May 28, 2009

ローカルプロキシっぽいことをローカルプロキシを立てずにやろうとして挫折したことのまとめ

FireMobileSimulatorでのローカルプロキシ実装の試みを見て、UxUデバッグ用ローカルプロキシみたいな事をできるようにしてみたい、と思った。

ただ、HTTPのことはこれっぽっちも分からない。ソケット通信も、一応独自プロトコルっぽいものを使って別プロファイルで動作中のFirefoxからテスト結果を受け取るということはできるようになったけど、それ以上の事は分かってないまま。なので、まじめにローカルプロキシを立てる以外の方法で、「特定のURIにアクセスしようとした時だけ、あらかじめ定義しておいたルールに従って別のリソースを返す」ということをできるようにしてみようと考えた。

僕が現在把握している方法としては、以下の物がある。

  1. ローカルプロキシを実装して、その中でリダイレクトするやり方。
  2. http-on-modify-requestイベントのタイミングでリダイレクトするやり方。
  3. nsIContentPoilcyのshouldLoad()の中でリダイレクトするやり方。

1はthorikawaさんが頑張っておいでなので、それに期待している(ソースがGPL互換ならUxUにそのまま入れられるので)。他人のフンドシ。他力本願。ここでは後の2つについての挫折の経緯だけ書き留めておく。

結論を先に言っておくと、2も3も実装上の制限により全滅っぽい。やはり、ローカルプロキシをちゃんと実装するしか完全な解決策はないようだ。thorikawaさん期待age。

http-on-modify-requestイベントを使うやり方

これは、現在FireMobileSimulator等ですでに使われている。nsHttpChannelはリクエストを送信する前にnsIObserverServiceを通じてhttp-on-modify-requestイベントを、レスポンスが返ってきた後にhttp-on-examine-responseとかhttp-on-examine-merged-responseとかhttp-on-examine-cached-responseとかのイベントを通知する(SubjectはnsHttpChannel自身)ので、このタイミングでリダイレクトをしようという話。

リクエストし直す場合

FireMobileSimulatorの場合、nsHttpChannelの現在の通信をキャンセルした上で、nsHttpChannelからnsIWebNavigationを引っ張ってきてloadURI()で新しく通信を始めてる。

var redirected = 'http://www.example.com/';
var observer = {
  observe : function(aSubject, aTopic, aData) {
    if (aTopic == 'http-on-modify-request') {
    var httpChannel = aSubject.QueryInterface(Ci.nsIHttpChannel)
                              .QueryInterface(Ci.nsIRequest);
    // ここでキャンセル
    httpChannel.cancel(Components.results.NS_ERROR_FAILURE);
    // リクエストし直し
    httpChannel.notificationCallbacks
      .getInterface(Ci.nsIWebNavigation)
      .loadURI(redirected, Ci.nsIWebNavigation.LOAD_FLAGS_NONE, null, null, null);
  }
};
Cc['@mozilla.org/observer-service;1']
  .getService(Ci.nsIObserverService)
  .addObserver(observer, 'http-on-modify-request', false);

通常のbrowserやiframeの場合はこれでいいんだけど、img要素やXMLHttpRequestからの通信では失敗する。具体的にはhttpChannel.notificationCallbacks.getInterface(Ci.nsIWebNavigation)の時点でエラーになる。例えばXMLHttpRequestによる通信なら、httpChannel.notificationCallbacks.getInterface(Ci.nsIXMLHttpRequest)とすれば元のリクエストを取得できるので、こんな感じで場合に応じて再リクエストの方法を振り分けてやる必要がある。(XMLHttpRequestの場合については、どうやれば再リクエストできるのかまではたどり着けてない。もしかしたら無理なのかも。)

nsIURIのspecを書き換える場合

nsIChannelのURIプロパティはnsIURIインターフェースの読み取り専用プロパティなので、通信先のURIを書き換えることはできない……ように見える。でも実はnsIURIのspecプロパティの方は書き換え可能なので、ここに新しいURIを代入することででもリダイレクトできてしまう。

observe : function(aSubject, aTopic, aData) {
  if (aTopic == 'http-on-modify-request') {
  var httpChannel = aSubject.QueryInterface(Ci.nsIHttpChannel);
  httpChannel.URI.spec = redirected;
}

とはいえこの方法は全くお勧めできない。動く場合もあるけど、動かない場合もある、という感じで実に不安定だ。nsHttpChannelの実装を見れば分かるけど、http-on-modify-requestが通知された段階ですでにその時のリクエスト先URIに基づいた初期化処理がいくつか終わってしまっているので、それと矛盾するURIを設定する(例えば、HTTPのリクエストだった物をFile URLにリダイレクトするとか)と、この後の内部処理でエラーが起こるっぽい。

レスポンスヘッダを書き換える

http-on-examine-responseの方ではnsIHttpChannelのsetResponseHeader()を利用できるので、LocationヘッダにURIを設定してみたんだけど、ダメだった。残念ながらヘッダを解釈してくれなかった。

nsHttpChannelの実装を見たら、HTTPのステータスコードが301とか302とかの時だけLocationヘッダを見るようになってた。ステータスコードを保持しているプロパティは読み取り専用なので、強制的にLocationヘッダを読ませるということはできそうにない。

nsIContentPoilcyのshouldLoad()を使うやり方

これはURNサポートなどで実際に使っている。詳しい方法は2007年当時のエントリに書いてあるけど、要約するとこういうことだ。

  1. nsIContentPolicyインターフェースを備えたXPCOMコンポーネントを作成して、
  2. カテゴリマネージャに登録しておき、
  3. 処理したいURIが渡ってきたら、元の通信の読み込みを中止させて、代わりに別のURIで通信を始める。

やってみると、一見上手く動いてくれてるように見えるんだけど、XPConnect特権がある実行コンテキストで作成したImageやnsIXMLHttpRequestのインスタンスからの通信が捕捉されなくて、UxUの用途では使えない感じだった。まあ仮に捕捉できたところで、元の通信を止めて別のURIで通信するようにさせる方法は分かってない(もしかしたら無いかもしれない)んだけど。

あと、shouldLoad()の第2引数はnsIURIインターフェースなのでこれのspecプロパティを書き換えたらどうだろう?と思ってやってみたけど、これもうまくいかなかった。browser要素等での読み込みの場合だと、nsDocShellのInternalLoad()でエラーが発生する。実装を見た感じでは、nsIContentPolicyに処理が渡ってくるより前に元のURIに基づいてセキュリティ関係の機能が初期化されてるので、その後でURIを書き換えたのがいけなかったんじゃないかと思う。

まとめ

とにかく、nsHttpChannelのインスタンスが作成された後からどうこうしようと思うのがそもそも手遅れくさい。それより前のステップでアクセス先のURIを書き換えようと思ったら、ローカルプロキシを立てる以外に手は無いようだ。

いいかげん諦めてMozilla Partyの発表資料作ることにします……

エントリを編集します。

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