たまに18歳未満の人や心臓の弱い人にはお勧めできない情報が含まれることもあるかもしれない、甘くなくて酸っぱくてしょっぱいチラシの裏。RSSによる簡単な更新情報を利用したりすると、ハッピーになるかも知れませんしそうでないかも知れません。
の動向はもえじら組ブログで。
宣伝。日経LinuxにてLinuxの基礎?を紹介する漫画「シス管系女子」を連載させていただいています。 以下の特設サイトにて、単行本まんがでわかるLinux シス管系女子の試し読みが可能!
「まんがでわかるLinux シス管系女子」1巻と2巻前半にあたる部分を収録した増補改訂新装版の「ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux」について、後書きでは少し触れてたんだけど、恐らく旧版読者だと思われる方の 「時勢に合わせた感じなのかなあ」というコメントを見かけたので、改めて書き記しておきます。
端的に言うと、これは作者の自分から改題を申し出ました。
IQが20違うと会話が成立しない、みたいな話は昔からよく聞くけど、そもそも「自分自身が一般よりIQが高い天才です、一般人と会話が通じなくて困ってます」って当事者になってることがあんまり無いと思うので、実際そうなのか?ってのはよく分からない人の方が多いんじゃないかと思うんですよね。僕もそのクチで。
ツイッターみてたら、そういう場面において、一般よりもIQが高く「ギフテッド」と呼ばれる人の側が当事者として実際どう感じているのか、をご自身の体験から詳しく説明されている記事が流れてきて、読んでみたら、前々から「きっとこういうことなんだろうなあ」と考えてた事とわりと合致する話が書かれてたんですよ。
というのも、これって「自分がアニオタで、アニメにまったく興味がない人に話が通じない」みたいな場面にすごく似てるなって思ったんですよね。
こういうの、すごく身に覚えがあるんですよね。「オタク知識」の話でなくても、社会人だったら自分の業務分野・専門分野の知識とか、自分は滅茶苦茶詳しくてお客さんは全然詳しくないので説明に苦労するってのはすごくありふれた話だと思うんです。自分も今まさに、テクニカルサポートの業務でお客さんに説明する場面でそういう事はよくあるし、Linuxのシェルコマンドの解説漫画を描く上で大変な事もまさにそういう事だし。
で、「自分側が知識がありすぎて、知識が無い側の人に話が通じなかった」体験をそういう風に想起できる一方で、「自分側の知識レベルや頭の回転速度が低過ぎて、有能な相手がする話の内容がまるで理解できなかった」体験もまた、自分には想起できるんですよね。学校で先生の言う話が分からなくて授業についていけないとか、仕事の上で先輩の話しに全然ついていけないとか。むしろこっちの方が多いくらい。
なので、自分としては「IQが20も違うと会話が成立しない」という話の両方の当事者の感覚を想像しながら、先の記事を読んだんです。
それで思ったのが、「この記事を書かれた方(ギフテッドの人)には、もしかして、自分の話を相手に理解してもらえなかった経験はあっても、相手の話が自分には理解できなかった経験が無かったりするんだろうか?」という事で。
そもそも記事自体が「IQが高い側の弁明」という体裁だから敢えてそう書いたのかもしれないんですが、「やばい、相手の言ってることがまるで自分には理解できない。どんなに説明されてもチンプンカンプンだ」という感覚が、あまりその記事からは感じられないような気がして。
シェル芸アドベントカレンダー2019に空きがあったので、最近やったシェルの話で参加させていただきます。
自分は日経Linux誌でシス管系女子というシェルの解説記事(マンガ)を連載させていただいてます。その2020年1月号掲載分の回において、「劇中の架空の会社で、アダムズ方式を使って各部署から代表者を何名かずつランダム且つ公平な感じで選ぶシェルスクリプトを作る」という話をやっています。
アダムズ方式では、前の計算の結果を使って次の計算を行うというステップが何度か出てきます。今までは「1画面分だけの画面出力」が必要なケースが多かったので都度てきとうにその場の気分で偽の画面をデッチ上げていたものの、こう複雑な話になってくると、それぞれの画面間で数字に矛盾が無いようデッチ上げるのはなかなか大変です。なので、実際にそれっぽい「社員名簿」のダミーデータのCSVを作って、その処理結果をそのまま使うことにしました。
こういう場面でのダミーデータの作り方はいろいろあると思いますが、描いているのがシェルの解説なので、シェルでやってみました。というのがこの記事の内容です。
僕がとある人にあまり良い印象を持っていない事の理由の1つに、商業媒体で連載の無告知中断を2回もしていて、2つ目は中断から数年経過しているのに自己紹介ではそれを現在進行形の連載としてアピールしており、自分のような第三者視点では「最初のは苦労して連載しても紙媒体でバズらなくて旨味が少ないと思って切ったのかな、次のもマンガ家という肩書きが手に入った後は放置ということなのかな」と見えているから(いや、その人にはその人の事情があって、自分は知らないだけでちゃんと双方で話の付いてる事なんだろうとは思うのですけれど)……というのがあるんですが、そういう風に他人の事をどうこう咎められる資格が自分にあるのかというと、自分の方こそ酷い不義理をやらかしているのですよね。
そういう仕事関係の不義理の中でも自分の中で最大の物は、フォクすけブログで1回か2回やったきりでぶん投げっぱなしにしてしまったブラウザの歴史に関する「連載」だと思ってます。
今から12~13年前。Mozilla Japanに半常駐でマーケティング関係のお手伝いをしていた頃、フォクすけというファンシーなキャラクターを掲げて「見た目ゆるく、でも中身は実用性高く」という意気込みでコンテンツを充実させていこうと思っていた僕は、フォクすけのブラウザ歴史年表を作るために色々調べて知識が増えた事に驕って、「Firefoxの他に無い価値の1つはその歴史にあると言えるはず。Webブラウザとインターネットの歴史をMozillaを軸に語ると面白いのでは?」みたいに考え、そのネタでドキュメンタリー風に連載をやってみますよ!と大言壮語をぶちかましたのでした。単発の技術解説記事や日経LinuxでのOpenOffice.orgの連載などで文字書きの経験はしていたので、まあできるでしょ、と思いまして。
で、いざ書き始めてみたのですが、ところがこれが全然書けないんですよ。当然です、取材もせずに数冊本を読んだ程度のカウチポテトで、生の体験をしていない僕ごときが、自分以外の視点で歴史を魅力的な読み物として書ける訳が無いんですよね。「誰々がこの時、こう言った」みたいなヒキの強いフレーズ、出てくる訳が無いんです。だってその場に居合わせてない、知らないんだもの。ロクな取材もしてないんだもの。
はっきりと〆切を設定した訳でもなく、また、依頼された訳でなく自分で言いだした事で、自分の気が向いたら書ける時に書きますくらいの表明の仕方だけに留めるという卑怯な逃げを打っていた事もあって、「なかなか筆が乗らないンすよね……」とグズグズしているうちに<ruby>一月<rt>ひとつき</rt></ruby><ruby>二月<rt>ふたつき</rt></ruby>と日は過ぎていって、気が付けばもう何の宣言もなくずうっと放ったらかしという訳です。
趣味の同人活動ならまだいいですよ、ぶん投げた所で自分の信用が損なわれるだけだから。でも仮にも仕事として始めた物でそれをやっちゃう訳ですよ。読者に対する裏切りであるだけでなく、「半常駐でマーケティングのお手伝いをする」という仕事の直接のお客さんであるところのMozilla Japanさんに対する裏切りでもあった訳ですよ。酷い、全く酷い。
仕事のやらかしでは他にも、シス管系女子の連載で原稿を落とした事が、この8年間で1回だけありました。設定された〆切をぶっちぎるのが常態化、校了ギリギリまでかけてやっと納品、という綱渡りを繰り返しているうちに、どうしても間に合わせられなかった事が1回。初期から連載を追ってこられた方がどれだけいるか分かりませんが、「あれ、今月載ってないの?」と思われた時があったと思います。それです、その時です。
実を言うと、この綱渡りは今も続いてるんですよね。ギリギリの納品は常態化したままで、だから毎回編集さんにはご迷惑をおかけしてます。申し訳ない事をしています。
やると言って引き受けた仕事で、約束を守らないって最悪じゃないですか。「原稿落としちゃいました、ヘラヘラ。これで自分も並み居る先輩作家大先生達に並んじゃいましたね、ヘラヘラ」なんて自慢してる場合じゃないです。酷い事ですよ。信用されるもクソもない、尊敬になんてまるで値しない。それで「なんで自分は人望が無いんだろう、人に誘われないんだろう、声かけてもらえないんだろう」と嘆くなんて、どういう神経してるんですかって話です。
最近こんな話を見かけました。
学生のごさいだったころ、学生間でごみの持ち帰りについて議論したことがあった。ポイ捨てしない派が多数で、怒った「する派」の学生が「出先でごみ箱がなかったらどうするんだ!」といったところ、しない派の学生が「え?袋に入れて持ち帰るよね」と全員鞄から畳んだビニール袋を出した。
- mago (@mago106) 2019年5月7日
その時の愕然とした「する派」の人の顔が忘れられない。「しない派」の学生全員が袋を持っていたのは全くの偶然で、袋を出した本人たちも驚いていた。
- mago (@mago106) 2019年5月7日
こうなると完全に生育歴を含んだ文化の違いで、社会性や思いやりとかの問題じゃない。
この議論は学生間の雑談から自発的に出てきたもので、学校が用意した課題ではなかった。そのため「する派」の学生にとってショッキングな議論運びになってしまった。たぶん「する派」は「公的にはしないことになってるけど、みんなやってるのが当たり前」という認識で成人まで暮らしてきたんだと思う。
- mago (@mago106) 2019年5月7日
そう、まさしく「公的にはしないことになってるけど、みんなやってるのが当たり前」という認識でいるから、不義理をしてしまえるのですよね。「自分は特別だから許される」なんて思ってはさすがにいなかったと思っていますが、だからこそ「みんなやってるんだから、自分もやっていいでしょ」と思っていたわけです。「当たり前じゃない」と人から叱られるまで、それが自分には分かっていませんでした。
これを読んだ人は、約束は守るから約束なんだ、という事だけとりあえず覚えて帰って下さい。今年37歳になるおじさんから後進へできるアドバイスは、以上です。
去る2018年4月22日、東京・秋葉原UDXにて開催された技術同人誌オンリーイベント技術書典4に、サークル「シス管系女子会」として参加してきました。無駄にパトロン枠での参加でした。
毎度、シス管系女子の草の根的な営業活動とファンサービス、あと〆切を設けることで何か新作を作るモチベーションにするという目的で参加していますが、今回も結果のほどを記しておこうと思います。なお、技術書典、技術書典2の結果、および技術書典3の結果は過去記事をご参照下さい。
今回の数字は以下の通りでした。一般的な技術同人誌のサークルというよりも、一般書店で購入可能な商業出版物メインの企業参加者の例という感じで見て頂いた方が良いと思います(申し込みは自分が個人的にやっていますが、商業出版物は日経BPの委託販売という形で、売り上げもそっくりそのまま渡しています)。
技術書典2の時に作成した、サンプルを兼ねたチラシ形式のリーフレットも持ち込んではいました。ただ、こちらは前回に引き続き今回も積極的にばらまかなかったので、数としてはほとんど出ていないと思います。
今回特筆すべきは、本の持ち込み分が早々に完売してしまったという事です。特に「シス管系女子3」は、当初持ち込み分60部は11時の開場から12時50分頃までの間に払底してしまい、途中で日経Linux編集部にあったという19部を急遽追加してもらいましたが、14時30分の頒布再開後14時58頃までの間になくなってしまいました。本が無くなって以後も何度か「3を……えっもうないの」的な反応を頂いていて、数だけは多く用意できるはずの商業出版物であるにも関わらず、せっかく来ていただいたのに申し訳ない限りです。一応、Amazon等の通販や書泉ブックタワー等会場近くの書店でも普通に入手できる旨は案内させていただきましたが……
シス管系女子3、技術書典4会場持ち込み分完売してしまいました……本自体はヨドバシの上の書店や書泉ブックタワー等でお買い求め頂けます〜 pic.twitter.com/27pYMf4fN7
- Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年4月22日
持ち込み部数は前回までの実績を踏まえて検討した結果だったのですが、晴天に恵まれてのべ参加者数が倍増した事と、今回の新刊である「シス管系女子3」が4月19日発売でこれ目当てに来て下さった方が相当数いらっしゃったようだという事から、全く想定外の売れ行きとなりました。新刊が多めに出るのは想定の範囲内でしたが、既刊も前回参加時より多く出ており、全ての本が15時台にはなくなってしまいました。やはり天候の効果は大きかったようです。グッズも、ステッカーは頒布価格が高めだったので10〜20ほど出ればいいくらいかなと思っていたのですが、気がつくと半分程なくなっていました。タイツは……元々あしピタが本命の物なので、まあこちらは想定の範囲内ですね。
今回は商業誌3冊に加えてグッズも並べる必要があったのですが、今までのやり方だと確実に場所が足りなくなるので、どうにか縦方向にディスプレイする方向で工夫してみました。
スペースできた pic.twitter.com/Qspx06BDMS
- Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年4月22日
まず本を縦にディスプレイする方法ですが、既製のイベント展示用の雛壇を調達しました。できれば何度も使える耐久性の高いプラスチックや金属や木の物を調達したかったのですが、ちょうど良さそうな物は品切れだったり、微妙にサイズが合わなかったりしてなかなか良い物が見つからず、最終的に選んだのはIGARASHI PROというメーカーの段ボール製組み立て式雛壇でした。本来はイベント毎に使い捨て前提の製品のようですが、それは勿体ないので、両面テープで固定する部分をマジックテープで置き換えてバラして持って帰れるように改造しました。また、結構奥行きがあってこれを置くと平積みのスペースを確保できないため、一番手前の段を潰すことにしました。
調達したダンボール製陳列棚。平積みと併用したいけど机の奥行きが足りないので、一番手前の一段を潰して平積み用のスペースを確保しようかなと。切らずに折ってるだけなので一応元の形(4段)にも戻せる……はず。 pic.twitter.com/IHTelNY87y
- Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年4月18日
タイツは普通に置くと滑り落ちて危ないので、普通の店舗でワゴンセールになってる物のように縦にしてケース(たまたま家にあった未使用の不織布製収納グッズ。ある程度の柔軟性がある)に詰めて、その後ろに背の高いディスプレイでサンプルを展示する形にしました。高さを出すための物は最初は段ボール工作を考えていたのですが、もえじら組の最初のイベント参加の時に買ったスチレンボードの残りが出土された(10年以上前の物……)ので、それを切り貼りして適当に作りました。
スチレンボード工作のこれは……なんと言えばいいんだ……? タイツ四種を貼り付けて縦にディスプレイしようかなと。 pic.twitter.com/ni7zaXnGeV
- Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年4月18日
後ろ側は紙製の簡易スタンド(同人誌の見本や値札を立てかけるために使われるような物)ですが、高さがある分倒れやすいので、後ろの方に足を延長してバランスを取ってみました。
トップヘビーになって倒れてしまったので、足だけちょっと延長してる(ホチキス使用) pic.twitter.com/giSxH6G8rN
- Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年4月19日
POPは、タイツがネタグッズなのでそれに合わせる形でヴィレヴァン風POPの作り方を参考にそれらしい物を作ってみました。手書きでやる自信が無かったので、青地の部分をたぬき油性マジック、それ以外の部分をふい字Pで「手書き風」にしました。ロゴは、フォントの形状がヴィレヴァンのロゴの物に似ているとして紹介されていたHelvetica Ultra Compressedベースで作成しています。
本物のヴィレヴァンPOPには値段は書かれていないようですが、今回は値段も一緒に入れてしまっています。
「完売しました」のお知らせをその場で書いたりするのに、何も書かれていない白紙の状態の物も用意しておけばよかったなあ……と思いましたが、後の祭りでした。
技術書典への参加目的の1つは何か作る事へのモチベーションを高めるという事なのですが、今回はちょうど「シス管系女子3」の作業とタイミングが重なったため、これをモチベーションに作業を進めていました。
元々は、この1週間後くらいの発売予定で作業スケジュールが組まれていたのですが、そうなると技術書典の直前くらいは作業の大詰めで何も他の事ができそうになく、技術書典合わせの何かコピー本を用意するという事ができない&「シス管系女子3」も間に合わないという最悪の事態になってしまう事が予想されたため、〆切を早めてもらって発売日をイベントの前に変更、イベントにも新刊として持ち込むことができました。冒頭のプロローグの構成をギリギリで変更する事になったり、目立つ所では裏表紙の大野先輩のスカートのテクスチャが抜けた状態になってしまっているなど詰めの甘い箇所が残ってしまったりと、心残りもいくつかありますが、本来の価値である技術の本としては申し分ない物にできたのではないか……と自画自賛しています。
また、〆切が手前にずれた関係でイベント直前に2週間ほどの余裕が生まれ、コピー本は無理でしたがグッズを用意することができました。
なお、グッズ類は現在BOOTHで通販もしています。会場に来られなかった方や、会場で見落とされていた方は、こちらからご注文いただければと思います(あんしんBOOTHパック利用のため、こちらに個人情報が伝わる事はありません)。グッズがなければBOOTHを使ってみる事もなかったので、これも技術書典がきっかけで活動の幅が広がったという事だと言えそうです。今後は、過去に少数だけ生産したブックエンドもラインナップに加えられたらなあと思っています。
毎度書いている気がしますが、会場では読者の方に何度もお声がけをいただき、大変ありがたかったです。紙媒体の商業出版物でしか読めない連載ということもあってか普段あまり感想を見聞きする機会が無く、こういう場で「1も2も持ってます」「3をずっと待ってました」のようなありがたいお言葉を頂けると、大変励みになります。
また会場外でも、今回の「シス管系女子3」についてはWeb上、というかTwitter上で今までにない量の反応を頂けている印象があります。2年前にWebサイトやTwitterアカウントの運用を開始して以降、自分にできる範囲で地道なプロモーションとも言えないようなプロモーションを続けてきましたが、その間湊川さんや沢渡あまねさん、ビタワンさん、ナツヨさん(※今回イラスト内のキャラクターの使用許可を頂いた方々)、他にも数多くのフォロワーの方々に度々告知やアピール文を拡散していただけていて、その影響がこうして目に見える形で表れてきたという事なのではないかと思っています。皆さんのご厚意に感謝するばかりです。
正業の傍らでの短いページ数の連載、しかも掲載媒体の日経Linux誌が月刊から隔月刊になったということで、今まで以上にページ数が溜まるスピードが落ちる事が予想され、次の本が出るとしたら一体どのくらい先になってしまうのか全く見えない状況ではありますが、今のこの気持ちを忘れないで、腐らず歪まず続けていければと思っております。皆さん本当にありがとうございます。(……と感謝の意を激しく表明すると「最終回」っぽさが漂ってしまいますが、別にそんな事はなく実際これから次の回の作業に入らなくてはいけないので、今後とも見守っていただけましたら幸いです。)
どういう訳か、スペースにお越しの方に「マンガで分かるGitのスペースはどこですか」と訊かれてしまいました。それは僕じゃなくて湊川さんなんです……タイトル似てますが別作品です……
去る2017年10月22日、東京・秋葉原UDXにて開催された技術同人誌オンリーイベント技術書典3に、企業サークル「シス管系女子会」として参加してきました。
シス管系女子の草の根的な営業活動とファンサービス、あと〆切を設けることで何か新作を作るモチベーションにするという目的での参加でしたが、結果のほどを記しておこうと思います。なお、技術書典、技術書典2の結果は過去記事をご参照下さい。
今回の数字は以下の通りでした。
ポスター等は前回の使い回しなので、今回新たにかかった費用はイベント参加費(企業扱い)と新刊コピー本の費用くらいです。
当日は台風直撃かつ衆議院議員選挙とも重なるという、前回・前々回を上回る悪条件でしたが、主催者発表によると来場者数は2700人ほどだったとのことで、来場者数に対するムックの販売実績としては前回を上回る比率となったと言えます。
前回の技術書典2では積極的に声かけを行い、サンプル代わりのリーフレットをチラシのように積極的にばらまいていましたが、今回はそこまでの積極的な声かけはせず、スペース前で足を止めて下さった方に「よかったらこちら無料なのでどうぞお持ち帰り下さい」と勧める程度に留めました。これは、リーフレットを増産していなかったためばらまいていると足りなくなると思ったのと、技術書典2までに参加した人にまた配ってもウザイだけだろうと思ったのとが理由です。
新刊が間に合うかどうかすら危うかったので事前のアピールをほとんどしておらず、会場内でもほとんどずっと座ったままだったので、数字は前回からかなり後退するのではと考えていたのですが、商業出版物と新刊の頒布数的には全然そんなことありませんでした(コピー本に至っては昼過ぎになくなってしまいました)。 近くにキンコーズがあるので追加で刷ってこようかとも思ったのですが、宣伝活動と考えたときにこれ以上お金をかける意味があるのかよく分からなくなってしまったため、そのまま増産無しで閉会まで居座っておりました。
今回、技術書典3というイベント自体の新たな試みとして「立ち読み専用スペース」「戦利品確認用スペース」という物が用意されており(自分は行かずじまい)、サークル参加者は見本誌とは別に本を立ち読み用に提出することでそちらにも置いてもらえるようになっていました。
どれくらい効果があるのか?については未知数の状態でとりあえず提出してみましたが、会場内でスペースまで足を運んで頂いて本をお買い上げ下さった方の中に、「上の立ち読みスペースで読んで気になったので」とおっしゃって下さった方がいらしたので、まったく効果無しということはないようです。
今回のイベント参加に当たり、元々はシス管系女子BEGINSの0.3話として新作を用意しようと思っていたのですが、
ということで、突貫作業でWSLの紹介の特別編を制作し、新刊としてリリースしました。 元々、イベントが終わったら公開するつもりだったのですが、昼過ぎの時点で頒布物の在庫が無くなりそうということが見えてきたため、早々に会場内からTwitterにも投稿しました。
ただいま技術書典3参加中❢ 新作特別編の無料コピー本では、なんとあたしがWindowsでLinuxコマンドを使っちゃう⁉「まんがでわかるWindows Subsystem for Linux シス管系女子」全編をここで公開しちゃいます✨ pic.twitter.com/x8pFX3uW0o
- 利奈みんとbot/マンガでLinux! (@sysadgirl_mint) 2017年10月22日
「まんがでわかるWindows Subsystem for Linux シス管系女子」の続き❗ これでWindowsユーザーのあなたも本編中の便利テクニックを活用できちゃう⁉ (※技術的に不正確な部分があったのを訂正しました💦) pic.twitter.com/bU7CQf3KM9
- 利奈みんとbot/マンガでLinux! (@sysadgirl_mint) 2017年10月22日
コピー本として頒布したバージョンと最初に公開したバージョンでは、最後のページでWSLのことを「準仮想化」と表現していたのですが、Twitter上でご指摘を受け、冷静に考えると間に挟まるレイヤーが薄いという点では準仮想化に似ているけれども仮想マシンがいるわけではないのだから「仮想化」と言うのは間違いだったと思い至り、帰宅後に最終ページの内容を大幅に更新してTwitterに再投稿しました。 結果として、前半4ページ分と後半4ページ分のそれぞれのツイートのうち後半の方が多くRTされるというヘンテコな状況が発生してしまいましたが、それだけWSLと他の競合技術との違い・使い分けに皆さん関心があるということなのでしょう。
また、まったくの副作用として、この話を描くにあたって色々調べ直したことで自分自身のWSLへの理解が深まりました。一応Cygwin・MinGW(とMSYS/MSYS2)・PowerShell・仮想マシンとの違いは何となく分かっていたつもりではあったのですが、漫画にするにあたって「どういう絵にすればより適切な表現になるのか?」を考えたことで、今までよりもそれぞれの違いをより具体的に言い表せるようになったと思っています。技術発表や紹介記事はそれを読むだけよりも自分で書く方が勉強になる、ということを改めて実感しました。
例によってTogetterの当日のまとめ等も見てみたのですが、戦利品報告として写真を公開されている方の戦利品ラインナップを見ると「ものすごいディープな内容・商業誌では扱われていないような内容の技術同人誌」が主で、今回のコピー本が写り込んでいる物はほとんどありませんでした。シス管系女子のような「解説対象が枯れた技術で、且つ、ものすごく技術的に高度な事をやっているわけではない、初級者向け(中級者以上へのステップアップ用)の内容」というのは、やはり、技術書典というイベントに台風の中わざわざ足を運んで戦利品報告までするようなアグレッシブな方にとっては魅力的ではないということなのだと思います。
宣伝活動としては、直接会場でリーチできる層以外に、その外側・イベント外にも拡散されるような場を選ぶのが効率的なのですが、「シス管系女子」というコンテンツにとってのそういう場所は一体どこにあるのか、そもそも「ある」のかどうか、むしろ拡散されるに足るコンテンツとしての価値は本当にあるのか、まだ答えは見つかっていない感じです。
以上の通り、商業出版物の広報活動としては今回もあまりパッとしない結果に終わってしまいましたが、上記のような悪条件下にも関わらず多くの方が来場して下さり、また、シス管系女子会のスペースまでお越し下さり、暖かい声援の言葉をおかけ頂けました。普段Webではあまり感想・反応を見かけないため、このように直接「ちゃんと読まれている」ということを実感できる機会は自分にとって非常に大きな意義があり、他の何にも代えられない喜びです。お声がけ頂いた皆様、本当にありがとうございます。
今回、事前の準備を疎かにしていたため頒布物は無料のコピー本だけだったのですが、次回以降の参加に際してはファンサービス的な面にもっと注力し、グッズ類の制作にも手を広げていきたいと思っております。
ということで、技術書典3のご報告でした。
サークル「シス管系女子会」のここまでの活動の振り返りです。 技術書典と技術書典2、コミティア119、あとデブサミのDevBooks 2017にサークル参加して得られたデータや思った事を書き留めておきます。
最初にお金の絡む話から書いていきます。
技術書典とコミティアは商業誌の販売が可能とのことだったので、シス管系女子1と[2]を持っていった他、技術書典と技術書典2では無料頒布のフリーペーパーやリーフレットも持っていきました。先に大まかな数字を出しておくと、かかった費用と実績は以下のような感じでした。
イベント参加費と技術書典・DevBooksのコピー本、あと技術書典2のリーフレットの印刷費は日経BP持ちで、ムックの販売は中間マージン無しの委託販売の体裁として、ムック売上額はそっくりそのまま日経BP社に渡しています(oh, ボランティア……)。1日人を張り付ける人件費を考慮に入れなければ、多分黒字にはなっていそうな気がします。
技術書典1ではコピー本を無料配布し、技術書典2ではリーフレットを無料配布しました。 ただのチラシを配ってもどうせ見てもらえないと思ったので、中身は漫画になっています(シス管系女子BEGINSの前後に「いかにも宣伝」という感じの漫画を足した)。通り過ぎる一瞬で目を留めてもらうのは無理でも、持って帰ってじっくり読んでもらえるといいな……という魂胆です。この辺は、イベント以外の場でも買える商業出版物ならではの割り切りですね。
元々、技術書典2でもコピー本の体裁の物を無料配布する事を考えていたのですが、思ったよりページ数が増えて表紙込みで24ページになってしまった結果、どう作っても1冊あたりの原価が100円近くになってしまう事が分かった(なのでDevBooksでは一応100円での頒布としました)ため、A4サイズ3つ折りのリーフレット両面を使った縮刷版という体裁にしました。苦肉の策でしたが、これだと印刷枚数次第ではフルカラーでも1枚20円を下回るくらいになるので、結構アリな気がしています。
最初の技術書典では当初は、スペースに置いておいて立ち寄って話を聞いてくれた方や希望者に手渡すつもりだったのですが、「どうせ無料で配布するのなら通りかかった人にどんどん渡しても同じなのでは?」とツッコまれて、それもそうかと思って「無料配布のサンプルです」と声をかけて渡していくスタイルに切り替えたのでした。
通行中の人への声かけは同人イベントではマナー違反とされている事が多いようで、COMITIAに至っては「呼び込み禁止」とはっきり明記されています。技術書典では「商業出版物を取り扱う場合は企業参加扱い」というレギュレーションで、特に明示的に禁止するようなルールの記載も無かったので「企業ならこのくらいはやってもバチは当たるめぇ」と開き直って声を出していましたが、迷惑行為と言われてしまうとグウの音も出ないので、チラシ撒きともども、やるならせいぜい前を通りかかる人に届く程度の声量に留めた上で、恨まれる&出禁になる覚悟でやりましょう。とだけ書いておきます。
元々、シス管系女子会としてのイベント参加は以下のような目論見で始めました。
結論から言うと、このうち1と2は実現され、3は目立った結果には繋がっていないという印象です。
1は、前述の通り会場でのムック売り上げがそこそこあり、その際にシリーズ2冊をまとめ買いしてくださる方が多かったという事から、やはりまだまだリーチできていない潜在読者がいるという事の証明にもなっていると思います。
2は、元々出版社サイドに何度か「試し読みになるように本編の一部を公開したい」という事を打診しているのですが、「原稿料を支払って下請けに制作させたコンテンツを、何故下請けが勝手に外に出したがるのだ?」という意識があるのかないのか進展が無いので、だったら原稿料もらわなくていいから自分で好きに使えるように勝手に描くわという事でコンテンツを制作したという事です。実際にこれを動機として特別編を制作し公開に繋げられていることから、〆切駆動型の自分には確かに効果的でした。
3は、その後のイベントレポートやTwitterでの反応を見る限りでは、「このイベントで初めて知った」「この試し読みで初めて意識した」みたいな新規開拓の方の反応はあまり見られませんでした。また、全一般参加者の方のうち1/5~1/6にリーフレットを受け取って頂けた計算になりますが、イベントレポートの写真等で「会場で入手した物」の一覧に写っている例は少なかったように思いました。
理由は色々考えられますが、成果を上げるためにはまだまだ工夫が必要そうです。
初回の技術書典の話はその時のエントリをご参照下さい。以下は技術書典2の感想です。
技術書典2当日のTwitterの反応まとめを見ると、来場者が多すぎて入場が遅々として進まない事へのコメントが多く、参加を諦めた人も多かったというのは終わった後で知りました。方や会場内では、サークルによっては開場1時間や2時間で完売の拍手が上がっていました(6時間あるイベントの序盤での在庫切れというのは相当な読み違えがあったということになります)。「技術書オンリー」「同日に別の場所でも同人イベントが開催されており、その中にはけものフレンズのオンリーイベントも含まれていた」「天気は雨」など、来場者が少なくなる方向の材料ばかりがあったにも関わらずこの盛況さということで、当日に至ってすらも来場者数の読みが極めて難しい状況でした。
前回は会場が建物内の地下と2階に分断されていた上に、入場が整理券制になっていたことから、全体の様子というのは正直見えにくかったのですが、今回は他の同人誌即売会イベントに近いレイアウトだったので、全体の混雑具合などが俯瞰しやすかったです。そこで抱いた率直な感想は、まさに普通の同人誌即売会だなという事でした。
これは、コミケやコミティアなどに行った事のある自分からすると驚くべき事です。というのも、これらのイベントで評論・技術ジャンルのスペースを訪れると、他の混雑具合とは一転してびっくりするぐらい人がいないからです。そんなガラガラ具合のジャンルのサークルだけを集めるわけですから、本当にイベントとして成立するのか?という心配の声が運営サイドからすらも上がっていたのも頷けます。
別にアンケートや聞き取り調査をやったわけではないのでただの想像ですが、実はみんなこういう「知の共有」に焦点を当てたイベントを求めていたということなのではないでしょうか。
既存のイベントで技術同人が参加できるイベントといったら、基本的にはオールジャンル(取り扱う内容のジャンルを問わない、なんでもあり)のイベントですが、それらのイベントでは技術同人以外のサークルはほとんどが漫画やイラスト、エンターテインメント作品をメインにしていますし、比較的近いジャンルのオンリーイベントと思われる文学フリマであってもメインは小説や評論です。そういう状況では、技術同人に興味がある人でも、行く苦労や金銭的コストに対して得られる物が少ない、つまり「割に合わない」と判断されて、行ってみようという気が起こりにくいのではないかと思います。例えて言うと、アニメイトの一角で技術書籍のコーナーが設けられていたとして、技術者を自認する人がわざわざそこまで買いに行くのか? あるいは、アニメイトに来る客が技術書コーナーまで見て回るのか? っていう話です。
その点、技術書典は最初から技術書オンリーと銘打っていますから、「当たり」に出会えるだろうという期待値はグッと高まります。来場者が多いのは、他に類似のイベントが無いからそういうニーズがここに一気に集中してしまっているという事なのではないか。というのが、僕なりの予想です。
IT技術者をやっていると、よく「技術カンファレンスや勉強会は、発表する人が一番勉強になる」「雑誌の記事や本は、著者が一番勉強になる」なんて話を聞きます。
知見やノウハウは、自分だけが見るメモ程度であればいくらでも書けますが、他の人にも共有できるレベルの内容に引き上げるのには手間がかかります。話を一般化したり、あやふやだった所を調べ直して根拠をはっきりさせたり、話題を整理したり……こういう事が面倒で、メモのまま放置されてしまう情報や、メモすら残されないまま忘れられてしまう情報というのは結構あります。
1コマの発表内容だったり1冊の本だったりといった「パッケージ」の形にまとめる時には、必然的にそういった作業が発生します。「イベントに参加するので」「そこで新刊として発表するので」という風に〆切を設定する事で、情報を精錬するための動機が生まれ、より価値の高い情報が出てくる、そういう動機になるというのは、技術書典というイベントの重要な意義の1つと言えるでしょう。
イベント終了後、技術書典2での刊行物をベースに商業出版する事になったという話を見かけました。同人誌で活躍していた人が商業誌で活躍するようになるというのはマンガ・ゲーム業界にはよくある話で、出版社の人が会場内を見て回って、有望そうな人に声をかけるという事が、技術書でも起こっているということのようです。
会場内で実際に売れ行きが良ければ商品化する好材料になるというのはもちろんあるでしょうが、そもそもこういうイベントに物を出している時点で「〆切を設定して」「それに間に合うように」「情報を整理してパッケージ化して」同人誌として世に出すという事ができている訳で、ネットでブログに断片的な情報を書き散らかしているだけの人に比べれば、商業出版物の原稿を書くという仕事にちゃんと取り組んでくれそうだと期待できるのではないかと思います。
最後に、これは同人誌即売会一般の話ですが、対面での頒布は「読者の方と直接触れ合える」という事が最大の特長でしょう。
先のまとめで「ネットでええやん」という感じのコメントをいくつか見かけましたが、VRでないただのインターネットモールを想定しているのであれば、それは「欲しい物を事前に決めて、買いに行って、買う」という事以上の意義をイベントに対して見出していないという事なのではないかと思います。同人イベントには、会場で作者に直接感想やお礼を言いに行く人もいれば、会場で読者が喜び興奮している様子を見たくて出展する人もいます。
自分の場合は、Webでない紙媒体で連載をやっていて、読者層がWebでアクティブな人達の層とは微妙に違うらしいという日経Linux誌での連載であることから、いつもはあまり「読者の方々に実際読まれている」という実感を持てずにいます。そのため、目の前にいる方に「持ってる」とか「読んでる」とか言って頂けるのは素直に嬉しかったです。普段なかなか認識できない「読者の実在」を意識することができて、励みになるのは間違いないです。
あと、対読者というのとはちょっとズレますが、ご同業の方と話せる機会としても自分にとっては有意義でした。技術書典2ではお隣のスペースがマンガで分かるWebデザイン/マンガでわかるGitの湊川さんのスペースだったため、イベント中やイベント終了後の合同打ち上げでこの仕事の事やそれ以外の事など色々話せたのがとても嬉しかったです。
そういえば個別にレポートを書いていなかったので、DevBooksの事についてもここに書き留めておこうと思います。
恐らく技術書典の成功を受けてだと思いますが、今年はDevelopers Summit 2017の会場内の1室に小規模な同人誌即売スペースが設けられていました。商業出版物の頒布は不可というレギュレーションだったので、直前のコミティア119での在庫放出と技術書典2向けの頒布物のプレお目見えだけできればいいかと思って参加してみました。
で、参加してみた感想なのですが、とにかく精神的にキツかったです。
というのも、通常の同人イベントだと全時間を通じて人の流れがありますが、DevBooksはデブサミの1コーナーという性質上、セッションとセッションの合間にどっと人が来るもののそれ以外の時間はガラッガラで、もう暇で暇でしょうがなかったです。一人での参加だったので、誰かに店番を任せてセッションを見に行くという事もできませんでしたし……
あと、「シス管系女子」というコンテンツとイベントの来場者層がマッチしていなかったようだという事も感じました。デブサミはどちらかというと流行りの技術に強い関心のある方が多いようで、DevOpsとかと真逆の方向を向いている「シス管系女子」は訴求力が無いのでしょう……多分。
ということで、もし2回目以降があるとしたらですが、「元々デブサミのセッションに興味があって」「技術同人もやっている」「当日は店番の手伝いをしてくれる人がいる」という条件を満たせる方が、会場内での荷物置き場確保も兼ねて参加するのが良いのではないかと思います。
まあ何というかタラタラ書いてきましたが、オフラインのイベントはやっぱ良いですよ。オンラインでオンデマンドでいつでも欲しい情報が手に入る、どころか、欲しくない情報まで洪水のように押し寄せてくるのが当たり前の今だから、身体感覚を伴うライブな体験の価値がより際立つ。などという言い方も実に月並みですが、その月並みな体験をした上で「やっぱり月並みだね」と言うのと、体験しない状態で想像で物を言うのとでは違うと思いますので、未体験の人は体験してみて欲しいです。直近では4月29日に幕張メッセで「超技術書典」というのが開催されるので、まずはここから。
続き:技術書典3のご報告
昨年、このツイートを見たんですよ。
夏コミでポルリン(@porurin0 )さんと湊川あい(@llminatoll )さんとお会いしました!
— もっちー黒蜜きな粉フレンズ (@singen_motti) 2016年9月2日
おふたりとも、とてもいい方でした!これからも応援してます٩( ๑╹ ×╹)۶
カフェちゃんとHTMLちゃんの共演でーすwww pic.twitter.com/RlgmYf1PU6
それで「うらやましすぎる!!!」とテンション爆上がりになってしまった勢いで妄想グッズの絵を描いてしまったりなんかしまして。
作者さんが「カフェちゃんブックエンド https://t.co/kYaHsUBNHj いいなあ、見てたら #シス管系女子 もブックエンド作りたくなってきた! 」って言って妄想画像作られたみたいですよ〜😲💦 まさかの実用的グッズ⁉ pic.twitter.com/1iYo4hF3D0
— 利奈みんとbot/マンガでLinux! (@sysadgirl_mint) 2016年9月10日
いやね、元々シス管系女子も何かグッズ作りたいなあとは思ってたんですよ。でも、ステッカーとかマグカップとかの比較的すぐ作れそうな物で読者の方に喜んで頂けるイメージがわかなくて。
思えば、以前Mozilla JapanのFirefoxマーケティング活動のお手伝いをしてた頃にストラップや紙袋やフォクすけぬいぐるみのデザインをやらせてもらった時も、やれ「印刷のペラいのじゃなくてちゃんとしたラバーストラップの方が絶対満足感ありますって!!」だの「紐の色と紙袋本体のコントラストが大事なんですよ!!」だの「もっと鼻の所がツンと出てた方がカワイイですって!!」だのと好き勝手駄目出しして、自分が素直に欲しいと思える物を他人のお金で作ってもらうというヤクザなことをしていたのでした(ぬいぐるみは根来さんの駄目出しもすごかったけど)。
でも、Firefoxならロゴマークがかっこいいからそれだけで満足感あるけど、自作の美(少)女イラストとなると、まず美(少)女という時点で照れの方が勝ってしまうし、そもそも自分の絵自体がそんなに上手なわけじゃないし……と色々考えてしまって、何作っても素直に自分で使える気がしなかったのです。
そんな折に見かけたのが冒頭の写真。見た瞬間に「これだ!!!っていうか自分が欲しいわ!!!!」と思いましたね。
だってシス管系女子って一応技術の本で学習(解説)マンガですやん。「これ使って本棚が技術書で埋まるくらいにいっぱい勉強しましょう!」っていうの、シャレが効いててよくないすか? 作品コンセプトにめっちゃマッチしてません? いや「今どき紙の本かよ」って呆れられそうですけども……
あと、仕様上どうしたって単色にならざるを得なくて、でもそれが却ってポップでかっこよくね?とも思いましたし。自分の絵ってそんな上手な方じゃないから丁寧に描いたり塗ったりすればするほどアラが目立って死にたい気持ちが増してくるけど、デザイン的に処理すれば見る側の脳内で勝手に補って見てもらえて実物以上に良く見えそうだし。
そう思ったらもう止まらなくて、妄想絵だけじゃ満足できず、実現できないものかと水面下でなんやかや動いていたのです。日経BPからは予算が出ない自主制作で、完全に趣味の世界です。
そしてついに実現された試作品がこちら!!! まさにイラストの通りの仕上がり!!!! 素晴らしい!!!!
ですがひとつ難点が。
単色の場合はまだマシで、絵が入ってきちゃうと もうワケが分からないことに…… これは正直盲点でした。デザイン画の時点で表紙画像と合わせたりすれば一発で分かる事だったのに、それを怠ったばかりに、試作品で実物を見るまでこの問題に全く気付いてなかったという。
なので泣く泣く一からやり直しました。 明暗反転版です。 といっても、単純に図案の明暗を反転するだけだとパーツが宙に浮いてしまう箇所が結構ありました。そこで、妄想イラストの単純化された図案から「元絵」にあたる線画を起こして、そこから改めて各所の線を拾い上げる形で図案化するという事をした結果がこれです。
これなら、多少うるさい内容の表紙と合わせても顔がちゃんと判別できます(真っ白の紙でも、本の表紙に対してブックエンド自体の影が落ちるので)。
しかも、タイツの部分を抜いたので、本の表紙の色や柄がそのままみんとちゃんのタイツの色や柄になります。つまりタイツの履き替え遊びができます。試しに手元の本をいくつか合わせてみました。 濃い色はもちろん合いますし…… 文字が入っててもへっちゃら。 帯部分だけ色が違うのも良いですね。 オライリー柄とか。 英字柄とか。 淡い色もいいですね。
試作2号で勝利が見えたので、これをベースに微修正した物を最小ロットで量産して、シス管系女子Advent Calendar 2016にご参加頂いた皆様にお礼として贈答した残りを4月9日の技術書典2に持っていこうと思ってます。利益をほとんど載せない状態でも数千円にはなってしまいます(少数生産だとどうしても割高になってしまう……かといって個人で何百個もこんなかさばる物を発注しても手に負えませんし)が、もし良かったら手に取ってみて頂ければと思います。
以下、デザインするときに分かったこととかコツとかをメモしておきます。
基本的には切り絵の要領なんですが、切り絵の中でも全パーツが繋がってるタイプの形になってないといけないというのがポイントです。
試作1号の図案の時は顔の肌部分を抜いて輪郭を残すデザインにしようとしたのですが、そうすると普通に絵を描くと鼻と口がどうしても輪郭に繋がらないパーツになってしまいます。なので、顔の角度やポーズを工夫してそれらのパーツに髪や目や膝が接するようにすることで、どうにか浮かない形でパーツを残すことができました。
明暗反転版では鼻や口のように短い線は逆に穴を開けるだけなので簡単だったのですが、顔全体を残して輪郭を穴にする場合、輪郭を全部繋げないでちょっとだけ橋渡しする部分を残してやらないといけません。あまり橋をかけすぎると見た目が悪いと思って、目立たない所(普通に線画を描く時に輪郭を途切れさせるような所)に絞って橋をかけてみました。ただ、試作2号では数を絞りすぎて頭の曲線部分が完全に枠から切り離されてしまい、枠が歪むと頭の方が飛び出てしまうようだったので、強度を増すために量産版では頭と枠の間に2箇所橋を増やそうと思ってます。
ということで、ご報告という体裁でのただの見せびらかし記事でした。
今までアドベントカレンダーには熱心に参加した事はなかったと思うのですが、今年はシス管系女子の草の根広報活動の一環として、自分でもびっくりするくらい力を注いでおりました。
まず、自分で初めてシス管系女子 Advent Calendar 2016というアドベントカレンダーを立てました。IT系のクリスマスといえばアドベントカレンダーが定番という印象があったので、思いつきでのチャレンジです。
とはいえ、現状のWebでの認知度を鑑みるに読者の方のご協力だけで全日程はまず埋まらないだろうと見込んでいたため、全25コマの構成で事前にマンガを用意しておき、最悪の場合でも1日1コマ公開していけば日程は埋められるという準備を整えた上でスタートしました。Webでの試し読み代わりに自由に使える話を増やしたいという動機が元々あったので、「描くつもりだった話を描ければそれでまず成功。アドベントカレンダー関係のブームに乗っかって露出が増えれば一石二鳥。読者の方のご協力を得られれば一石三鳥」というつもりでした。
蓋を開けてみると、およそ3割の日程を読者の方に寄稿して頂けており、予想以上の結果に大変嬉しい思いをしております。自分なんかの思いつきに乗っかってくれた方がこんなにいた事、エールを頂けた事がとても励みになりました。本当にありがとうございます。
一方で、課題も色々あったと思っています。
以上を総合すると、今回誰が一番得をしたかというと自分自身だった(自由に使える特別編を1つ増やす契機になった、読者の方々からのエールを頂けて元気が出た)という気がします。つまり俺得。自己満足に付き合わせるだけになってしまってすみませんでした……こんな風に人の厚意を食んで自分のやる気に変えるような事ばかりしてたら信頼を損なうばかりですよね。ほんとに。
元々、自分から見つけてきてくれる人だけを対象にしていても認知は広がらないので、どこか「外」に出ていく必要があるという事は認識していました。
そんな折、Geek Women Japan 2016の懇親会で、「シス管系女子」を読まれた方から本編で扱っていなかった話についての質問を頂きました。それに対する回答を記事化して公開するにあたり、ちょうどそのタイミングで各アドベントカレンダーの参加募集が始まっていたため、「外」のアドベントカレンダーに参加すればその読者層に認知を広げる機会になるのでは?と思い至りました。ただ、無差別に参加して宣伝をばらまくだけではただのspam行為なので、
といったあたりの事を考えながらエントリーを増やしていった結果、以下の8記事ができました。
結論としては、この試みは一定の成功を見たと思っています。特にShellscript Advent Calendarに投稿した記事がどういうわけか若干バズってくれて、ここからの流入が突出して多かったです。この記事は日を開けて何度か紹介されていて、その度にアクセスが発生するという状況になっていました。
ただ、このアクセス増は狙って起こせたものではなく(記事のタイトルを付ける際に若干挑発的なタイトルを意識したのは事実ですが……)、それ以外の記事のPVはそれほど伸びなかった事、また増加したアクセスも継続的なものではなくあくまでスパイク状の一過性の増加に留まった事から、やるならもっと継続的にやった方が良さそうという事は思っています。そうする事で、「シス管系女子」の内容や技術レベルに対する懐疑的な見方を払拭する材料を増やせれば、という思いもあります。
自分のサイト内でコンテンツを公開するよりも、技術情報であればQiitaのように、多くの人が見ていて且つ情報をシェアしやすい場所で公開するようにした方が良いという事も実感しました。
会社の業務の一環で、Groonga Advent Calendar 2016にもGroonga名義でいくつか記事を投稿しました。
これらはGroongaの知名度向上や盛り上がり感の演出、既存ユーザ・新規ユーザ向けの情報の整備を目的に行いましたが、シス管系女子の場合と同様、これ自体が知名度向上に役立ったという事は言えなさそうです。
以上をまとめると、認知度向上のための手段としてアドベントカレンダーを使う時は、既に人が多く集まっている場所(サイトもそうだし、アドベントカレンダーもそう)に飛び込んでいくのが有効なようです。 という、当たり前といえば実に当たり前の話なのでした。
技術書典に参加してきましたので、MozLondonの技術面以外の話をほったらかして先にこっちの話を書いておきます。
個人や小規模の団体などによる自費出版物=同人誌の即売会には「オールジャンルイベント」と「オンリーイベント」の2種類があります。「コミックマーケット」はオールジャンルイベントの代表例で、マンガ小説評論写真集その他色々な種類・内容の作品が取り扱われています。一方のオンリーイベントでは、取り扱われる作品が「艦これオンリー」や「弱虫ペダルオンリー」のように特定のタイトルのファンアートだけだったり、「耳キャラオンリー」のように特定のキーワードに関係する作品だけだったりという風に、イベント全体が特定のジャンル性を帯びています。
オールジャンルイベントには電子工作の話だったりプログラミングの話だったりという技術的な話題を扱う作品も出展されていることがあり、これらは大まかに「技術系ジャンル」という括りになっています。このジャンルの(おそらく初の)(自分が知らなかっただけで前例はあったようです)オンリーイベントが、今回の「技術書典」というわけです。
そういう文脈なので、イベントの体裁は自分が見たところまさしく「同人誌即売会」という感じでした。他のオンリーイベントとの違いというと、そこに「企業ブロック」という扱いで、OSCの会場で見かけるような翔泳社やオライリーといった技術書に強い出版社の販売ブースが普通のサークルと机を並べて存在していたという点でしょうか。
今回は、自分は「シス管系女子」の名前で企業として参加しました。企業参加とはいっても日経BP主導ではなく、僕個人が技術書典の情報を見つけて「参加したい!」と言ってゴネて、頒布物作りや当日の作業は自分でやるということでスポンサードして頂いた感じです。基本的に商業出版物は企業参加で申し込むようにというレギュレーションもありましたし。
シス菅系女子!!!#技術書典 #通運会館 #2F pic.twitter.com/pl7prmf4Ev
— 戸倉彩@C90日曜日(西4f38a) (@ayatokura) 2016年6月25日
(写真を撮り忘れたので戸倉さんのツイートを引用)
頒布物は新作描き下ろし(ただし下描きクオリティ)の8ページのコピー本と、既刊のムック2冊でした。 コピー本の内容はpixivにまるっと上げてあります。 そのうちシス管系女子の特設サイトにも載せるつもり。
<script src="http://source.pixiv.net/source/embed.js" data-id="57590783_33fd1695fde5334093fd08b34d503ac6" data-size="medium" data-border="on" charset="utf-8"></script><noscript>
シス管系女子BEGINS 第0.1話 by Piro on pixiv
</noscript>最初は普通にスペースに置いておいて、本を買って下さった方に渡したり、見てくれた人に「無料です」と言ってそのまま持って行ってもらったりというつもりでいたため、100部持ち込んで(コミケの技術島だったら「多すぎやろ」レベルの数)余ったらOSC等の会場でチラシのスペースに置いてもらうとかすればいいかなーと思っていたのですが、ヘルプで入ってもらった売り子さんの提案で「どうせ無料ならどんどん配った方がいいのでは?」という事になって、配り始めたらあっという間に足りなくなってしまいました。幸い、会場から徒歩で行ける距離にキンコーズがあったため、なくなりそうになったら行ってセルフコピーで200部増刷するという事を2回繰り返して、閉会30分前くらいの時点で合計500部を配りきりました。 (イベント側でも当日増刷システムなどの試みをしていたようですが、自分は制作フォーマットが違った&毎度の通り作業がギリギリになってしまって申し込めなかったので、自力解決したという次第……)
ムックの方は各30部ずつ持ち込んで、それぞれ残り5~6冊くらいになるまでは出ました。という所から売り上げはすぐに計算できるのですが、まぁ企業として動くには明らかに赤字なので、今回は日経BPサイドにはプロモーションと割り切って頂いた感じです。
見ていた感じだと、手に取っていただいた方には「初めて知った」という人が多かった印象で、費用対効果はさておき「今まで到達できていなかった人に認知してもらう」という事はそれなりに実現できたのではないか?と思っています。 内容の質にはわりと自信がありますので、今後もこんな感じで、今まで届けられていなかった方に届けられる方法を考えていきたいです。
あと、今回スケブ依頼は無かったのですが、会場では何人かの方にサインのご依頼を頂いたので書かせて頂きました。焦りもあって線が結構ヨレヨレになってしまいました……すみません。
着いてみると結構会場が狭くて、開会直後から行列がすごいことになっていたようですが、早々に入場方式を整理券方式に切り替えたらしく、会場内の人口密度が一定以上にならないようコントロールされていました。そのため、外の「何時間待ち」といった情報とは裏腹に、中は割合ゆったりとした雰囲気が保たれていたのが印象的でした。 技術系の同人誌は試し読みをするにもじっくり読む必要のある物が多いと思われるので、これは本当に良い判断だったと思います。運営のファインプレーですね。
自分も比較的ゆっくり会場を回って他のスペースの頒布物を見て回ることができ、会場の空気にあてられて結構買い込んでました。 技術系の同人誌は分厚かったり部数が少なかったりで製造原価が高いために、頒布価格の相場が結構高いのが、普段自分がコミケ等で参加するマンガ系ジャンルとは違うものなんだなあ……と今更実感。
前例の無いイベントということで一体どれくらいの人が来るのか全く予想ができず、もしかしたら会場内のサークル参加者同士でお互いに見て回って終わりくらいの規模になるのかもと思っていたのですが、主催者発表によると一般入場者が最終集計で1300人に達していたとのことで、想像を遙かに上回る盛況ぶりに参加者として驚くばかりです。
商業出版物の流通経路に載せるほどの売り上げは見込めないけれども、この事について書きたいんだ!とか、こういう技術本を作りたいんだ!というような作り手側の思いから作られた作品達。 そういった物が集まり、読み手は作り手から直接その思いを聞けて、作り手は読み手の反応をダイレクトに得られる、というのはオフラインイベント独特の魅力だと改めて感じました。 技術書典 当日の様子でも次回開催を望む声が多く見られますし、小説・評論ジャンルのオンリーイベント「文学フリマ」が回を重ねるのみならず地方開催も行っているように、技術書典も「技術ジャンルのオンリーイベント」として確かな地位を確立していってくれるといいなあ、と思います。
続き:技術書典2のレポート