Sep 11, 2006

バス男、ナポレオン・ダイナマイト

バス男を見た。

この映画、アメリカではそれなりにヒットしたらしいんだけど日本国内では上映無しのDVDリリースのみという扱いになっている。「バス男」という邦題は明らかに電車男のブームに便乗しようとして付けられただけの物で、内容は電車男と全然似ても似つかない。オタクというか非主流派の主人公が単に家からバスで学校に通ってるというだけのこと。原題「Napoleon Dynamite」で、これは主人公の名前でもある。

内容は、ナポレオン・ダイナマイトというあるオタク青年の日常をゆるゆるとおもしろおかしく描くというもの。とにかく駄目主人公やその駄目友人、駄目家族に駄目親戚の、ごく普通の日常が淡々と流れていく。ちょっとだけ盛り上がるところもないではないけど、基本的にカタルシスとかそういうのとは無縁。「40歳の童貞男」はギリギリ日本上映されたけどこっちは上映無しというのも頷ける。さざ波のような面白さなんだよね……

主人公ナポレオンの学校生活が自分自身のそれにオーバーラップして、見てて痛々しい感覚を憶えずにはいられなかった。クラスに友達がいなくて一人きりで遊ぶとか、ヒマさえあればノートに空想の落描きをしてるだとか、実際に教えを請うのではなくレッスンのビデオだけ見てダンスを覚えようとしたりとか、他人と会話するときに妄想と現実との区別がついてないとか(いや、本人的には区別ついてるんだけど、空想のことを現実のように語るのがカッコイイと本人は思ってるもんなんだよね)……「40歳の童貞男」のアンディはかなり他人事のように感じられて客観的に見てたんだけど、ナポレオンは見てて心が苦しい。笑えるんだけど、その笑いは自分の中でどこか自虐を伴っていて、「あははこいつバカでー」と笑い飛ばすことができない。「あはは僕の学校生活もこんなんだったよなーほんとに終わってたよなー全然潤いがなかったよなーホント何しに行ってたんだろう何を得たんだろう僕の青春って何だったんだろうと思うと首吊りたくなるよねー」みたいな感情が呼び起こされる。

いやまあ普通の人が見る限りには多分普通に変な奴らの変な日常を描いたコメディとして楽しめるんだろうけどね。僕は「まさに自分のようなキャラクター」を目の当たりにして、戸惑ってしまった。

どうでもいいけど、ナポレオンを演じてるジョン・へダーという俳優は、本編中ではくるくる天パにでっかいレンズの眼鏡、眉をひそめて目を細め、口は常に半開き、ヘンな柄のTシャツをジーンズの中にきっちり入れて、足元はなんだかよく分からないブーツという、相当キモイ容姿で通してるんだけど、普段は普通にイケメンなのね。ほんと映画の印象と大違いだわ。

エントリを編集します。

wikieditish message: Ready to edit this entry.











拡張機能