Nov 18, 2008

Ubiquityが「コマンドラインツール」と書かれているのを見て悲しくなる

入力が英語だったから日本語圏の人間からはそれこそvimperator等と見分けがつかないけど、英語ネイティブの人にとっては、自分が話す言葉でFirefoxに指示を出せるようにする画期的な仕組み、なのだと思う。

書いたけど、Firefox Hacks:ブラウザの新境地? Ubiquityが変える衝撃のブラウザ体験 (1/2) - ITmedia エンタープライズとか完全にギーク向けと評されているのとかを見るにつけ、その思想の伝わっていなさに改めて悲しくなった。いや、僕自身も、昨日本人が喋ってデモしてる所を生で見るまで、全く同じ誤解をしてたんだけども。

確かに、英語で使ってる所を見たら、そう誤解してしまっても仕方がない。でも、操作の様子を注意深く見て欲しい。「email jono」じゃなくて「email this to jono」であることに気がついて欲しい。昔のお粗末なハリウッド映画でありがちな、何故か「コマンド」じゃなく「自然言語」で入力する、今となってはお笑い種のシーン、あれを現実のものにしようとしてるってことに。

昨日のデモの受け売りだけれども、Ubiquityはそれ自体で「万能」は目指していない。また、全てのユーザが自分でコマンドを定義して使うという風なあり方も、想定していない。Firefoxとアドオンの関係のように、必要に応じてさまざまな「動詞」を憶えさせて使うというシステム。それでいて、アドオンに比べてはるかに作るのが簡単だから、「開発者」の数も段違いに増えて、その結果として、エンドユーザが受ける恩恵もずっと大きくなる。これがUbiquityのしようとしている事だと、僕は受け取った。

Googleのトップページに行けば「ググる」という「動詞」をインストールできて、Tumblrのトップページに行けば「たんぶる」という「動詞」をインストールできて、はてな匿名ダイアリーのトップページに行けば「マスダる」という「動詞」をインストールできて、ニコニコ動画のトップページに行けば「ニコる」という「動詞」をインストールできる。そして、「ミクをニコってたんぶる」と入力すれば、ニコニコ動画で初音ミクの動画を検索した結果を自動的にTumblrに投稿できるようになる。「別れたいをググってマスダる」と入力すれば、「彼氏が○○だった。別れたい・・・」のテンプレを見つけてきて増田にエントリを書けるようになる。そういう、動詞の連結による可能性の追及が、Ubiquityのしようとしている事だと、僕は受け取った。(←妄想補完しすぎ?)

という所まで理解できるとなおのこと、このUbiquityという試みが日本語圏で満足に利用できるようになる日の遠さがよく分かってしまうのも、辛い所なんだよなあ……

まず障壁になるのが日本語という言語の特性。分かち書きじゃないテキストを形態素解析しなきゃいけないし、異常に多い同音異義語や語尾の変化にも対応しなきゃいけない。

入力方式も問題だ。前のエントリにも書いたけど、IM経由で入力するっていうだけで操作は全然インクリメンタルじゃなくなってしまう。

文化の違いもある。日本では、自分で入力して何かをするよりも、メニューからぽちぽち選ぶというスタイルの方が主流だ。そのスタイルに慣れた人にとっては、何か入力しなくてはならないということ自体が「面倒」ということになる。(ああ……そういう意味では、そもそも、Firefoxのアドオンもそういわれているのと同様に、自分で何かを組み合わせて使うという発想自体がギーク志向すぎるのか……)

それに、上の文章を書いてて思ったけど、日本語には、サービス名が動詞になるっていう例が少ない気がする。「ググる」はその珍しい「成功例」だ。「ヤフオク」も「ミクシィ」も、「名詞」としてまでは認知されるんだけど、そこから先、「ヤフオクる」とか「ミクる」とかいう風な「動詞」にまではなってない。そういう点もまた、Ubiquityのコンセプトが日本語圏にマッチしにくい所なのかなあ。

とりあえず近々また話せる機会がありそう?なので、その時にはXUL/Migemoだけでなく、セカンドサーチの「目的語を入力したら動詞を自動で提案する」という方向についても意見を聞いてみたい。

エントリを編集します。

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