組み合わせた時の地味なトラブルを直したり、といった程度。
タブをバカスカ開く人のために、いろんなアドオンが開発されている。とりあえず僕が存在を認識している物を、分類して列挙してみた。
素のFirefoxでは、タブが多くなると画面外に隠れるタブが出てきてしまい、タブを探したりタブを切り替えたりといった操作が非常に面倒になる。大量のタブをいかにして管理するか、という観点から考えられるアプローチはこんな感じだろうか。
また、素のFirefoxでは、すべてのタブが同じように表示されるので、タブ同士の見分けが付きにくい。沢山のタブの中からいかにして操作したいタブを素早く見つけるか、タブを見分けるか、という観点からだとこうなるだろうか。
「これが抜けてるぞ」というのがあったら指摘をよろしく。
僕自身は、以前はTBEで「複数行表示」且つ「グループを色分け」という使い方をしてたけど、TBEにツリー表示機能を加えてからは「ウィンドウ横でツリー表示」で「シルエット(インデント)でグループを判別」という使い方に変わった。
同じ色のタブの「グループ」が途中で改行されると混乱の元だし、そもそも色を判別しにくい環境だと、色での判別自体が困難になる(僕自身は特に色弱とか色盲とかの症状はないと思うけど)。それに比べて、タブのインデントのようにシルエットでのグループの明示は、色の再現性が悪い環境でも影響を受けないし、視認速度の点でも圧倒的に上回ってると思う。元々縦一列にシーケンシャルにタブが並んでいるから、複数行表示のような二次元の配置に比べれば視線の移動は少なく済みそうな気もする。
という事情があったのでツリー型タブではタブの複数行表示機能はオミットしたし、そもそもタブバーを画面の左右以外に置くという設定も設けるつもりは元々なかった(汎用性を高く作ってたら、たまたまできちゃった、という感じだ)。
多分、勘違いしちゃいけないというか固定観念に囚われちゃいけない部分だと思うんだけど。ここまで「タブ」という言葉を軸にして書いてみたけど、実際の所は別に「タブ」が重要なわけではない。たくさんあるWebページを一つの画面に表示しきれないから、現在表示されていない分のWebページへアクセスするための「目印」、「手がかり」だけを見えるいちに表示させておく。その概念を現実に僕らが目に触れる物に当てはめた時に、書類を綴じたファイルの中のあちこちを行ったり来たり、あるいは机の引き出しの中を行ったり来たりするために使っている「タブ」が、一番誰にでも分かるしっくり来るメタファだった、ただそれだけのことなんじゃないかと思う。
Separeのような「セパレータ」の導入やタブの色分け、タブにサムネイルを……というのは、「タブ」という現実のメタファに則って発想された、「多数のタブをより効率よく管理するための工夫」と言えると思う。それに対して、ツリー表示とかサムネイル一覧とかは、そういう「現実世界のメタファのタブ」の制約を超えて別の次元に飛び出している、「沢山のWebページ」というものをタブよりもより的確に視覚的に表現する試みと言えるんじゃないだろうか。Mac OS XのExposeもDockもそれと同じだと思う(どうでもいいけど、Windows Vistaのウィンドウ切り替えのアレは、見た目は派手だけど、前述のような「沢山のものをより効率よく一覧する」「沢山のものの中から目的のものを見つけ出す」という観点からの工夫には欠けていて、だから実用性はイマイチなんじゃないか?)。
「タブ」というメタファに依拠すると、そのUIの使い方を誰でもすんなりと理解できるようになるけれども、しかし同時に「タブ」という現実の存在が持つ色々な制約に発想が囚われてしまう。その制約から離れればツリーとか全サムネイル一覧とか、あるいは検索ベースの一覧のような物も生まれ出てくるけれども、今度は逆に、それが何を意味しているのかというメンタルモデルを構築する手がかりがないために、使い方が分からず戸惑ってしまうリスクが増える。あらゆる人を満足させられる一つの答えは、この世の中のどこかにあるんだろうか? 誰がそれを最初に見つけ出すんだろう?
タブブラウザ拡張3を公開しました。
……といっても実際にタブブラウザ拡張のバージョン3を作ったわけではなくて、情報化タブ、マルチプルタブハンドラ、ツリー型タブ、ソース表示タブを以前訳したマルチアイテムパッケージの作り方のまんまで一つにパッケージングしただけですハイ。「TBE3」をインスコすると上記4つのアドオンがアドオンマネージャに普通に並びます。
まあ、色々要望等はあると思うけど、僕にとってはこれだけ揃ってたら「TBE3」と名前を付けてもべつにいっかなーと思えている、僕にとっての「タブブラウザ拡張」の「他では替えが効かないもの」はこういう事かな、という感じです。
僕自身はこれに加えて以下のアドオンを組み合わせて、旧TBEで使ってた操作感をなるべく再現して使ってる。
逆に、TBEが持ってた機能で今の環境(他のアドオンとの組み合わせも含めて)に欠けてるのは、タブの複数行表示、タブの色分け、フォーカスの詳細な制御、タブのロック、自動リロード、別サイトへのリンクを常に新規タブで開く(別サイトへのリンクをタブで開く機能はツリー型タブ 0.3.2007102902に実装した)、リファラの送信禁止(Adaptiva Referer Removerで代用可能)、JavaScript・Cookie・Refreshによる自動リロード・プラグイン・画像表示それぞれのタブごとの有効無効の設定、それらの情報をブックマークに保存する、といった機能か。
また後で改めて書くけど、タブブラウザ拡張いっこのためにOSのアップグレードすら半年以上(Firefox 2リリースの時から数えれば1年近く)できずにいたので、ついにここまで来たかぁ、と感無量です。
なお、TBE3に含まれている4つのアドオンはどれも一応最近のMinefieldで動作確認はしてるので、次のFirefoxメジャーアップデートの時には今回よりはすんなり移行できるんじゃないかなと思ってる。まあまだUIまわりが(特にタブが)色々変わる可能性はあるようなので安心はできないけど。