Oct 12, 2005

ディアスポラ

ディアスポラ(著:グレッグ・イーガン、訳:山岸真)Amazon.co.jp)読んだ。

人類が、自らの精神をスキャニングして特殊なプログラム言語でシミュレートした「知性ソフトウェア」となった人々が一つのサーバを一つの<ruby><rb>都市</rb><rp>(</rp><rt class="読み">ポリス</rt><rp>)</rp></ruby>として暮らす「ポリス市民」と、固有のボディを持つことに拘る<ruby><rb>機械化人</rb><rp>(</rp><rt class="読み">グレイズナー</rt><rp>)</rp></ruby>と、あくまで肉の体に拘る肉体人の、それぞれに別れて暮らしているはるか未来の物語。ポリス内では、複数の市民の精神の部分的なコピーを混合して新しい精神を作る形で「出産」に類することが行われているが、ごく希に、システムが勝手にゼロから作る人工精神の市民もいて、それらは孤児と呼ばれる。その孤児の一人として生まれたのが、この物語の主人公・ヤチマ。いくつかの短編の寄せ集めという形で、ヤチマやヤチマの知り合い達の目を通して描かれる、複数の宇宙にまたがった長い旅のお話。

うん。内容の半分も理解できんかった(ぉぃ)。物理や数学なんて高校時点で既に欠点でしたからね!

でもまあ何が何だか分からないなりに、ワクワクしながら読み進めることができた。まず人類の(この物語での)最終進化系が、段ボール箱2箱程度の体積のサーバマシンの中で走る仮想人格ソフトウェアだというのが面白い。この小説を読んでると、数十人のスタッフが一隻の宇宙船の中で楽しげに暮らしている様な錯覚を受けるけれども、それを外から見たら、(おそらく)無機物の塊のコンピュータが宇宙の果てまで漂ってるだけで、それが最も進歩した地球生命のなれの果てだというのがおかしくておかしくて。

でも肉体のないソフトウェアだからこそ、次元を超えた旅というのも可能なのだろう。地球環境と同じ3次元の空間をシミュレートした仮想空間で暮らす彼らが、旅の中で5次元空間に飛び込み、普段は今まで通りの3次元空間の感覚で「生活」するけれども場合に応じて知覚や神経を司るソフトウェアを5次元用に拡張して「5次元人になって」船外機器を操作する、なんてのは、肉体やハードウェアに縛り付けられた状態ではとても不可能だろう。

面白かったです。うん。ヤチマに連れられて一緒に宇宙の果ての果てまで行って来たような感じ。

ところで解説文によると、<ruby><rb>ヤチマ</rb><rp>(</rp><rt>yatima</rt><rp>)</rp></ruby>はスワヒリ語で「孤児」の意味だそうだ。スワヒリ語の発音はヘボン式のローマ字読みに近く、アクセントは二音節目に来ることが多くて、「ti」は「チ」とも「ティ」とも読むらしいから、「yatima」は正確には「ヤ(↓)ティ(↑)マ(↓)」と発音するのかね? そして「yatima」は女性の名前としても使われるそうなので、ヤチマは実は寡黙ひきこもり科学者系萌えキャラという説が。(←勝手に提唱)

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