Jun 05, 2010

「幻覚ピカソ」が完結してた→また捨てるに捨てられない本が増えてしまった

実に綺麗に終わった……最後、泣いた。ぼろぼろ泣いた。僕は、泣いた作品は捨てるに捨てられなくなってしまうので、また本棚のスペースが足りなくなってしまう。

主人公の葉村ヒカリは、根暗で絵ばっかり描いてる高校生。あまりに絵ばっかり描いてるから、あだ名は「ピカソ」。そんなピカソはある日唐突に、大きな事故に巻き込まれてしまう。一緒に事故に巻き込まれた友人・山本千晶は死に、ピカソは生き残った。でも彼が生還したのは、千晶が死の間際に彼の生還を願い、ある事と引き替えにかりそめの命を神から与えられたからだった。ピカソの前に幽霊として急に現れた千晶は、ピカソに言う。「人助けをしなさい、それがピカソが生き続けるための代償」。かくしてピカソは唯一の特技である「絵」を使ってクラスメイト達の心の闇を描き出し、千晶と共に彼らの深層心理に飛び込んで難問を解決していく事になるのだった……

僕が古屋兎丸を知ったのはライチ光クラブだったんだけど、全然違う作風で驚いた。耽美な絵柄で悲劇や残酷劇を描くのがメインの人なのかと思ってたけど、この作品では悩み多い年頃の少年少女の青春をさわやかに描いてる。

登場するキャラクター達は皆悩みを抱えているのだけれども、悩みがこんがらがってて何が「本当の問題」なのか分からないし、どこからこの状況を打破していけばいいのか糸口すらも分からないしで、前に進めず足踏みを強いられている。ピカソと千晶がするのは、こんがらがった悩みをひとつひとつ解きほぐして、糸口を見つける事。そこから先の事、見つけた糸を手放さないでちょっとずつでも問題を解決していくのは、あくまで悩んでいた彼ら自身の仕事だ。

多くのクラスメイト達の手助けをしてきたピカソは、最後にピカソ自身の心の闇と対面させられる。彼自身意識していなかった心の闇に、いよいよ立ち向かわないといけなくなる。彼が抱える闇の正体は何なのか? その闇を取り除くとはどういう事なのか?

後味はほろ苦いけど、そこには希望がある。全3巻、見かけたら読んでみて下さい。

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